聖林寺(奈良県桜井市)

訪問日:2006/07/09

対称的な二人

聖林寺には、二人の主役がいらっしゃいます。ご本尊のお地蔵さまと、国宝の十一面観音菩薩。
お地蔵さまは、有名な国宝の仏さまが同じ境内にいらっしゃることを知っているのかな。逆に十一面観音さまは、ユーモラスなお地蔵さまがいらっしゃることを知っているのかな。二人とも離れた場所にいらっしゃるので、互いに顔を合わせることはありません。
見事に対称的な美しさを持つ、二人の主役。どちらも甲乙つけがたい、大好きな仏さまです。

でっかい石のお地蔵さま

お地蔵さまは、小さな本堂の中にどんと座っている大きな大きな石の仏さまです。はじめて見た人はきっとビックリすることでしょう。そして、なんて面白い仏さまだと思うんじゃないでしょうか。まんまるのお顔に、とってもユーモラスな目鼻立ち、そのくせまじめな表情をしていらっしゃるもんだから、余計に面白いなぁと思います。
でも、この仏さまのお顔を真横から見てみると、意外や意外、突然ハッとするような美しさを見せてくれます。凛とした気品のある雰囲気、意志の強そうな表情、僕はこのことを発見したとき、この仏さまの真髄を見た気がしました。
他にはない独自の個性を持った、美しい仏さまです。

究極の美を堪能できる

おそらく日本でもっとも有名な仏さまの一人であろう、聖林寺の十一面観音像。ショーウインドウのようにきれいにライトアップされたガラスケースの中で、重厚な存在感を持って立っていらっしゃいます。凄いことはあらかじめわかっているのだけれど、やっぱり何度見てもため息が出そうになります。
厳しいお顔、抜群のプロポーション、しなやかに優しい指先。どこに目を向けても隙のない完璧な仏さま。なにも物言わないけれど、その存在に諭される、そんな仏さまです。
僕は絨毯敷きの床に腰を下ろして、じっくりとこの仏さまを眺めます。日本の生み出した究極の美と精神に触れることの出来る幸せ。最高のひと時です。

門前からの風景も素晴らしい

聖林寺の山門の前から、三輪山を中心とした美しい桜井の風景を望むことが出来ます。いつも、最後にこの眺めを思いっきり楽しみます。神秘の十一面観音に釘づけになった後だけに、一際大きな解放感に浸ることが出来ます。
お地蔵さまの優しさと十一面観音の厳しさと、そしてそれぞれの仏さまの個性的な美しさが、そのままこの広々とした晴れやかな光景に映し出されているような気がします。

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