| 2003年3月の観劇記録・観劇日記 ●1日(土)16時〜 OSK日本歌劇団「新・闇の貴公子」@日本青年館 ●2日(日)13時〜 「ノイズ&ファンク」@赤坂ACTシアター ●2日(日)17時〜 「チャーリーはどこだ?」@東京芸術劇場中ホール ●4日(火)18時半〜 「ファンタスティックス」@リリアメインホール ●6日(木)19時〜 アドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ「白鳥の湖」@オーチャードホール ●7日(金)18時半〜 藤原歌劇団「ロッシーニ:イタリアのトルコ人」@東京文化会館 ●8日(土)16時半〜 竜小太郎「華薫園春駒鳥囀」@浅草大勝館 ●11日(火)13時〜 宝塚歌劇団宙組「傭兵ピエール」「満天星大夜總会」@宝塚大劇場 ●11日(火)18時〜 宝塚歌劇団宙組「傭兵ピエール」新人公演@宝塚大劇場 ●16日(日)14時〜 都響チェロの名手たち「おしゃべりコンサート」@めぐろパーシモンホール(小) ●28日(金)15時半〜 宝塚歌劇団雪組「春麗の淡き光に」「Joyful!」初日@東京宝塚劇場 ●30日(日)13時〜 東宝「ME AND MY GIRL」千秋楽@帝国劇場 ●31日(月)13時〜 宝塚歌劇団花組「不滅の棘」@赤坂ACTシアター 3月1日(土)16:00-18:35 OSK日本歌劇団「新 闇の貴公子」@日本青年館 A席4100円 2階E列30番 演出:北林佐和子 パンフレット:1000円 安部清明:那月峻 小野小町:千爽貴世 滝夜叉姫:若木志帆 明神丸:大貴誠 俤姫:沙月梨乃 平将門:有希晃 袴垂保輔:桜花昇 小野篁:希望なつ紀 いつもの青年館と違い花が沢山で良い香り(^O^) そして、宝塚公演に慣れた者には、青年館の女性トイレがすい てて、男性トイレが行列だなんて何だかビックリ。 引退や退団を決めた役者というのは急に輝きを放ちだすものだけれど、OSKは劇団ごとという状況なので、舞台も ロビースタッフももの凄い勢いを感じます。僕はOSK観劇3回目だけれど、客の入りや反応も、作品の仕上がりも、 前2回とは雲泥の差。特に前回の東京公演「ASUKAの嵐」はつまらなかったけど、今回は面白い!! 芝居は新人 公演レベルだけど、それをダンスで補ってるかな。ダンス力は相変わらず素晴らしく、どんなちょっとした動きにも見惚 れてしまう。キレの良さ、動きの大きさ、共に他のミュージカル集団と比べてもダントツの実力。宝塚と違って、男役と 女役の絡みよりも、それぞれのダンステクニックを披露しあうという印象がある劇団なんだけれど、これはこれでナカ ナカ見応えあり。ラインダンスなんて、人数は少ないのにあまりの完成度に思わずブラボーでんがな。(初日から千秋 楽までず〜っと生ぬるい&手抜きの続いた某ラインダンスとは大違い)。シンプルながらも階段を上手に活用した立 体感ある演出も迫力がありました。公演規模といい、出演者の数といい、宝塚のバウ・ミュージカルのクラスですが、 心意気次第でこんなにも豪華で生きの良い公演になるなんて、人間って凄いな、と思った次第。 3月2日(日)13:00-15:15 来日カンパニー「BRING IN'DA NOISE BRING IN'DA FUNK」@赤坂ACTシアター S席10800円(CLUB JCB割引) 12列27番 演出:GEORGE C. WOLFE 振付:SAVION GLOVER パンフレット:1500円 AMPの「白鳥の湖」に続いてオリジナル・キャスト(セヴィアン)が参加という豪華な来日公演。確かに素晴らしいダ ンスでした。でも、でも、でもね、僕はこの公演嫌いなんです。タップの技術優先で、エンターテイメントとしてはいかが なものかな?という印象を最後まで持ち続けていました。もちろん、作品の中での主張から察するに、狙いとして、今 までにないショーをめざしたらしので、単に僕との相性が悪いだけかもしれないんだけれど、もっと観客にアピールす る役者や、連係プレーが見ものの公演の方が僕は好きです。自分のダンス場面が終わったらボーっとしている人た ちというはいかがなものでしょう? 作品としては、黒人の歴史、アメリカの歴史を踏まえた素晴らしい物だと思うんだ けれど、構成・演出については別物の方が良いなぁ。コンセプトと仕上がりに溝がある感じ。同じ来日公演でも「白鳥 の湖」の方がレベルも仕上がりも高いし、僕の好みでもあるなぁ。セヴィアンもダンサーとしてはともかく、ショースター としてはちと弱い印象。群舞(って言うのか?)になると埋もれてしまうもの。オーラが足りないのかなぁ??? 「努 力」だとか「汗臭さ」に魅力を感じる人にはたまらないショーだけれど、「涼しい顔して凄い技術」だとか「洗練さ」を求 める人には向かないと思う。良い悪いじゃなく、好き嫌いの問題ですけど。 3月2日(日)17:00-19:25 「チャーリーはどこだ?」