訪問日:2005/07/31
山門もない、大きなお堂もない。そんな田舎の小寺にやってきました。湖北の神照寺。
靴を脱いで本堂に上がったものの、中は誰もいないようでした。
「拝観の方はブザーを押してください」と書いてあったので、ブザーを押してみました。静かな境内にブザーの音が響きます。
それから10分ほど待ったでしょうか、奥からのんびりとした様子でご住職が出てこられました。
「寺宝はそんなにないんですけどね」「庭はとっても小さいんですよ」
申し訳なさそうに、ご住職が案内してくださいました。気を遣っていただいて、僕の方こそ申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
セミがじじじと鳴いています。青畳の匂いが、懐かしい気持ちを喚起します。なんだか、田舎の家に遊びに来た時のような、ホッとした気持ち。
庭だって小さいけれど、緑や石、池がバランスよく配置された、落ち着きある風雅なものでした。
しばらくここでゆっくりしていこうと思いました。自宅の近くにもこんな場所があったなら、時間の空いた時にはふらりと立ち寄って、いつでものんびりとくつろいだひとときを味わえるんだけどなぁ。
本堂を出て、今度は宝物館を案内してくださいました。
小さなスペースで、数的にもさほど多くのものが展示されているわけではないのだけれども、一つ一つが国宝だったり重要文化財だったり、歴史的美術的に大変優れた寺宝があるのでした。
中でも「すごい!」と思ったのが、浅井長政の持仏だったという不動明王像です。今にも走り出さんとポーズをとった、ダイナミックな仏さまです。ちゃんと炎も動きに合わせて大きく揺らいでるんですよ。
前から見ても横から見ても、惚れ惚れするようなカッコよさ。静けさに佇む小寺の、元気なやんちゃ坊主です。
さて、ご住職は最後までとても親切にしてくださいましたよ。
宝物館の入り口のところにバスの時刻表が貼ってあって、ご住職が次のバスの時間を見てくださいました。
「ええと、今は1時8分だから、次は35分。レトロバスに乗ってください」こんなささいな心遣いが、とても心に沁みます。「レトロバスは緑の電車みたいなバスで、中には案内のガイドさんも乗っていて・・・」ご住職のお話は続きます。
人と話すことが心の底から苦手な僕ですが、この時はバスが来るまでずっとご住職とお話していたんですよ。