訪問日:2006/05/07
“奥の院”というと室生寺みたいに、長い長い階段を上がったり山道を登ったりして、ようやくのことでたどり着くようなイメージがありますが、當麻寺の奥院は階段もなければ山道もない。有名な国宝の本堂のすぐ真裏に、もうその姿が見えています。“ぼたん園”なんて書かれた虹色のアーチがかかっていたりなんかして、なんだか楽しそうです。
そう、當麻寺の奥院ってとっても楽しいお寺なんですよ。おまけにこの日は境内のいたるところでぼたん花が色を競っていて、とても賑やかでした。
ゴールデンウィークの最終日。とってもいい〆の一日になりました。
當麻寺奥院に来ると、なんといっても大きな大きな浄土庭園に目を奪われます。広々とした池をめぐり、石や花や木が賑やかに集う“静物のオアシス”です。今、静物のオアシスと書きましたが、よく耳をすませてみると、どこからか“ぐゎあぐゎあ”とカエルの声が聞こえてきます。声のするあたりを懸命に目を凝らして捜したのだけれど、姿はどこにも見えません。でも、とっても楽しい。
庭園の一番高いところには、大きな阿弥陀さまがどっしりと座っていらっしゃいます。なるほど、この庭を見ていれば極楽浄土がどれほど楽しく素晴らしい場所かということが手に取るようにわかります。
普段花に興味なんて示さない僕が、たまに花の写真を撮ってきたりすると、家族にちょっと珍しがられたりします。でも、これだけ美しいぼたんがたくさん咲いていると、やっぱりカメラを向けてしまいます。境内のいたるところで大輪の花を咲かせたぼたんが“撮って撮って!”とせがんでくるような気持ちがするんですよ。
ぼたんのファッションショーだなって思いました。いろんな色に染まった花を自慢げにこちらに向けて、“どう、私が一番でしょ?”なんて顔してる。こういうとき、僕はとても困ってしまいます。“みんな一番”なんてお茶を濁したら、彼女たちは納得してくれるだろうか?
奥院には、立派な宝物館があります。国宝の蒔絵の経箱なんて大変美しいものもあるのですが、圧巻はなんといってもでっかいガラスケースに入った當麻曼荼羅です。なにしろ、僕は當麻曼荼羅のハッピーワールドが大好きです。大きな阿弥陀さまを真ん中に、いろんな仏さまが集まって賑やかな世界を織り成しています。昔、この世界を“仏さまのピクニック”と書いたことがあったけれど、いつ見てもホントそうだなと思います。お弁当広げて、みんなで楽しく歌でも唄ってそうです。
本堂にも同じ曼荼羅があるのだけど、暗い堂内に網目越しで少し見づらい。一方、奥院では明るい照明でガラスケースに入ってる分、細部までしっかりと見ることが出来ます。じっと見てると、この絵の中に入って、一緒にピクニックを楽しみたい気持ちになってきます。