@東京芸術劇場中ホール A席5500円 2階B列33番 演出:勝田安彦 パンフレット:1000円 チャーリー:岡幸二郎 エイミー:シルビア・グラブ キティ:井料瑠美 ジャック:安崎求 スペッティ:園岡新太郎 ブラセット:舘関太 ドナ・ルーシア:旺なつき サー・フランシス:浜畑賢吉 きっと一年後にはあらすじすら忘れてしまいそうな、いわゆる「古き良き時代を感じさせる軽い作品」なんだけれど、 出演者はそれぞれ自分の得意分野(ってことは、岡さん=女装ね・笑)で活躍し、展開も演出も目新しいものはない んだけれど、まるで「水戸黄門」を見る時のように、予想通りの展開を破綻も緊張もなく、最後まで楽しめる舞台。毎 回大作だったり、恍惚となってしまう作品では疲れ果ててしまうけれど、リラックスしっぱなしもたまには良いよぉ。歌 は安心して聴けるメンバーが揃ったし、古い作品なのでダンスや芝居は軽いものだけれど気が利いているし、何だか テレビのバラエティ番組を見ているような気分。ハンサムな男の子が女装をすることによって困難を切り抜けるという コメディなんだけれど、岡さんの女装はあまりに綺麗なので、それはそれで見ものなので、女装で登場のシーンは笑 いよりもため息の方が多かったかも。 3月4日(火)18:30-21:00 「ファンタスティックス」@リリア・メインホール A席4000円 2階29列41番 演出:宮本亜門 パンフレット:1000円 マット:井上芳雄 ルイーザ:高塚恵理子 ベロミー:斉藤暁 ハックルビー:岸博之 モーティマー:なすび ヘンリー:二瓶鮫一 エル・ガヨ:山路和弘 ジャンジャンで上演されてたミニマム・ミュージカルという印象があったので,リリアという大空間でどうなるのかと思 いきや,求心力のある素敵な舞台でした。大劇場で上演されるミュージカルがシンフォニーだとしたら、ファンタスティ ックスは室内楽のような繊細な作品。ま、それを王子ホールではなく、サントリーホールで上演してしまう、というよう な無茶苦茶な状況なのですが、どっこい、どっこい結構楽しかった! 井上君は帝劇でのミュージカルでの実績が物 を言ってか、一番エネルギーを感じました。いちばん後ろの席の僕が言うんだからコレホント。声の飛ばし方だとか、 表現の大きさというのが大劇場向き。そして、大編成のオーケストラやコーラスが一緒だと埋もれてしまうリリコ・レッ ジェーロの声も、今回の編成にはドンピシャリ。ルドルフにせよモーツァルトにせよ、30代の男性を演じるにはまだま だ苦しいけれど、大学生役はすんなりはまり(って、現役の大学生ですものねぇ・笑)、今回初めて「井上君良いじゃ ん!」と思いましたさ。ストレートな発声・音色も役柄にぴったりで気持ち良かったなぁ。彼はさりげなく軽く歌うのが上 手いね。キャスティングした人にブラボーです。 反面、井上君意外のキャストがかすんでしまい、マットが主役の作品になってしまった印象あり。これは狂言回し役 でもあるエル・ガヨの華のなさ、存在感のなさにも問題あり。そして、ルイーザちゃんは歌も芝居も頑張れ〜。一人舞 台はダメよん。ミュージカルに不慣れな面々は、何といっても、エネルギーの不足、演技の小ささを感じてしまった。ド ンッと見得を切る作品ではないものの、芝居の中で歌ったり踊ったりという、非日常な事を納得させるにはそれなりの 特殊技能が必要でして、芝居畑の人がミュージカルに参加することの難しさを感じたのでした。萎縮したり、照れが 入ったりしちゃいけませんがな。とはいえ、今回は出演者の一人一人がバラバラのジャンル出身だったので、それぞ れの特性を比べられて興味深くはありましたし、この規模の作品ならば、バラバラなりに何となくまとまりが感じられ る部分があって、なかなか勉強になりました。脇役の面々は歌手ではないけれど、芝居歌としては悪くなかったし、 大劇場ミュージカルでは見ることのない、丁寧な演技を披露してくれてたし。うん、楽しかった! 演出はねぇ、若い者同士の愛情や絆をあまり感じられなかったのと、観客なんだか出演者なんだかわからない中 途半端なアンサンブルの使い方に疑問を抱きました。どちらも、芝居に入り込む妨げになってしまたのでね。それで も、サラリとした亜門さん流の笑いは健在だし、ドタバタのシーンの躍動感、フィナーレの空間の広がりの感じさせ方 (どうってことないシーンなのに背中がゾクゾクしました!)には「さすが」と唸ったのでした。亜門さんはちょこまかした 作品よりも、ノスタルジックな作品に現代的スピードを与えるのが上手いと思うな。 3月6日(木)19:00-21:35 アドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ「白鳥の湖」初日@オーチャードホール B席8000円 2階6列39番 演出・振付・脚本:MATTHEW BOURNE パンフレット:2000円 ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:アダム・クーパー 王子:ベン・ライト 女王:マーガリート・ポーター 執事:スティーヴ・カーカム ガールフレンド:フィオナ=マリー・チヴァース 幼年の王子:サイモン・カレイスコス 初日があまりに良かったので、また観に来てしまった。当日発表のトリプル・キャストにもかかわらず、本日もクーパ ー&ライトのゴールデン・コンビ。