訪問日:2005/01/09
音一つしない静かな場所に、ひっそりと吉水神社は佇んでいました。山門をくぐると、身を寄せ合うように建っているお堂が二つ。なんだかとても寂しげな様子の境内でした。
これだけか。僕は少なからずがっかりしました。由緒ある神社だと聞いていたので、もっともっと広い境内かと思っていたのです。
ところが、それはとんだ早とちりでした。建物の奥には、驚くほどたくさんの寺宝が待っていたのです。
書院に上がらせてもらいました。ここは南北朝時代に後醍醐天皇の皇居として使われていた場所だそうで、ちゃんと天皇の玉座も保存されていました。金屏風で囲まれた部屋の様子には、確かに皇居らしい品格が感じられました。
けれども、天皇の住まいというにはあまりにも侘しい気がしました。建物の規模も、この部屋の規模もあまりにも小さいのです。足利尊氏との政争に破れ、はるばる吉野まで逃れてきた後醍醐天皇は、この小さな玉座でいったいどんな憂悶の日々を過ごされていたのでしょうか。
吉水神社には可愛らしい小さな庭がありました。庭自体も美しいものでしたが、何よりもここから眺める景色が最高に素晴らしいものでした。
目前に広がる雄大な吉野の山々。それは、息をするのも忘れるくらい感動的な眺望でした。
小さな神社の大きな寺宝。僕はただ心を空っぽにして、ぼーっと眺めている他ありませんでした。
庭に置いてあった手水鉢の写真を撮っていると、イマドキの若いカップルがやってきました。そして、広々とした吉野の風景を見て、楽しそうにはしゃいでいました。こういうところに来て楽しそうにしてる若者を見るのは、なんだか気持ちがいいものです。
そもそも、この吉野の風景は“はしゃぐ”という行為になんてぴったりなんだろうと思います。気持ちが風船のように大きく膨らんで、その気持ちを心の中だけに押し込んでおくのがもったいない。身体で表現したくなる若い人たちの気持ちが、とてもよくわかるのです。
かと言って、僕も一人ではしゃぐってわけには。。。さすがにいかなかったんですけどね。