正暦寺(奈良県奈良市)

訪問日:2005/11/14

紅葉にはまだ早かった

バスを降りた途端、ひんやりとした冷気が身体を包み込みました。ついこないだ秋が来たばかりだと思っていたのに、気の早い日本列島はもう冬支度をはじめているようです。
けど、正暦寺の紅葉は至ってのんびりムード。紅葉しているのは、3割弱といったところだったでしょうか。冬の足音などどこ吹く風。まだまだ緑の衣装を纏っている方がお気に入りのようです。
ただ、本堂の横に一本の真っ赤に染まった楓が立っていて、それがとても印象に残りました。鮮やかで生き生きとして、まるで炎の大蛇となって本堂に包み込まんという勢い。赤色に宿る強靭な力を見たような気がしました。
一人気を吐いていた楓の木。案外、これだけで今年の紅葉は満喫できたかもしれません。

くつろぎのご本尊

本堂は、境内の広々とした高台にぽつぅんと建っていました。こんなに広いんだから、もっと真ん中に立ちなよと思うんだけど、隅っこにちょこんと建ってる。奥ゆかしいんです。
中では、ご本尊の薬師如来像が公開されていました。普段は秘仏なんです。
椅子に腰掛けて、やあご苦労とばかりに軽く右手を挙げていらっしゃいます。なんだか、ご隠居さんみたいだなと思いました。とってもリラックスした仏さまです。
堂内に流れる案内のテープも、くつろいだ語り口でとてもいい気分。なんだか、身体がふにゃ〜と溶けてしまいそうな、くつろぎの本堂なのです。

心がぽかぽか温まる

さて、正暦寺には大変立派な客殿があります。名前を福寿院といいます。
この日は、団体客の方々と鉢合わせ。庭を眺めるグループ、室内においてあるアルバムを眺めるグループ、全く関係ない世間話に興じるグループなどなど、“福寿院狂騒曲”とでも言いたくなるような賑やかなことになっているのでした。
けど、そんな賑やかさがよく似合う場所です。目の前には、木や石をふんだんに取り込んだ楽しくも美しい庭。四方から差し込んでくる明るい日差し。ね、世界はこんなに楽しいんだよと教えてくれているような、そんな空間なんです。
どうやら、ご本尊のあのくつろぎのムードは境内の隅々にまで行き渡っているようです。

颯爽と三毛猫登場

団体のみなさんが出て行くと、辺りは一気にシーンとなってしまいました。ここからは、お馴染みの読書タイム。今日持ってきたのは、仕事で使う技術専門書です。
こんなのどかな場所で専門書を読んでいると、面白いように頭に入ります。けど、そこは専門書、そうそう長時間読み続けるということが出来るものでもありません。
ふと、顔を上げると一匹の三毛猫と目が合いました。いつの間にか庭に入り込んできたようです。
ネコはしばらく庭の中をうろついていましたが、そのうちどこかへ行ってしまいました。このくつろぎの空間を楽しみたいのは、なにも人間だけではないのかもしれませんね。

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