訪問日:2004/12/11
法輪寺は比較的小さなお寺なのですが、ここに来るといつも長い時間を過ごすことになります。講堂の傍らに読書に適したベンチが置いてあるからです。
この日も僕はベンチに座って、手持ちの文庫本を長々と読んでいました。人もさほど訪れず、物音一つしない法輪寺の境内は、集中して本を読むのに打ってつけの場所です。気づかぬうちに時間が超特急で過ぎていきます。
ふと時計を見ると、すでに夕刻近く。そのとき、まだ講堂の中の仏像群を見ていないことに気がつきました。
慌てて本を閉じました。
講堂の中は宝物館のようになっていて、中央には七体の仏さまがずらっと横並びになっています。
作られた時代もばらばら、大きさもばらばらで、座っている仏像もあれば立っている仏像もあります。
種類もばらばらです。毘沙門天もいれば薬師如来もいます。十一面観音に吉祥天、お地蔵さま。。。如来、菩薩、天、なんでもありのオールカマーです。
そう、見事なまでの不協和音。一見、これらの仏像たちは何の関連性もなくここに集められているような気がします。
ところが、やはり長年同じ場所に集まっていると次第に息が合うということなのでしょうか、仏像たちの前に立つと、不思議に調和が保たれていることに気がつきます。
一見ばらばらなように見えても、素朴な表情や柔和な佇まいなど、醸し出す雰囲気に共通したものが見受けられます。外見ではなく、内面から滲み出てくるもので調和を保っているということが言えるのかもしれません。
ここで僕は思い出すのです。聖徳太子の残した有名な言葉、“和をもって貴しとなす”を。
ここは斑鳩の地。なるほど、そういうことなのか、と僕はうなずくのです。
法輪寺を出ると、後は法隆寺のバス停を目指して歩くのみです。
途中、振り返ると法輪寺の五重塔が遠くに見えます。もう少し歩くと、今度は法起寺の塔がもっと遠くに見えます。やがて、法隆寺の五重塔も見えてきます。
三つの名塔を眺めながらのんびりと歩く斑鳩の道。ここは、寺社巡りを始めて僕が一番最初に好きになった道です。