宇宙戦艦ヤマトの迷走2(01.11.22)
前回「宇宙戦艦ヤマトの迷走」で、イスカンダルに向かうヤマトの太陽系内で
の迷走ぶりを書いたのだか、それをアップした後で夜幻宇宙さんからICQを
通していろいろな意見をいただいた。
そして、最も素朴で最も破壊力のある問題提起を受けた。
「なぜヤマトはイスカンダルに行かねばならなかったのか?」
この素朴な疑問から始まった熱い議論の末、我々はヤマトの旅がもっと根本的に
迷走であったことに気が付いた(笑)
(追補:この問題を出した夜幻宇宙さんはヤマトには詳しい人です、念のため)
なぜヤマトはイスカンダルに行ったのか?
もちろんこの問いに対するストーリー上の答えは
「ガミラスの攻撃で放射能に汚染された地球を救うために、放射能除去装置
<コスモクリーナーD>を取りに行く必要があったから」である。
スターシアが妹サーシャに託した「<コスモクリーナーD>が欲しかったらイスカン
ダルまで取りに来い」というメッセージは、波動エンジンの設計図と共に地球に届け
られた(正確には火星までだけど) 。
放射能に苦しめられていた哀れな人類は、謎の宇宙人のメッセージを信じ、も
らった設計図を元に波動エンジンを組み立て、最後の希望として
「宇宙戦艦ヤマト」
を建造してイスカンダルに送り出したわけだが・・・
ここでさらに素朴な疑問
「なぜスターシアはコスモクリーナーの設計図ではなく、波動エンジンの設計
図を送ったのだろうか?」
もしスターシアが最初からコスモクリーナーの設計図を地球に送り、人類がそれを
元に自力でコスモクリーナーを建造していたなら、ヤマトを建造する莫大な労力も
いらず、人類は1年も早く絶滅への不安やストレスから解放されていたはずである。
(もちろん、コスモクリーナーの実物を送るのが一番てっとり早いのは言うまでも
無い。妹を送り込むくらいなら実物を送った方がまだ安全だし、サーシャは死なず
に済んだかもしれない)
スターシアがコスモクリーナーの設計図を送らなかった理由を、好意的に推測すれば
1:コスモクリーナーの建造は波動エンジンに比べて難易度が高く、地球人には波動エ
ンジンは建造できても、コスモクリーナーの建造は無理と考えた。
2:コスモクリーナーの部品に使われている物質が、太陽系近辺では入手不可である
3:スターシアはコスモクリーナーの現物は持っているが、設計図は失われていて、
かつ現物から設計図を起こす能力も無かった
と、いうことになるが・・・
よくよく思い出してみると、意外にもその理由については、スターシア自身が劇中で
語っていた。
TV放映の終盤近く、ヤマトが大マゼラン星雲の近くにたどり着き、古代が初めてス
ターシアと言葉を交わした時(記憶だけなので、ウロ覚えだが)
「なぜ我々に放射能除去装置を取りにこさせた?」という、古代の質問に対して、
なんとスターシアは
「あなたがたの未来は、あなたがた自身の力で切り開くものだから」
と答えていた。
つまり彼女は、地球人にはコスモクリーナーを建造出来ないとも、設計図を地球に
送ることが不可能だったとも言っていない、ただ自分の力で取りに来させることが
目的だったと白状しているのである。
スターシアは、絶滅の危機にさらされている種族に対し、ご丁寧に教育的苦難を
与えてくれていたらしい、人類全ての老若男女が不安に怯えている時に・・・である。
これはあまりにも酷い話ではないか
もしヤマトが地球に帰れなかったら、彼女はどうしていたのだろう?
これが彼女の本心だと信じるには説得力がなさすぎる。
しかも、彼女がヤマトを無事に帰す気はなかったであろうことを示す証拠さえある、
ガミラス本星がイスカンダルの隣にあることを、彼女は事前に一言もヤマトや人類
に伝えていなかったのだ。
一隻の戦艦がなんの予備知識も無いまま敵の大本営に足を踏み入れてしまうことが、
どれほど危険なことかは言うまでもない。
ヤマトには戦略や戦術を立てる時間はおろか、偵察の余裕さえ無かったのだ。
これも彼女の教育的苦難の一つか?
