訪問日:2004/12/30
常照寺には、大変いい思い出があります。今回はその時のお話です。
それは、初めてこのお寺を訪れた時のこと。二年前の大晦日前、十二月三十日のことになります(以来、毎年この日にここを訪れる習慣になっています)。
その時、拝観受付に座ってらっしゃったのは見るからに高齢のご住職でした。僕が拝観を申し出ると、それは嬉しそうな笑顔を見せて「ぜひ書院に上がっていってください」と勧めてくださいました。
書院は“ぴかぴか”という言葉がぴったりの見るからに新しい建物で、なんだかモデルハウスに来たみたいだなぁと思ったことを今でも覚えています。
ご住職がしきりに勧めてくださったので、本堂もそこそこに書院に入ると、机の上にアルバムが数冊置かれていました。
中を開くと、そこにはさまざまな常照寺の風景が収められていました。境内で開かれたお祭や、紅葉が境内を鮮やかに彩る様子。たくさんの人の笑顔をそこに見ることが出来ました。
僕は、なんて美しいお寺なんだろうと思いました。見た目の美しさということではなくて、多くの人に愛されて大切にされているこのお寺を取り巻く環境の美しさに感動したのです。
境内を一巡して再び書院のところへ戻ってくると、どこからともなく掃除機のぶーんという音が聞こえてきました。見ると、書院と本堂をつなぐ渡り廊下を、先ほどのご住職が懸命に掃除機をかけていらっしゃるのです。
僕はこの些細な日常の光景が未だに忘れられません。書院を愛して止まないご住職をとても美しいと思ったし、愛されている書院もまた美しいと思いました。それは、常照寺というお寺の一番美しい部分を切り取って見せてくれた素晴らしい光景だったと思います。
ふと境内を見渡してみると、いろいろな人が年末の慌しさの中で動き回っていました。お寺に挨拶に来る檀家さんたちや、年越しの準備をされているお寺の方、手伝いに来る近隣の方々。。。のん気に観光で訪れていた僕をよそ目に、誰もが生き生きとして見えました。
以来、常照寺の美しさは人だと思っています。僕は、ここに来るといつも“人っていいな”と思える何かに出会える予感がするのです。