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            弁護士 寺 本 ますみ 
                       
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債務整理のはなし
1 本当にこのままで借金を返せますか?・・・ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
 いくつもの消費者金融から借金をしたり、クレジットカードのキャッシングを繰り返した結果、一体自分がいくら借金をしているのかも分からなくなり、毎月毎月の支払期日がくると返済資金が用意できずに、消費者金融から借金をしてそれを他の消費者金融の返済に充てるという行為を繰り返しておられる方へ。

 自分がこのような悪循環に陥っているのに気づいたら、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
                           
    収入と支出を比較して、借金の返済にまわせるお金はいくらありますか?   
    あなたは、今の収入で本当に返済していけますか?
 

     1ケ月の収入と支出をこの「家計の状況」の用紙に書き込んでチェックしてみて下さい。
                           家計の状況
      自分の借金が一体いくらあるのか、消費者金融等の契約書、請求書等をもとにこの「債権者一覧表」
     を作ってみて下さい。         債権者一覧表
 
 返済が滞ったとき消費者金融やクレジット会社から催促されるのが怖くて払い続けてきた方も、この家計の状況と債権者一覧表を見ながら、冷静になって収支のバランスを考えてみて下さい。

 消費者金融の金利は年29.2%であることがほとんどです。つまり100万円借りれば、年29万2,000円もの利息を支払わなければならないことになります。これは1ケ月に利息だけで約2万4,000円を返さなければならないということです。実際には消費者金融等はリボルビング払い方式等の複雑な計算方法を取っていることが多いので、毎月の返済額はこのとおりではありませんが、単純に計算すればこのような高額の利息を払い続けなければならないということです。
 サイドビジネス等のために消費者金融で資金を借りる方が時々おられますが、このような高利の収益を上げられるような事業はまずありません。

 消費者金融等の利息制限法違反の金利については、今国会で見直しが検討されており、いずれ出資法にも違反するものとして処罰の対象となる可能性が高くなりました。しかし、立法による解決がはかられるまで、まだ消費者金融等は高利の貸し付けを続けるでしょう。
 そのような高利の貸し付けの犠牲者とならないためにも、ちょっと立ち止まって考えてみて下さい。

 また、そもそも生活が成り立たないような収入しかないという方は、生活保護を受けることも考えるべきです。思い切って市役所や区役所の係に相談してみましょう。

                           


2 多重債務者の陥りやすい落とし穴にご用心!・・・あなたは大丈夫ですか?
  借金を返そうとあせるあまり、無理に自分だけで解決しようとして、次のような落とし穴に落ちることがあるので注意が必要です。いずれも、私が債務整理の依頼を受けた方々が被害にあっていた事例です。いずれの方も相談にみえたときには「どうして、あんなことをしてしまったのだろう。」と言われますが、そのときには「なんとかしてこの借金地獄から逃げ出したい。」という一心でつい陥ってしまいがちなのです。

                    <落とし穴の例>

@ 紹介屋等の悪質業者に騙される。
  消費者金融等に対する借金を少しでも低利な借金に一本化しようと、チラシや雑誌の広告等を見て悪質な業者に騙され、借金を増やしただけという方が後を絶ちません。たとえば、「まとまった金額を貸し付けするためには審査が必要だ、審査のために他の消費者金融から借り入れをしてその借入金の一部を送金してほしい、送金ができればまとまった金額の貸し付けの審査が通る」等と騙して被害者の消費者金融からの借入金を騙し取る手口です。送金後に被害者がその業者に電話をしても電話がつながらなくなっているというケースがほとんどです。被害者は借入金を騙し取られた上に、消費者金融からの借金を増やしただけという結果になります。
 また、「借入先を紹介してやる」と言って被害者に消費者金融を指定して金を借りさせ、その一部を手数料として送金させるという紹介屋といわれる手口もあります。紹介屋は別段消費者金融に口利きをしたわけでもないのに、さも借入先を紹介してやるかのように騙して被害者に借り入れをさせ手数料の名目で送金させるものです。これも被害者は消費者金融からの借金を増やしただけという結果になります。

A クレジットで購入した商品を金に換えてしまう。
 クレジットを利用して欲しくもない商品(換価価値の高い電化製品等が選ばれることが多い)を購入し、それを金に換えて借金の返済に充てる方がみえます。しかし、クレジットの分割払いが未了の商品は、まだクレジット会社のものです。勝手に売却してしまうと、後述する自己破産の免責不許可事由に該当して免責が受けられなくなる可能性もあります(免責が受けられないと法律的には借金の返済義務が残ってしまいます)。
 また、クレジット会社の手数料の方が消費者金融の金利よりも安くつくから等と述べて、被害者に商品をクレジットで購入させ、その商品を受け取って(代金に充たない)わずかの金を被害者に渡すという悪徳業者もいます。この場合は、被害者にはクレジット会社に対する借金が残るだけという結果になります。
 この他にも、多重債務者をねらった様々な手口の悪徳業者が跋扈しておりますので、十分な注意が必要です。

B ヤミ金から借金をしてしまう。
 消費者金融への返済金や生活費に困ってヤミ金にまで手を出してしまうと大変なことになります。ヤミ金は1週間から10日間の間に法外な利息の金額を返させ、返せないとなると被害者のみならず親族、職場、近所等にまで嫌がらせの電話をかけたり、おしかけたりします。もちろん、このような貸し付けも取り立ても違法ですが、仕事を失ったり親族や隣人に迷惑をかけることにもなりかねません。
 一見ヤミ金とは思えないようなソフトな勧誘方法を取る業者もいますので、注意が必要です。ヤミ金のような利息制限法をはるかに超える貸付に頼らざるをえなくなった状況であれば、一刻も早く法律相談を受ける必要があります。