同行のらっしいが勢いある感想を送ってくれたので、本人了承の上、転載。終演後 は幸せ気分でお茶したんだけれど、具体的な感想よりも「良かったね〜」の繰り返しばかり。ただただ幸せでした。 ぼ〜〜〜っ♪ こんなに物語りにのめりこんで舞台を観たのって久しぶり! 最初はね、王子の置かれた立場が、 少ないセットの中でテンポよく進んでいくなぁ〜、 状況説明、うまいなあ〜なんて、余裕で見ていたんだけれど、 王女(母親)に“拒絶”されるシーンあたりからもう、ぐしょぐしょね。 散々もみくしゃになった挙句、鏡の前でうなだれる王子の肩に手を添え、 「姿勢を正しなさい!」という仕草をして去っていったの、覚えてる? 肩を抱いてくれるわけじゃなかったんだよ〜〜。おろろーん! (ここで抱かれてたらお話にならないけどね。) この母親も、愛されてこなかったんじゃないか?って思うの。 だから男をとっかえひっかえ・・・。 王子も母親である王女も、愛が欠落してるのよ。 呑んだくれてボロボロになった状態で、白鳥達に出会うでしょ。 前半最後、充ち満ちた顔で遺書を破り捨て、公園をさってゆく王子の表情、 も〜う、ぐっときたねぇ! よかったねぇよかったねぇ、あんた、よかったねぇ。。。(えぐえぐ) 気分は、氷川きよし聞きに来てるおばちゃんよぉ! 白鳥アダム・クーパーも、ワルっぽさがたまらんけど、 あたしゃ、今日のヒットは断然王子ベン・ライトだね♪ 情けなくて情けなくて・・・。 舞踏会ではクーパーに振られ、挙句自分が最も欲しかった母親の愛は クーパーに向けられ・・・。踏んだり蹴ったりさぁ! 終幕の白鳥たちの集団リンチ、 あれはやっぱり「掟破りへ」の処罰なんだろうね。。。 ヒッチコックの「鳥」を見てるようだったよ。 公園で出会ったあの白鳥達とは思えない、執拗さ。 動きがリアル! 特に背筋、三角筋のあたりの使い方、胸の開き方が、 ものすごくリアル! 幻想の中のリアルが、また興奮を煽るよね〜。 立ち上がれ、王子ベンライト!!! いまこそ君がクーパーを救う、 つまり、欲するばかりだった愛を与える時だ!!! なんて、拳を握り締め両頬を涙でべろべろにしながら応援してたんだけれど、 助けになんか行けないままクーパー死んじゃったじゃん!!! 情けないぞ〜!と思ったら、 ベンライト、ぐしょぐしょになって泣いてるの。 ああもう、ぎゅーーーーーーー♪ 白鳥クーパーもさぁ、本当は公園で出会った王子に恋をして、 舞踏会に探しに来たんだよ・・・。ニヒルだけど遊びじゃなかったの。 だから、瀕死の状態でやっぱり王子に会いに来たの。 このまえ言えなかったけど、本当は・・・って。 ああも〜う、近松じゃないんだから、あの世で結ばれてどうすんのよぉ! も〜う、おばちゃん、泣いて泣いてぐしょぐしょです。 チャイコ、ブラビッシモ!です。 この作品と出会えたこの曲って幸せなんじゃないかなぁ。。。 音楽の起伏と、内容の起伏がとてもしっくりしてるよね。 バーの場面はバーのような音楽でなくても表現できる、 これは新鮮な驚きでした。DVD買います。 もうねぇ、てるちゃん感謝感謝よ〜。 夏にぱらぱらチラシを見てた時の「これ、いいよぉ♪」その一言がなかったら、注目してなかったよ。ほんとっ、ありが とーーーー。 パンフ、雨に濡れちゃったの。 それを理由にもう一度いっちゃうのかなぁ、わたし♪ その前に、なくした封筒探さなきゃ。・・・5萬円。(苦笑) アダム・クーパー&ベン・ライト このゴールデンコンビで観ちゃうと、 別の意味で、首藤ちゃんも気になる。がんばれ! 3月7日(金)18:30-21:25 藤原歌劇団「ロッシーニ:イタリアのトルコ人」@東京文化会館 E席4500円 5階R1列32番 指揮:マウリツィオ・ベニーニ 演出:ピエール・ルイージ・ピッツィ 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 パンフレット:1200円 フィオリッラ:マリエッラ・デヴィーア セリム:マルコ・ヴィンコ ドン・ナルチーゾ:ラウル・ヒメネス ドン・ジェローニオ:ホセ・フリアン・フロンタル 詩人:ロレンツォ・レガッツォ ザイダ:森山京子 アルバザール:市川和彦 3月8日(土)16:30-19:25 竜小太郎「華薫園春駒鳥囀」@浅草大勝館 指定席4000円 ホ列1番 演出:中原薫 パンフレット:500円 はまりました! 面白い〜!! 大衆演劇だし、浅草だし、料金は安いしで、はっきり言って馬鹿にしていたんだけ れど、ショービジネスはかくあるべき!というお手本のような舞台。 第一部は洋物の歌謡ショー。一曲歌い終わった段階でおばちゃまのプレゼント攻撃。遠慮するかと思いきや「これ からもどんどん持ってきてね」ですと。そのストレートさ、よその劇場では考えられない正直さにいきなりノックアウト。 そういや、ゲストで出演の面々も、自分の芸名を売り込むわ、CDやコンサートの予定は売り込むわで、何でもあり! 状態。童謡を歌ったかと思えば宴会芸に近い歌にあわせての日舞。テレビのバラエティ番組を見ている感覚で、おば ちゃんおじちゃん大満足。 第二部は人情芝居。