2003年5月の観劇記録・観劇日記

●5日(月・祝)18時〜 東宝「風と共に去りぬ」初日@帝国劇場
●10日(土)16時半〜 宝塚歌劇団星組「雨に唄えば」@日生劇場
●11日(日)15時〜 <秋篠の宴> 母の日コンサート 古川展生・由美デュオコンサート@秋篠音楽堂
●12日(月)13時〜 宝塚歌劇団月組「花の宝塚風土記」「シニョール ドン・ファン」@宝塚大劇場
●13日(火)11時半〜 映画「CIHCAGO」@ららぽーと松竹
●13日(火)19時〜 中鉢聡「B→C」@東京オペラシティ・リサイタルホール
●17日(土)14時〜 新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」@新国立劇場オペラ劇場
●18日(日)17時〜 宝塚歌劇団星組「蝶・恋」「サザンクロス・レビューV」@さいたま市文化センター
●23日(金)18時半〜 家田紀子&中鉢聡@すみだトリフォニーホール小ホール



5月5日(月・祝)18:00-21:35
東宝「風と共に去りぬ」@帝国劇場
B席4000円 2階L列48番

演出:山田和也
パンフレット:1500円

 スカーレット:大地真央
 レット・バトラー:今井清隆
 メラニー:杜けあき
 アシュレー・ウィルクス:岡幸二郎
 ベル・ワトリング:寿ひずる
 マミー:花山佳子
 ピティパット:木村有里
 フランク・ケネディ:藤堂新ニ
 チャールズ・ハミルトン:安崎求
 プリシー:植田チコ
 ミード博士:福沢良一

 台本と演出が初演とだいぶ変わってる〜。やたらと尻切れトンボ、盛り上がり不足を感じた初演だったけれど、いつ
の間にやら決めの台詞が挿入され、立派な大河ドラマになってて、誠に見応えのある3時間半。あれっ、前回はプレ
ビュー公演だったのかしらん? それゆえか、今日は初日だというのに、二階席は空席が目立ちました。僕の前の列
と後ろの席は誰もいませんでしたし。実は僕もまったく期待なんぞしてなかったんだけれど嬉しいことに、新キャストは
おおむね成功。演出もあちこち手直しされていてこちらも上々。あ、僕が久し振りの劇場ということで点数が甘くなって
いるだけだったりしてf^_^;
 前回はアシュレーが感動的に似合わなかった今井さんだけれど、バトラー役者としては素晴らしかった! 今まで
観てきた中で最高のバトラー。美しくはないけどね(-_-;) 体格が良いから,スカーレットがぶつかっても暴れてもびく
ともしないし,声に迫力があるから,ドラマが盛り上がること盛り上がること。アシュレーを演じた時みたいに照れてな
いのが嬉しい。舞台で照れられるとこっちも困るもんねぇ。封鎖破りをしたり、無法地帯をボロ馬車に女子供を乗せて
突っ切ったり、さらには強引にスカーレットを自分の物にしようとするのが無理なくはまる男臭さ。それでいて、内面は
ナイーブというのがくっきりはっきり。ず〜っとコントロールしていた感情が、スカーレットの度重なる裏切りについに押
さえ切れなくなってしまうんだけれど、ついに爆発するところの感情表現の素晴らしいこと。ドラマティック・バリトンの
声で劇場中に怒鳴り声を反響した時にはこちらもびっくりして椅子から飛び上がってしまいましたさ。
 そして、今井さんのバトラーを支えたのがメラニーとベル。そういや、今回は宝塚出身女優VS四季出身男優の競演
なんですね(今井さんは元々東宝だから、四季出身とは言い難いか。。。)。スカーレットとタイプは違うけれど、レット
を愛し、そしてレットに愛された女たち。そりゃね、真央スカーレットと並べば役柄も役者も地味だよ。でもね、この二
人がじっくりと良い芝居を見せてくれるからこそ、真央さんとのシーンが引き立つのだぁ。宝塚のバトラー編の特徴と
して、スカーレットUが登場して、スカーレットの本音を観客に説明するという手法が取られていたけれど、今回はメラ
ニーとベルがそれぞれレットU、レットVのような存在で、レットの心情・本音を知らしめるという手法。もちろん、主役
はスカーレットなんだけれど、表現方法の多彩さで、実質的な主役はレット・バトラーになってた! 男性的な部分の
表現は今井さん、ナイーブで繊細な心の持ち主の部分はカリンチョさん、スカーレットへの本音の部分はイーちゃんっ
て感じかな。この構成は初演も同じなんだけれど、演技の出来ない山○祐○郎さんと違ってみんながちゃんと芝居を
してくれるので、盛り上がるんですよぉ。すでにわかっている展開なのに泣けてくるぅ〜。(あ、バトラーの二幕最大の
聞かせどころ「拳」だけは祐さんの方が上。芝居に関係なく無理やり盛り上げるのは祐さん得意ですよねぇ。今井さ
んはミュージカルナンバーも芝居しちゃうので、ショーストップにすべきナンバーのスケールが小さくなってしまうきらい
あり。この点の歌いわけが上手いのがカリンチョさん。さすがに元トップだけのことがあります)。
 で、真央さんです。えっと、ファンの僕が言うのもアレですけれど、演技はだんだんひどくなっているかも。今さら技術
だあれこれ言うことはありません、あきらめています。でも、摩訶不思議な台詞回しには仰天。どうして、客席で誰も
噴出してしまわないんでしょう? 若作りのためか、単に大根だからか、あまりのぶりっ子演技に見ていてこっちの首
筋がムズムズしますがな。彼女のシリアス芝居は大嫌いだぁ。。。 さて、こんなに文句を言いつつ、なぜ僕が彼女
の舞台に足を運んだかというと、そのオーラを拝みたいから。タラの税金を払うため、アトランタまで資金調達に出るで
しょ。その際、カーテンの生地を使ってドレスを作るんだけれど「これを使って豪華なドレスをつくりましょうよ」と、カー
テンを肩にかけるだけなんだけれど、真央さんだと、もうそれだけでゴージャスに光り輝いてしまうのです。カーテンの
下はボロボロの作業着だというのにね。そして、一幕も二幕も舞台装置が飛んだ中、真央さんが一人舞台の中央に
立つんだけれど、何もない空間に一人立っているだけなのに、舞台にスカスカ感がないのはこれまた不思議。もう
ね、それだけで「アンタはスターや」とひれ伏してしまいますよぉ。他に誰がこんな事できますか? ましてや「地味な
ものを選んだ」ドレスをまとって広間の大階段を降りてくる姿はまさに女王様。やたらめったら豪華な衣装をとっかえひ
っかえしている人なので、着こなしやドレスさばきは他の追随を許しません! はぁ。。。
 全体的に出演者の年齢が高いので、アシュレーの岡さんは一人だけ新人公演メンバーが混ざってしまったみた
い。真央さんの、ましてやカリンチョさんの相手役には見えないなぁ。スカーレットやメラニーのヒモ、もしくはペットみ
たい。いえね、すっきりした二枚目なんですよ。そして、現実離れした精神の持ち主のアシュレーなんですけれど、他
の出演者の誰よりもエレガントなんおはいかがなものでしょう(笑) そして、これは僕の個人的な感想で、前回の宝
塚日生公演でも感じたんだけれど、力強くバリバリ肉体労働もこなしてしまいそうな元気印の役者がアシュレーを演
じるのは無理があるなぁ、と。いえ、演技力とはまた別の話ね。歌はね、最近の岡さんの中では最高の出来。
 ……そんなわけで、華やかだけれど一点豪華主義のスカーレット&アシュレー、地味だけれど、地力を見せ付けた
レット&メラニー&ベルという二極化された舞台。本日の初日をもってmy楽の予定でしたが,せっかくなので石井さん
ヴァージョンも観にこようかな,二階B席で(^_^;) 



