訪問日:2005/04/03
大和路に佇む永遠のバイプレイヤー・海龍王寺。僕は、ひっそりと身を隠すように佇むこのお寺が大好きです。
もっとも初めてこのお寺を訪れた時、人目を忍ぶような門前の様子を見て、このまま引き返そうかなと思ったことをよく覚えています。人を寄せつけないお寺だなと思いました。けれど一旦門をくぐると、そこはささやかだけれど清楚で美しい境内が広がっています。何度も足を運ぶうちにじわじわと魅力が心に染み渡る、そんなお寺なのです。
そう、海龍王寺って人見知りだけど、仲良くなったら永遠の親友になれるような、そんな存在なんですよ。
海龍王寺のご本尊は、十一面観音像です。普段は秘仏として厨子の扉は固く閉ざされているのですが、この日は特別公開の期間中で、そのお姿を見ることが出来ました。
近年まで秘仏としてまったく人目に触れなかった仏さまだったせいもあるのか、全身に施された色がきれいに残っています。
長い間、暗い厨子の中で待って待って待ち続けた仏さまです。鮮やかな彩色で輝くその立ち姿は、たくさんの人に見てもらう喜びに満ち溢れています。
海龍王寺には、十一面観音像と並ぶ寺宝がもう一つあります。西金堂の中にぽつんと佇む国宝の五重小塔です。
お堂の中は、この五重小塔の他には本当になんにもなくてがらーんとしています。五重小塔は「寂しくなんかないや!」とばかりにお堂の中心に力強く立っているわけですが、いつ見てもその佇まいは寂しげで、まさに孤高の塔を強く印象付けるものになっています。
けど、それは孤独にじっと耐えるというよりも、孤独を強く生き抜いているという感じなんです。それくらい、この五重小塔は力強い塔なのです。
この日の境内は、ユキヤナギが満開でした。
風に吹かれた白い尾っぽが何本もゆらゆらと揺れて、とてもきれいでしたよ。まるで、春が元気に手を振って、今年もやってきたよと挨拶しているみたいでした。
清楚なお寺に清楚な花の彩。それは、とても慎ましやかな世界でしたが、心の底からほのぼのと温かい気持ちになれる素晴らしい光景でした。