訪問日:2005/07/24
岩倉という土地が大好きです。
僕は、よく洛北を“透明感”という言葉で表現するんだけど、岩倉ほど透明な空気を感じる土地はありません。夏でも爽やかな風が流れていて、おそらくお寺に行かなくても一日中ぐるぐる歩き回っているだけで、充分気持ちいいんじゃないかな。
円通寺をはじめ、妙満寺、蓮華寺、そして実相院・・・岩倉にあるお寺はどこも大寺院ではないけれども、繰り返し訪れてみたくなる魅力的なお寺ばかりです。
僕にとって岩倉は、人に見せたくない内緒の宝箱みたいな場所なんですよ。
実相院には、二つの美しい庭があります。
一つは回遊式の庭園で、おそらく紅葉の頃にはさぞかし鮮やかな紅に染まることと思うのですが、なにしろ僕はこの庭の静けさが大好きなのです。人のあまり訪れない今時分が、この庭の一番美しい時期だと思います。
どこか遠くでセミの声。清々しい。都会で聞くと、耳を覆いたくなるほど煩いのに。
実相院と聞いて、床もみじを思い浮かべる人も多いと思います。ぴかぴかに磨かれた書院の床を、庭のモミジが鮮やかな緑に染め上げていきます。
床もみじを見ていると、モミジだとかそういうことはさておき、純粋に“緑ってきれいな色だな”と思います。いつも見ている緑だけど、なかなかこんな風には思わないものです。
美しい幻想の緑海。一目見たら忘れがたい強い印象を残します。
もう一つの庭は、大きな石が点在する枯山水庭園です。広々としています。庭に置かれた石たちも、のんびりリラックスムードに見えます。
この庭を眺めていると、心の中に空が広がるとでも言うのでしょうか、とても大きな気持ちになれるんですよ。
こういう時、いつもだったら読書ということになるんだけど、眺めていることがあまりに気持ちよかったので、ずっと何にも考えずにぼーっとしてたんですよ。