十日ごとに出し物が替わるんだけれど、ストーリーがあまりにも簡単すぎて、何ていうんでし ょ、登場人物の紹介があったかと思ったら即ちゃんばら。あっと言う間に一件落着。さっきまでの今風のスーツ姿のお 兄ちゃんがいきなりヤクザ姿で現れ(なかなかサマになってたっ!)、べらんめぇ調で笑いを取る。……何だかNHK の「お江戸でござる」みたい、と思ってたんだけれど、作者が一緒でした(笑) でも、わざわざ凄い作者を使わなくて も、と思う作品。もうね、役者の芸を楽しめばそれで良いという舞台。 そしてそして第三部の早替わり舞踊ショウ。早替わりの回数の多さ・スピーディさはかの宝塚歌劇団が各駅停車に 思える程の超特急。この座長さん、28歳とあって、女形が目茶苦茶綺麗。それでいて、マジメな顔をしながら、ふとし た瞬間に笑いを取り、そして、次の瞬間にはまた澄ました二枚目に戻ってる。こんな芸風も、「私を見て〜」のアピー ルの強さも、何だか大地真央の舞台を見ているような気分にさせられました。舞台を気持ち良さそうに努めているとこ ろも一緒。酔わせる部分、笑わせる部分の配分・切り替えが抜群でした。後援会に入っちゃおうかなぁ(マジ)。古今 東西なんでもござれの舞台のあまりの変わり身の激しさに身をよじって笑うこと三時間。マドンナで唄い踊ったかと思 いきや、次はいきなり演歌だもの。そして、何よりも、座長さんが客席を練り歩き、おばちゃま方が狂乱しながらお札 を着物の懐にねじ込む姿を生でみられて感動。ただ練り歩くのではなく、ショーのクライマックスの一つとして、笑いを 取りながらのご祝儀回収。普段の生活では絶対に言えないような事、やれないような事のオンパレードに僕のおメメ は全開状態(それでも小さいけどさ・涙)、 客席も一斉にハンカチを振ったり、踊ったりで一体感があったなぁ。劇場は非常にボロボロなんだけれど、客席と舞 台との一体感、熱さに感激。そして、まだまだ知らぬ未知の劇場との出会いに興奮しっぱなしでした。また是非観た い〜!!! 機会があったらだまされたと思って、一度足をお運びくださいまし。ただし、はまってしまっても責任は取 りませんよぉ、はい。 2003年3月11日(火)13:00-16:05 宝塚歌劇団宙組「傭兵ピエール」「満天星大夜總会」@宝塚大劇場 S席7500円 1階10列67番 演出:石田昌也(ピエール),齋藤吉正(満点星) パンフレット:1000円 ピエール:和央ようか ジャンヌ・ダルク:花總まり トマ:伊織直加 ロベール:水夏希 ヨランド:邦なつき コーション:箙かおる イヴォンヌ:出雲綾 アニエス:貴柳みどり ラ・イール:椿火呂花 カトリーヌ:華宮あいり ルイーズ:彩乃かなみ 安心と信頼の宙組公演だったはずが、今回は芝居もショーも僕にはダメでした。今回の遠征がmy楽になっても構 わない位。東京公演は一回で良いやってところかな。作品・仕上がりともに僕の好みとは大違い。 で、芝居では何が良くないかというと、題材。よくもまぁこんな作品が企画会議で通ったなと関心する程、宝塚にふ さわしくないと思える作品。男役はほとんどが荒くれ男で女に飢えている傭兵、女役は娼婦かばかり。どこが「清く正 しく美しくやねんっ!」と文句を言いたくなりまんがな。役からして仕方ないんだけれど、男役はほとんどの場面は甲 冑を身につけているので、とにかく灰色の群集がうろうろしているだけ、腕もあげられないのでダンスも映えず。かと いって、堕落した雰囲気や荒々しさを宝塚に求めるのも無理だしなぁ。そんな中、暴行・淫行・強姦シーンの連続とも なるとコメディシーンすら笑えませんがな。「操はあげるって言ったでしょ!」だとか「私は何十人もの男たちに犯され ました」だとか言われても、宝塚のリアル感のない舞台だと、視覚的説得力はないので(衣装の着こなしやメイクは いつも通りでしょ)、逆にAVっぽくなってしまうんですよねぇ。品位がないっていうのかな。いえね、別の小劇場劇団で の上演だったら気にならないのでしょうが、出演者は20代の嫁入り前のお嬢さんなわけだし、観客層を考えても、あ んまりだよなぁ、と生徒たちが気の毒になったのでした。この公演で退団の伊織嬢なんて、いくら後ろ姿とはいえ、ソ ープランドでズボンがずり落ちてしまい、性器を(トップ娘役に)さらすというのが見せ場。「見てはいけないものを見て しまいました(byジャンヌ)」ってこっちの台詞だよぉ(泣) 生徒たちは懸命に演じてはいたけれど、正しい性風俗と(っ て知ってるわけじゃないけど)、宝塚の芸風とのギャップはどんなに演出家が頑張ってもねぇ。。。さすがにソープラン ドの見学なんてできないだろうし。 で、ショーはというとやたらとチープな作品。全体的にヤマやタニがないので、平坦な印象。トップ娘役の花ちゃんの 場面で「HANACHANG」というシーンがあるんだけれど、「モーニング娘。のノリ」というのが宝塚にいかに合わない か、というのを証明しただけの場面となっていました。とにもかくにも、舞台上では黄色い声が飛び交ってるものの、 客席が寒い寒い。ラインダンスも相変わらず恐かった。。。 水君はいつの間にやらしっかりと歌えるようになってたし、椿嬢なんて最後の公演にして大脱皮。