西明寺(京都市右京区)

訪問日:2005/07/10

可憐なる名刹

高山寺と神護寺という京都を代表する名刹に挟まれた西明寺。どことなく谷間に咲く小さな花を思わせるところがあります。
取り立てて何があるというわけではないのだけれど、このお寺を愛する人はきっと多いはずです。一言で言うと、とっても可憐なんですよ。建物も仏像も小ぢんまりとしていて控え目で、清楚で慎ましやか。何もかもが一歩引いたところから物を見ているようなお寺なのです。

小さなご本尊、大きな存在感

本堂のご本尊は、小ぶりのお釈迦さまです。ご本尊がささやかだからお寺がささやかなのか、お寺がささやかだからご本尊がささやかなのか。どっちがどっちだかわからないけれど、静厳な立ち姿が印象的なこのご本尊は、西明寺というお寺の優しい雰囲気を見事に体現しています。

ご本尊の前に座って、時を止めてしまったかのような静寂の中に身をゆだねました。どこからかチチという鳥の鳴き声が聞こえてきます。美しい時間を過ごしているなぁ、と思いました。

寺宝は空間の優しさ

本堂には他にも印象的な二体の仏さまがいらっしゃいます。
母親のように温かい表情の千手観音、恐ろしげな表情がなぜか柔和に見える不思議な愛染明王像、どちらも西明寺の優しい空間にふさわしい魅惑の仏像です。
人の優しさとは違う、空間の優しさ。先ほど“取り立てて何があるわけではない”と書いたけれども、西明寺の優しさは他のお寺ではなかなか得がたい貴重な寺宝だと僕は思うのです。

夏に効く清涼感

この日は蒸し暑い一日でした。先に訪れた神護寺では汗だくで歩き回っていたのですが、不思議と西明寺ではほとんど暑さを感じることもなく、ずっと過ごしやすい時間の中にいました。
心に涼風。きっと、そういうことなんだろう。
今年も暑い夏になりそうですが、なんだか乗り切れそうな気がしてきました。

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