5月10日(土)16:30-19:40
宝塚歌劇団星組「雨に唄えば」@日生劇場
S席7000円 1階H列13番

演出:中村一徳(ジェイムス・ロッコ、高平哲郎)
パンフレット:1000円

 ドン・ロックウッド:安蘭けい(東山紀之)
 コズモ・ブラウン:大和悠河(川平慈英)
 リナ・モラント:真飛聖(花山佳子)
 キャシー・セルダン:陽月華(薬師丸ひろ子)
 ロスコー・デクスター:萬あきら(坂本あきら)
 ドラ・ベイリー:藤京子(甲斐京子)
 R・F・シンプソン:星原美沙緒(石田太郎)
 ゼルダ・サンダース:五峰亜季(由衣春菜)
 オルガ・マーラ/ミス・ディンスモア:万里柚美(北村岳子/美月麗子)
 ナネット:朝峰ひかり
 ロッド:朝園みき(清郷流号)

 宝塚としては初演だけれど、同じ日生劇場で松竹が上演している作品。上記、( )の中は初演メンバーです。劇場
入りの前に資料を引っ張り出して復習してからの観劇。映画も舞台も観ているくせに、「雨に濡れながら唄い踊る」場
面と、「音痴の大(?)女優が登場する」ということしか記憶なし。ま、ストーリーに重きが置かれていなかった時代の
ミュージカルなので「楽しけりゃOKさ」みたいな舞台ですもの。それはそれで良いのかな。だって、「無声映画時代は
看板女優だったものの、あまりの悪声&音痴のため、新人の若手にスターの座を奪われる」というだけの話。あれ、
じゃあ、主役の男は?というと、あんまり芝居のしどころのない役なのですよねぇ。技術ではなく、雰囲気で魅せるタ
イプの役。そんなわけで、技術の安蘭けいと雰囲気の大和悠河ではありますが、予想以上に大和君が大活躍。
 大和君が月組から宙組への組替が決まったと聞いた時には「大丈夫か!?」とファンでもないのに心配したもので
すが、今回の舞台では一人だけ余裕でコメディを務めてたぁ! 軽いタイプの役で「またか……」の感は否めないもの
の、さすがに数をこなしているだけに上手い! まず何よりも体が良く動きます。元気いっぱいな役を元気いっぱいに
こなすというのは簡単そうでいて結構難しいと思うんですよね。日本人感覚では重くなるし、かといってアメリカ人の
真似だけだと浮いてしまうでしょ。大和君はテンションの高さと、登場するだけで舞台を支配してしまう華とで主役を
圧倒。失礼ながら、彼女が主役を食うようになるとは、、、感無量。彼女は宙組でも立派にやっていけると確信。
 いえね、安蘭けいも頑張ってたんですけど、頑張りが見えちゃった。彼女はコメディに縁がなかったら仕方ないんで
す。舞台は場数だ!を再認識。でも、彼女の場合は、そろそろ役の幅を広げるのが必要かも。江戸物だとか、庶民の
サラリーマンは他の追随を許さないんだけどね。映画界の大スターには見えなかったなぁ。私服がね、どこかの高校
生の制服のような安っぽいセーターを着込んでるんだもの。衣装も小物も安っぽいったらありゃしない。ただでさえ「貧
相だ」「貧乏ったらしい」と言われているんだからもっと質感の良いものを用意してあげれば良いのになぁ。
 そして、今回の検討賞は真飛聖。今まで線の太い男役専門というイメージがあったし、地声も低音でボソボソしゃべ
る人というイメージがあったので、配役を聞いた時には「!?!?」だったのですが、大化けしました。まず、メイクがきれ
い。「広末涼子みたいだね」と噂しあってたんですが、舞台上でも、オカマちゃんにならず、綺麗なお姉さんだったのに
は感心。台詞も「どこから出してるの?」という摩訶不思議な声で、素晴らしかった! でも、まだ彼女ははじけること
ができるハズ。彼女に限らず、今回のメンバーは若手中心ということもあってか、一幕では結構ハッタリが効いても、
二幕になると途端にボロが出てくる人たちが続出。元々の台本が平坦で役者に頼っているというのもあってか、客席
を巻き込む勢いが急に落ちてしまうのがもったいない。ま、これは演出の問題もありまして、ただでさえ奥行きのない
日生劇場の舞台を二分してしまい、舞台奥に生オケを設置してしまったため、演技スペースとして残されているの
は、まるでカーテン前のような細長い空間のみ。こりゃ宝塚ならではの多人数を生かすのも難しいわぁ。でもっ、でも
っ、一番気になったのは、やたらと多い暗転で出てくる大道具さんや、時折姿を現すオケの男性たち。いえね、一般
団体ならばともかく、宝塚の舞台に男性を乗せるのは邪道でしょう。男役たちが急に女の子に見えてしまいますも
の。それにしても、あんなに堂々と男性が舞台に登場(?)する宝塚の舞台をはじめてみました。



