観劇日記〜2003年12月〜
●01日(月)19時〜  JT室内楽シリーズ「ストリング・クヮルテットARCO」@JTアートホール
●03日(水)18時〜  宝塚歌劇団 初風緑「Carmine」@日本青年館
●08日(月)14時半〜 映画「ザ・ラスト・サムライ」@ヴァージンシネマズ市川 スクリーン5
●08日(月)19時〜  横川晴児&ストリング・クヮルテットARCO「第48回ムジカーザコンサート」@ムジカーザ
●10日(水)16時35分〜映画「キューティブロンド/ハッピーMAX」@新宿武蔵野館
●14日(日)14時〜  新国立劇場バレエ団「シンデレラ」@新国立劇場オペラ劇場
●21日(日)15時〜  伊藤亮太郎「ヴァイオリンリサイタル」@千葉市文化センターアートホール
●22日(月)15時〜  宝塚歌劇団星組「巌流 −散りゆきし花の舞ー」@日本青年館
●22日(月)19時〜  新国立劇場バレエ団「こうもり」@新国立劇場オペラ劇場
●23日(祝)15時〜  新国立劇場バレエ団「こうもり」@新国立劇場オペラ劇場
●24日(木)19時〜  姿月あさと「THE PRAYER」@ル テアトル銀座
●29日(月)13時〜  東宝「イーストウィックの魔女たち」千秋楽@帝国劇場


2003年12月01日(月)19:00-20:55
JT室内楽シリーズ「ストリング・クヮルテットARCO」@JTアートホール

 全席指定 3000円 1列-2番(パンフレット:無料)

 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 Op.18-4
 エルガー:弦楽四重奏曲 第2番 ホ短調 Op.83
(休憩)
 チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第3番 変ホ短調 Op.30

 土曜日のコンサートに引き続き、今日も雨。まったくぅ、のぼぉったら〜♪(←らっしい風)。このところ出席率の悪いのぶ倶楽でしたが、久々のARCOのJTでのコンサートとあって、わらわらと集まる集まる。そういや、このシリーズってハズレはないんですよね。プログラムも良いし演奏も良いし、客席の雰囲気もアットホームだし。僕はタバコは吸いませんが、このコンサートシリーズに関してはまったくJTサマサマです。でも今後もJTの売り上げに貢献することはないだろうなぁ。飲み物位?
 ……と、今回も期待に胸膨らませての開演でしたが、んっ?んっ!んっ!?「・・・」。他の曲に時間を取られて練習不足なのか、いきなり良くない。ピッチも不安定だし、四人の息も合ってないとあって、曲間に四人が舞台裏に引っ込んだ途端、羊の群れがゴソゴソささやき開始。
 こりゃ、参ったなぁ、と困り始めたところで始まったエルガーですが、あらら、さっきまでのあなたたちは何だったの?って位の充実した演奏。合わせにくそうなリズムも心地よく連なり、エルガー独特のうねるような響きが聴衆の魂をムンズとわしづかみ。終演後に「ブラボー」の声かかかりましたが、確かに良かった。一年も間があったので、僕の記憶を元にする比較なんてとってもあてにならないんだけれど(ほら、アルツだし・笑)、ARCOは亮太郎君がアグレッシブになったものの、全体的には力みの取れた爽やかな響きをかもし出すようになった気がします。エルガーもうねりをかもし出しつつも、どこか楽に息のできる状態。聴き疲れせず、かといって、軽く散ってしまうような演奏でもなく、ちょっと癒し系の入った音楽かな。そして「さんざん通っていながら今さら何を言い出すか!?」ではありますが、のぼぉちゃんの音もね、弾きっぷりからついついドラマティックでパワフルな音を期待している部分があったのですが、リリカルなんですよぉ。オペラでいうと、ベルガンツァの歌うカルメンに、カラスのカルメンを求めていた、とでも言いましょうか。。。フレージングについては昔からリリカルな作品の方が合ってるし、好きと言ってきてたけれど(あれ、観劇日記にはどう書いてたっけ?)同世代の演奏家に比べ、仰々しくない軽やかさを持った演奏ゆえに「若手の」という前置詞が付けられるのかな、と想像してみたりしました。いかがなものでしょうねぇ? 線が太くない分、小回りや共演者への強調も自在でしょ。
 休憩後は、もう勝手に楽器が鳴っちゃってま〜す、という状態。四人で合わせよう、ではなくて、四人が勝手に弾きまくっても勝手に合ってしまうみたいな、勝ち試合の時の日本バレーボールのような、爽快感がありました。もうね、とことんやっちゃってください、こっちも付いていきますってね。尻上がりにどんどん演奏が輝いていくので、聴いてて幸せでした。おかげで、アンコールがなかったにもかかわらず満足満足。やっぱりJTで聴くARCOはひとあじ違いますね〜(by AIKO)。
 ARCOのコンサートはのぼぉちゃんと省太君のポジションが入れ替わることがあるのですが、今日はヴィオラが外側。終演時にはお顔ゲッソリで疲労感漂う亮太郎君と省太君が、もう1ステージこなせそうに元気な双紙さんとのぼぉちゃんを挟むという図式でした。ARCOの面々もこの年末は色々とお忙しいでしょうが、元気に年を越していただきたいものです。かくいう羊たちも、僕とAIKOさんが風邪による病み上がり状態。終演後はいつもの食事という名の飲み会もなく、そそくさと帰路についたのでした。


