訪問日:2005/10/30
勝林院の門前に立つと、真正面にどーんと待ち構えているでっかい本堂。自信漲る力強い佇まいは、さあ、どっからでもかかってこい、いつでも相手になってやるぞと言わんばかり。まさに威風堂々という言葉がぴったりです。
造りはいたって素朴でシンプル。細かいことは気にしない。その大らかさは、大原ののんびりとした空気にとてもよく似合っています。
はじめて見たときからずっと大好きだったお堂です。いつ見ても、その威容に圧倒され、また元気づけられるのです。
遠目に望む本堂も見応え充分ですが、近くで見る本堂もまた素晴らしいのです。
木組の美しさだとか欄間彫刻の見事さだとか、そういったことももちろんあるのだけれど、奇を衒わない素朴な造りだからこそ伝わってくる木の優しさや温かみ、何よりもこれが僕には嬉しいのです。木の持っていた生命が、ちゃんとそのままお堂の生命になっていることがわかるんですよ。
勝林院はもともと大原の中でも特に静かなお寺なのですが、本堂の中に入るといよいよ辺りは静寂に包まれます。しーんと静まり返ったお堂の真ん中に、少し厳しいお顔をされた大きな阿弥陀さま。真正面に座って、じっとそのお顔を見つめます。心がギュッと引き締まる瞬間です。
振り返ると、今入ってきた入り口の障子の間から、明るい緑に覆われた勝林院の庭が見えます。僕はこの場所から眺める庭園がことのほか大好きなのです。
それは、阿弥陀さまが毎日目にしている美しい光景。というよりも、この仏さまの美しい心象が、そのまま庭に息づいていると言うべきかもしれません。
お堂を出て、そのまま縁側に座って、ぼんやりと広々とした境内を眺めていました。入り口からカメラを構えて、こちらを撮影している人の姿が見えます。秋の大原は、なんとなく暖かい。少し目を閉じると、眠りが一目散にやってくる。
あまりの心地よさに、この後行こうと思っていたお寺を一つキャンセルして、そのまま縁側に座り続けました。何もしない時間。でも、それはとても有意義な時間でした。