訪問日:2005/10/02
素晴らしい庭園だとは聞いていたけれども、まさかこれほどとは思いませんでした。あっちを見ては“ほぉーっ”、こっちを見ては“はぁーっ”。思わず声が出るって、こういう時になるんですね。
しっかりと構成の練られた、大人の庭園だと思いました。心落ち着く閑寂、夢幻の深緑。多くの人が“京都の庭”をイメージする時に思い浮かべるのは、おそらくこんな庭なんじゃないかな。
今、“しっかりと構成の練られた庭”と書いたのは、どこに立ってもどの角度から眺めても、それが実に見事な絵になっているからです。
川、緑、岩、一つ一つのパーツがあるべきところに収まって、見応えのある美しい光景を作り出しています。まさに、絶妙のチームワーク。ここに、この庭の一番の魅力があるような気がします。
少し進んでは立ち止まり、また少し進んでは立ち止まり。ゆっくりと時間をかけて、広い境内を見て回りました。
この庭の個性を際立たせているのが、碧岩や獅子岩といった巨岩たちです。歩いていると、いきなりどーんと出現するものだから、ちょっとびっくり、そしてかなり痛快です。
それにしても、これだけのごつい岩をこの清楚な庭園に置いてしまおうという発想は、なかなかの冒険だったんじゃないかなぁ、なんて思います。酢豚にパイナップル入れるようなもんでしょうか。一見、違和感ありそうな組み合わせが、大変素晴らしい効果を生み出しています。
それだけ取り出して見ればごつごつしてワイルドな巨岩たちも、優しいこの庭園の中では、とても柔和な印象です。
後から気づいたんですけど、宝厳院って建物がほとんど目立たないんですね。ただ、入り口附近に青嶂軒という茶室があって、僕はその控え目な佇まいがとても気に入ったのです。
地味な建物だけに、周囲の緑にきれいに溶け込んで、限りなく美しい。建物も庭の一部なんだなと、この光景を見て思いました。
この日は、素晴らしい庭園に出会えて心底幸せでした。普段は非公開で見ることの出来ない塔頭寺院です。宝厳院って天龍寺の隠し財宝なんだな、と思いました。