5月11日(日)15:00-16:50
古川展生・由美「デュオコンサート」@秋篠音楽堂
全席指定前売ペア券5000円 A列6番

チェロ:のび太
ピアノ:のびママ
パンフレット:無料

 ベートーヴェン:ヘンデルの主題による12の変奏曲ト長調 Op.45
 ブラームス:チェロソナタ第1番 ホ短調 Op.38
(休憩)
 バッハ=グノー:アヴェマリア
 ドヴォルザーク:四つのロマンティックな商品 Op.75より第1曲
 ドヴォルザーク:わが母の教え給いし歌
 ピアソラ:アディオス・ノニーノ
 井上陽水:少年時代
 サン・サーンス:白鳥
 フォーレ:夢のあとに
 ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ
(アンコール)
 ピアソラ:リベルタンゴ
 ワーク:大きな古時計
 カザルス:鳥の歌

 10年近く前に始まったらしい親子競演コンサートも今回が三度目とのこと。関西での開催とあって,客層もいつもと
大違い。「古川センセのところの"のぶおちゃん"」扱いですもの。客席は補助席だしまくり、満員御礼の大盛況(消防
法は大丈夫!?)。思うに,初回はのぶママ主導だったであろうコンサートも,いつの間にか息子が前面に。「母の日
コンサート」なんだから,もっと前面に出れば良いのに(MCものび太が独り占め)。ひたすら息子の引き立て役に徹し
たのぶママの姿に,親子の愛情と信頼を感じました。(そして、のび太ば舞台上でも甘えん坊さん・笑) 僕ももっと母
との連弾に挑戦しよう,親孝行しよう,と考えさせられることが多かったです。
 で,プログラムは上記の通り。のびぃのコンサートとしては珍しいことに,ピアノのフタが全開。そして,それにも関わ
らず,のび太の音がはっきり大きく聞こえる! のぶママは音大の教授として教育活動の傍ら,演奏活動も行ってい
るそうですが,場数の差かなぁ? お母様の演奏にはもの足りなさを感じました。でもね,これは選曲の問題もあり。
だって,お母様のピアノは声でいうとコロラトゥーラで,モーツァルトあたりの作品が限度かと思われるのに,のび太が
力一杯弾くような重い曲が主流なんですもの。弾いてる途中で「疲れちゃったワ」とスタミナと集中力が切れるのがま
るわかり(この部分、母子そっくり・笑)。ベートーヴェンはお母様の希望の曲だったのかな!? つつがなく演奏が終
了したんだけど,問題はブラームス。のび太渾身の熱演(多分,近いうちにリサイタル等でのトリにすることでしょう。
今後プリグラミングされている公演があったら必聴のこと!!)にもかかわらず,ピアノのあまりのぬるさ,アンサンブ
ルとしてのまとまりの悪さゆえか,関東からの遠征組は最前列だったにもかかわらず,全員爆死(-_-)zzz コンサート
の趣旨もわかってたし(東京だったらブーイングになったかも),演奏云々をとやかく言う会ではないと頭ではわかって
いても,体が言うことをきかない〜(T.T) きっとのび太は「押しかけてきて、最前列を占拠したくせに寝やがって!」と
思ってたに違いないことでしょう。まさかまさか全員が寝てしまうだなんて。。。(その夜、僕とらっしいはホテルで「の
び太、寝ちゃってゴメンよぉ」とうなされてしまいましたさ(実話) 「でもさ、熱演と名演は別だよね、正直な観客だよ
ね」と開き直っちゃうのも僕たちなんですけど(汗) 客席はコンサートというよりも発表会のような雰囲気だったのでそ
れでも好意的だったけれど、やっぱり、のび太もここは反省が必要かと思われます、ええ。
 この調子で進行されるのならどうしましょ,困ったなぁと迎えた第二部は打って変わって楽しいひととき。この親子,
音楽的な得意分野は違うものの,性格的には似ているところがあって,なまじ同じ顔をしているだけに面白かった
〜。のぶママはピアノの譜面台に息子のドアップ写真が表紙になった楽譜を並べたあげく「どの曲を弾くんだったかし
ら?」とあっちこっちの楽譜を焦って探しまくってみたり,本番になってから楽譜に開き目の癖をつけようとグイグイ拳を
押し付けてみたり、そして、演奏上は事故が多発してもポーカーフェイスを決め込んでみせたり。この母にしてのび太
ありですな。で,のび太は(きっと)自分からプログラミングしておきながら,のぶママがピアソラやフランス物を楽譜通
り弾くのにいっぱいいっぱいでリズムに乗れないので,なんとか盛り上げようと張り切っているんだけど,これが微笑
ましいんだわ。友人や先輩・後輩とのアイコンタクトとは違い,いつものネットリタイプではなく、さっぱりあっさりという
中、フォローしたり,合図したり,でも時には「どうしよう?」と動揺してみたり(何だか,我が家での僕と母との風景み
たい)。そんな中、のびママの自分の得意・不得意はさておいて息子の希望にひたすら沿おうとする母の姿に打たれ
ましたぁ。そして,全ての演奏が終わった時にみせた「ホッ」とした表情の笑顔が印象的でした。だって,客席で僕ら
が感じていた技術的問題なんて,百も承知らしく,苦手な曲では険しい顔,震える指だったんですよ〜。尚,のぶマ
マの名誉のためにも書いておきますが,得意・不得意の落差は大きくとも,ショパンの細かいパッセージの部分は素
晴らしかったです。(古典派が専門なのかしらん? ロマン派だと力不足) さらに,上っ面ばかり響くホールの音響も
のぶママには合ってなかったかも。ホール選びって大切ですよね。秋篠音楽堂は奥行きなし、舞台幅はやたらと横
広で、響きがあまりよろしくなかった。のび太親子の競演がまたあるとしたら,他のホールで、プログラムも軽目の小
品集がいいなぁ。でもね、でもね、母と息子の競演のコンサートで「アディオス・ノニーノ」を演奏しちゃ駄目だよぉ。の
ぶパパ可哀相〜(苦笑) すねちゃわないのかしらん? いつも思うんだけれど、アンコールピースをサラリと弾くことに
かけては、のび太の才能は並々ならぬものがあると今回も実感。すっかり聞きなれてしまい「これが標準」だと思って
しまうことがあるんだけれど、よそのチェリストに浮気してみると結局、のび太に舞い戻り。
 そうそう,ホールの客席でたまにお見かけするのぶママは温厚なマダムなんだけど,舞台上では貫禄タップリ! 
そして,袖に引っ込む際にのび太に向けるまなざしは限りなく暖かかったです。女性は化けますねぇ。
 最後に・・・かの有名なよっさんたちとのニアミス多かったよ。観光地で一緒,ホール(雅な名前とウラハラに,デパー
ト内のレストラン街の一隅に位置するホールでしたぁ@_@; デパートといってもステータスがもっとカジュアル&チープ
で……えっとねぇ、サティみたいな感じ・笑)への電車はドアまで一緒でした。某HPでお見かけしている写真とそっくり
同じ顔だったぁ。ひーさんも一緒でした。
 のび太ファンのイベントとしては楽しかったけれど、、、僕はもういいや。パスッ!

