金剛峯寺(和歌山県高野町)

訪問日:2005/02/20

雪景色に感動の一日

僕は雪国育ちではないので、雪景色というものにあまり巡り合った経験がありません。だから、たまに一面真っ白な雪景色を見たりすると、もうそれだけで感動して一生の思い出になったりします。
この日の高野山は、まさに見渡す限りの雪景色。文字通りの感動です。奥の院へ行けば雪帽子をかぶるお地蔵さまの姿に心奪われ、壇上伽藍へ行けば雪を羽織る巨大な根本大塔の神秘に圧倒され、といった具合でした。
けれども、本当に雪景色の髄のようなものを見たと思ったのは金剛峯寺を訪れた時でした。それは、初めから雪を纏うことを念頭に置いて造られたお寺ではないかと思うくらいでした。

静寂の総本山

境内はとても静かで、まるで絵の中の世界にいるようでした。雪は後から後から降り続け、何もかもを真っ白に染め上げていきます。
大雪の中に埋もれてしまうと、全てのものが眠りについたように思えてきます。金剛峯寺の中心を成す本坊も、実に堂々とした立派な建物なのですが、この雪の中では立っているというよりも静かにその身を横たえているという風に見えるのでした。
こうなると境内にも全体的に緊張感のようなものが感じられて、美しい景色に心はしゃぐと言うよりも、なにか気持ちがピシッと引き締まるような厳しさばかりを強く感じるのでした。

雪の海、漂う巨石

そんな中で楽しい気持ちにさせてくれたのは、広大な敷地にたくさんの巨石が置かれている石庭・蟠龍庭でした。なんでも日本最大級の大きさを誇る石庭だそうです。
ご多分にもれずこの庭も一面を雪で覆われていたのですが、それが白い海の上に大きな岩がぷかぷか気持ちよさそうに浮いているように見えるのです。この中に飛び込んで、巨石たちと一緒にこの海の上を漂えたなら、さぞかし心地よいひと時を過ごせるだろうと空想しました。
なるほど、雪って大した手品師だなと思う瞬間でした。

この日に訪れてよかった

おそらく雪のない季節に行っても、それはまた別の面白さがあったのでしょうが、やっぱり僕はこの大雪の日に訪れてよかったと思います。日本には雪化粧という美しい言葉があるけれども、この日の金剛峯寺はたくさんの白雪に化粧を施されて透き通るように清楚な美しさを見せてくれました。
それは、金剛峯寺を舞台に繰り広げられた雪のデコレーションショー。白だけを使って美しい情景を描き出す名デザイナーなのです。

Copyright (C) hasegawa neco.All right reserved.