2003年12月03日(水)18:00-20:10
宝塚歌劇団 初風緑「Carmine」@日本青年館

 S席 6000円 1階-J列-29番(パンフレット:700円)
 演出:草野旦

 出演:初風緑

 前半が終わった時点から「すっごく楽しい。東宝で一ヶ月公演して欲しい」なんて騒いでいたら、あれだけガイチはハート唇だから嫌嫌って言ってたのに、スター路線はずれてから結構好きよね。とまりのすけ嬢に突っ込まれてしまいました。うん、最近はハート唇のメイクじゃなくなったから平気(笑) この秋の宝塚は紫吹淳(ピラピラのオレオレダンス)樹里咲穂(吉本新喜劇)に続いて初風緑が登場。紫吹・初風の二人については第一回のリサイタルが僕にとってはちっとも良くなかったので期待なし、そして、外部出演でも活躍しまくりの樹里さんの初リサイタルには期待大だったのですが、蓋を開けてみれば、二回目のリサイタルの紫吹・初風の二人は自分の魅力を前面に出した構成で驚きの逆転サヨナラホームラン、樹里さんは満塁に代打で入ったものの、ストライク三振(あ、僕にとっては、の話ね)でガッカリという結果に終わりました。
 思えばなぜ今まで僕が初風ガイチさんが苦手だったかというと、絶唱しているようなポーズにもかかわらず、やたらと喉をセーブした歌い方だったり、大人っぽい雰囲気なのに可愛子ぶってみたり、やりたいことと表現力に差があって違和感があったりしてからです。それがいつの間にか、情感込めたしっとりサラサラ歌う歌唱法を身に付け、大人の色気を押さえ込まなくなり、舞台技術にも余裕が出てきて肩肘張らなくなったためか、あらら、いつの間にか信頼と安心のスターの一人に仲間入り。トップは無理だと思われたからこそ、変に型に捕らわれない自由な舞台人となれたのが彼女にとっては幸いだったみたい。それでいて、逆にオーソドックスな宝塚スターになったのが面白いです。(反対に、トップになった紫吹リカさんは、トップという制約にくくられながら、自由気ままな、言葉を変えればファンを選ぶスターになったのが興味深いでしょ)。初風嬢の場合、持って生まれた声質の良さはあるものの、長年の努力と経験によって花開いたタイプのスターだと思われます。今回のショーだって、お国めぐりの構成のため、華やかで楽しいのですが、構成はごくごくオーソドックス。振付もこれといった目新しいものや超絶技巧はないのですが、ガイチさんが歌い踊るとなぜか格好良く見える! スターとしての見せ方を身に着けているのですね。逆に、年齢的にも技術的にもバリバリ&怖い位の長身ダンサーのはずの下級生の方だと、スターオーラがないゆえか、冴えなく見えてしまうのですもの。学年がいったからこそより輝くスターさんですね、ガイチは。おまけにトークも上手になってた! 大劇場だとトップさんを立てないといけないし、かといって、トップに負けない技術は持っているしで、中途半端なポジションになっていますが、今からでも彼女をトップにすえたら結構充実した公演が打てると思うんだけどなぁ。あとは人気度の問題かな? アイドルタイプじゃないから、爆発的動員は難しいものねぇ。でも、最近の彼女は僕は好きです、ええ。
