観劇日記〜2003年07月〜
●06日(日) 17時〜  東宝「レ・ミゼラブル」プレビュー初日@帝国劇場
●11日(金)19時半〜 「J-Room Night Summer」@六本木STB139
●12日(土)17時〜 東宝「レ・ミゼラブル」@帝国劇場
●13日(日)14時〜 安寿ミラ「FEMALE Vol.6」 @アートスフィア
●14日(月)19時〜 伊藤亮太郎「ヴァイオリンリサイタル」@オオハラホール
●15日(火)18時半〜 宝塚歌劇団月組「花の風土記」「シニョール ドン・ファン@東京宝塚劇場
●16日(水)18時半〜 小坂安奈「展望室サロンコンサート ベルギーから風の便りII」@東京都庁北展望室
●17日(木)13時〜 新国立劇場高校生のためのオペラ鑑賞教室「トスカ」@新国立劇場オペラ劇場
●19日(土)15時半〜 宝塚歌劇団月組「花の風土記」「シニョール ドン・ファン@東京宝塚劇場
●20日(日)15時〜 二期会「ばらの騎士」 @東京文化会館
●23日(水)19時〜 来日カンパニー「blast」@オーチャードホール
●25日(金)19時〜 榎本潤・伊藤亮太郎・古川展生「ピアノトリオ演奏会」@ぱ・る・るプラザ千葉ぱるるホール
●27日(日)13時15分〜 劇団四季「李香蘭」千秋楽@四季劇場[秋]
●30日(水)19時〜 「THE TEMPEST」@劇場MOMO
●31日(木)18時半〜「第5回都響とティーンズのためのジョイント・コンサート」@東京文化会館



2003年07月06日(日)17:00-20:15
東宝「レ・ミゼラブル」プレビュー初日@帝国劇場

S席 12500円 1階-Q列-41番 (パンフレット:1500円)
演出:トレヴァー・ナン、ジョン・ネピア

ジャン・バルジャン:山口祐一郎
ジャベール:内野聖陽
エポニーヌ:新妻聖子
ファンテーヌ:高橋由美子
コゼット:剱持たまき
マリウス:山本耕史
テナルディエ:三遊亭亜郎
テナルディエの妻:森公美子
アンジョルラス:坂元健児
ガブローシュ:宮里駿

●ジャン・バルジャン:山口祐一郎
「初日が祐さんで良かった〜」につきます。相手役の要らない人なので(笑)初出演組がことごとく崩れていく中、きっちり自分の役目を果たし、軌道修正してくれました(パチパチ)。「ファンテーヌの死」の後、「対決」の場面では、いきなり「逮捕する前にジャベール♪」と一人芝居を始めたので、すわっ、ここが新演出かぁ、と思って観ていたら、いきなり舞台袖の内野さんに向かってオイデオイデ。(笑)「祐さんを観るなら初日か楽」(理由は言うまい。。。)と良く言われるけれど、そんな時はついつい力んでしまう彼の歌なのに、今回は「彼を帰して」でpppのハイトーンを見事に決めてくれ、もうこれだけでチケット代の元をとった気分。公演が無事、最後まで行きますように、というような祈りの歌にさえ思えました、ええ。

●ジャベール:内野聖陽
登場した瞬間、あまりの悪役っぷりに唖然。こけた頬、鋭い眼力、濃いメークで10歳は老けてました。一瞬で執念深そうな人物像を表現したのはさすが、演技派。「エリザベート」で椅子からずり落ちる歌唱を散々聞かされた者にとっては、感動的な力強い発声。よっぽどヴォイス・トレーニングを積んだに違いありません。(あ、でも下手なものは下手ですよ。オナカから声が出るようにはなったけど。)と、出だしは上々だったうっちーですが、前述の出トチリをキッカケにボロボロのズタズタ。可哀想な位、軌道修正ができなくなるものでして、焦りからなのか、顔面は強張ったまま「自殺」の場面まで突入。ジャベールは「仕事ゆえに法の番人になっているけれど、根は悪い人じゃない」という心の葛藤が見せ場にもかかわらず、今宵は「番人」のままで、他の表現の余裕ナシ。ものすごくピリピリしてました。最後の最後「自殺」の場面では、歌がなくなったからか、急に演技で力んでしまい、逆効果。今日が大荒れだっただけに、今後の変化が一番楽しみな人です。僕が次に彼を観るのは……大楽ですけど。。。

●エポニーヌ:新妻聖子
素晴らしかったです。オケとずれても堂々と歌いきってしまう度胸にも拍手。通りの良い声をしているので「プリュメ街の襲撃」の場面で、「銭などないよ、知ってるのさ〜♪」と声を張り上げるところが効果的でした。「出来た!」とガッツポーズが出ちゃいそうなエポニーヌ(byらっしい)でした。

●ファンテーヌ:高橋由美子
若い娘のひと夏の過ちで子供が……というシチュエーションにぴったり。コゼットの母の役だけれど、享年は若かったはずだから、彼女の起用は成功だと思います。「夢やぶれて」は「夢食いちぎり〜〜〜~~~~♪」を一息でちゃんと歌いきったのが良かった。今までこの部分を楽譜通り歌える人が少なかったので、彼女の根性を感じました。

●コゼット:剱持たまき
ん〜、僕としてはペケ。何で彼女なんでしょう? 音大組の割に声が荒いんですよ。ピッチが不安定だし、音の支えも甘い。かといってミュージカル発声で情感豊かに歌うわけでもないし、中途半端。コゼット役って、一目ぼれされ、愛されて、、、それだけでしどころないでしょ。だから、歌でバ〜ンと納得させるか、一目ぼれされて当然の雰囲気を出すかしてほしかったなぁ。どことなく、グンちゃんに似てました。

●マリウス:山本耕史
ガブローシュ少年がマリウスとして戻ってきたのは嬉しいけれど、そして、僕は耕ちゃんのファンだけれど、残念ながらミス・キャストだったと思います。よくなかった。そういや、「tick, tick...BOOM!」の千秋楽は7/3。今日は、、、7/6(汗) 稽古不足は客席からもアリアリで、掛け合いの歌は恐る恐る歌い始めるし、キャラクターも金と力はなかりけりのハンサム学生マリウスというよりも、マッチョでエネルギッシュな風貌(バルジャンが地下の下水道を耕ちゃんをかついでいくのがお気の毒だった)と、アンサンブルとは大違いの舞台上での余裕が、革命軍のリーダーみたいでした。ラブラブの愛情表現や、直線的な感情表現が苦手な耕史君はマリウス役者とは思えませんでしたが、(声がもっとスピントならばアンジョルラスも出来たのでは?)「カフェ・ソング」のような、自閉症一歩手前の歌となると絶品。この手の歌となると他の追随を許しませんね。すごく上手かったです。ぶらぁぼ!

