宝積寺(京都府乙訓郡)

訪問日:2006/05/28

のどかなハイキングコースの中

宝を積むお寺と書いて宝積寺。随分景気のいい名前ですが、実際に訪ねてみると実に慎ましやかなお寺です。
お寺は、ちょっとした急坂の途中にあります。ちょうどここは天王山のハイキングコースの道程に含まれていて、時折山登りの格好をした人たちがちょいと失礼と境内を通り過ぎていきます。
でも、それ以外はとても静かなお寺です。なのに、とても賑やかな印象があるのは、きっと元来宝積寺が持っている明るさのおかげなのでしょう。このお寺に積まれた宝は、実は目に見えないところにたくさんあるのかも知れません。

明るさに包まれた閻魔さま

お寺の方の案内で、閻魔堂と本堂に上がらせていただきました。閻魔堂には、閻魔さまを中心に司命、司録の両脇侍、そして前面には暗黒童子、倶生神がいらっしゃいます。どの仏さまもおっかない顔。そう、これはいわゆる地獄の裁きの場なのです。
でも堂内の明るい雰囲気やお寺の方の楽しい解説のおかげで、ちっとも怖くない。むしろ、この五体の仏さまに親しみがわいていきます。
“なんか、やりづらいなぁ”と、閻魔さまも苦笑していらっしゃるような気がします。

神秘と優しさのご本尊

本堂には大変美しいご本尊がいらっしゃいます。鎌倉時代に作られたという十一面観音立像です。
全身を金箔で覆われたこの仏さま、暗い堂内にぼんやりと浮かび上がる姿はとても神秘的で、また妖艶です。光が渦巻くような後背もまた美しく、僕はぼーっと魂を抜かれたようにただただ見入ってしまいます。
お顔はとってもふくよかで優しげです。すぐ傍まで行って見ることが出来るのですが、いつも見上げるたびに“いいお顔をされているなぁ”と思います。この仏さまならすべてを任せてもいいな、そんな気持ちにさせてくれます。
初め遠くから見てその神秘に驚き、次に近くでその優しさに触れる。一粒で二度おいしい、素晴らしい仏さまです。

倒れそうで倒れない

さて、本堂の裏手に大きな石塔が建っているのですが、見てください。上に行くにつれ、ぐにゃりとしなっています。まるで、器用なソバ屋の出前持ちみたいに絶妙なバランスの上に成り立っています。
不思議だなぁと思います。これまでにも地震や台風などたくさんの災難に遭ってきたことでしょうに、まるでへこたれなかったのですから。その芯は、きっとちょっとしたことでは容易に崩れないしっかりしたものなのでしょうね。
見ているだけで楽しく、また教わることがたくさんありそうな、素晴らしい石塔です。

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