 さてはて、今回のショーはタイトル通り「赤」がテーマ。MCはほとんどなく、次から次へと歌い踊るガイチのオンパレード。これが、飽きるどころか変化に富んでて今までの彼女のベストステージ。ファンでない僕がこれだけ喜んじゃうんだから、ファンの皆さんにとっては涙チョチョ切れの感動の公演だったのではないかな? 下級生に見せ場を与え、育てながらも、自分がきっちり中心で輝いていたのがさすが(樹里さんはこの部分で失敗してた。。。) ボンゴを叩きながらヨガで言う「椰子のポーズ」(←ガイチの得意技なのか、どの公演でも良く使われますよね)を左右交互に取りまくるオープニングに始まり、赤い宝石を巡るギャング、007ばりのスリリングなダンス、等が続くのですが(ショーの詳細は「歌劇」や「グラフ」でご確認くださいまし・汗←手抜きですとも、ええ)、女役に扮してのシャンソンにまずビックリ。あまりに自然体の「マダム」登場に、一瞬これがガイチとは思えなかったもの。大人の色気に満ち、高音から低音まで声色豊かに歌い分けるので、あっという間に男役に戻ってしまったのが残念に思えたホド。入れ替わりに登場する、180cmに迫る宙組若手男役たちの女装には絶句。ラインダンスですら怖くて泣きたくなるのに、ここまでくるともう爆笑するしかありません。あの、あの、二丁目のおネエさんたちの方が絶対キレイ(ってちゃんと見比べたことないけど・笑)。女性でありながら、こんなにドレスが似合わない人たちって、宝塚退団後はどうなっちゃうんでしょうねぇ。もう、こうなったらガイチの独断場でして、かなみ嬢と一緒に扮した老カップルなんて、あまりに自然な老いっぷりに役者の実力を感じましたさ。メイクで老けるだけでなく、仕草やアドリブにいたるまで、一体どこで観察してきたの?と聞きたくなるくらい自然なジジババぶり。場面が変わるたびにほんの一瞬で新しい役になり代わってしまうのは通常のショーのようにトップ〜三番手あたりがとっかえひっかえ展開するものですら大変なのに、たった一人でこなしてしまうのには舌を巻くしかありませんね。
 女装が不気味だったり、長い足が邪魔して踊りがもつれたり、ということはあるものの、宙組の下級生も張り切って気持ちよく舞台を努めていましたよ。下級生はまずはイキが良くなくっちゃね。こんかいのリサイタルシリーズはどの組も下級生が抜擢に応えて良く踊っていたのが嬉しい。中でも宙組は中堅メンバーが結構入っているので、安定感がありました。一人一人のソロ歌唱は特出した人はいないのに、コーラスになると他組とは段違いのハーモニーの美しさを響かせるのは宙組ならでは。ただ、この組はトップコンビの引き立て役専科の集団なので、せっかくの見せ場も生かす実力が付いていなかったのが残念。みなさん、そこそこ格好良くて、そこそこお上手、おまけに長身でスタイルが良いものだから、区別が付かないのです。あまりのスターオーラのなさに驚いてしまいました。コンプレックスがない人たちというのは、逆に「どうにかして目立とう」という努力をしてないんだろうなぁ。今後の課題かな?
 娘役陣ではかなみちゃんが別格扱い。ま、歌にダンスに大活躍。最近はオーソドックスなタイプのトップ娘役がいないのですが、ガイチを相手役にトップになれば、素敵なカップルになるなぁ、なんて思いながら見てました。今まで前評判の高い、アサコちゃんや、水君、わたる君との組み合わせよりも、僕はガイチとのコンビの方が好き。お互いの長所を引き立てあうし、なによりも、濃厚なラブシーンみられそうだし(爆)