●テナルディエ:三遊亭亜郎
すみません、僕は苦手です。フランス革命の芝居なのになんで日本人が出てるの?って感じ。テナルディエではなく、三遊亭亜郎が舞台に登場というのは困ります。四季独特の台詞や歌のクセが抜けてないのにも困った。一人だけ、台本・楽譜を棒読み状態なんですもの。いえね、何を歌っているのかがわかるのはありがたいけれど、だからといって、ねぇ。。。

●テナルディエの妻:森公美子
祐さんと並んで、再登場のモリクミさん。縦横自在な演唱、共演者がどんなポカを犯してもフォローに回れる余裕。祐さんが、自分の役割をこなすことで軌道修正していたのに対し、モリクミさんは、みんなのフォローをしていくんですよ。もうね、彼女がいなかったら今回の公演は空中分解していたこと必至。シリアスな場面での新人公演を手に汗握って観ていても、森クミさんの場面になると安心して、リラックスして笑ってました。観客にとっても救世主でございます。今後登場の峰ちゃんやルミさんがどう切り返すのか興味津々です。

●アンジョルラス:坂元健児
小さいというのを差し引いても、革命のリーダーとしてはどうなんでしょう? 舞台姿を大きく見せようと悪あがきをするのが逆効果で、(周りに長身揃ってるし)余裕のなさにつながってしまったキライありです。ライオンの時は格好良かったのに。。。岡さん以降、派手な役、というイメージがついてしまったので損なポジションですね。昔は坂元さんタイプもいたのに、印象が残ってないもの。

●ガブローシュ:宮里駿
今回の新キャストの中で最高。そして、歴代ガブローシュの中でも最高。声の通りも良ければ、歌も上手い。芝居心もたっぷり。そして恐ろしいことに、要所要所でミエを切るんですよ。子役のミエって決まらないことが多いのに、それがビシバシ決まるのにはたまげました。大人の俳優たちが悲惨な状態で右往左往している中、気持ちよく舞台上を闊歩していててまさに、ガブローシュ君でした。素晴らしいです。今後に期待!!

カーテンコールは、どうにか完走した、ということで、舞台上も客席もものすごい熱狂。ただ、決して舞台の出来が良かったというのではなく(むしろ、ひどかった。。。)、こんな状態で一般公開となってしまった公演に対する、激励とねぎらいの拍手でしたね。ふふふ、初日に集まるような観客は恐いだけじゃないんですよぉ。だって、みんな劇場が大好きで「レミゼ」が大好きなんですもの。千秋楽もひどかったら……騒ぎます、ええ(笑) 何はともあれ「レミゼ」が始まって嬉しいです。この作品、メインからアンサンブルまで見所は多いし、何よりもナンバーが素晴らしいので大好きなのです。出演者が出来はともかく、舞台上で幸せそうなのは、作品の趣旨には合わないかもしれないけれど、観ていて気持ちが良いですね。今の所、石井バルジャンだけ、組み合わせの関係で観劇予定がないのですが(共演のジャベールが苦手なのです。今後のジャベールの様子によっていは観にいくかも。)


2003年07月11日(金)17:00-22:40
「Jroom night summer 2003」@六本木STB139スイートベイジル

全席自由 5250円 (パンフレット:無料)

 アメイジング・グレイス(藤山道山)
 カヴァティーナ(藤山道山、みやざきみえこ)
 潮流(藤山道山、みやざきみえこ
 銀河・天の川(加羽沢美濃)
 チルソクの夏(加羽沢美濃)
 雨のプラハ(古川展生、加羽沢美濃)
 バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番よりプレリュード(古川展生)
 アヴェ・マリア(本田美奈子、古川展生)
 ニュー・シネマ・パラダイス
(本田美奈子)  タイム・トゥー・セイ・グッバイ(本田美奈子)
 ベラ・ノッテ(本田美奈子、加羽沢美濃)
(休憩)
 ブリザ・ド・マール(Karen、上西智子)
 おいしい水(Karen、上西智子)
 ララバイ(Karen、上西智子)
 Bohemia After Dark(矢野沙織)
 In A Sentimental Mood(矢野沙織)
 Why Not?(末永華子、松田光弘)
 Chuo Freeway(末永華子、松田光弘)
 Jump(Akiko Grace)
 Chromazone(Akiko Grace)
 Insight(クリヤ・マコト)
 The Voyager(クリヤ・マコト)
(アンコール)
 Take the "J"train

 J-Room Nightと銘打ったこのライヴ。日本コロンビア所属のクラシック&ジャズの各ジャンルの演奏家が集まってのガラ・コンサートといった様相でした。それぞれ2〜3曲のみで、持ち時間は短いんだけれど、制限時間内で「自分の世界」を作り出すことの出来る人が多かったので、とても楽しいショーでした。そして、僕自身、自分の好きなジャンル・苦手なジャンルを再確認してきました。でね、こうして聞き比べてみると、僕が好きな演奏家というのは音がキレイ&リズム感が良い人なんだな、と実感。この人の音好き!と思ってプロフィールを見ると決まって音大卒業。音楽を演奏したり、楽しんだりするのには音大を出る必要はないし、才能も学歴とは関係ないけれど、人を感動させられるテクニックとなるとアカデミックな教育を受けている人にはかないません。タッチだとか、音色の作り方・種類が段違い。音楽家たるもの、バッハの音、ドビュッシーの音、と苦労して修行するのに意味があるっ! そんなわけで僕の琴線に触れた演奏家はというと……。

●加羽沢美濃
 彼女の生演奏を聴くのはまだ数度目なのですが、左手のクリアで切れの良いのに暖かい響き、右手のキラキラ輝くようなブリリアントな響きに聞きほれました。即興演奏として、会場から「銀河・天の川」というお題をもらっただけで曲を紡ぎ出す才能には毎度のことながら驚嘆。作曲家って、音楽の力だけでなく、言葉に対する感受性・想像力が必要なんですよね。