今まで存在感が なかったので、すみません、今日も出演しているなんてすっかり忘れてしまってた。おかげで「誰? 専科生!?」と 休憩時間にあわててパンフをめくってビックリ。灰色の集団の中にあって、黒の衣装というのも目立ったし、芝居も唯 一まともな台詞揃いとあってか、格好良く決めてた! ショーなんて「ちゃんと歌えている」と思うとそれは椿嬢。最後 の最後に素晴らしい舞台を見せたというのは嬉しいけれど、反面、今までどうして頑張らなかった〜と歯がゆい気持 ちにもなる。残念ながらトップの和央さんは芝居は締まらないし(しつこいようだけれど、締まってたらそれはそれで嫌 だ・笑)、歌は相変わらず何を歌っているかわからないし、困ったなぁ。。。印象に残っているのは「Hさせてくれるんだ よな?」だとか「女を抱きに行くぞ」だとか、男役とはいえ、嫁入り前のお嬢さんには違いないだけに、観ていて痛々し かった。相変わらず格好良いんだけどね、いつも程にはのめりこみを感じられなかったな。花ちゃんは芝居もショーも 主演状態。この方は上手い下手のレベルを超越しています。でも、「鳳凰伝」に続き、「花ちゃんいじめ!?」とも思え る台詞のオンパレード。花ちゃんだからどうにかまとめていたけれど、他組のトップ娘役にはとうてい振れないよぉ (涙) 歌は「鳳凰伝」の時の方が花ちゃんに合っている曲が多かったかな。でも、彼女のダンスは切れが良くて、組 子を率いるという意気込みが伝わっているので大好き。ダンスそのもののテクニックというよりも、さすがに魅せ方が 上手い! ちょっと男役っぽいダンスが似合うのかな。 2003年3月11日(火)18:00-19:40 宝塚歌劇団宙組「傭兵ピエール」新人公演@宝塚大劇場 A席3000円 1階22列50番 演出:石田昌也,稲葉太地 パンフレット:無料 ピエール:悠未ひろ ジャンヌ・ダルク:彩乃かなみ トマ:七帆ひかる ロベール:十輝いりす ヨランド:芽映はるか コーション:天羽珠紀 イヴォンヌ:月城美咲 アニエス:美羽あさひ ラ・イール:和涼華 カトリーヌ:音乃いずみ ルイーズ:咲花杏 「彩乃かなみ嬢と仲間たち」みたいな公演。既に本公演でも活躍しているかなみ嬢だけが技術的にも余裕の面でも 別格状態。本公も新公も「ジャンヌダルク」が主演でした。宙組は本公演で新人さんがほとんど使われないという伝統 があるので、その他の新人さんたちは「あなた誰?」状態。初の大役とあって、ガタガタになっている生徒さんたちが 見られたという意味では貴重な体験だったけどね。(特に男役は)誰も彼もがガタガタ震えているように見えて、自分 をアピールする、というレベルまで達している生徒は見受けられなかったな。ま、そこが初々しくうつるか物足りない かは人それぞれ。宙組はタッパの高い男役が多いんだけれど、それに安心してか、男役としての技術の研鑚を怠っ ている生徒が多いように思えました。動きが妙に女の子。どうも舞台の温度が低く感じてしまうんですよねぇ。宙組は 本公演ですら「コメディ、へったくそ」なので、新人公演ともなると、コメディとしての残骸状態。どうして新人公演って、 こう下品なお笑いに持っていくんだろう? フランスのコメディではなく、吉本になってるなぁ、と感じるのは僕が関西 人でないから!?!? このあたりは関西の人たちのご意見を聞いてみたいなぁ。唯一安心マークのかなみ嬢ですら、コメ ディ芝居は苦しかった〜。台詞の応酬・間が他の役者とバランスを取りきれてなかった。でも、でも、この作品をこの 座組みでどう演じろと言うのだぁ!? 上手かったらそれはそれで問題だぞぉ(爆) そして、コメディ部分の粒が立たな いので、余計に台詞のエロエロ感がUPしたのでした。宝塚から爽やかさを差し引いてどうするっていうのさぁぁぁぁぁ (号泣) 2003年3月16日(日)14:00-16:25 東京都交響楽団チェロパート「第3回おしゃべりコンサート」@めぐろパーシモンホール小ホール 全席自由2500円 6列8番 パンフレット:無料 チェロ:田中雅弘、古川展生、松岡陽平、平田昌平、江口心一、大橋純子、柳瀬順平、岡本和夫、杉原捷子 ソプラノ:山本真由美 フンク:組曲より第1曲、第2曲 バッハ:シャコンヌ ロボス:ブラジル風バッハ第5番 ポッパー:ポロネーズ ポッパー:レクイエム オッフェンバック:ボレロ ヘンデル:私を泣かせてください マルチェッロ:アダージョ ビートルズ:イエスタディ ピアソラ:リベルタンゴ アンダーソン:トランペット吹きの休日 アンダーソン:フィドル・フィドル (アンコール) アンダーソン:フィドル・フィドル さんざん見慣れたつもりの都響のみなさんですが、あらためて一人一人の演奏を聞くことが出来て楽しかった〜。 「おしゃべりコンサート」というタイトルなんだけれど、赤シャツの某主席奏者がマイクを手放さないので、ほとんど独演 会状態。タブーなし、やりたい放題、でも和気藹々でアットホームでした。相変わらずの噛み噛み司会なんだけれど、 気心知れた都響メンバーとの舞台だったせいか、いつもよりも暴走気味。