考察を進めていくうちに、我々はもっと卑劣な、スターシアの陰謀に辿り着いてし
まった(笑)
イスカンダルとガミラスには特殊な事情が2つある
1つは、イスカンダルとガミラスは2重惑星であること、もう1つはイスカンダルの
住人はスターシア以外確認できなかったこと、である。
イスカンダルは地球と似た海のある清浄な惑星であり、一方のガミラスは惑星としての
寿命が尽きかけ、火山活動で大気と海が強酸性に変わってしまったボロボロの惑星とし
て描かれていた。
ガミラスの人々は滅びの近い母星から新たな移住先を求め、遊星爆弾を使って地球
をガミラス星に近い環境に変えようとしていたのだが・・・
(ガミラス人は大気に放射能が含まれていないと生存できない・・・ってえ設定)
このガミラスの事情について、夜幻宇宙さんから衝撃的なツッコミが入った
「そもそも,ガミラス星人がイスカンダルに移住すりゃいいじゃんよ(笑)」
もっともな意見である(笑)
デスラーは地球人類を絶滅させて移住しようと考える程の男である、もしガミラスの
民を他の惑星に移住させたいと考えるなら、横にあるイスカンダルに放射能をまいて
移住させた方が確実性も高く時間もかからない。
スターシアには放射能の無い施設を与えて住まわせたっていい、なんたってイスカン
ダルの住人は彼女1人しかいないのだ(笑)
しかし彼はそれをしなかった、それはスターシアへの愛情ゆえであろうことは
想像できる・・・(3作目「新たなる旅立ち」で、デスラーがスターシアにコクる
シーンもあるし(笑))
つまりデスラーは、惚れた女が一人で清浄な惑星に住むことを維持させるために、
わざわざ14万8千光年離れた地球を侵略して人類を滅ぼそうとしたことになる。
なんと彼の愛情の大きかったことよ。
地球にしてみりゃ、えらい迷惑な話だけど(笑)
ところが、それほどデスラーの溺愛と庇護を受けたスターシアが何をしたかってえと、
地球にコスモクリーナーを与えて、デスラーの移住計画を邪魔しているのである(笑)
しかも波動エンジンの設計図まで送って・・・
そして地球人が波動エンジンを手に入れたことで、本来あり得るハズのなかった地球
人によるガミラス本星への攻撃が行われ、ガミラスは滅亡することになる。
さらに、ガミラスと地球が滅亡しようかってえ時に、自分は地球の男(古代守)を引っ張り
込んでハベラせ、のうのうとしてたりするし(笑)
デスラーも元首でありながら私情に走り過ぎ、惚れた女に国を滅ぼされたわけであるが、
彼がスターシアに異常に甘かったと思われる例は他にもある。
スターシアがヤマトを呼び寄せるエサに使った「放射能除去装置<コスモクリーナーD>」
であるが、デスラーはイスカンダルがこれを保有することに無関心であった。
コスモクリーナーが救いの機械だということは、地球人とイスカンダル人の視点でのみ成り
立つ認識である。
ガミラスから見れば、生存に必要な放射能を除去するコスモクリーナーは、この上ない脅威と
なる殺戮兵器なのだ
最終回の最後のシーンで、コスモクリーナーは地球を汚染していた放射能を短時間で消し去る
力を見せた
もしこれがガミラス本星で作動させられたら、一瞬でガミラスは壊滅するだろう。
しかも殺戮の後で使用者に有利な環境が残るという点では、核兵器より抑止力も小さい。
(もっとも、ガミラスから放射能だけを消しても、あの大気と海のままでは占領しても
意味はないだろうが(笑))
デスラーは、スターシアがコスモクリーナーを兵器として用いないと信じていたのかも
知れないが、他のガミラス国民はそれでは納得するまい。
もっと査察なりを徹底して、開発と保有を阻止するのが元首の努めではなかったのか?
事実、スターシア自身は保有するコスモクリーナーを兵器としてガミラスに対して使用す
ることは無かったが・・・その替わり、こともあろうに彼女は
ガミラスと敵対する勢力に、それを与えようとしていたのである
それもわざわざガミラスの近くまで呼び寄せて(笑)
この行為がガミラスにとってどれほどの脅威となるか、彼女が知らない訳はない。
もし、デスラーがこのことを知っていたら、さすがにイスカンダルを放置しておかなかっ
たと思われるが、デスラーがイスカンダルに何かをした形跡が無いことから、スターシア
の行動の全てはガミラスには秘密で進められていたと考えられる。
イスカンダルと地球の密議を知らないガミラスには、ヤマトが自分達の本星を攻撃しに
向かって来ているように見えたハズだ、
地球人が知らないはずのガミラスに向かってヤマトが来ているのだから、彼らはさぞ
慌てたことだろう。
(事実、地球人は最後になるまでガミラスの位置を知らなかった)
以上のように、スターシアの行動は、まるでガミラスを滅ぼそうとしているかのよう
に見える・・・
しかし、そう考えれば彼女の不可解な行動が納得できるのだ。
ガミラスが14万8千光年も離れた別の銀河の惑星に移住することさえ邪魔したこと、
地球にコスモクリーナーを直接送らずにヤマトに取りに来させた事、事前にガミラス
とイスカンダルが2重惑星であることを伏せていたこと、全てに辻褄が合ってしまう(笑)
自分で手を汚さずガミラスを滅ぼしたいと思った彼女は、ガミラスに攻撃されて放射能に
苦しんでいる哀れな地球人を利用することにした。
ガミラスの近くまで誘い出して放射能除去装置を渡せば、ガミラスを憎むヤマトのクルーが
コスモクリーナーを武器に転用するはず
・・・といのが彼女のシナリオだったのか?
(劇中では組立に半年近くかかっているので、すぐに兵器として使用できるわけでは
ないだろうが・・・)
幸い(?)ガミラスはヤマトがコスモクリーナーを受け取る前に壊滅したが、
まあ、彼女にしたら結果オーライだわな(笑)
もちろんこれらは仮説であるが、ヤマトを観ていると劇中で描かれているスターシアの慈悲深い
イメージと、彼女の実際の行動には大きなギャップがある。
そして、造形通りのイメージをそのまま受け入れれば矛盾が大量に出てくるが、
彼女が腹黒い女だと仮定すれば、逆に全て見事に整合するのである
この仮説の真偽は判らない、しかしこれだけは言えそうだ、
彼女はガミラスと地球人類を掌の上で踊らせていたことと、ヤマトはスターシアの身勝手な
理由によって、29万6千光年もの旅を強いられたことである(笑)
謝辞:最初にこのネタを考えるきっかけと、有益な意見をいただいた夜幻宇宙さん、
ありがとうございました。
(ここで述べた意見の全てがてんのオリジナルというわけではなく、夜幻宇宙さんから頂いた
説も織り込まれています。)
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