●古川展生
 のび太の演奏というのは、僕にとって「基準値」になってしまっているので、実は本人の演奏を聴いている時に感動するよりも、別のコンサート会場や劇場で「この部分の演奏がのび太だったらな。。。」と思う事の方が多くなった気がします。だからといって、信頼と安心のブランドではなく、何をしでかすのかわからないというのがのび太の魅力ですね。えっと、会場の音響といい、共演者とのバランスといい、アコースティック・チェロよりもサイレント・チェロの方が合ってたような気がします。マイクを付けて音を拾っているんですもの。
 のび太のコンサートの「見どころ」というと「アイコンタクトを求めるのび太君」というのがあるんですけれど、今日は共演の本田美奈子が、いつもののび太の10倍の濃厚さでアイコンタクト(というよりも見つめあう感じね)で濃厚に迫っていくので、のび太君目が合った瞬間に照れくさそうに目をそらしてしまうという、普段だったら絶対見られないような図を見ることができました。求めるのは得意だけれど、求められると引いちゃうなんて、なんだかカワイイ(笑)
 ……って、なんだか演奏とは関係ない感想ですねぇ。ま、演奏は聞こえない部分も多かったし、良いよね(笑) あ、バッハは弾き過ぎのようで、ちょっと変な癖がついてた。チェロのソロ曲の代表格の曲だけれど、しばらくお休みした方が良いのかも。

●本田美奈子
 先日発売になったCDが良い出来だったので期待していたのに、一曲目のアヴェマリアでコケました。声が出てないし、表現は硬いし、どうしちゃったの? やっぱり、CD用の歌手なの?? と思って聴いていたんですけれど、二曲目からは別人のような見事な歌いっぷり。そこんじょそこらの音大歌科の人に負けません。そして、それ以上に、一曲一曲で、ステージを自分色に染める力量に彼女の大きさとキャリアを感じたのでした。ほんの数曲だというのに、本田美奈子ショーでした。

●Akiko Grace
 彼女のピアノ、凄いです。思わず乗り出して聞きほれてしまいました。リズム感が日本人離れしていてとても鋭い。それでいて、決して汚い音を出さないピアニズム。こりゃきっと音大出てるな、と思って調べたら、案の定、芸大出身でした。自己流でプロになった人とは概して鍵盤を必要以上に叩いてしまい、その結果、音が割れて汚くなったり、音色数が乏しかったりするので、彼女の音がとても印象に残りました。アレンジも曲も垢抜けてて都会的だし、すっかりファンになってしまいました。今日の出演メンバーの中ではベテランに入ると思うんだけれど「格好良いお姉さま!」でした。惚れたぜぃ!

 CD会社が主催のコンサートだったので、関係者が多かったのですが、自分の関わっている子にだけ派手に喝采したり、音楽に酔いしれているフリをしていたり(リズムや音楽に乗ってないのですぐに演技だとばれる・笑)なので、ステージだけでなく、客席を眺めるのも楽しい宵でした。


2003年07月12日(土)17:00-20:10
東宝「レ・ミゼラブル」@帝国劇場

S席 13500円 2階-C列-40番 (パンフレット:1500円)
演出:トレヴァー・ナン、ジョン・ネピア

ジャン・バルジャン:別所哲也
ジャベール:岡幸二郎
エポニーヌ:坂元真綾
ファンテーヌ:高橋由美子
コゼット:河野由佳
マリウス:山本耕史
テナルディエ:駒田一
テナルディエの妻:峰さを理
アンジョルラス:坂元健児
ガブローシュ:宮里駿

 こうもキャストが入り混じっていると宝塚の「エリザベート」各組公演をまとめて観ているような気分です。個々の出来・不出来はありますが、とにかく楽しんだ者勝ちって感じ。……とでも思わないことには。。。
 先日のトニー賞のインタビューで俳優の唐沢さんが「良いと言われているものは見なくちゃ。僕たちの仕事は観てません、じゃすまないからね」と言ってました。これは、舞台芸術に関わる人みんなに言えることだと思います。引き出しは多ければ多いほどよろしい。今回はミュージカルに縁のなかった人もちらほらいらっしゃるのですが、舞台っぷりが段違い。それと、大劇場での自分の見せ方もね。

●ジャン・バルジャン:別所哲也
存在感の薄〜いバルジャンでした。声量がない&音域が狭いのに、無理して音を押し出している(ディミトローヴァみたいな感じ)ので、まだ歌でドラマを語るレベルにはいたってないみたい。芝居も音楽にあってないみたい。これからこなれているのかな。滝田バルジャンの系列かな?

●ジャベール:岡幸二郎
さすが、関屋さん仕込み。素晴らしい歌声でした。「スターズ」も「自殺」の聞きほれました。音量もあるし格好良いです。ただ、彼の個性ゆえか、ジャベールの冷たさは出てなかったかな。それと、体格的に、バルジャンと戦っても勝っちゃいそう。おかげで「ファンティーヌの死」での倒されっぷりがうそ臭かった。とはいえ、役こそ違えど、元・レミゼ組の一人なので、舞台が安定してました。個人的にはまだまだアンジョルラスやってほしかったな。

●エポニーヌ:坂元真綾
よくもまぁ、エポニーヌに関しては毎回似たようなタイプの役者が現れるもんだ、と関心。まだ歌に安定感もないし、演技も荒削りなんだけれど、雰囲気はしっかりエポニーヌ。

●ファンテーヌ:高橋由美子
プレビュー初日は良かったのに、今日は力み勝ちでちょっとしつこかったな。歌も雑に聞こえました。

●コゼット:河野由佳
安達祐実と早見優を足して2で割った感じと言えば、わかる人にはわかるはず(笑) 庶民的でした。コゼットって歌は難しいし、見せ場はないのに雰囲気はかもし出さなければならないしで、結構損な役回りだと思います。個人的に今までで一番総合点が高かったのは純名りさだと思っているのですが、なるほど、宝塚の元トップ娘役ならば得意な分野ですよね。

●マリウス:山本耕史
この一週間ですばらしく成長していました。おどおど、ではなく、自信を持って歌ってました。コゼットもバルジャンも声量がないので、マリウスも交えた三重唱はバランスが良かったです。ここがアンサンブルの面白さですね。

●テナルディエ:駒田一
本日のベスト。彼のテナルディエ素晴らしいです。演技もくどくなく、サラリとしていながら、テナルディエのシタタカサ、要領の良さがしっかり出てました。歌も上手いし、コメディもいける。何よりも帝劇の空間をしっかりつかんでいて、観客に自分をアピールする術に長けていました。彼のテナルディエはぜひまた観たいです。面白かった〜。モリクミさんとのコンビだとどうなるんだろう?