ま、のび太に完璧な司会なんかされちゃあ 楽しみ半減なんだけれど、相手にマイクを一応は振りながらも「次は何を話そうか」考えているのが手に取るようにわ かって、思わず「頑張れ!」と応援しちまいました。相手の反応を見たり引き出したりする余裕はまだないみたい。で も、人間、いっぱいいっぱいの時は素が出てしまうので、それがファンとしては嬉しいところ(だよね?)。たった9人し かいない同僚だというのに、名前を覚えていなかったり、「実家がお肉屋さんです」だけで終わったり、相変わらずの マイペース。でも、いつかのコンサートと大違いなのは、舞台上の仲間がシラーっとなんかせずに、きちんと反応を示 してくれるところ。中年トリオのみなさんなんて「しょうがないなぁ」って雰囲気で甘やかしてたもの(笑) コンサート半 ば、楽屋に楽譜を忘れたのび太は、司会業を投げ捨てて探しに行ったにもかかわらず、結局見つからなかったとか で、40代トリオのおじ様たちに探しに行かせるは、せっかく持ってきてくれたというのに「それじゃない〜」と幼稚園生 のように拒絶反応を示したり、よくぞそこまで!という程、気取りナシ。そういえば、順平君の紹介の時に「甘え上手」 と紹介していたけれど、その瞬間のぶ倶楽一同「それはお前や〜」って突っ込んでたよ〜。都響のチェロパートに関し ては、実年齢よりも、精神年齢が大きく物をいってるんじゃないかな。(松岡さんがのび太よりも年上というのは意外 だったし、順平君だって省太君の弟だと知らなければのび太よりも年上に見える!) 音楽には性格が良く現れると いうけれど、実際この9人のアンサンブルも、勢いのある若手、土台を固めるベテラン、ひょうひょうと演奏する中堅、 とそれぞれが活躍場所を得ていて、良く言えばまるで家族のような、悪く言えば勝手気ままなアンサンブルなんだけ れど、それらがきちんとまとまるのが同じオケの仲間の強みかな。息を合わせるなんて、食事前だものね。選曲も有 名曲に固まることもなく、かといってマニアックに走ることもなく、郊外のホールでの午後のコンサートにはぴったりの ボリュームと洒落っ気。コンサートの内容と会場選びというのは大事ですよね。東京近郊は沢山の種類の音楽ホー ルがあるので、適材適所なプログラミングができるのが強み。これからも、各ホールにあったコンサートを企画してほ しいなぁ。チェロパートでのコンサートも続編希望!! って、何だか演奏とはだいぶかけ離れた感想ついでに、本日のベストドレッサーを残しておこうかと。誰かというと、 メンバー紹介で自分のことを紹介するのを忘れた赤シャツの某主席奏者ではなく、もう一人の主席奏者。珍しくラメが キラキラのシャツでめかしこんできたは良いんだけれど、これが見事に似合ってない! 誰か注意しなかったのかな ぁ!? 典型的な日本人の中年体型なのに、ダボダボのパンツに金のチェーンの老眼鏡をぶらさげてなんているもんだ から、舞台に登場した瞬間、僕なんて両隣の酒理さんとアイコさんをつっついて笑いをこらえるのに必死。演奏はとも かくとして、ルックスでは一番地味なはずな方なのに、もう僕なんて彼から目が離せませんがな。やってくれました。 釘付け。でも、どこかで見覚えがあるなぁ、とコンサート中もずっと聞き続けていたんだけれど、最後の最後に解決。 それはミッキーマウス。体型といい動きといい完璧。耳のかぶりものでもプレゼントしようかなぁ(笑) で、最後に演奏なんですけれど、主席のお二人は他メンバーとのレベルの差を見せ付けてくれました。技術的に も、聞かせ方にしても段違い。もちろん、前メンバー一人一人に聞かせどころが用意されていて、こちらはこちらで楽 しかったし、滅多にソロなんてもらえなさそうなチェリストは本当に嬉しそうに演奏したました。個人的にはイエスタディ のようなさりげなくお洒落な曲が今回のメンバーに一番合っていたような気がしました。ピッツィカートが綺麗なんだ ぁ!! もちろん、超絶技巧の曲は爽快感たっぷりだったし、オリジナルは他の楽器(もしくは声楽)の曲はチェロだけで 演奏するとこれまた違った響きが楽しかったです。でも、のぶ倶楽メンバーに好評だったリベルタンゴは僕としてはあ まり好きじゃなかったな。「自由を熱望する」この曲に関しては色々なショーで使われていて、どうしても「情熱的なダ ンスナンバー」というイメージがあるので、チェロだけの演奏だとパッションと迫力不足を感じてしまいました。 2003年3月28日(金)15:30-18:40 宝塚歌劇団雪組「春麗の淡き光に」「Joyful!」@東京宝塚劇場 B席3500円 2階15列11番 演出:植田紳爾(春麗),藤井大介(Joyful!) パンフレット:1000円 藤原保輔/藤原保昌:朝海ひかる 若狭:舞風りら 源頼光:貴城けい 藤原兼家:汝鳥伶 北の方:飛鳥裕 壬生内侍:灯奈美 野依知親:未来優希 鬼童丸:立樹遥 源頼信:壮一帆 碓井貞光:音月桂 植田作品がヒットするかしないかは役者のタイプによって決まると思います。大芝居が得意なトップだと成功。苦手 なトップだと失敗。そして、今回は大芝居が苦手なトップコンビが主演(涙) 芝居心のないコンビなので、台本は丁 寧になぞっているんだけれど、ただそれだけ。舞台からのエネルギーが二階席届かないのです。