下鴨神社(京都市左京区)

訪問日:2005/10/16

洛中にトリコロール

下鴨神社の楼門には、晴天がとてもよく似合います。楼門の朱と空の青、さらにはゆったりと流れる白い雲。この赤、青、白の明るい三色が織り成すコントラストが爽やかであり、また美しい。いつ見ても素晴らしいトリコロールだな、と思います。
色彩の妙も然ることながら、この楼門の堂々とした佇まいも見逃せません。自信が漲っていて、揺らぐことがない。安定感も抜群で、威厳も感じられます。
色よし、形よしの名建築。いつも長い間見惚れてしまって、なかなか中に入ることができません。京都きっての、魅惑のエントランスです。

神秘の五人兄弟

楼門をくぐると、そこには舞殿やら細殿やら、名前も形もよく似た建物が五つ、ズラッと横並びに建っています。風格のある洒落た建物が勢揃いしているこの光景は、実際なかなかの壮観です。
この五人兄弟、よく見ると少しずつ形が違っていて、舞殿は舞を奉納する場所、細殿は歌会や茶会を催す場所など、それぞれの役割もきちんと決まっています。役割は違えども、どの建物も神さまとコミュニケーションを取る大切な場所。神秘的なその佇まいを見るにつけ、どの建物も“神さまはここにいるよ”と教えてくれているような気がするのです。

台所で本を読む

拝殿を脇に逸れてしばらく行くと、大炊殿(おおいどの)という建物があります。下鴨神社の台所のようなところで、中には大きな釜、しゃもじなどの調理器具や神事に使う道具などが展示されています。
ここだけ拝観料がいるせいでしょうか、あまり人がやってきません。その静けさを利用して、僕は縁側に腰掛けじっくりと読書を楽しみます。読書といっても、読むともなく本をパラパラとめくっているだけなんですけどね。
目の前にある葵の庭という小さな庭を眺めていたら、拝観の受付をしていたおじさんが、五月頃に来ればとてもきれいな庭になってるよ、と教えてくれました。おじさんは、いろいろとこの庭のことを教えてくれたんだけど、ごめんおじさん、全部忘れてしまったよ。
だって、どこからか聞こえていた笙の音がとても気持ちよくて、ずっと聞き惚れていたんだもの。

笑顔また笑顔

楼門を入ったところで、記念撮影をしている家族がいました。真ん中に杖を持ったおばあさんが座って、お孫さんらしい赤ちゃんを優しく抱いていらっしゃいました。
楼門附近では、ほとんど途切れることなく記念撮影が行われているような気がします。団体さんもいれば、恋人同士もいます。みんな笑顔。
きっと、こんな幸せの姿をこの楼門はたくさん見てきたのでしょうね。だから、いつもこんな明るい姿で建っていられるのかもしれないなぁ、なんてふと思ったりしました。

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