●テナルディエの妻:峰さを理
パンフにはなぜか「歌・芝居・ダンスの三拍子揃った」と書かれてしまう峰ちゃん。いえいえ、芝居やダンスは自分でも下手と認めているはずなんだけど。。。これって、○○○さんの歌を上手い、と書いてしまうのと同じレベルの誤植だと思うんだけど。あ、で本題。峰ちゃんはコメディセンスがないので、唯一息が抜けるはずの場面も妙にまじめで息詰まってしまうのです。笑いのシーンで笑いが起きない(汗) この芸風は宝塚時代から変化なし。歌もキーがあってないので、峰ちゃんの豊満な美声を堪能するにはいたらず。なんだか、峰ちゃんの良くない部分ばかり目出つ出来になってしまっているのが残念でした。あ、パリの下町で手下たちを怒鳴りつけて持ち場に着かせる場面はいかにも元・トップさんの貫禄でナカナカでした。

●アンジョルラス:坂元健児
今日はオペラグラスを忘れてしまったのですが、捜索願を出したくなってしまいました。人一倍派手な衣装を着ているはずなのに、存在感なさすぎ。芝居が舞台の上だけで小さくまとまっていて、客席まで届かないんですよね。エネルギーが感じられず。歌も四季型なので、帝劇のそれもレミゼ組の中では違和感あり。みんなを率いる革命軍のリーダーには見えないなぁ。。。僕が演出家だったら頭抱えてます。どうしたら良くなるんだろう??? カーテンコールはOSK型で、数人ずつ登場しては一芸を披露するものでした。坂元アンジョルラスは、なんとB&Bのドアマットの芸を披露。うん、これは良かった。そういや「大きな劇場での公演には興味がない」と言って四季を辞めたのに、なぜ帝劇のレミゼに登場しているんだろう?

●ガブローシュ:宮里駿
相変わらず素晴らしいです。歌はやや荒れ気味でしたが、舞台上で自由気ままに生きているんだもの。帽子の投げ方、どつかれ方、弾丸への撃たれっぷり、すべてが良かった。芝居心があると子役といえどもあなどれませんね。このまま育てば大物になりまっせ〜。

●アンサンブル
早くもだれている部分あり。ガブローシュが瀕死の状態で鉄砲の弾の入ったカバンを投げているというのに、それがちゃんとバリケードの上まで届いたからって、みんなで「よしっ!」って叫ぶのはいかがなものでしょう? 段取りがうまく行くか、ではなくて、ガブローシュの勇気に感動する場面なのに、僕は急に萎えてしまいました。それと、一人何役もやっているというのに、全場面同じ髪型・髪色の男優がゴロゴロ。これは手抜きです。きちんと役になりきって登場していただかなくては。


2003年07月13日(日)14:00-15:20
安寿ミラ「FEMALE Vol.6」@アートスフィア

A席 7000円 3階-A列-30番 (パンフレット:1300円)
 出演:安寿ミラ、縄田晋、荻野信明、楓沙樹、紀元由有

舞台装置はというと、間口半間程度のついたてが五つあるだけ。
非常にシンプルな舞台で、ダンサーの実力が引き立つというもの。
毎年恒例の安寿ミラのショー「FEMALE」は、オーソドックスでありながら、
他のダンスショーと何をもって差別化がはかられているかというと、
観客へのショーアピールの強さと、都会的な洗練度が高いということだと思います。
ストイックで職人的という安寿ミラ自身の資質と、元・トップスターというバックグラウンドが、
ミックスされ、高いクオリティを保ちつつも、観客を楽しませるショーに仕上がっているのが出色。
今回のVOL.6はトークも歌もほとんどなく、
  妖しいアヒルの子(白鳥の湖のパロディ)
  赤ずきんちゃん気をつけて(ミュージカルナンバーの数々)
  嘆きのシンデレラ(チャイニーズの味付け)
  ブレーメンの舞踏隊(エリザベート)
  魔法がとけて…
  カーテンコール
6章に分かれているものの、休憩なしで一気に見せるショー。
観客も良い具合に集中力を保てるギリギリの時間の中、目いっぱい楽しんだのでした。
ダンスのみならず、ドラマを作り出す演技力、退団後に向上した歌唱力を目の当たりにすると、
もっとメジャーな大劇場での主演作品も観てみたくなってきます。
ダンサーとしてはアートスフィアの大きさは踊りやすいんでしょうけれど、
いっそのこと、一路さんとWでエリザベート主演!……なんていかがでしょう?


2003年07月14日(月)19:00-21:10
伊藤亮太郎「ヴァイオリン・リサイタル」@オオハラホール

全席自由 3000円 (パンフレット:無料)
 ヴァイオリン:伊藤亮太郎
 ピアノ:坂野伊都子

 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第25番
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」
(休憩)
 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」
 フォーレ:夢のあとに
 ドビュッシー:美しき夕暮れ
 サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
(アンコール)
 モンティ:チャルダッシュ
 サン・サーンス:白鳥

「オオハラホールってどこよ!?」と思われる方も多いと思います(僕もそうでした)。
横浜駅から京浜急行で一つ目の戸部駅前という好立地。
第一印象はナカナカよろしい。
駅前でありながら、入り口がわかりにくい場所にあるのですが、
手作りの看板(運動会の入場行進で使うようなやつね)での誘導もあって、とってもアットホームな雰囲気。
横浜まで来て、小旅行気分だし、ロビーには椅子が沢山並んでいるし、開演までコーヒーでも、
と思ったのですが、実はロビーと思った場所がホールでした。
絨毯敷きだし、壁は吸音板が使われているし、ホールのど真中には大きな柱が突っ立ってるし、
最近流行のクラシック専用ミニチュアホール(〜200席位のやつね)を想像していただけに、ちょっとびっくり。
古いマンションの集会所のような、学校の音楽室のような、幼稚園の講堂のような雰囲気。
舞台はひな壇だったし、照明設備がないので、蛍光灯がつきっぱなしだし、
空調設備が古くて大音量を発するので、演奏中はスイッチを切られてしまうし、
何よりも、ほとんど無響室という、僕の知る限り1・2を争う条件の悪さなのですが
亮太郎君はいつもと代わらなくジェントルなマナー、落ち着いた演奏で観客を魅了したのでした。
さすがに、ピアノとの音の出だしを揃えたり、音程や響きをカッチリ決めようと慎重になっているのですが、
最初から最後まで、きちんと丁寧に聴かせるのはさすがプロっ!
プログラムはまるで音楽史を感じてくださいとばかりに古典〜印象派まで網羅したもの。
僕としてはモーツァルトが一番亮太郎君にぴったりに思えたのですが、
それが、彼の個性ゆえなのか、会場の音響ゆえなのかかはわかりません。
逆に(のび太のコンサートで御馴染み!)伊都子さんのピアノはダイナミックなので、ロマン派の曲が好きでした。


