勧修寺(京都市山科区)

訪問日:2004/12/04

雨の似合わないお寺

久しぶりの本格的な雨。暗い雲が厚く空を覆っていました。
雨の日に勧修寺を訪れるとは、なんて僕はバカなんだろう。大きな池をめぐる庭園は、青空の下で見てこそ心地よい爽快感が生まれてくるのに。
そんなことを思いながら勧修寺にやってきたものだから、最初から心の中も雨雲に覆い尽くされているようなものでした。

紅葉だって、しょげ返っていた

境内ではまだまだ紅葉が色を誇っていましたが、あいにくの雨です。雨に打たれた紅葉ほど切ないものはありません。ますます今日は来ちゃいけない日だったなぁ、という思いに駆られました。
いつもは青空の下で陽気に鼻歌を歌っているようなお寺なのですが、この日は打って変わって泣き顔を見ているような思いでした。
なんとなく身の置き所がなくなって、次第に不安になってきました。
そんな時、目に飛び込んできたのが本堂でした。僕はなんとなく助けを求めるような気持ちで本堂の中を覗きこんだのです。

神秘的な千手観音

本堂の扉はピッタリと閉ざされていて、中に入ることは出来ませんでした。堂内も真っ暗闇です。
けれども、お堂の中央には仄かな照明によって浮かび上がる神秘的な仏像がいらっしゃいました。ご本尊の千手観音像です。
神秘に触れるとは、こういうことを言うのかもしれません。この仏像を見たとき、まず心の中がすぅーっと空っぽになります。そして、ただただ無心に眺め続けます。形も表情も暗くてよくわからないのですが、不思議な安心をもたらしてくれる仏さまです。
僕はそれまで心の中にかかっていた雨雲が、きれいに霧散するのを感じました。

泣いたカラスが、もう笑った

僕の心は単純です。仏像一つで、陽気になったり陰気になったり。
すっかり明るい気持ちになった僕は、庭園に行ってみることにしました。そうこうしているうちにツアーの団体客もやってきて、急に境内が賑やかなことになってきました。
みんな雨降りだというのに元気です。紅葉の下で写真を撮ったり、大きな池を眺めたりして楽しんでいました。
先ほどまで泣き顔に思えた勧修寺も、いつの間にか笑顔を取り戻しているような気がしました。

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