のびた大好き!
でも、だからこそ、なんでも素敵〜☆と誉め称える盲目的なファンじゃないのよ、私達!
お母さんは素敵だった、本当に。子が幾つになっても親は親なんだねぇ。
のびたも、おかあさんとの共演なんて、最高の親孝行♪ あたしゃ反省しちゃったよ。
でも、それとこれとは別、別です!あのピアノはやっぱり苦手。
わてらお客ですもの。気持ちも身体も解き放ち、感想も解放させなきゃね。
それを受け止めてこそプロ!
母子愛だけで許し合える仲良しクラブじゃないんだからね〜♪
 と、寝てしまったことをどうしても正当化したいだけの私。笑



5月12日(月)13:00-16:05
宝塚歌劇団月組「花の宝塚風土記」「シニョール ドン・ファン@宝塚大劇場
A席5500円 1階22列44番

演出:酒井澄夫(風土記)、植田景子(ドン・ファン)
パンフレット:1000円

 レオ・ヴィスコンティ:紫吹淳
 ジル:映美くらら
 ロドルフォ・ドメス:汐風幸
 セルジィオ:彩輝直
 ルチッラ:夏河ゆら
 ジャン:光樹すばる
 スティーブ・オースティン:大空祐飛
 ジョゼッペ・ベルゴーニ:霧矢大夢
 フィリッポ:月船さらら
 ローサ・ヘミング:美原志帆
 パトリシア:紫城るい
 カトリーヌ:城咲あい