2003年07月15日(火)18:30-21:40
宝塚歌劇団月組「花の宝塚風土記」「シニョール ドン・ファン」@東京宝塚劇場

S席 8000円 1階-13列-19番 (パンフレット:1000円)
 演出:酒井澄夫(風土記)/植田景子(ドン・ファン)

 レオ・ヴィスコンティ:紫吹淳
 ジル:映美くらら
 ロドルフォ・ドメス:汐風幸
 セルジィオ:彩輝直
 スティーブ・オースティン:大空祐飛
 ジョゼッペ・ベルゴーニ:北翔海莉(代役)
 フィリッポ:月船さらら
 ローサ・ヘミング:美原志帆
 パトリシア:紫城るい
 カトリーヌ:城咲あい

フローラルダイアリー(ショーの英文表記ね)は大劇場の時の方が良かった。
なんでだろう?
初舞台生の出演がないので、東宝の方が出演者が少ないのにせせこましい印象。
反面、ドン・ファンはこっちの方がこなれてて楽しかった。ま、作品の特性かも。
ミステリーとしてはストーリーが弱と思える程淡々と話が進むんだけど、
実は伏線はりまくりの作品だったんだ、と感嘆。
初見者、リピーターの両方に対応しているなんて、さすが座付演出家!
傑作とは思わないけれど、宝塚としては楽しかったです。
この台本を他劇団で上演したら……引いちゃうかも。
今日は、まりぃさんとおしゃべりした後の観劇ゆえか、
「着物なのにバレエだぁo(^-^)o」だとか、「ナイアガラ引きずってるよ〜」等と、
変な部分で喜んでしまいやした。もちろん、洋舞でのクネクネダンスもねっ!
今回の見ものは、トップさんがフェードアウト直前に見せる表情の変化や仕種。
二枚目というには色物トップさんだけど、個性を芸に結び付けているのは好き。
ジュゼッペ役は大劇場で観たときの霧矢大夢が休演につき、北翔海莉が代役。
何しろアテガキの作品なので、技術的にも個性的にもいっぱいいっぱいなんだけれど、
とりあえず、破綻がない程度には頑張ってました。
彼女は今回、本役、新公主役、代役と、一つの作品で三つの役を演じるのですが、よくぞ混乱しないもんです。
とはいえ、個性や技術の絶妙なバランスが崩れるのは確かで、一人だけいっぱいいっぱいなのが可哀想でした。


2003年07月16日(火)18:30-21:40
小坂安奈「展望室サロンコンサート ベルギーから風の便りII」@東京都庁北展望室

全席自由(パンフレット:無料)
 ハープ:小坂安奈
 クラリネット:河合由美子

 スヌエル:ワルツ
 アッセルマン:紡ぎ歌
 アッセルマン:ノクターン
 フランク:人形の嘆き
 リャードフ:オルゴール
 ルニエ:いたずら小鬼の踊り
(休憩)  リード:ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン
 メンデルスゾーン:歌の翼に
 フォーレ:ドリーの子守歌
 アブシル:シチリアーノ
 ルービンシュタイン:へ調のメロディー
 モンティ:チャールダーシュ
(アンコール)
 ワルラーモフ:赤いサラファン
 成田為三:浜辺の歌
久しぶりに都庁のコンサートへ行ってきました。
申し訳ないことに、本日の出演者はお二方とも存じ上げておりませんでした。
コンサート目的でないお客様もたくさんフラフラしている場所でのコンサートなので、
PAを利用しているとはいえ、音量の小さなハープでの演奏は、周りの雑音にかき消されてしまい、
「こんなんで大丈夫かぁ?」とこちらがハラハラしてしまったのですが、
いつの間にやら、ロビー全体がシンと静まり返り、一同演奏に聞きほれたのに感激。
メジャーな曲はほとんどなかったけれども、音楽の力ってすごいですね。
トリの曲は亮太郎君のコンサートに引き続きモンティのチャールダーシュ。
編成が違い、演奏者の個性が異なるので、これまた別の曲を聴くよう。
情熱的なピアノとヴァイオリンではなく、優雅なハープとクラリネットの演奏を楽しんだのでした。


2003年07月17日(火)13:00-15:55
高校生のためのオペラ鑑賞教室「トスカ」@新国立劇場オペラ劇場

全席指定 4200円 1階20列18番 (パンフレット:無料)
 演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ
 指揮:佐藤正浩
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 トスカ:佐藤ひさら
 カヴァラドッシ:中鉢聡
 スカルピア:折江忠道
 アンジェロッティ:三浦克次
 スポレッタ:松浦健
 シャルローネ:峰茂樹
 堂守:新保堯司
 看守:中村靖
 羊飼い:平井香織

昨年に引き続き、高校生の鑑賞教室にもぐりこんできました。
出演者はすでに常連ともいえるメンバーなので、手馴れたもの。
どのキャストも良く歌っていたし、ボロは出てないんだけれど、
優等生的なヴぇリズモオペラほどつまらないものはないなぁ。
小さくまとまってしまっていて、情熱が感じられないんだもの。
特にスカルピア! 悪役としてのエロスも押しの強さも感じられないし、
声量がないので常にがなり立てる→音程があやしくなる(それがいっつも!!)ので
やっぱり、僕はこのバリトン嫌い。。。 トスカ&カヴァラドッシコンビはこのカンパニーの中ではともかく、
もう少し、スケールの大きさを感じさせて欲しかったなぁ。。。
ひさらさんはスター歌手らしさがないし、ガストン(中鉢さんね)もこの役は遊ぶ余裕はないみたい。 ま、高校生の初めてのオペラとしては、リスキーな出演者を選ぶわけにはいかないし妥当な人選かも!?
毎年のことながら、高校生の反応は素直で感情的な分、刺激的でした。
舞台はもちろんだけれど、こちらの観察も大好き。
幕開きはザワザワしているんだけれど、次第にオペラの世界にのめりこむ姿はいつ眺めても興味深いです。


2003年07月19日(火)15:30-18:40
宝塚歌劇団月組「花の宝塚風土記」「シニョール ドン・ファン」@東京宝塚劇場

SS席10000円 1階-1列-38番 (パンフレット:1000円)
 演出:酒井澄夫(風土記)/植田景子(ドン・ファン)

 レオ・ヴィスコンティ:紫吹淳
 ジル:映美くらら
 ロドルフォ・ドメス:汐風幸
 セルジィオ:彩輝直
 スティーブ・オースティン:大空祐飛
 ジョゼッペ・ベルゴーニ:北翔海莉(代役)
 フィリッポ:月船さらら
 ローサ・ヘミング:美原志帆
 パトリシア:紫城るい
 カトリーヌ:城咲あい