トップの朝海ひかる 嬢は遠目には女の子にしか見えず、声色のひきだしも乏しいので、二役が二役に見えず。そういえば、この人が中 心の芝居って、バウの「アンナ・カレーニナ」だけなんですよね。単独二番手の経験すらない=ほとんど芝居らしい芝 居をしたことがないので、今回の芝居は難しかったんじゃないでしょうか? 劇中では保輔のふりをしている保昌に向 かって、若狭が「違います、違います」と化けの皮をはぐシーンがあるのですが「その違いがわかるのは確かにあん ただけだよ!」と突っ込みを入れたくなりましたさ。どの台詞も同じように聞こえるんだもの。そして、舞風りら嬢も相変 わらず自分に酔っている単独演技。二人とも台詞をこなすのに精一杯で、スケールの大きさは皆無。ん〜、中劇場が お似合いなカップルなのかも。貴城けい嬢は、上手い下手以前に、いかにも二番手という押し出しの良さを身につけ たようで、実に華やか。(とはいえ、彼女も妙に女々しい。トップトリオが揃って女の子しているので、僕としては苦手 でした。スマン。) 今回とっても素晴らしかったのが未来優希嬢。専科の誰かかと思ってしまうようなステレオ音声な 台詞、唯一立派な歌唱。惚れ惚れとしました。路線ではないけれど、主要な役を演じられる、貴重なスターとして大 成していただきたいものです。 ショーはね、作品としては楽しいです。まずは美術が素晴らしい。宝塚としては久しぶりに立体感のある装置で、盆 やセリが効果的に使われていました。宝塚観劇の楽しみの一つは舞台転換の見事さなので、これはナカナカ嬉し い。振り付けも舞台空間を上手に使って広がりが感じられました。そして、久しぶりに踊れる&若いトップコンビは、最 初から最後まで全力投球で踊りっぱなし。どこかの誰かさんのように手抜きしないのが心地良かったなぁ。でもね、 でもね、このコンビの冷ややかな関係といったら「!」ですよぉ。お互い勝手に踊っているので、コンビとしての魅力は ゼロ。「芝居が出来ない=歌やダンスにも現れるのですね」と新たな発見。個人的には「トップコンビ」というよりも「ト ップダンサー」としか見えなかった! 二人とも黙って踊っていれば良いんだけれど、不気味な掛け声が入ったり、聞 き苦しい歌が入ったり。もちろん、宝塚だからダンスだけって訳にいかないのは100も承知していますし、下手でもか まわないんですけれど(そういや僕はマリコさん好きでしたし)、「お客様を楽しませよう」という空気が感じられないん ですよねぇ。結局、宝塚のスターでありうる条件って、いかにハッタリが効くかでしょ。スター性で見せきってしまう技 術とでも言うのかな。ダンスだけに集中では、どうしても舞台が小さくなってしまいますがな。 今回は二階席からの観劇でしたが、役者のスター性やアピール度が一発でわかるし、作品全体を眺めることもでき るので、オススメ。あ、振付家の力量とセンスもね。一階前方からの視点でしか振り付けられないスタッフだと空間処 理が目茶苦茶だったりして、かなり厳しいなぁ。トップコンビは頑張って踊っているけれど、群舞のやる気なさといった らこれまたビックリ。宝塚ってラインダンスが売り物のはずだけれど、ここ最近の出来ってひどくないですか? 全員 がバラバラにちんたらちんたら踊るんだもの。今回のショーもまたしかり。たとえ脇役であろうと「私を見て〜」とアピー ルしてくれなきゃ! 雪組って全体的にアピール精神なさすぎ〜。そんなわけで、今回、出番こそ少ないものの、最も トップ娘役らしかったのは白羽ゆり嬢。舞台上での風格といい、アピール度といい、本来のトップ娘さんとは比べ物に ならない立派さ。なんだか、新トップコンビのお披露目公演というよりも、新二番手たちのお披露目公演といったおも むきでした。 2003年3月30日(日)13:00-16:20 東宝「ミー&マイガール」千秋楽@帝国劇場 S席12500円 1階B列33番 演出:山田和也 パンフレット:1500円 ビル・スニブソン:唐沢寿明 サリー・スミス:木村佳乃 ジャッキー:涼風真世 マリア公爵夫人:初風諄 ジョン・トレメイン卿:村井国夫 ジェラルド:本間憲一 パーチェスター:武岡淳一 なんといったって村井さんのダンサーっぷりに圧倒された公演でした。彼が踊る姿なんてはじめてみましたよ。もう お口アングリしちゃいました。ランベス・ウォークの客席降りのシーンなんて、目の前で大汗かきながら踊られちゃった し。渋さとおちゃめさが共存の素晴らしいジョン卿でした。あ、村井さんから書いちゃったら収集つかなくなるなぁ(笑) 村井さんに限らず、東宝としてはなかなか無理のないキャスティングがなされていたと思いますが、中でも唐沢さん の魅力が爆発! ちゃんとガラの悪い中年男だったぁ。ロンドンの下町訛りをベランメェ言葉にうまく置き換えてあるん だけれど、芝居も緩急自在だし、技術的にも問題なし。こんなに安心して観られるミュージカルスターも久しぶり。華も 実もある、まさに今、油が乗っている最高の状態の役者が観られる喜びよ! 千秋楽らしく、あちこちにお遊びが入っ ていたけれど、何があっても受けて立ちます!