 久しぶりの「春の踊り」は「エキゾティック・ジャパ〜ンに乾杯!」と叫びたくなるような作品。トップ紫吹淳の魅力を
前面に打ち出し,まるで洋物ショーのようなスピーディなノリの良さと,たたみかけるような展開,そして関西色コテコ
テのアクの強さが魅力。和物ショーとしては長めの上演時間なのに,あっと言う間にフィナーレ。
 プロローグは定番のチョンパで幕が開くんだけれど,つい先月まで見ていたどこかの組のものとは違って,エネル
ギーに溢れてるっ! 真ん中のトップさんがいちばん張り切っているから,そして輝きまくっているから,我も負けじと
出演者一同のテンションが高いこと高いこと。通常,重くて動きにくい着物での場面ともなると,振りをなぞるのに精
一杯,揃えるのに精一杯になってしまうんだけど,トップのリカさんはぬぁんと着物をひるがえして踊ってしまうので
す。日舞には詳しくない僕が見ても「これは邪道だな」とわかるんだけれど,彼女があまりにもトップ然として堂々とし
ているので,その勢いと迫力に洗脳されてしまいましたがな。洋物でマントを扱わせたら宝塚一のリカさんの面目躍
起。思わず掛け声も「ブラボー」って叫びたくなります。もちろん,和物の所作も押さえているんだけれど,目線の飛ば
し加減,一見無駄な動きとも思える客席へのアピールなど,余裕と風格に溢れていて恰好良いの何のっ!
 酒井先生がトップと専科生のみならず,中堅の生徒に至るまで見せ場を構成しているんだけれど,どれもが生徒一
人一人の個性と得意分野を生かした変化に富んだものなので,生徒はノビノビ,観客もワクワクの舞台が完成。そり
ゃもう,舞台は燃えますわぁ。正統派日舞担当の汐風幸,華やかさと妖しい中性的フェロモン担当の彩輝直,生きの
良さとイナセな野郎ぶりを発揮の霧矢大夢,ちょっと斜に構えた大人っぽさの大空祐飛,若々しい伸びやかさが気持
ち良い月船さらら。下々が何をしようとびくともしないトップが君臨していると,それぞれが力一杯個性的を発揮できる
ので,物凄い集団パワー。そして,そんな中「未熟だ」「お子ちゃま」だと言われ続けていたトップ娘役の映美くららが
大開花! 今までの「トップを務めさせていただいております」という印象の舞台はどこへやら。組子を率いて「私に付
いてらっしゃい!」と歌い踊る姿に,自信と実力(=不断の努力の賜物ですね)がうかがえて気持ち良いったらありゃし
ない! 大専科の松本悠里と対で踊っても物おじせず,逆にイキの良さで対抗。豪華な衣裳の数々も見事に着倒し
て,安心と信頼のトップとなってるぅ〜。素晴らしいよ,彼女。宙組に組替になった大和悠河といい、映美くららとい
い、リカさんは実は教育上手なのかもしれないなぁ。あ、面倒見が良いかどうかは知らないけど(笑)
 実は「リカちゃんなのに洋物ショーがないなんて・・・」と,和物ショーに関しては期待していなかったのに,今回は嬉
しい誤算。演出・生徒だけでなく,装置や衣裳,照明も力の入ったもので,今や月組が充実期に入ったことを強く印象
付けたのでした。 こりゃ,東京公演も通いたい!と,自宅に戻ると同時に,旅行前にエントリーしていた「宝塚友の
会,抽選結果」を調べてみたら,見事全滅(T.T) 嫌ぁぁぁぁぁ〜(;_;)
 ……さてはてこんな具合で、第一部のみで観ている僕まで汗びっしょり、魂も抜かれてしまったんだけれど、第二部
がこれまた楽しかった! ミュージカルの植田景子先生は今まで重厚な作品が得意、というイメージがあったんだけ
れど(これまた生徒の個性を生かした)ライトコメディもいけることを証明。それも、内輪受けだの、コテコテの寒い笑い
ではなく、スマートな笑いを提供。こりゃ、東京公演は受けるぞぉ〜。月組の生徒たちは、役になりきったり、役で遊ん
だりするのが大好きと見えて、学ランダンスもモデルウォークでのパレードも、エステのシーンも下級生が大活躍。本
来ならばその他大勢のシーンなんだろうけれど、そんなこたぁどうでも良いとばかりに顔つきからしてなりきってるの
で、あっち向いてゲラゲラ、こっち向いてゲラゲラ。先輩として・役者としてあるべき姿を初舞台生に身をもって教えると
いう、素晴らしい方々がズラリ。作品に恵まれ、組構成に恵まれ、生徒たちがやる気に満ちている舞台ですもの。つ
まらないはずないじゃないですかぁ! ま、プレイボーイのリカさんに沢山女たちが絡むだけで、他愛のないストーリ
ーなんですけど(というか、ストーリーはどうでも良いやって感じ)、おかげで、リカさんの色々なタイプの口説き方、ラ
ブシーンが観られるという彼女のファンにとっては美味しい舞台。名のある娘役のほとんどがリカさんの相手役になっ
ていて、実はトップ娘役の映美くららは驚いたことにリカさんの相手役ではないし、男役の多くは出番が少ないとい
う、宝塚のスターシステムに慣れた僕としてはびっくりの作品なんですけれど、それぞれにこれまた見せ場が用意さ
れているし、ボロが出ないよう上手に処理されているしで、「あれ、この人とこの人がカップルになっちゃても良い
の!?」という邪念を捨ててしまえば気軽に楽しめると思います。で、植田景子先生らしいなと思ったのは、軽い中に
も重いテーマが潜んでいるし、一般向けに作られているようでいて知る人ぞ知るお遊びの演出が隠されていたりとい
う、ディープなファンへのサービスも怠っていないこと。宝塚への、生徒への、さらには観客への愛情を感じましたさ。
若手と言われる彼女だけれど、このバランス感覚は他の座付き演出家にも見習ってもらいたいなぁ。今後の宝塚を背
負っていく期待の演出家ですね! でね、フィナーレでようやくリカさんとエミクラがたっぷりデュエットになるんだけれ
ど、これがまた良いんだわ。リカさんは「春の踊り」に続いてこちらでもスソがヒラヒラした上着を着ているんだけれど、
やっぱりこれをひるがえして優雅にダンス。今日のリカちゃんは歌も芝居もダンスもやる気満々で気迫に満ちてて、フ
ァンでなくてもため息物の格好良さ。そして、エミクラちゃんもウェディングドレスという踊るにはけったいな衣装だとい
うのに、これまたフワリと軽〜く踊ってしまうのです。この二人のラブラブ度は今や宝塚一! 愛情と信頼関係、そし
てちょっぴりのエロスを含んだ素敵なシーンでした。やっぱり、デュエットダンスはうっとりさせてくれてナンボのもので
すねぇ。このシーン大好き。あ、ちなみに、昨日ののび太のコンサートでも演奏されたアベマリアが使われているんだ
けれど、宝塚歌劇オーケストラの演奏を聞いて思わず椅子からずり落ちてしまいました。「実はのび太って上手だった
のね」と僕と同行のらっしいとで再評価。団体が違うし、比べることもないんですけど、連続しての同じ曲だっただけに
ね。色んな人の演奏を聞くのは勉強になります、はい。
 で、最後になりましたが、今回は初舞台生49人が出演するお披露目公演。僕は東宝劇場がベースなので、口上付
きの公演は初めて。今年は大柄な生徒が多いので、おかっぱのカツラが似合わない子もうじゃうじゃいるし、そのカツ
ラは乱れまくり、化粧はグチャグチャ、体はプニプニと、突っ込みだしたらきりがないのですが、そんなこたぁどうでも良
いわ! みんな、舞台に進撃で初々しくて、もうその存在だけで目じりが下がります。満面の笑顔で行進なんかされ
ちゃあ、それだけでもう大満足。おまけにレベルも高いときたもんだ! このスターの卵たちが、今後どう育っていくの
か楽しみです。



