訪問日:2005/11/06
般若寺の境内にずらっと居並ぶ石仏たち。とても落ち着いています。周りで乱舞するももいろの花たち。とてもはしゃいでいます。
この対称的な二つの存在が、なんと美しい風景を作り出していることか! コスモスも外来の花ならば仏教も外来の宗教です。だけど、そこにあるのは、まごうことなき日本の原風景。日本の美しい秋を象徴する、素晴らしい光景です。
この日はあいにくの雨でしたが、雨に濡れたコスモスの花は一層の色を増し、境内は華やかな色に染まっているのでした。
本堂の縁に座って眺める般若寺の境内は、僕の最も好きな風景の一つです。
般若寺の境内って、思いのほか閑散としています。十三重石塔だとか楼門だとか大きな建造物が、疎らにぽつーんと建っています。
けど、あんまり寂しくない。それを寂しいと言うなら、心地よい寂しさと言うべきでしょう。石塔も楼門も寂しげに見えながら、広々とした空間の海で、深い深い呼吸をするようなくつろぎの中に佇んでいるように僕の目には映るのです。
本堂の中には、ご本尊の文殊菩薩像がいらっしゃいます。まるで子供みたいな無垢でかわいらしい仏さま。勇ましい獅子の上に、ちょこんと乗っかっています。ただ、利かん気の強そうなきりっとしたお顔には、堅固な意志が滲み出ています。
この仏さまには、境内で風に揺れるコスモスたちの姿が見えているだろうか。もしまだならば、一度見せてあげたいと思います。この美しいコスモスの海を見たら、きっと目を輝かせて笑顔満開になることでしょう。それは、きっと子供らしい純粋な笑顔に違いないのです。
この日は、たまたま特別寺宝展が開かれていました。気をつけていないと通り過ぎてしまいそうな目立たない宝蔵堂に、寺宝の数々が展示されていました。
メインとなるのは、十三重石塔の中に納入されていたという小さな仏像群です。人形のように小さな仏さまが、たくさん並べて置かれていました
小さな仏さまでも、たくさん並んでいると異様な迫力があります。ずっと石塔の中に眠り続けていた仏さまたち。その静けさの中で、時と共に神秘の衣を纏い続けてきたのでしょう。僕はずっとその不思議なオーラを発している仏さまたちを、神妙な顔つきで眺めていたんですよ。