とんでもない席で見せていただきました(狂喜&動転)。
銀橋なんて歩かれたら、トップさんの小指の爪をじっくり観察ですもの(笑)
顔を上げればトップさん、だなんて席は生まれて初めてです。
宝塚はしょっちゅう観ているのですが、さすがにドキドキしましたワァ。
でもね、実は困ったシーンが多いのです、この公演。
日舞という名のバレエ(ホント、ここまでくれば才能です)では男役の生足が目の前だし、
ファッションショーのシーンではモデルウォークの大行進があるし、
エステのシーンではタオル一枚の娘役40人が細川ふみえばりに歌い踊っちゃうし、
ラインダンスは初舞台生用ヴァージョンなので、銀橋にズラリとならんでの足上げもあるし。
はっきり言って、目のやり場に困るのです。だって……変質者みたいでしょ!?
そんな中、安心して目じりをたらして(ついでにヨダレをたらして)観られたのがトップ娘役ノエミクラ嬢。
舞台は安定しているし、可愛いし、良かったよぉ。


2003年07月20日(火)15:00-19:15
二期会「ばらの騎士」@東京文化会館

D席5000円 4階-L3列-28番(パンフレット:1000円)
 演出:ギュンター・クレーマー
 指揮:アマニュエル・ヴィヨーム
 管弦楽:東京都交響楽団

 元帥夫人:佐々木典子
 オックス男爵:佐藤泰弘
 オクタヴィアン:林美智子
 ゾフィー:幸田浩子
 ファーニナル:加賀清孝
 マリアンネ:渡辺美佐子
 ヴァルツァッキ:吉田伸昭
 アンニーナ:与田朝子
 警部:長谷川顯
 テノール歌手:上原正敏

まったく余談ですが、大学時代「ばらの騎士」についての論文を書きました。
音楽も設定舞台も大好きな作品なのですが、まさか二期会で上演する日が来ようとは!
ひそかに恐れていたロココの演出ではなく(それ故に演出家へはブラボーとブーが半々)
見た目の違和感がなかったのと、女性陣の感度の良さで、意外にも感動。そういや、みなさんウィーン仕込みだわ。
中でもオクタヴィアンの林美智子さんの声には感激。メゾならではの深い響きが心地よかったです。
彼女は新国のオペラ研修生の第一期なので、僕も何度も聴いているはずなんですが、
こんなに印象に残ったのは実は初めてです。今後が楽しみ。
女声は音質がピッコロ、フルート、バスフルートみたいで、三幕最後の三重唱なんて、
お馴染みのメロディなのに、オクタヴィアンの台詞ではないけれど、
あまりの美しさで背中には電気が走り、涙がジンワリ(ようやくゴールだという満足感もあったかな?)
歌手もオケも軽く爽やかな演奏で、官能味や重厚感を狙わないのも成功の要因でしょうか。
この作品には無理が似合わないもの。ワーグナーとR.シュトラウスの最大の相違点。
あ、オックスだけは苦しかったな。声楽的・声量的&芝居的にね。
でも、この役が適任、って日本人は思い付かないもんねぇ。滅茶苦茶難役。
とはいえ、いつもの二期会には見られない情熱と勢い、カンパニーに見合った演出に満足して帰路につきました。
もちろん、ミュンヘンやメト、ウィーンのようなゴージャスでデコラティヴな方が僕好みだけれど、
あれをそのまま演じられるのは日本では宝塚しかありますまい(東宝劇場のこけら落としでしたね)。
音大って坊ちゃん、お嬢様の集まりという印象があるけれど、歌科は別なのかなぁ?
上流階級がどうしても似合わない&サマにならないんですよね。
今後の日本オペラ界&男優の課題かと思われます。
ですから、今回のように、時代を逸脱し、写実的ではない演技での舞台は(個人的には嫌いなんだけれど)、
ボロを出さずに公演を成功に導くという点では画期的だったんだけどなぁ。。。
個性を押し出さない&均質なアンサンブルオペラとして完成されていたもの。
出演者は全体的に世代交代を感じました。
今後の日本のオペラ界を背負って立つ人々なんだろうな、と思いながらの観劇。
面白いことに、歌舞伎もオペラもバレエもミュージカルも、僕の観る分野はどれも世代交代真っ盛り。
たまたまなのか、ちょうど僕たちの優秀な(笑)世代が台頭してきたのかはわかりませんけどね。
オケ? ちょっと前までは「オペラの東フィル」と言われていたけれど、
最近は東フィルじゃないと安心するという逆転現象あり。
馴染みすぎて普段はあまり意識してなかったけれど、都響の弦は良かったぁ。管は相変わらず・・・。


2003年07月23日(水)19:00-21:00
来日カンパニー「blast」初日@オーチャードホール

S席11000円 2階-1列-10番 (パンフレット:1500円)

 金管バンドによるマーチングのショーと言ってしまえばそれまでなのですが、エンタメ命のアメリカからやってきた彼らのプロフェッショナルな技術と演出に、気づけばお口アングリ状態でした。
 しょっぱなは「ボレロ(ラヴェル)」。スネアドラムのお馴染みのソロはともかく、次々に登場するのはケッタイなラッパ吹きたち。楽器を小脇に抱えたまま片手で側転の繰り返し(転んだらどうするんだろう?) その後、約30人によるマーチングが展開されるのですが、8の字も放射状になっての回転も、平行移動も、CGかと思われる完成度。これは見ものですよぉ。集団が売り物の宝塚ですらバラバラなのに、楽器を吹きながら、しっかりポジションを把握、確保してしまうなんて凄い! ……とここでびっくりしてはいけません。ボレロのクライマックスでは、なんと交互に楽器を5m位投げ上げてしまうのです(落としたらどうするんだろうか?) それも一度や二度ではなく、まるで噴水のようにタイミングをずらしてラッパ隊が延々と。もうしょっぱなから会場は熱狂でんがな。あっけに取られてしまいました。 スゴイ技術を披露しながらも、「地と涙の結晶」だの「努力と根性」だのという汗臭さは皆無。エンターテイメントとして「どう? すごいでしょ?? 楽しいでしょ???」というカラっとした空気が気持ち良かった〜! そして、観終わった後で「良かったよねぇ」と言い合える仲間がいる幸せをかみ締めています。  「ボレロ」の後もドラム合戦だの、ラッパの超ロングトーンだの、ここはコンサートホールなのか、はたまたオリンピック会場なのか?というハイテンションな空間。「リバーダンス」はダンス合戦だけれど、あんな雰囲気かな。作品の性質ゆえか、ブラバン少年・少女が会場には溢れていましたが、彼らのノリの最高で、もう舞台と客席が相乗効果。「CATS」よろしく、客席を走り回る彼らは握手攻めと歓声の嵐。休憩時間や終演後もロビーで繰り広げられるパフォーマンス(彼らには休憩時間はないのか!?)も必見。