5月13日(火)11:40-13:15
映画「CHICAGO」@ららぽーと松竹
全席自由

監督:ロブ・マーシャル
パンフレット:800円

 舞台版は限られた空間内で、観客・プロダクション共に「どこまで想像力をかきたてられるか」が勝負のものだった
けれど、映画版は、空間・時間の制約がないのを有効利用した時間と場所の自由移動が売り。この二つを見比べて
みると、舞台と映画との特性の違いが出来上がりにも大きく影響を与えているという印象を受けました。
 もともと、「CHICAGO」はヴォードビル・ショー風に歌と簡単な演技で全てを説明してしまうタイプの作品(=演奏会
形式の上演でも十分に効果が発揮できる)。歌詞のウェイトが大きく、観客もエネルギーを要求されるので、結構好き
嫌いのわかれる作品なんですけれど、映画版は何も考えなくても、歌詞の状況が映像として流れるので、ストーリー
に置いていかれることはないので、この作品に初めて触れる人に映画版は結構お勧め。とはいえ、フォッシーの振り
付けを踏襲しているものの、「舞台版でのダンスシーン」=「過去・別の場所の映像」となるため、思っていた程のダン
スシーンはなし。これによって、歌とダンスが芝地と一体化している、特に舞台版のミュージカルが苦手な人には、構
成がすっきりする分、とっつきやすいことでしょう。
 舞台→映画になる時にかならず付きまとうジレンマなのですが、舞台の香りをそのまま残して欲しい、と思う反面、
映画ならではの演出も期待していたりするので、いずれにせよ、あれもこれも観たいというワガママが出てきてしまう
んですよねぇ(笑) 個人的には細切れになっていたり、他の映像になっていたりするのはガッカリだけで、カメラをひ
いた状態でたっぷりダンサーの仕事っぷりを見せてもらいたいけれど、映画の場合はショット割りが大事な効果であ
り、今回の「CHICAGO」のショット割はなかなか効果的なので、これはこれで納得。そして、カンダー&エブの音楽が
ちっとも好きじゃない(!)僕にとっては、音楽だけに集中、ではなく、あちこちに興味を飛ばせる映画版もなかなか捨
てたものじゃない! 裁判所や刑務所のシーンは迫力タップリだし、殺人シーンも強烈な印象を残すもの。音楽の一
節でさらりと処理されてしまうよりも、一瞬の映像が全てを語ってしまうことってありますねぇ。作品の時代・カラーが
色濃く表現されているし、何よりもストーリーが整理されていてわかりやすいもの。
 ……思うに、役者の芸を楽しむのが舞台版、作品自体を楽しむのが映画版ってところかしらん!? 嬉しいことに、今
月末は舞台版の来日公演があるので、両方を観比べてみるとより楽しいことでしょう。でもさぁ、ついつい舞台版と比
較しながら見られてしまうというのは、映画としていかがなものでしょう? ちょっと中途半端な印象あり。だって、映
画として完成していたら、舞台の印象などそっちのけで、とりあえずは映画にのめりこめるでしょ。いきなり映画を観た
人ならばともかく、舞台でこそ生きるような効果をあちこちで使われても勿体無いなぁ。結局は、僕がこの作品が好き
じゃない、っていうのがいちばんの問題かも。



5月13日(火)19:00-20:50
中鉢聡「B→C」@東京オペラシティリサイタルホール
全席自由3000円

テノール:中鉢聡
リュート:つのだたかし
琵琶:半田淳子
ピアノ:瀧田亮子
パンフレット:無料

 バッハ:カンタータ第82番《われは満ちたれり》BWM82から「まどろむがいい、疲れたまなこよ」
 モンテヴェルディ:オペラ《オルフェーオ》から「力強い雲、恐るべき神よ」
 池辺晋一郎:オペラ《耳なし芳一》から「源氏のつわものども」
(休憩)
 武満徹:小さな空
 武満徹:めぐり逢い
 武満徹:素晴らしい悪女
 武満徹:明日ハ晴レカナ曇リカナ
 ベッリーニ:追憶
 ビクシオ:マリウ、愛の言葉を
 デ・クルティス:忘れな草
 カルディッロ:つれない心(カタリ、カタリ)
(アンコール)
 ヴェルディ:オペラ《リゴレット》より「女心の歌」
 ガルディ:想いのとどく日

