久安寺(大阪府池田市)

訪問日:2004/10/31

静かな町に、威勢のいい楼門

バスを降りると、そこはすっかり緑に包まれた山中でした。そんな気持ちのいい場所に久安寺はひっそりと佇んでいます。
力強い楼門が僕を迎えてくれました。どうもこの楼門は“ひっそりと佇む”なんてことは御免こうむるといったスタンスのようでした。堂々として威勢のよさを全身から匂わせています。
「名の知れてないお寺だからって見くびるなよ」口さえあれば、恐らくそんなことを言ったことでしょう。そして、それは楼門の言うとおりでした。久安寺は楼門も含め、実に多彩な見どころを備えた楽しいお寺だったのです。

視覚と聴覚、触覚に美しい

そんな楼門の気風のよさも健闘空しく、境内に入ると静かで落ち着いた空間が広がっていました。
そして、全景に広がる緑、どこからともなく聞こえてくる水の音、秋を謳う肌寒い冷気、こういったものが混ざり合って美しい空間を作り出しているのでした。視覚聴覚触覚すべてに美しいのです。
雨の日に訪れたら、傘に当たる雨粒の音がもっともっと美しい効果を出してくれることだろう。ふと、そんなことを思いました。しっとりとした雰囲気が似合うお寺というのが、そのとき僕がとらえた久安寺の印象でした。

庭園の明るさに気持ちも弾む

何の予備知識もなく、ひょっこり本堂の裏側に回ってみました。すると、そこには明るい色彩に支配された美しい庭園が広がっていました。
わあ、きれいだ。思わず声が出ます。難しい言葉は、逆に失礼に当たるのではないかと思うくらい、美しさが素直に心の中に飛び込んできます。
辺りには人の姿はありません。その時、この美しい庭園は僕一人のものでした。それからは、いつものように読書。至福の時間です。

本堂に般若心経

本堂は近年になって建てられたもののようでした。中に入ると机と椅子が並べられていて、各々の椅子の前にはお経が置かれてありました。
最前列の椅子に座ってお経を開いてみました。そこにはお馴染み、般若心経。悲しいかな、どの言葉を取っても意味がまったくわかりません。
だけど、こういうものは字面を眺めているだけで面白いものです。“無”という字がやたら登場するなぁとか、“空”という字も多いぞなどと、お経のありがたさなどそっちのけ、誰も来ない静かなお堂の中で、字面ばかり眺めて楽しんでいたのでした。

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