2003年07月25日(金)19:00-21:10
榎本潤、伊藤亮太郎、古川展生「ピアノトリオ演奏会〜ある偉大な芸術家の生涯〜」@ぱ・る・るホール

S席4000円 1階-B列-11番 (パンフレット:無料)

 ヴィエニアフスキー:伝説曲(Vn&Pf)
 コダーイ:ハンガリアンロンド(Vc&Pf)
 コダーイ:二重奏曲(Vn&Vc)
 (休憩)
 チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲イ短調作品50〜ある偉大な芸術家の生涯〜
 (アンコール)
 メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第一番第二楽章

 「〜ある偉大な芸術家の生涯〜」というのはメインの曲のニックネームのようなものなのですが、「偉大な芸術家=のび太」と勘違いした同行者がおりました。のび太君は演奏者でございますがな(笑) 今日をもって、関東でののび太のソロはしばらくなしなので(「私たちをほっぽっとくってどういうこと!?」by次公演のチケットのないファン一同)、平日のそれも千葉でのコンサートだというのに、勝手にVIPファンの出席率高し。ん〜、この団体って都心のコンサートよりも、地方公演の方が結束力あるみたいです。チケットはそれぞれが手配したのに、フタをあけてみれば、一階前方に固まってました。
 本日のコンサートは前半はデュオ、後半はトリオという構成。まずは弦弾きのお二人それぞれのソロ。僕は席の関係でピアノの音はあまり良く聞こえなかったのですが(弦の音がさえぎるのでね)ぱ・る・るホールは弦楽器のソロには打ってつけの音響で、亮太郎君ものび太も音澪が綺麗なこと綺麗なこと。全体にリラックス感が漂っていて、楽しい。そして、いつもはソフトな二人の音が今日はやたらとダイナミックなのにびっくり。一部の最後の二重奏曲。ARCOがお休み中とあって、この二人の共演は久しぶり?(二人だけ、というのは僕は初めて)。演奏前後の「お友達」の空気と、演奏中の「丁々発止のやりとり」とのギャップが面白かったなぁ。二人の信頼関係の垣間見える演奏で、のび太はのびのび、亮太郎君もいつもになく激しい弾きっぷり。本日の白眉なんだろうなぁ……と歯切れば悪いのは、実は僕がこの曲あまり好きでないから(汗)低音と高音の掛け合いは面白いと思うんだけれど、僕はもっとドラマティックな曲が好みなものでして。。。休憩時間に「三曲目苦手でしょ」と同行者に言われてしまったので、、、舞台にもバレバレ?
 でも、チャイコは僕のための曲だもんねぇ。まるでコンチェルトのソロのような華やかなパッセージの連続、厚い響きの音のうねり、ちょっと素朴だけれど起伏に富んだメロディ。チャイコはいつ聴いても大好きです。でも、この曲のピアノパートはとっても弾きにくそう。そういや、チャイコはソロの曲も「四季」位しかないし、ピアノコンチェルトは人気作品だけれど、ピアニスト泣かせだし、もしかしてピアノが苦手だったのかなぁ? ショパンやリストってもちろん難しいけれど、それ以上に聴き栄えがするでしょ。チャイコは聴き栄えはするけれど、その分、しっかり難しいという印象。でも、そんなことは演奏家にお任せして、気楽に快楽に溺れていられるんだから観客なんて気楽なもの。アンコールのメンデルスゾーンを聴きながら「やっぱりロマン派が好きやわ」と思ったのでした。アンコール希望!
 榎本さんは初めてのピアニストですが、弾きっぷりが気持ち良か〜。音は前述のように、あまりわかりませんでした。弾きっぷりといえば、亮太郎君は相変わらずポーカーフェイスなのですが、今日はいつもほど「麻呂」って感じはなかったなぁ。のび太君は良い音が出ると「してやったり」という顔になるので、わかりやすいなぁ(何が?>自己ツッコミ)。のび太君と亮太郎君の組み合わせは、二人の個性の違いが際立って、なかなか面白いです。チャイコなんて腕合戦みたいで、高揚感がありました。また聞きたいな。


2003年07月27日(日)13:15-16:00
劇団四季「李香蘭」千秋楽@四季劇場[秋]

C席 3150円 2階9列34番 (パンフレット:1300円)
 演出:浅利慶太

 李香蘭:野村玲子
 川島芳子:濱田めぐみ
 李愛蓮:五東由衣
 杉本:芝清道
 王玉林:青山祐士
 裁判長:高井治

 好き嫌いはともかくとして、すっかり劇団四季の看板演目となった「李香蘭」。タイトルロールの野村さんのみ固定キャストで、その他は入れ替わり。こうなったら、杉村春子さんの「女の一生」もしくは、森光子さんの「放浪記」目指していただきたいものです。それにはコンディション調整が大事なのですが、最近の野村さんはお疲れ状態のようで、それが声に現れているのが心配。それでも、リピーターによると、今日の調子が一番良かったんだとか。
 今まで裁判長というと佐川守正さんが一手に引き受けていたんだけれど、今日初めて高井治さんで観劇。ファントムのタイトルロールを経たせいか、だいぶ華やかな歌唱に聞きほれました。この人の歌好きやわぁ。最後のクライマックスを盛り上げるにふさわしい暖かく、ふくらみのある声なんですよ。彼を支えるコーラス隊も素晴らしい出来で、二期会公演かと思ってしまいましたさ。終演後にパンフをめくってみたら、ベテラン俳優と音大組がゾロゾロ。公演数が増えて、役者の持ち駒が足りなくなっている四季だけれど、この作品には力を入れているのね、と再認識。ま、ベテランすぎて、青年役が似合わない人もチラホラいらっしゃいましたけど(汗)


2003年07月30日(水)19:00-20:45
「THE TEMPEST」@劇場MOMO

全席自由 3800円 E列2番 (パンフレット:無料)