2003年12月08日(月)14:30-17:05
映画「ザ・ラスト・サムライ」@ヴァージンシネマズ市川 スクリーン5

 全席指定 1500円 H列-7番(パンフレット:800円)
 監督:エドワード・ズウィック

 オールグレン:トム・クルーズ
 勝元:渡辺謙
 氏尾:真田広之
 たか:小雪
 天皇:中村七之助
 信忠:小山田シン

 素晴らしい映画です。「雅と凛とした静けさ」がまさかハリウッド映画でここまで表現されているとは思いませんでした。日本映画の丁寧な心理描写と、ハリウッド映画の桁違いの予算やスケールが見事にマッチングして、今までにないダイナミックな時代劇が登場。ステレオタイプの日本ではなく「侍」に対する敬意すら感じられる清々しい作品でした。日本ではなく、外国の方がこのような映画を作ったのが凄い!
 明治維新後、西洋化を目指す政府に「侍」を一掃するために西洋兵法の先生として雇われたオールグレンは、最後の侍の長・勝元の義理の弟を倒したものの、勝元の捕虜となってしまう。そして、雪に閉ざされた山村にある、勝元の妹・たか宅に住むことに。始めはカルチャーギャップと捕虜としての立場に苛立ちを隠せないオールグレンだったが、侍たちの禁欲的で勤勉な生活ぶりに感動。日本人の生きるべき姿を考えるようになる……。
 というストーリー。トム・クルーズが中心の映画ではありますが、実質的な主役は渡辺謙さん。貫禄といい、物語を引っ張る力といい、ずば抜けた存在感があります。スケールの大きな演技でありながら、静寂の迫力をかもし出していて、まったく日本の誇りですワ。アカデミー賞の助演男優賞にノミネートほぼ確実との評判ですが、僕としては「なんで主演男優賞候補じゃないのさ!?」とすら思ってしまいました。
 脇も素晴らしく、真田さんなんて役不足かと思えるほど。「末っ子長男・姉三人」では僕好みのいっちゃってるお姉ちゃんを演じている小雪も、この映画の中では最難関の役を見事に造詣。だって、夫を殺したアメリカ人を兄の命令とはいえ、自分の家に迎えるんですよ。おまけに、いつの間にか恋に落ちているし。が、そこは明治の日本。はっきりと感情を表現する台詞などほとんどなく、ひたすら雰囲気と表情で物語るのです。それにもかかわらず、観客にその複雑な心境がヒシヒシと伝わってくるのですから、ズウィック監督も只者ではありませんね。
 もちろん、突っ込みどころは結構あるのですよ。例えば、人里はなれた山村に住んでいる謙さんがなぜか英語がペラペラだし、山村というにはあまりにもリゾート的眺望だし(ロケはニュージーランドだそうです)、富士山の形が違ったり。でもね、そんな細かなところはどうでも良いのです。日本の通常の映画が小劇場演劇だとすれば、今回の映画は大劇場公演。台本も盛り上げどころあり、しっとり情感に溢れた部分あり、テンポ良い立ち回りありと、息つく暇もない二時間半でした。あっという間だよ!!


2003年12月08日(月)19:00-22:15
横川晴児&ストリング・クヮルテットARCO「第48回ムジカーザコンサート」@ムジカーザ

 全席自由 7000円 (パンフレット:無料)

 ハイドン:弦楽四重奏曲 第3番「皇帝」ハ長調 作品76
 エルガー:弦楽四重奏曲 第2番 ホ短調 作品83
(休憩)
 ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115

