住吉大社(大阪市住吉区)

訪問日:2004/08/25

下町の神秘

子供の頃、住吉大社といえば真っ赤な太鼓橋がすべてでした。
父に連れられてよくこの神社に遊びに来ていたのですが、急角度で反り返っているこの橋を子供の足で渡るのは実はなかなかの一苦労でした。父に手を取られ引っ張られるように渡っていたものです。
大人になって見ても「ああ、やっぱり大きいなぁ。凄いなぁ」と思います。この太鼓橋は本当に偉大です。渡る時のワクワクする気持ちは大人になっても変わりません。遠目にも、水上に滑らかな赤い弧を描くこの橋の美しさは際立っています。
池越しにこの橋を眺めていると、なんだかここが大阪の下町であることを忘れてしまいそうになります。コンスタブルの絵画なんかに出てきそうな眺めだなぁと思うんですね。

いろんな人がやってくる

さて、境内では近所からふらっと遊びに来たような子供連れのお母さんが寄り集まって世間話に花を咲かせていたりします。
かと思えばジョギングの途中で休憩に立ち寄りましたといった風のおじさんや、鳥居の前にカンヴァスを立ててのんびりと絵を描いているおばさんもいます。学校帰りらしい制服姿の女の子もたくさんいますね。
まあいろんな人がここにはやってきます。僕のような観光客はここでは少数派です。もちろん、お参りにくる人もたくさん訪れます。
つまりはいろんな人にいろんな親しみを持って支えられている神社だということです。

本殿は四人兄弟

たいていの場合、本殿というのは拝殿の後ろに隠れて見えなくなっているような気がするのだけれど、住吉大社の本殿はまったくもってオープンです。どっからでもご覧あれとばかりに堂々と全身を見せてくれます。これは僕のような建築ファンにはとっても嬉しい贈り物です。しかも、その本殿は四つもある!
四つの本殿は、どれも質素です。装飾排他主義。ことに背面から見たときの無駄という無駄を徹底的に削ぎ落としたフォルムは惚れ惚れするような美しさです。そりゃあ、これだけ素晴らしい建築物だったら拝殿の奥なんかに隠しておくのはもったいないなぁと思います。この本殿たちも、素晴らしいボディを自慢したい気持ちで「拝殿の後ろに隠れてるなんてやだ!」と飛び出してきたのかもしれません。大阪らしい目立ちたがり屋精神といったところでしょうか。

住吉大社は遊び仲間

住吉大社は全国に散らばる住吉神社の総本宮ということで、非常に格式の高い神社らしいのですが、子供の頃から親しんできた身としてはどうもピンと来ないところがあります。僕にとってこの神社は、遊び仲間みたいな感覚なのです。
昔ベトナムにホー・チ・ミンというおじさんがいたと思うんだけど、この人はベトナムを解放に導いた偉い人でありながら権威を嫌って農村で子供たちと遊んでいたというそういう人なんですけど、まあどこまでホントでウソなのかは知らないけど、住吉大社も僕にとってはそんな感じなのかなぁと思うのです。
格式なんて取りあえずいいじゃないか。それよりも楽しく遊んでいってよ。そんな気さくな声が聞こえてきそうな気がします。

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