訪問日:2006/08/06
この日は38℃を超える強烈な真夏日。陽はさんさんと照り、蝉はじいじいと鳴く、うだるように暑い日本の夏です。
僕は無性に建仁寺の龍を見に行きたくなりました。法堂の天井に住んでいる二匹の龍は、紅い炎を身にまとっています。燃える龍なのです。それは、こんな暑い日にはさぞかし見応えがあることだろうなと思いました。
建仁寺には有名な風神雷神もいるのですが、こんな真夏日ではまるで出る幕がありません。そうなると、やはり龍だ。龍を見なければ! そんな逸る気持ちを胸に、賑やかな祇園の花見小路を抜けて、静寂の境内に足を踏み入れたのです。
花見小路は賑やかなのに、ひとつ門を隔てただけの建仁寺はこの日も時を止めたような静けさの中。ただ、じじじと鳴く蝉の声だけが、短い命を力の限り謳わんと境内いっぱいに響き渡っています。
ふと、小ぶりの三門あたりに目を遣ると、門前の池を眺めている親子がいたんですよ。池の中には鯉がたくさん泳いでいて、そうやらその様子を楽しんでいるようでした。
蝉と親子と鯉。絵の中にいるような静寂の境内に、叙情的な夏色の光景があちらこちらに散らばっています。
方丈の前庭が昔から大好きでした。シンプルなだけに何時間でも見ていられるし、人も少なく音もなく、とても落ち着いた雰囲気がひたすら心地よいのです。
縁側に腰掛けていると、前庭越しに三門の屋根がよく見えます。いつも、鳥がたくさん止まっています。人は少ないお寺だけど、三門の屋根は鳥で繁盛しているようです。
鳥たちも交わす会話は、やはり「暑いねえ」なのでしょうか。何もそんな直射日光の降り注ぐようなところに集まらなくてもいいのになぁ、と思います。
さて、最後に法堂の龍。けんかしているのかじゃれあってるのか、二匹の龍が複雑に絡み合って迫力満点です。
そして炎。“紅蓮の”というよりは、ほんのり薄化粧のような紅をさした炎が二匹の龍の周囲を踊るようにまとわりつき、鼓舞します。炎のおかげで、この龍たちは激しいダンスを踊っているようにも見えます。
暑い日にカレーを食べる気持ちよさってありますよね。この龍を見ていると、まさにそんな感じ。二匹の龍が発散する熱が外の暑さにシンクロして、なんだか絶妙な心地よさがあったんですよ。
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