訪問日:2006/06/18
野中寺には、とてもかわいらしい天使が棲んでいます。以前に一度だけお会いして、その幻想的な佇まいに心惹かれたものです。
毎月18日にしか現れないその天使を見に、この日は野中寺を訪れました。門前は車が激しく行き交う大通りですが、一歩境内に入ると、そこは穏やかな静けさに包まれています。天使の棲むお寺に似つかわしい清楚で品のいい境内です。
境内の空気を、思いっきり胸に吸い込んで深呼吸。野中寺の空気は、とても爽やかな味がします。
その天使の名前は、弥勒菩薩といいます。像高20cmほどの小さな仏さま。普段は質素な木の厨子に納められているのですが、毎月18日だけ人の前に姿を現してくださいます。
何よりも目と鼻の先で見ることができるのが嬉しい。左から右から、そして真正面から、いろんな角度からその優しいお顔を眺めることが出来るのも嬉しい。仏さまの息づかいが、聞こえてきそうなくらいです。
僕は左側から見るときの、仏さまの姿が大好きです。可憐で、幻想的で、優しげで、ああやっぱり天使なんだなと思います。
野中寺は、庭だって可憐で美しい。スペースは小さいのですが、植え込みや石灯籠などがバランスよく配置され、見ていて心が和み、また落ち着きます。ちょうど、先ほどの仏さまを庭の形で表現したら、こうなるんじゃないかという、そんな庭です。きっと、コンパクトな中にささやかな美を紡ぎだすのが、野中寺イズムということなんでしょうね。
お堂の縁側に座って、じっと眺めます。でも、先ほどの弥勒さまがこの縁側にちょこんと座って、この小さな庭を眺めていたら、それはさぞかし絵になることだろうなと思います。ちょうどいい大きさだもの。誰も人がいないときにこっそり厨子を抜け出して、この庭を眺めに来てたら面白いだろうなぁと思います。
さて、地蔵堂という小さなお堂に重要文化財に指定されているお地蔵さまがいらっしゃいます。もっとも金網越しなので、お顔はよく見えませんが。
ただ、僕はこの仏さまの入っている素朴な木造の厨子がいいなと思います。扉に“卍”の文字が入っただけのシンプルな厨子。ささやかなこのお寺は、どこまでもささやかに出来ているようです。
一緒にお堂にいたおじさんと、この厨子の話で少しだけ盛り上がりました。厨子の話を人とするのは珍しいなぁと思いました。