日吉大社(滋賀県大津市)

訪問日:2004/10/03

父はこの神社が大好きだった

この日帰宅して母から聞いたことなのですが、日吉大社は亡父がとても愛した神社でした。
生前、父からさまざまな寺社の話を聞いたものですが、日吉大社について何かを聞いたことは終ぞありませんでした。そもそも、僕がこの神社の存在を知ったのは父が鬼籍に入ってからのことです。
けれども実際に訪れてみると、日吉大社はまさに父が愛するにふさわしい神社なのでした。なによりも、父の愛していた自然に満ち溢れていたからです。

自然と建築、なかよく共存

父は毎週休みになるとどこかへ遊びに行く元気者でした。それは必ず自然のある場所で、山登りはもちろんのこと、寺社巡りにしても田舎の山寺や山間の神社を好んで訪れていました。
日吉大社はそういった父の嗜好に打ってつけの神社です。四方を自然に囲まれた中を格式ある建築が厳かに建ち並ぶさまは、まさに父のために造られたかのような光景だと思うのです。

建物のリフレーン

さて、広い境内は西本宮、宇佐宮、白山宮、東本宮などいくつかのエリアに分かれているのですが、どこへ行っても同じ形の拝殿・本殿が建っています。なんだか分身の術を見せられているようで、ちょっと不思議な気持ちにさせられます。
どれも“大社”の名に不釣合いなほど質素で飾らない建物ばかり。あたかも自然の中に溶け込んでうまくやっていくにはこれが一番さ、と言わんばかりです。

主役はあくまでも自然なのだ

この日は、まだ紅葉前ということもあってか訪れる人もまばらでした。静かなだけに境内をさらさらと流れる水の音が心地よく耳に響きました。耳を撫でて通り過ぎるような気持ちのいい音です。
目には深緑、耳に水の音。ふと気がつくと建物には心及ばず、自然にばかり気をとられていました。主役は自然だと思いました。建物は身を隠すように自然の中に埋もれようとしています。自然をこよなく愛していた父が、この神社を好きになるのも無理ありません。

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