演出:北村文典

 甘倶楽ではお馴染みの市倉ナナコ嬢出演のミュージカルです。
 会場の劇場MOMOは中野駅から徒歩数分の住宅地に位置する可愛い劇場。キャパは100人位、舞台も8畳位のミニチュア劇場なんだけれど、小劇場にありがちな汚さ、せせこましさはなく、タッパはあるし、設備・環境共に申し分ない空間でした。
 セットはほとんどなく、動ける範囲も限られているので、おのずと「いかにもシェークスピア」な仕上がりで、コンサート形式のミュージカルのような印象でした。実は、会場といい、規模といい「しょぼいミュージカル」を想像していたのですが、しょっぱなのプロスペロー(中西勝之)のソロに度肝を抜かれました。音大を出ているのでしょうか、朗々たるバリトンのソロに期待値急上昇。舞台はショッパナが大切ですねぇ。
 市倉ナナコ嬢は相変わらず、他キャストとは段違いの力量を発揮。台詞の通りが良いのと、台詞・動きが表情豊かなのが誇らしい限り。でも、そろそろ余裕でこなせる舞台じゃなく、彼女がキリキリ舞いするようなプロダクションでの姿を観たいと思ったのが正直なところ。もったいないです、ええ。

2003年07月31日(木)18:30-20:30
東京都交響楽団「第5回都響とティーンズのためのジョイント・コンサート」@東京文化会館

自由席 1000円 2階L1列7番 (パンフレット:無料)

指揮:現田茂夫
司会:樋田由美子

 スッペ:喜歌劇「軽騎兵」序曲(都響)
 ドリーブ:バレエ音楽「コッペリア」より(都響と小・中学生)
 チャイコフスキー:バレエ組曲「白鳥の湖」より(都響と高校生)
(休憩)
 チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ(都響)
 リムスキー=コルサコフ:スペイン綺想曲
(アンコール)  ハチャトゥリアン:バレエ音楽「ガイーヌ」より

 指定席完売につき、開演1時間前にベンちゃんを横目で眺めつつホールへ到着。予想はしていたとはいえ、東京文化の狭くはないロビーが人・人・人。今までは高校生&都響の共演だったのが、今年は小中学生との共演もあり、客席のママさんたちがとってもパワフル。と、その中にひときわ派手派手な、それでいて見覚えのあるマダムを発見。おぉっと、佐藤しのぶさんだぁ。そういや、今日の指揮者はダンナさんですな。ラブラブでよろしゅうおますなぁ。(後に、これは勘違いだと判明。お嬢様が小・中学生の部に出演)。佐藤家に限らず、出演者の家族はおろか、友達関係も応援に集まっているので、客席に充満するエネルギーの大きさといったら! 運動会のような賑々しさに圧倒されてしまいました。定期演奏会ではありえない、ワクワク感。日常とハレとの違いですね。
 まずは都響の面々が軽〜くオペレッタの序曲を奏でたところで、可愛いちびっ子たちの登場。僕が子供の頃「音楽の広場」という芥川也寸志さんと黒柳徹子さんが司会の音楽番組があって、夏休みになると、TBSのこども音楽コンクールで優勝した小学校のオーケストラの特集番組(小栗原小学校とか谷津小学校ね。当時、赴任する学校学校のオーケストラを日本一に育ててしまうということで有名だった佐治先生って今はどうしてらっしゃるんだろう? ←直接指導を受けたことがないのですが、コンクールのホールの控え室で何十丁もの弦楽器をせっせとチューニングしている姿が印象に残ってます)があったんだけれど、そんなノリ。ちょっぴり背伸びをして、都響の面々に引っ張ってもらう姿は保護者でない僕にとっても微笑ましかったです。
 高校生ともなると、だいぶ表現に幅が出てきて、この一日にかける意気込みから生まれるパワーと集中力が圧巻。「白鳥の湖」というと、どこのバレエ団も手抜きのオケに恵まれる(!)せいか、聴き応えのある演奏って少ないのですが、今回は勢いがあって素晴らしかったなぁ。反響版利用の東京文化で、100人近くのオケでの「白鳥の湖」。(通常は50人強かな?)。途中で「ルッカッ!」と掛け声を入れたかった位。(あ、意味のわからない方はクーパーのスワンレイクがDVDになっているので観てね。僕がのび太のリサイタルを蹴ってまで行った公演です)。
 さてはて、休憩後は都響だけの演奏。あれっ、スカスカやん!……って物理的な印象なんですけれど、前半がマーラーもびっくりの超特大編成だっただけに、あまりにあっさりした舞台面に思わずとまどってしまいました。6-14型の編成なので、結構人数いるはずなのに、目の錯覚って面白いですね。都響の弦セクションは重厚感ではなく、軽さ・爽やかさが売りだと僕は思っているのですが、チャイコのメロディにはドンピシャリ。ロシアって寒いし、暗いし、重苦しいというイメージの国なのに、どうしてこうも伸びやかで美しい音楽が生まれたのが不思議で仕方ありません。前半で必要以上にヒートアップしてしまった聴衆も良い感じにクールダウン。そして、人数が減った分、色彩感とリズムで勝負、とばかりに登場した「スペイン綺想曲」。あれれ、高校生相手のコンサートとあって、選曲にクセがあるなぁ。何だか、東京文化ではなく、杉並の普門館にいる気分だぞぉ。この曲も、どうしてもコンクール前の練習を思いだしてしまいます。ボーイングまで覚えているよぉ、ふふふ。一曲に費やす時間も集中力も今とは段違いだったもの。で、この曲を前に都響で聴いたのって、古澤さんがコンマス時代……っていつよ!?!? 今日のスペインのソロ? 矢部ちゃんでんがな。チェロのソロはもちろんのびぃ。のび太は学生さんたちにはにこやかに応対し、同僚とは演奏談義をし(ですよね?)、ソロは気持ち良さげに弾いていて、もしかしたら、今日のステージを一番楽しんでいた人かも。
 プログラムも演奏も変化に富んでいるし、ちびっ子は初々しいし、高校生は期待通り生きが良いし、都響メンバーはリラックスしているし、何だろ、中高一貫校の学園祭を覗いた気分。今の高校生は鑑賞教室も立派だし、体験学習も素晴らしいプログラムが用意されててうらやましい限りです。
 おまけ:トリの曲が終わると、各パートのソロ一人一人がご挨拶しますよね。「次はボク? ボク? ワクワク」って指揮者にアイコンタクトを送る姿がのび太君らしいです、ええ。今すぐにでも高校生になれます。えっと、のび太君の件についてはVIPファンの掲示板に移動です。ここにゃ書けないわぁ。アイコさんの書き込みもあります。みんな考えていることは同じなのね(笑)