西大寺2(奈良県奈良市)

訪問日:2006/07/30

体育館のようにひろびろ

いつもならば近鉄の西大寺駅を降りてすぐのところにある西門からお寺に入るのだけど、この日は気分を変えて正門の南門までぐるっと回ってお邪魔してみました。門をくぐると、間に哀愁の東塔跡を挟んで、向こうに大らかな本堂の姿が見えます。この日は、最初に本堂に上がらせていただきました。
堂内は天井が高くて、広々としています。僕はいつもお堂の一番隅っこに陣取って、このお堂の広さを心行くまで堪能します。板張りの床、高い天井、なんだか学校の体育館みたい。ここでバレーボールとかしたら楽しいだろな。バスケとかしたら楽しいだろな。
仏さまに怒られるかな。それとも、一緒になって楽しんでくれるかな。

真ん中にぽつん

境内のちょうど真ん中に、ぽつんと佇む東塔跡。西大寺に来ると、どんなに心地よい風の吹く晴れた日でも、そこに一抹の寂しさを覚えるのは、もしかするとこの塔跡のせいなのかもしれません。
かつてはきっと立派な塔を支えていただろう、大きな大きな基壇です。でも今は全てが夢の跡。かつての大寺の栄華を懐かしんでいるのでしょうか、それとも今の庶民的でのどかな境内を穏やかな凪のような気持ちで眺めているのでしょうか。境内の真ん中にひとり座って、いつも物思いに耽っています。

隅から隅まで愛情がいっぱい

大好きな愛染堂。名前の通り堂内には、小さな愛染明王がたくさんいらっしゃいます。
このお堂の左側に行くと叡尊というお坊さんの像が置かれています。昔からこの像が大好きでした。お坊さんが80歳の誕生日に、お弟子さんたちが集い、感謝の意を込めて造ったという微笑ましいエピソードが何よりも素晴らしいなと思います。この像には、いっぱいの愛情が詰まっています。長く垂れ下がった眉毛が特徴的な、ちょっと愉快なお顔をされたお坊さんです。でも、その表情はたくさんの愛情に包まれて、とっても幸せそうに見えます。

先輩は四天王の足元

四王堂には、お堂のてっぺんまで頭が届きそうな、大きな大きな十一面観音さまがいらっしゃいます。そしてこの観音さまに何かあっては一大事と、目を光らせて警護しているのが、周囲に立っている四天王です。しかし、このお堂で一番古くからいるのは、十一面観音でも四天王でもなく、なんと四天王に踏まれている邪鬼だといいます。確かによく見ると、この塑像の鬼たちは他の仏像隊に比べても随分古そうなのです。
このエピソードを知ってから、僕はすっかりこの邪鬼が大好きになりました。その表情も苦渋に満ちているわけではなく、どこかユーモラスでちょっと楽しげでもあります。でも一番の先輩なんだから、もっと偉そうにしててもいいんじゃないのと思います。

・西大寺(2005/05/22)

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