訪問日:2006/04/03
元興寺の境内に入ると、いたるところで桜がきれいな花を咲かせていました。
は・る・で・す・よー
桜が、元気いっぱいに春を宣言しているのです。今年の春は、なんだか一気にやってきたような気がします。出し惜しみなんて、もったいないと言わんばかりに。
華やかな色を境内いっぱいに振りまく桜の花を眺めていると、春が喜びの季節だということが手に取るようにわかるのです。
なにしろ、うららかな一日です。極楽坊と呼ばれる本堂の中で、のんびり腰を下ろしていると、次々とあくびが出てきます。出来れば猫にでもなって、縁側で一眠りしたいところです。
厨子の中には、ご本尊の智光曼荼羅がかけられています。小さくて細部までは見辛いのですが、裏へ回ると大きな複製が飾られています。阿弥陀さまを真ん中にして、たくさんの仏さまが囲む極楽浄土。隅々にまで幸せが行き届いた美しい世界です。
この幸せいっぱいの世界を眺めていたら、また大きなあくびが一つ出てきました。
本堂の屋根を遠くから見ていると、どれも同じ灰色の瓦が使われているように見えるのだけれど、近くまで寄って目を凝らしてみると、瓦によっていろんな色の服を着ていることがわかります。
大きく分けて、濃い灰色と薄い灰色、そして赤茶けた瓦の三種類。赤茶けた瓦は一見仲間はずれの変わり者のように見えますが、実はこの瓦こそが元興寺で最も古いものだそうです。僕には、還暦を過ぎて赤いちゃんちゃんこを嬉しそうに羽織っているおじいちゃんたちのように見えます。
新旧さまざまな瓦で作る元興寺の屋根。これだけ見ても、このお寺の織り成してきた歴史の重みが感じられます。
宝物館には国宝の五重小塔があるのだけれど、これは二階の手すりにもたれかかって眺めるのが大好きです。ちょうど塔のてっぺんが顔の位置に来るようになります。なんだか、フェイス・トゥ・フェイスで一層親しみが湧いてきます。
思いのほかたくさんの仏さまさが見守るこの宝物館の中で、この五重小塔は紛れもない主役です。小さな塔ですが、細部は丁寧に作られ、全体を見れば力強く、いかにも堂々と自信たっぷりに建っています。
見てるだけで元気が出てくる、大好きな塔です。
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