 新国オペラや藤原オペラではすっかりお馴染みの中鉢聡さん。オペラ以外ので舞台は始めてなのでワクワクしなが
らの着席。オペラ歌手の中ではなかなかの演技派だと常々思っていたんだけれど(「アラベッラ」の時もこんなことを
書いた気がする)、本日確信したのは、演技派以前にエンターテイナーであるってこと。これからはスコット・ジョップリ
ンをBGMに登場していただかなくては。舞台への登場も曲によって神妙だったり、元気に走りこんできたり、ニコニコ
と現れたり。なまじハンサムだから、お辞儀の時にほんの一瞬披露する一瞬の笑顔(笑うとベビーフェイス)に「女性
客はメロメロになるんだろうなぁ」なぁんて思っていると、そこはしっかり歌う前の呼吸調整の際に結婚指輪をたっぷり
アピール。うんうん、こうでもしないと奥様もやきもきだよねぇ。そして、指輪のアピール後はいきなり役になりきった表
情。うむ、オヌシなかなかやるのぅ。
 で、肝心のプログラムですが、いきなり「まどろむがいい、疲れたまなこよ」で始めるとは、何て大胆なんだぁ!(「誰
も寝てはならぬ」ならばともかくね・笑) 数日前ののび太のコンサートでぐっすり寝込んでしまった僕としては、思わ
ず気を引き締めてしまう。このリサイタルホールは大きさといい、響きといい(天井が高いので、結構残響あり)中鉢さ
んの軽い声にはぴったり。実は歌曲のコンサートというのは新劇に似通っているところがあって、必要以上に意味付
けや思い入れがなされているので「楽しけりゃ良いじゃん!」というケセラセラの僕は苦手なんですけれど、中鉢さん
の歌唱は表現が内向的ではなく、常に外に向かっているので、同じフレーズの続く歌でありながら、声と表現の多彩
さが「楽しく」伝わってくるのがうれしい。
 プログラムが多岐にわたっているのがB→Cの魅力なんだけれど、一部の後半はリュートや琵琶との競演と、これま
た珍しい曲揃い。どちらも目の前でじっくりと鑑賞するのは初めての楽器。いかにも昔の楽器で、音がか細いので、
琵琶なんて「大劇場でこのオペラを上演したときはどんな風に客席に響いたんだろう?」と思いをはせましたさ。オペ
ラの声と雅な音との絶妙なるハーモニー、小音量の中での激しい表現に圧倒されてしまいました。のび太にも通じる
んだけれど、中鉢さんの音楽は色気だけでなく、常に品があるのが魅力。芸術的作りこみと、観客へのアピールの
調合具合が絶妙で、決して下品にならないのが素晴らしい。
 大曲が続いた第一部とはうらはらに、第二部は唱歌、シャンソン、カンツォーネ、映画音楽と軽い作品による幕の内
弁当。どの曲も自分のものとしていて、変幻自在、そして、オペラ歌手の歌として完成しているのに感動。舞台での
存在は華やかだし、ちょっとした仕草や目線だけでお客様にいたずらっぽいアピールをするし、音楽も舞台もオーソド
ックスなのに、なぜかショーを見ているような楽しさ。「芸術のためには歌っている姿はどうでも良い」のではなく「アピ
ール・実力・見た目」を含めてのステージ作りなんですよね。かといって、お客さんに媚びるわけでなく、芸術的に手を
抜いているのでもなく。。。初リサイタル鑑賞にしてすっかりファンになってしまいました。素晴らしい歌役者です。もち
ろん、これから沢山のオペラで活躍していただきたいけれど、このまま東宝ミュージカルに主演したって結構イケルと
思うなぁ。(ちなみに、日本初演の「雨に唄えば」のパンフをめくっていたら中鉢さんを発見!)
 そうそう、アンコールでは、みずから舞台係として椅子を持って走り回る中鉢さん。とってもとっても気遣いさん!!



5月17日(土)14:00-17:00
新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」@新国立劇場オペラ劇場
B席3780円(会員割引) 2階5列19番

指揮:ボリス・グルージン
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
パンフレット:800円

 オデット/オディール:酒井はな
 ジークフリード王子:山本隆之
 ロートバルト:市川透
 王妃:鳥海清子
 道化:グリゴリー・バリノフ

 観る順番を間違えた〜,というのが正直な感想。何をってクーパー版とですっ! いえね,相変わらずコールドは張
り切っているし,ソリストも悪くなければ美術も豪華。バレエならではの魅力に溢れた秀逸な舞台だったんですけど,
麻薬の味を覚えてしまった直後にはしばしのリハビリ期間が必要だったみたいです。どのシーンも展開がのろく(音楽
ものろく)感じてしまったのは,自分が悪いとはいえ,正直マイッタ。
 とはいえ,それなりに楽しめてしまうのが名作の底力,新国バレエのレベルの高さ。しごく健全な白鳥物語を堪能し
たのでした。毎年上演されるレパートリー作品なのですが,それでも毎回新しい発見があって飽きないなぁ。ちなみ
に本日の主役はおはなちゃん。その颯爽とした踊りのスタイルから「オデット("風共"だったらメラニー)よりオディール
(スカーレット)が似合っている」と思ってたんだけれど,今日はオデットの場面が秀逸。派手なダンスは少なく,どちら
かというと雰囲気重視,芝居重視の作品だと個人的に思っているんだけれど,王子とオデットの出会いの場に心打た
れましたわぁ。
 弓を持って白鳥を追ってきた王子とバッタリ出会って「嫌,来ないで」,その後「興味はあるんだけど……やっぱり逃
げちゃおう!」となり,「なぜかこの人が気になるわ」がついには「好き好き大好き愛してる〜」となる過程の表現力が
素晴らしいことっ! 逆三角体型のたくましいおはなちゃんが肩から背中にかけての筋肉を自由自在にしなやかに駆
使して,羽ばたきの描写からブルブル震える様子までバッチリ。台詞を話すように踊るレベルを超越して,台詞以上
のことを表現した踊りに(@_@) 安心・信頼のはずの32回フェッテは失敗しちゃったけれど「失敗? してないわよ!」
と堂々とと踊り切った姿に新国の観客一同まるで彼女が100フェッテを成功させたかのような喝采を贈る。新国の女
王としての圧倒的な貫禄とスター性にはもはや平伏すしかありますまい。彼女は正に今が絶頂期ですね。凄かっ
た!! 
 週末マチネ公演とあって,客席にはクッションサービス利用のチビッコバレリーナがいっぱい。でも,どこの劇場の誰
よりもお行儀良く観劇している姿にはいつもながら感心。そして、バレエ公演となると途端に手抜き、ボロ出まくりの
東フィルにはうんざり。



5月18日(日)17:00-20:00
宝塚歌劇団星組「蝶・恋」「サザンクロス・レビューV」@さいたま市文化センター
S席6500円 1階26列39番

演出:植田紳爾(蝶・恋)、草野旦(サザンクロス)
パンフレット:1000円

 雪若:湖月わたる
 霧音:檀れい
 清月尼:城火呂絵
 良清:英真なおき
 則常:にしき愛
 維仲:汐美真帆
 季時:涼紫央



5月23日(金)18:30-20:40
「愛のオペラアリア・二重唱の夕べ 文化遺産を救うチャリティーコンサート@すみだトリフォニー小ホール
全席自由 当日券5000円 3列2番

