長寿寺(滋賀県湖南市)

訪問日:2005/11/20

閑寂の山寺も大騒ぎ

参道の紅葉で有名な長寿寺。シーズン到来ということで、たくさんの人が訪れていました。
門前で記念撮影する人、参道のど真ん中に三脚を立てて動かない人(マナー悪いね!)、参道を元気に走り抜けていく子供たち…もう、すっごく賑やか!
紅葉は華やか、人は賑やか。おそらく普段は物静かなお寺なんだろうけど、今だけはみんなで大騒ぎしちゃおう! というそんな季節なんでしょうね。
そんな長寿寺の境内にあるのは、地味な風貌の建物ばかり。賑わいを意にも介さず物静かに佇む建物たちが、なんとも不思議な魅力を醸しだしていましたよ。

かげろうのような存在感

本堂は、飾り気のない素朴な建物でした。境内唯一の国宝建造物で、間違いなくこのお寺の主役なのですが、存在をまるで主張せず、どこか悟りきったような静けさをもって建っています。“諦観”という言葉さえ浮かんだくらいです。
けど、その幻のようなゆらぎが、美しい。どこか、この世のものではないような儚さが、とても美しいのです。
僕は紅葉そっちのけで、すっかりこのお堂に見惚れてしまいました。紅葉をめぐる賑わいの中、なんだかこの本堂だけが異世界の存在のような気がしました。

幽玄なる本堂の世界

本堂の中に入れていただきました。堂内は薄暗く、神秘は度合いを強めていきます。
ご本尊のお地蔵さまは秘仏で、厨子の扉は固く閉ざされています。その両脇にお釈迦さまと阿弥陀さま。どちらも本堂よろしく、極めて物静かに座っていらっしゃいます。動きのない世界。まるで、時が止まってしまったかのよう。
なんだか、いよいよ外の賑わいとは一線を画しているなぁ、と思いました。もしかすると、このストイックなスタンスが、長寿寺らしさということになるのかも知れませんね。

丈六のハッピー仏

さて、長寿寺には大変面白い仏さまがいらっしゃいました。収蔵庫のような建物に安置されている、丈六の阿弥陀如来坐像です。でっかい仏さまです。
隣で一緒に見ていたおじさんが「昔はもっと素朴で小さなお堂に入っていた」とおっしゃっていました。もう随分昔の話だそうです。扉は固く閉ざされていて、小さな格子の隙間からわずかに見える仏さまは、それは風情があったそうです。
けど、僕には今のぴかぴかのお堂にいらっしゃる阿弥陀さまがとても幸せそうに見えます。見ているだけでハッピーな気持ちになれる、そんな楽しい雰囲気の仏さまでしたよ。

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