龍源院<大徳寺塔頭>(京都市北区)

訪問日:2005/04/24

いろんな庭が現れる

今回は庭のお話しか出てきませんよ。龍源院はよりどりみどりの庭づくし。大きい庭、小さい庭。いろんな庭があらゆるところに顔を出します。
僕がこれらの庭を好きなのは、まったく同じタイプの庭が一つしてないところです。それぞれがまったくベクトルの違う強い個性を持っていて、しかもどれもが魅力的。おそらく、それぞれの庭に根強いファンがたくさんついているんだろうな、と思います。

さて、僕はどの庭のファンになろうかな。

砂が目を輝かせている

昔から大好きだったのが、方丈南庭の一枝坦(いっしだん)です。
広々としてて爽やか。見た目にもとってもわかりやすい、元気いっぱいの若々しい庭園です。
雲ひとつない快晴の下、明るい陽光に照らされて、白砂がきらきらと目を輝かせているのがはっきりとわかります。たぶん100年後200年後、そして1000年後にここを訪れた人も、僕が見たのと同じ輝きをこの砂に見出すんじゃないかな。それって、とても凄いことだと思いませんか?
いつまで経っても前向きなエネルギーを失わない庭。それが一枝坦です。

紳士現る

方丈の北側に回ると打って変わって、龍吟庭というシブい庭が現れます。
僕はこの庭を見るにつけ、ロマンスグレーの初老の紳士を思います。落ち着き払って静かに微笑んでいる、そんなイメージの庭なんです。
一枝坦の白砂に対して、龍吟庭は庭一面を杉苔が覆っています。それも緑一色じゃなくて、どちらかというと赤茶けた部分の方が多くて、これが大変シブい味わいを醸しだしています。石も塀に寄り添うようにおとなしく並んでいたりして、輪をかけてシブい。つくづく大人の庭だなぁと思います。
だけど、ここには暗さや寂しさといったものがまったくありません。こちらの庭も明るい陽に照らされて生き生きと輝いています。大人の庭だって負けていないのです。

日本一小さな石庭

さて、最後に登場するのは有名な坪庭・東滴壺(とうてきこ)です。
この庭はずるい。可愛らしすぎるのです。
なにしろ日本一小さい石庭として知られています。その大きさ実に四坪。赤ちゃんみたいな庭なのです。
たぶん東滴壺に一枝坦の広々とした世界を見せてあげたら、腰をぬかすんじゃないかな。「ひぃ〜〜〜ん。こんなちっぽけな僕が"庭"を名乗ってもいいの?」なんて泣きながら言い出すかもしれません。
けど、いいんですよ。さまざまな個性が、庭の世界を面白くする。龍源院に来ると、そのことがよくわかります。一枝坦、東滴壺、龍吟庭。作る側だって見る側だって、あの手この手で楽しんでしまう。それが庭なんですよね。

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