訪問日:2005/07/18
もともとこの日は、まる一日を東大寺で過ごすつもりでいました。だけど、朝から続くうだるような暑さ。文字通りの炎天下。
奈良公園をてくてくと歩きながら考えました。確かに東大寺は楽しいだろう。一日どころか一週間ずっといたって絶対に飽きないに違いない。
けど、この暑さは一日たりとも耐えられそうもない!
そんな時、目に入ったのが奈良国立博物館。これだ! と思いましたね。
冷房のガンガン効いた室内で、最高の仏教美術を堪能する。そう考えただけで、ふらふら〜と身体が博物館に引き寄せられていきました。
結局、東大寺はほんの少しだけ。一日の大部分を涼しい館内でやり過ごしたのです。
言うまでもなく、奈良国立博物館は日本の仏教美術の最高峰が集結する場所です。
館内には、ところ狭しと目を奪われるような見事な仏像が並んでいます。きっと、人それぞれに思い入れのある仏像があることだろうと思うのですが、僕のフェイバリットは昔から決まっています。元興寺に伝わるという薬師如来立像です。
ことに向かって右斜め前から見たときの、どっしりとした重厚な存在感。
悟りきったような、ちょっと厳しいお顔。
そのくせ、とってもかわいらしい赤ちゃんみたいな右の手のひらをこちらに向けて立てています。ここがミソ。
昔からお気に入りの仏さま。会うたびに、とても嬉しい気持ちになってきます。
本館と新館を結ぶ地下通路。文化財の修復の様子をパネル展示していたり、仏像の様式解説などの展示があって、隠れた見どころとなっています。
仏画の修復前と修復後の写真比較だとか、仏像のX線写真だとか、普段見ることのできないものをふんだんに見せてくれるから、とっても楽しいんですね。思いのほかじっくりと見てしまいます。
それにしても、いつもここで造像技法の解説をじっくり読んでるはずなのに、いつまで経っても“脱活乾漆造”や“木心乾漆造”がどんな作り方なのかがさっぱり覚えられない!
博物館を出ると、むっとした初夏の蒸し暑さがたちまち襲ってきました。あわてて新館の入り口附近まで戻って、しばらく涼みました。
手持ちの文庫本を読むともなく眺めます。吉本ばなな『キッチン』。気がつけば、物語の面白さにすっかり引き込まれてしまい、一気に最後まで読んでしまいました。
時計を見ると、もう3時過ぎ。さ、ちょっとだけ東大寺に行ってみよ。
それで、猛暑というか酷暑の夏を抜けて、ちょっとだけ戒壇院に寄ってみたんですよ。