訪問日:2004/09/11
法界寺にあるものといえば、阿弥陀堂とその中にいらっしゃる仏さま、そして薬師堂の三つくらいのものです。小さなお寺なんです。
ただ、その三つが“こんな小さな境内に、こんなに凄いものがあるの?!”と思うくらい、素晴らしい寺宝ばかり。結局、どれもじっくりと時間をかけて見てしまうので、いつも長い間いることになってしまいます。
いいものを見るって楽しい。そんな実感をひしひしと噛みしめることのできるお寺なんですよ。
国宝の阿弥陀堂は見るからに個性的な建物で、平べったい屋根がとってもユーモラス。その一方で、均整の取れたフォルムは惚れ惚れするような美しさです。デザイナーのセンスがキラリと光る、一級の建築物なんですね。
思えば、洛南には宇治の平等院や萬福寺の諸堂など、独創的な美をまとう建築がたくさんあります。きっと昔からとっても自由な風が吹いていた場所なんだろうな、なんて思ってみたりします。
阿弥陀堂の中には、どっしりとした大きな阿弥陀さまが座っていらっしゃいます。堂内は暗いので最初はよくわからないのですが、じっと目を凝らしていると、次第に神妙な面持ちでしっかりと前を見据えるご本尊のお顔が見えてきます。
よく見るとまん丸のお顔に愛嬌があってちょっと可愛らしい。結構ほのぼのとした仏さまなんです。
用意されている座布団に座って、のんびりとお顔を眺めます。何も起こらない、静かな時がゆったりと流れていきます。僕はもちろんこの時間をとても楽しんでいるのだけれど、仏さまのほのぼのとしたお顔を見ていると、僕と同じようにこの幸せなひとときを満喫していらっしゃるように思えてきます。
薬師堂は阿弥陀堂と比べると地味なナリですが、中に入ると堂内を埋め尽くさんばかりにぎっしりと赤ちゃんの前掛けが奉納されています。とてもビックリします。お寺で戴いた栞によると、ご本尊の薬師如来は古来より安産・授乳にご利益がある仏さまとして篤い信仰を集めているそうです。
もちろん切実な願いもたくさん込められているんだろうけど、これだけ可愛らしい前掛けでぎっしりと埋まっているのを見ると、なんだかほのぼのとした気持ちになってきます。
先ほどの阿弥陀如来もそうだったんですけど、法界寺ってほのぼのさせてくれるお寺なんだなぁ、と思います。