訪問日:2004/12/19
僕にとって東福寺と言えば、名高い通天橋でも国宝の三門でもありません。
“東福寺と言えば、重森三玲”、これです。
方丈を織り成すモダンな四つの庭。現代美術として語られることの多いこれらの独創的な庭を作り上げたのが、重森三玲その人なのです。
最初にこれを見たとき、“歴史あるお寺の庭で、こんなに楽しく遊んだ人がいるんだ!”と強く感動したものです。そう、彼の庭はいつも遊びに満ち溢れています。
以来、僕にとって重森三玲は歴史上最高の作庭家なのです。
上で書いたように、重森の世界の核を為すのは“遊び”です。だから、無心に眺めるなんてもったいない。見る方も遊び心を持って見るべきだと思います。
時として幾何学模様だったり、奇妙キテレツな形の巨岩が立ち並んでいたり、どの庭も見る人の想像を強く刺激してくれるものばかりです。
何しろとても自由に作られた庭です。だから、これらの庭は重森三玲が鼻歌交じりに作り上げた美しいラクガキだと思うんですよ。
方丈が現代芸術の粋を極めたものだとすれば、三門は伝統芸術の頂に立ったものと言えるかもしれません。
遠目には要塞のごとき怒涛の迫力、近くからは綿密に組み込まれた美麗な木組み。僕は数ある京都の三門の中において、東福寺のものほど非の打ち所のないものはないと思います。完璧すぎて憎たらしいくらいです。
この三門を眺めていると、作り上げた人々の誇りを強く感じます。言わば、当時最高の技術を持つエンジニアが結集して作った、技術の宝石だと思うのです。
三門、方丈、通天橋と順次見ていった場合、最後にダメ押しのように登場するのが開山堂です。僕は、開山堂の静けさがとても大好きです。
時折団体の人たちがやってきて、おしゃべりに花を咲かせていることがあるのだけれども、そういう時でもここは不思議な静けさに包まれているような気がします。
だから、僕はいつものようにここで本を読んでいたのです。気がつけば、いつの間にかすぐ隣に外国の人が座っていて、こちらもまた本を開いていました。