訪問日:2006/04/23
三井寺の隣に美しい庭を持つ門跡寺院があると聞いて、遊びに行ってきました。
“門跡寺院”と聞くと、僕なんかはなんだか格調高い楚々としたイメージを持ってしまうのですが、円満院は格式ばったところを微塵も感じさせない気さくなお寺でした。フレンドリーなお寺なんです。
境内に入るとまず出迎えてくれたのが、現代美術のオブジェみたいな愉快な鐘楼。およそ厳かな音は出そうにもありません。向こうには、近代的で立派な寺務所も建っているのが見えます。フロントはおみやげ屋さんみたいになっていたりして、まるでどこかの温泉旅館のようです。
ここだけ見ていると、ホントにこんなところに美しい庭があるのかなぁなんて少し心配になってきます。でも大丈夫。本当に目がまん丸になるような素晴らしい庭園があるのです。
宸殿の縁側に腰掛けて、ゆっくりと時間をかけて庭を眺めました。
広々とした池泉式の庭園です。大きな池のほとりに植え込みや石が賑やかに集う、オアシスのような華やかな庭です。
さりとて細部に目を凝らして何かがあるというわけではなく、全体として捉えたときに
伸び伸びとした雰囲気がひたすら楽しい、そんな庭です。こういう庭は難しい理屈が何もないので、見ていてちっとも飽きることがありません。ただぼんやり眺めてりゃ、それだけでとてもいい気持ちなのです。
ある程度予想はしていたけれども、小一時間ほど庭を眺めていたって誰一人やってきません。最初から最後まで、まったくの独り占めでした。
あまりにのどかなので、そのうちにだんだんうとうとしてきました。眠るともなく目を閉じて耳を澄ましていると、どこからか微かに水の落ちる音が聞こえてきます。
さらさら、さらさら。ざっざざっざざあ。
今同じときに世界中で数え切れないほどたくさんのものがたくさんの音を立てて動いているというのに、ここで聞こえてくるのはほんの微かな水の音ばかり。なんて素晴らしいことだろう!
ほんの些細なことが、僕にとても大きな感動を与えてくれます。
境内の一画に、大津絵博物館があります。大津絵というのは、江戸時代にこの地にあった宿場で旅人に配っていた神仏画が起源となって発展した絵画だそうです。ほとんどが名もない絵師たちの手によるもので、“鬼の念仏”や“弁慶”といった庶民的でユーモアに満ちた面白い題材ばかりが描かれています。
がらーんとした博物館でしたが、楽しかったですよ。どの絵も笑顔で迎えてくれているような気がしたもの。
親しみやすくて庶民的な門跡寺院。それが円満院というお寺です。