吉城園(奈良県奈良市)

訪問日:2005/11/14

隣接する二つの庭

奈良公園の一角に、依水園と吉城園という対称的な二つの庭が隣り合わせで並んでいます。
でっかいスケールで爽快感抜群の依水園、ささやかだけれど万華鏡のようにきらきら華やかな吉城園。どちらも美しい奈良を、より美しく彩る名庭中の名庭です。
この日僕が訪れたのは吉城園。紅葉はいかがな具合かな、と小ぶりの可愛らしい門をくぐると、そこはいつものようにきらきら万華鏡の世界。

読書を忘れて眺めていた

何はさて置き、今はもう秋。緑の中をところどころ染めていく紅葉の紅が、とても鮮やかできれいでした。
僕は園内の一等高い場所に上がって、この煌びやかな光景をずーっと眺めていました。上に上がればなおのこと、緑と紅が複雑に絡み合い、一層美しい光景を作り出しています。
本来ならここで始まるはずの読書ですが、この時ばかりは夢中で眼下の美景を眺めていました。

その明るさが魅力的

吉城園は陽気で明るい。これは、この庭園の大いなる魅力です。いつでも陽の光を燦々と浴びて、草木が生き生きと輝きを放っています。
僕は気弱な人間なので、気持ちが沈んでしまうことが多いんだけど、そういう時に吉城園のような明るい庭園を歩くと、元気がふつふつと湧いてきます。吉城園は、僕の心のビタミン剤です。
気が滅入っていないときなら、なおさらこの庭園はスキップしたくなるような楽しさです。じっくり心を無にして向き合うだけが庭じゃない。こうやって、前向きな気持ちをたくさん与えてくれるような庭も、また名庭だと僕は思うのです。

心の中の青空

このように、吉城園の朗らかさはいつも僕の心の中に抜けるような青空を広げてくれます。さほど広くない園内ですが、一周歩けば一周分、二周歩けば二周分、歩けば歩いただけ心の青空はどんどん大きくなっていきます。
きっと、その青空のことを“心のゆとり”と言うのだろう。

この日は、なんとなく二往復してしまいました。途中、杉苔の庭にある茶室の傍らで一休み。

ふと見上げれば、小雨舞い降る曇り空。
でも、僕の心の中は、雲ひとつない青空。
吉城園の対称的な二つの空。

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