訪問日:2005/07/18
夏です。夏真っ盛り。
思えばここ数年、いつも夏の暑い盛りには東大寺を訪れているような気がします。やっぱり、このお寺には熱気がとても似合います。
南大門に向かうお土産やさんが並ぶ参道。いつものようにたくさんの人、たくさんのシカ。東大寺って毎日がお祭なんだな、と思います。
二月堂、三月堂、そして大仏殿。今日はどこへ向かおうか。
結局、この日は戒壇院に行くことにしました。ご存知、日本一有名な四天王が四方を護る神秘の館です。
戒壇院の辺りまで来ると、途端に人がいなくなります。この静けさが、まず戒壇院の魅力です。
戒壇院へ向かう途中、芝生の木陰でシカたちがのんびりと休んでました。その様子はまさに談笑といった風で、のどかな昼下がりにお似合いの光景だな、と思いました。
戒壇院といえばもちろん四天王ということになるのだけれども、主役はあくまでも堂内中央にどーんとそびえ立つ多宝塔だと思っています。これは、相当凄い。
天井いっぱいいっぱいに伸ばした背丈、優雅に広がる屋根。迫力満点のその偉容に、僕はただただぼーっと見とれてしまいます。静寂に佇む小堂の中に、こんな壮大な世界が広がっているなんて、なんだかとても不思議な気がします。小箱の中にナイアガラの滝。なんだか、そんな印象なのです。
静かな戒壇院の静かな四天王。迫力がどーんと押し寄せてくるというよりも、内面の強さがじんわりと心を沁みてくる不思議な魅力を携えた仏像です。
武神というけれども、その佇まいは思いのほか静的です。それは闘いを忘れてしまったというよりも、心を鎮めて静かに闘いに備えているといった風なのです。
僕は、“護る”ということに全身全霊を傾けたプロフェッショナルな精神を、そこに思います。
ぴんと張り詰めた緊張の空間。暑さでだれた気持ちがぴしっと引き締まりました。