という協力な共演陣の頼もしいことといったら! コメディはガチガチに 演じられたってつまらないんだけれど、出演者が心から舞台を楽しんでいるのが客席にも伝わってきて(ちょっとした 仕草や目線でわかるでしょ)、観ているこちらも幸せ気分。 宝塚で観慣れた作品ですけれど、こうして東宝版を観ると、いかに宝塚で上演するにあたって、手をいれられていた かが良くわかって興味深かったです。通常は「すみれコード」による改定だけれど、「ミーマイ」に関しては、年齢や階 級に関する改定。そんなわけで、年齢差や階級差別の設定を元に戻した今回の公演はまた新たな発見もあって楽し かった〜。そして、帝劇公演だと、装置は立体的だし、豪華だし、なかなか素晴らしい出来でした。 で、今回、唯一足を引っ張っていたのが本間君。貴族の坊ちゃんの役だというのに何たる品の悪さ。「下品な演技 をしても品良く感じる唐沢ビル」が真横にいるだけに、余計に庶民的なのが際立つなんて皮肉なものです。歌や芝居 も弱いので(そして、得意のダンスシーンは少ないので)、他役者との演技のコミュニケーションは取れず、ショーシー ンでもアピールすべきところがアピールできず、違和感のある部分のみ悪目立ち。ジェラルドのボンボン度が際立た ないため、この作品の要ともいえる、階級差の物語の部分が際立たないのは問題です。ま、これは演出家のせいで もある??? 相変わらず、山も谷もなく、時代設定の移行は徹底されておらず、また、わざわざ新しい歌詞に変更し た意義も感じられず(新しい歌詞も、階級差が感じにくくなった原因かと思います)。木村佳乃嬢は今日の席からでも 表現の小ささを感じました。まだまだ帝劇は彼女には大きすぎるみたい。上手いのか下手なのかも良くわからない や。でも、スタイルは良いし、華やかな雰囲気を持った人なので、これから沢山レッスンを重ねて、素敵なミュージカ ルスターに成長していただきたいな、と思っています。 2003年3月31日(月)13:00-15:35 宝塚歌劇団花組「不滅の棘」@赤坂ACTシアター B席3500円 27列10番 演出:木村信司 パンフレット:600円 エロール・マックスウェル/エリイ・マック・グレゴル/エリイ・マクロプロス:春野すみれ フリーダ・ムハ/フリーダ・プルス:ふづき美世 アルベルト:瀬奈じゅん ハンス:彩吹真央 コレナティ:夏美よう タチアナ:梨花ますみ クリスティーナ:遠野あすか 宝塚にしてはシンプルを極めた舞台で、どこかのバレエ団かヨーロッパのオペラハウスのような(日本やアメリカで はありえないな、たぶん)美術。衣装はトップから最下級生まで白一色。これといったダンスシーンはなく、主役以外 はこれといった見せ場も少ない。……なぁんて書くと、どこかの組の舞台についてみたいだけれど、これが何と花組 の舞台。そして出ずっぱり、歌いっぱなしのトップさんが素晴らしかった! 舞台の色味が少なかったり、シンプルだ ったり、時間の変化の大きい舞台というのは今までにもあったけれど、空回りせずにきちんと作品としてまとまるのは 木村先生のお力のおかげ。変に凝ることもなく、正統な技法で、宝塚的舞台に昇華させた手腕に脱帽。あ、でも、作 品の好き嫌いとなるとこれは別問題ですけどね(笑) トップのすみれ嬢は発声といい、歌いまわしといい、昨今の宝塚のトップさんたちの中でもっともミュージカル役者と しての歌唱力があると僕は思っているんだけれど、幕開きから最後まで惚れ惚れするような歌いっぷり。実質的なト ップお披露目公演は代役公演だったということもあり、彼女に合った歌が少なかったし、「エリザベート」は女声だけと いうことで無理している、という印象があったけれど、やっぱり、主演者に合わせて作られた(もしくは選ばれた)曲が 揃うと、まことに聴き応えありです。二番手経験はほとんどないに等しいし、学年的にも、先日東京でトップお披露目 した某組のトップさんと同じ学年だというのに、圧倒的な貫禄と存在感。特に僕のタイプじゃないんだけれど、そのトッ プ・オーラにはははぁとひれ伏して参りましたさ。 二番手の瀬奈アサコ嬢は、他キャストと同じ白い衣装しか着てなかったはずなんだけれど、観終わっての印象は 「黒の人」。色濃くって、出番が少ないのにちゃんと存在感があって、歌もちょこっとだけ上達していて嬉しい限り。新ト ップ娘役のふづき嬢は、舞台の上ではさほど野暮ったさが目立たなかったし、技術的にもまずまず。どちらかという と、相手に寄り添うタイプらしいので、僕には用なしだけれど、ある意味とっても花組らしい人事かな? 嬉しかった役 者は梨花ますみ副組長と、遠野あすか嬢のお二人。今までは僕は彼女たちが大っ嫌いだったんですけれど(きーき ーとけたたましいだけ、という印象)、今回は二人とも抑えた演技、抑えた歌唱も可能だということを披露し、変な絶叫 がなかったのがイイ。リズミカルな曲が少なく、全体的に「朗々とした歌唱の中で繰り広げられる物語」に仕上がって いたのが吉なのかな。そういや、トップさんがリズミカルなもの苦手でしたものね。あれ、ってことは、これからしばらく は、結構オイシイ方向に組が進むのかも。これからしばらく目が離せない組になりそうです。 |