訪問日:2005/04/10
昔、アルファベットのUの形をしたU字磁石というものがあったんだけど、石峰寺の山門を見て真っ先にそのU字磁石を思い出しました。子供の頃、よくこのU字磁石を砂につけて砂鉄を取って遊んでいたものです。
まるでその時の砂鉄のように、この大きなU字磁石の磁力に引きつけられて、つつつと中に吸い込まれていきました。ユーモラスな形をした門です。絶対に中では楽しそうなことがありそうだと思いました。
薄暗い竹やぶに護られるようにして、その愉快な石仏たちは思い思いの場所に散らばって立っていました。石峰寺の五百羅漢。さまざまな表情で訪れる人を楽しませてくれる、洛南のユーモリストたちです。
笑った顔や泣いた顔、怒った顔や困った顔。ここにあるのは、感情の展覧会です。
ほら、人生雨のち晴れの泣き笑いって言うじゃないですか。この石仏たちを見ていると、なんだか人生の縮図を見せられているような気持ちになってくるんですよ。
それにしても。
目に見えるものはこんなに賑やかなのに、耳から聞こえてくるものは何もありません。強いて言えば、風にそよそよと揺れる竹の葉の音。
なんだか、この楽しい世界を誰にも知られずにこっそりと自分たちだけで楽しみたいと思っているような気がしました。誰にも邪魔されることなく、昔から彼らだけで築いてきた世界だもの。そこに僕の入る余地はまったくありません。
ちょっとうらやましいぞ、君たち。
最初に磁石の話をしたんだけど、人の心の中にも特別な磁石があって、磁力の強い人、弱い人、さまざまな心の磁石が引き寄せあったり反発しあったりして仲間というものができでいくものだと思います。
ここにいる石仏たちは誰もが強い磁石の持ち主ばかり。遠い昔から、強い絆で結ばれたものたちばかりです。
顔はどれも笑かしてくれる者ばかりですけど、なんだかカッコいいやつらだなって思います。