C マルチ商法やギャンブルに手を出してしまう。
 早く借金を返したいという一心でマルチ商法や競馬、競輪などのギャンブルにはまってしまう方もみえます。年29.2%もの収益を上げられる商売や博打はまずありません。深みにはまって、どんどん借金が増えるだけです。また、マルチ商法に手を出せば友人、知人等に迷惑をかけることになり、経済的な破綻のみならず人間関係にまで破綻をきたします。

D 親族や友人から金を借りてしまう。あるいは、連帯保証人になってもらってしまう。
 よくあることですが、実はこれが一番借金の整理を難しくします。自己破産を希望される方が、親族や友人からの借金だけは返したいと言われることがよくあります。しかし、消費者金融からの借金も親族や友人からの借金も自己破産や個人再生においては同等に扱われます。親族や友人からの借金だけ優先して返済すると免責不許可の事由に該当し、場合によっては免責不許可となりかねません。
 友人や親族を連帯保証人として借金をされている方も多く、また、できるだけ低い金利の借金に一本化しようと連帯保証人をつけて多額の借り入れをしてしまうケースもあります。
 借りた本人が自己破産しても、連帯保証人の返済義務は何ら影響を受けません。借りた本人が破産すれば、連帯保証人が残りの借金を全額返済しなければならなくなります。このため、連帯保証人に迷惑をかけたくないという一心で無理な借金と返済を続けて深みに落ちる方が多いのです。
 しかし、結局は返済が滞り、親族、友人に更なる迷惑をかけることになるのです。

 このようなことになる前に、思い切って法律相談に来て下さい。このような落とし穴に落ちる前であれば、落ちた後よりも少ない痛みで対処することができます。不幸にして落とし穴に落ちてしまった方は一刻も早く法律相談に来て下さい。へたをすると自分だけでなく周りの人間にも大変な迷惑をかけることになりかねません。

                                           
3 債務整理の方法
  
 債務整理には、 自己破産  個人再生  特定調停  任意整理 という方法があります。

 簡単にいえば、自己破産は借金を全額支払わなくてもよくする手続き、特定調停、任意整理は利息制限法に従った計算法で借金の残額を計算をし、その残額を一定期間に全額返済する手続き、個人再生はその中間で利息制限法に従った計算法で借金の残額を計算しそのうちの一部を支払うかわりに、残りは支払わなくてもよくする手続きです。
 自己破産と個人再生は、地方裁判所に一定の書類を提出して書類の審査を受け、ご本人も裁判所に1、2度出頭して頂く必要があります。特定調停も簡易裁判所における手続きで、代理人を立てない場合はご本人が出頭する必要があります。任意整理は、弁護士が個々の債権者と借金の返済方法等について交渉をするもので、裁判所の手続きではありません。
       これらの手続きの比較、メリット・デメリット等の一覧表はこちら自己破産・個人再生・特定調停・任意整理の比較
          破産と個人再生の手続の概略を説明した裁判所のHPはこちら
               特定調停の手続の概略を説明した裁判所のHPはこちら
      

  どの手続きを選択するのがいいかは難しい問題です。
  弁護士にできるだけ詳しい事情(借金をしたいきさつ、収入・財産、借入先、おおよその借入金額、保証人の有無、家族関係等)を説明した上で、弁護士のアドバイスを受けつつご本人が選択することになります。

                                                     
4 過払金の返還請求
 どの手続きも、まず借金がいくらか、借り入れ・返済がどのようになされたかを調査する必要があります。そして、その調査の結果、利息制限法で計算すると返済のしすぎ、即ち「過払い」が明らかになることがあります。ここ数年、利息制限法違反の貸付に対して厳しい裁判例が増えたため、消費者金融やクレジット会社の多くが取引の経過を開示するようになり、また弁護士が交渉すると過払金を返還するようになりました。しかし、一部の業者は取引の最初からの経過を開示しなかったり、低い返還割合でしか過払金の返還交渉に応じません。その場合は裁判をして過払金の返還を求めることもあります。過払金にも5%ないし6%の利息をつけて請求することもできます。
 業者が取引経過の全てを明らかにしない場合は、ご本人が持っている契約書、ATM利用明細書、(振込送金によって返済されている場合は)銀行の振込依頼書、(銀行口座から返済金が引き落とされている場合は)預金口座の取引明細等が重要な証拠となります。これらの書類は大切に保管しておいた方がいいでしょう。
 消費者金融等は、債務者が支払った過払金を元手にして高利の利息を得ています。
 過払金で儲け被害者を増やしている消費者金融等に対しては、積極的に過払金の返還を求めるべきです。

                                      

5 相談の必要性
  
借金の整理は、問題に立ち向かう覚悟を決めさえすれば必ずできます。
  自分だけでなんとかしようとして深みにはまる前に、できるだけ早く法律相談に来てください。

 私は、10年以上愛知県弁護士会(旧名古屋弁護士会)のサラクレ相談員をしてきましたが、もっと早く弁護士に相談して下さっていれば、こんなに苦しまなくてもすんだのに。と思う相談事例がたくさんあります。早く相談にみえれば、自己破産や個人再生のような裁判所の手続き(いわば外科手術)が必要とならずに、任意整理(いわば内科的治療)ですむこともあります。
 過払い事例などは、返還を求めないでいると消費者金融等に貢ぐだけです。過払金を何百万円も回収して、返済に充てることで、自己破産を免れることができた方もみえます。
 債務整理の方針が決まり、弁護士が債務整理の依頼を受けたという通知を債権者に出すと、債権者からのご本人に対する請求はストップします。
 ですから、消費者金融等に対する借金の返済に困っている方は、自分だけでなんとかしようと思わずに、一刻も早く法律相談に来て頂きたいと思います。