本能寺(京都市中京区)

訪問日:2005/10/16

“ふらり組”が集まってくる

本能寺を一言で表すならば、それは“憩い”ということになるんじゃないかな。別に何があるというわけでもないんだけど、何かの折にふらりと訪れると、ほんわかした温かい気持ちになれるお寺なんですよ。
この“何かの折に”ってとこがとっても大切。なにかメインとなる行事(買い物とかね)の後に訪れて、ホッと一息入れるのに実に都合のいい規模のお寺なんです。
この日も、世間話に余念がないおばちゃんたちや自転車で素通りするだけの人、ベンチに座って左手に新聞右手に缶コーヒーの人など、いかにも“ふらりとやってきた”感を漂わせている人がたくさんいました。僕もベンチに腰を下ろして本など開きながら、いかにも“ふらり組”っぽくしてみました。

昭和の名作、本堂

本堂の中から、お題目を唱える声が始終聞こえていました。のどかな境内で聴くお題目は、なんだか子守唄のよう。ともすれば、うつらうつらとそのまま寝てしまいそうになります。
本堂は昭和時代になって建てられた新しいものですが、堂々たる佇まいは古建築と比較しても決して引けをとるものではありません。考えてみれば、神護寺の金堂や四天王寺の五重塔など昭和の建築にも名作はたくさんあるんですよね。
屋根瓦が陽光に輝いて、とてもきれいでしたよ。まだ作られてから100年と経っていないお堂です。その煌きは、若い希望に溢れたこのお堂の目の輝きだったのかもしれません。

お茶目なカエルくん登場

本能寺は小さなお寺ですが、立派な宝物館があります。なにしろ、ここは歴史を変えるような大事件、本能寺の変の舞台となったお寺ですから。だから、織田信長の遺品がいっぱい展示されています。
香炉だとか茶碗だとか、展示物がいかにもシブい。書状なんかもいくつかあります。
そんな中でも異彩を放っているのが、“三足の蛙”という香炉です。タイトルどおり、三つ足のカエルの形をした香炉です。なんでも本能寺の変の前夜に、信長に危険を知らせんと鳴き出したとか。
このカエルくん、大変ひょうきんな顔をしています。しかし、その表情は真剣です。また新たな危険がやってきた時、俺が知らせてやるよと身構えているかのようです。

信長もうたたねの御廟

境内には、信長の御廟なんてものもあります。お墓ですね。
これがまた、波乱万丈の生前と比べて、なんとものどかな環境の下にあるわけです。きっと、毎日うたたねしてるんだろな。いびきなんか掻きながら。
本能寺自身も何度も焼失⇒再建の繰り返しで、信長に負けず劣らずの波乱万丈ぶりだったらしいのですが、今はこうしてのんびりと平和の中に時を過ごしています。
本能寺と信長。不思議な縁で今は仲良くひなたぼっこ。

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