本法寺(京都市上京区)

訪問日:2004/11/07

目にするもの、驚きの連続なのだ

門前に立った時には何もなさそうなお寺だなぁと思っても、いざ境内に入ってみると目を見張るような美しい寺宝に満ち溢れていることがよくあります。こと京都においては、そんないたずらっぽいからくりを用意している小寺が多いように思えます。
実は、本法寺もそんなお寺なんですよ。
初めてこのお寺を訪れた時のインパクトは強烈でした。建物の充実した境内や巨大な涅槃図、エキゾチックな庭園などさまざまな寺宝に完全ノックアウトされたものです。もちろん、その驚きは何度目かの訪問になるこの日も色あせていませんでした。大好きなお寺です。

ダイナミックな建物が、境内に並んでいる

本法寺の境内が素晴らしいのは、狭い中にダイナミックな建物が向かい合って建っているところでしょうね。その建物というのは、つまり本堂、開山堂、そして多宝塔のことなんだけど、その三つの中心点に立った時の気持ちよさは格別です。大寺院にいる時にも負けないくらい広々とした気持ちになれます。
本堂はどっしりと、多宝塔は雄大に、そして開山堂は優しげに、中心に立つ僕をしっかりと護ってくれます。本法寺のクライマックスがここにあるような気がします。

長さ10メートルの大涅槃図

さて、この日は長谷川等伯が描いた大涅槃図の公開期間中でした。
“大”涅槃図です。とても大きいのです。この大きな絵の中に、人や動物、あるいはもののけの様な連中までもがお釈迦様の周囲にたくさん集まって、大いに悲しみを振りまいています。
悲しみの渦はとても巨大です。だけど絶望的な悲しみというわけではなくて、どこかに希望を期待するような明るさも持っています。それはカラフルな色使いのせいかもしれないし、踊るように悲しみを表現する登場人物の姿にユーモラスなものを感じるせいかも知れません。
“前向きな悲しみ”というのは、きっとこういうことを言うのでしょう。僕はこの絵を見ていると、そこに明るい希望を感じて、なんとなくホッとするのです。

これぞ光悦イズム、変てこで魅力的な庭

庭園は、本阿弥光悦のアバンギャルドな名作です。奥の方に枯山水を形成する石組みがあって、手前には奇妙な形の蓮池があります。
石組みはしっかりと組まれた大層なものなのですが、パッと見気づかないくらい奥の方にあるし、蓮池の存在もなんだか唐突な感じがします。
早い話、とっても変てこな庭です。変てこだけど、とっても面白い庭です。謎かけを挑んでいる様でもあり、デタラメを楽しんでいる様でもあり、その不思議な世界観は僕にとって大いに魅力的です。こういう庭園もまた、名庭なんでしょうね。

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