ソプラノ:家田紀子
テノール:中鉢聡
ピアノ:滝田亮子

パンフレット:無料

 プッチーニ:「トスカ」より 愛の二重唱/歌に生き、恋に生き/星はきらめき
 ドヴォルザーク:「ルサルカ」より 月に寄せる歌
 ヴェルディ:「リゴレット」より 女たらしの歌
 ヴェルディ:「椿姫」より 乾杯の歌
(休憩)
 ディ・カプア:私の太陽
 カルディルロ:カタリ
 クルティス:TI VOGLIO TANTO BENE
 ディ・パオラ:コメ・プリマ
 ララ:グラナダ
 ラカジェ:アマポーラ
 クルティス:忘れな草
 フェイン:慕情
 ロウ:「マイ・フェアレディ」より 一晩中踊り明かそう/君住む街
 サルトリ:TIME TO SAY GOODBYE
 バーンスタイン:「WSS」より トゥナイト
(アンコール)
 レハール:メリーウィドウ・ワルツ

 のび太やアルゲリッチ、ヤブロンスキー等々僕が大好きな人たちの音楽はどれも「気持ち良い」のです。演奏家が
演奏を楽しんでいるのが客席に伝わってくると、それだけで僕までが幸せ気分。「プログラムにはないんですけど、こ
の曲が弾きたいので弾きます(byのび太)」に続いて「高音を張り上げると気持ち良いので伸ばします(by中鉢さん)」
という発言は僕のツボにはまりましたとも、ええ。家田さん&中鉢さんのデュオ・コンサートは、楽しいおしゃべりとバ
ラエティに富んだ選曲、ステージマナー、いずれをとっても、気負いがなく、余裕をもった大人のサービス。うん、彼ら
の気持ち良さは余裕があって生まれるのかぁ、と認識。床屋さんって椅子に座っていると、ヘアセットからマッサージ
にいたるまで、王侯貴族のようなサービスを受けられるでしょ(男のエステ・笑) 例えは変だけれど、中鉢さんのコン
サートって床屋にいるような気分。次から次へと繰り出されるサービスをひたすら楽しめば良いんだもの。本当は「世
界遺産保護のため」のコンサートのはずなんだけれど、「僕のための」コンサートの気分。思わず頬が緩んでニッコニ
コでんがな。きっと舞台上からの眺めは不気味だったことでしょう(汗)
 プログラム前半はオペラアリア。順番通りに歌うだけかと思いきや、解説は入っちゃうし(家田さんのトーク好きで
す。わかりやすいし面白い!)、演技はしちゃうし、曲数の割に充実感たっぷり。ま、ね、サービス良すぎて、トリフォ
の小ホールでfffなんぞ出されるもんだから「ビンビン響く」を通り越して「ハウリング」状態でしたわ。中鉢さんも家田さ
んも新国常連なので、その声は何度も耳にしているものの、中鉢さんのカヴァラドッシは高校生のためのオペラ公演
限定だったし、家田さんもメジャーオペラでの主演は知らないし、ちょっと得した気分。二人の「椿姫」での持ち役はガ
ストンやアンニーナなんだけれど(藤原オペラでは……の話ね)、さすがに藤原オペラの十八番作品だけに「乾杯の
歌」だって余裕余裕。オペラハウスの大空間でのオペラも大好きなんだけれど、小空間でのプチオペラも役者さえ揃
えばけっこう楽しいですねぇ。オペラを専門の仕事としているお二人ならではのステージでした。二人ならでは何よ!?
っていうと、え〜っとね、言葉にするならば、舞台の上で照れがないってことと、舞台上の自分の姿を冷静に眺めてい
る部分があること。ボケや突っ込みのタイミングや深さの加減が絶妙だし、客席の反応に柔軟に対応できるので、客
席がしらけることなく、気持ちよく舞台に集中できるんですもの。舞台人に限らないけれど、周囲の状況を把握しなが
ら、自分の仕事をきっちりこなす姿って男女を問わず格好良いですねぇ。
 後半はカンツォーネに映画音楽、ミュージカルナンバー。前半以上に家田さんも中鉢さんもノリノリ。踊っちゃうは、
ピアニストにちょっかいはだすわ、客席の女の子に投げKISSしまくるわと、ただただ「楽しんでくださいね」とホスト・ホ
ステスに徹しているぅ。そして、それらが手馴れた様子で嫌味もなければ媚びもない。あくまで大人の自然体。あぁ、
舞台人うんぬんの前に人間ができてるよぉ。まったく脱帽・尊敬です。そして、B→Cに引き続き伴奏をつとめた滝田さ
ん(まりのすけ嬢にソックリですっ!)の伴奏も余裕と情感たっぷり。歌手との息もぴったりでこれまたため息物。常に
控えめででしゃばることは決してないんだけれど、しっかり手綱を握ってます、という感じ(舞台進行も彼女が手綱を
握ってました・笑)。彼女のようなピアニストとの共演だと、歌手の面々も合わせやすいでしょうね。
 中鉢さんの歌はオペラティックに張上げるもののみならず、軽〜く、さりげなく歌う時の節回しがまた良いのです。
あ、こんなところものび太と同じだぁ。でも、のび太に中鉢さんのようになってもらいたいわけじゃないし、楽しむツボも
ちょっと違うんだよね。中鉢さんはある程度完成された「信頼と安心状態」なので、追っかけをしなくても、という冷静
な状態なんだけれど、のび太の場合はいつ名演奏を行なうかわからないし、いつ化けるかわからないという勢いが楽
しいんだもの(常に責めの姿勢でいてほしい!)。10年後の中鉢さんは想像できるけれど、10年後ののび太は想像
できないっ!!
 藤原歌劇団所属だからありえないんだけれど、二人の主演で「マイ・フェア・レディ」や「メリー・ウィドウ」が観てみた
いなぁ。ちなみに、アンコールの「メリーウィドー・ワルツ」ではいきなりの客席降りがあり。つかつかと僕たちの元にや
ってきたかと思ったら、いきなりらっしいの手を取って、じーっと見つめながらの熱唱。B→Cでもかぶりつきだったし、
大喜びで舞台を眺めているし、きっと中鉢さんのファンだとバレバレなんでしょうねぇ。

甘い物倶楽部