 昨日は鳥羽で昼食会やらディナーショー二回公演も行ったのぼぉちゃんに亮太郎君ですが、今日はARCOとしてもう東京でコンサート。さすがに亮太郎君なんて疲れた顔でしたワ。のぼぉちゃんの追っかけ羊たちも、さすがに鳥羽はパスした人が多かったみたい。今夜のコンサート&パーティは、ホールが主体となった会員制の物なのですが、僕たちは一般枠で入場。35人も集まったんだとか! あらら。
 強行スケジュールということもあって、演奏については密かに心配していたのですが、手馴れた曲ということもあり、また変な力みもなく、ここ最近のARCOの中ではナカナカの好演でした。先日のJTのような空中分解もなく、終始心地良い音楽にホールが満たされたのでした。ムジカーザはオモチャ箱のように小さなホールなので、直接音もバッチリ聞き取れるのが興味深かったです。ハイドンは爽やかに、エルガーはHに、ブラームスは紀尾井ホールの時とは違い「カルガモ親子」になってなく、ただただ楽しいひと時でした。でもね、留学組が戻ってきていよいよARCOも活動拡大と思った矢先に、省太君のシュツットガルド・オペラへの就職の話が出てきたので〜もちろんそれはそれでメデタイのですが〜これでまたARCOがしばらく活動できないとなると寂しくなりますわ。
 コンサートの後はホール主催のパーティ。よそ者の僕たちも何となく一緒に騒げる雰囲気で、美味しいご馳走とビンゴパーティで盛り上がりましたさ。ちなみに、ビンゴはARCOの面々も次々に「ビンゴッ!」となる中、味噌っかすになってしまった双紙さんが二階の手すりにコアラのようにしがみついている姿が印象的でした(笑)←会員ページに写真を掲載しますので見てね。
 「『天真爛漫な私の好きなのぼぉちゃんは、今しか見られないから。大人になったら天真爛漫じゃなくなっちゃうから!!!』と、目をキラキラさせて夢中になって聴いた時代は、終わったのかもしれないなぁ〜と、再確認したよ。」という誰かさんの感想があったのですが、僕も実は同じことを感じていました。もちろん脱皮を続けていただかないと困りますし、そろそろ、そんな時期かもなぁ〜と思っていたんだけどね。「好物は沢山食べれば幸せってものじゃないんだよねぇ」と変なことを考えてしまいました。……といいつつ、春までのチケットを結構押さえてたりします(笑)


2003年12月10日(水)16:35-18:10
映画「キューティブロンド/ハッピーMAX」@新宿武蔵野館

 全席自由 前売一般1300円 (パンフレット:600円)
 監督:チャールズ・ハーマン=ワームフェルド

 エル・ウッズ:リーズ・ウィザースプーン

 予定を一日繰り上げての鑑賞。この秋〜冬は「恋は邪魔者」「ラストマリッジ」そして今回の「キューティブロンド/ハッピーMAX」とラブコメディの連発。映画会社の作戦通り、全部見ましたさ。中でも、一番のお気に入りはトリを飾った「キューティブロンド/ハッピーMAX」かな。先日の「ザ・ラスト・サムライ」とは打って変わって、深みなし、お気楽ご気楽なハイテンションな映画です。ポジティヴさと、絶対的な自分への自信はさっすが。コミックタッチの演出と、POPな美術も相まって、大笑いしているうちに元気になってしまうという作品でした。明日への活力と幸せ気分を受け取って劇場を後にするのは気持ち良いですね。
 ファッションにしか興味がなかったのに、ブロンド=おバカという偏見に対抗して、ハーバードの法科を卒業し、司法試験もパスしたエル。が、愛犬の母親が化粧品用動物実験の犠牲になっていると知り、動物実験禁止の法律を議会で通過させようとなんと政界に進出、という相変わらずぶっ飛んだ設定です。非現実的な言動ではありますが、人懐っこさと頭の回転の速さ、何よりも打たれても打たれてもたちどころに元気を回復してさらにパワーアップして相手に立ち向かっていくタフさはさっすがアメリカン!
 「仕事の出来る人はお洒落だ」という説は僕も大賛成なのですが、エルちゃんは自分の価値観に絶対的な自信を持っていて、思想も思考もファッションに直結しているのが潔くて気持ち良いわぁ。保守的な政界において、反対勢力に押しつぶされそうになろうと「ワシントン流だか何だか知らないけれど、エル・ウッズ流で法案を通過させるわ!」とパワーアップしてしまうのですぞ。まったく、僕なんか学ぶことだらけです。クライマックスの議会での演説の場面でも「もっとコミュニケーションしましょう」と訴えるエル。あぁ、これは僕自身にも教訓ではあるけれど、これってアメリカの政治家、そして日本の大人の方々に向けてのメッセージでもあるなぁ、と感じ入ってしまいました。一見、軽くておバカな映画だけれど、深い深い作品です。コメディ=軽薄という偏見にもご用心くださいましよ!


2003年12月14日(日)14:00-16:40
新国立劇場バレエ団「シンデレラ」@新国立劇場オペラ劇場

 B席 3780円(会員割引) 2階-3列-47番 (パンフレット:1000円)
 指揮:デヴィット・ガルフォース
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 シンデレラ:志賀三佐枝
 王子:イーサン・スティーフェル
 アグリー・シスターズ:マシモ・アクリ/奥田慎也
 仙女:大森結城

 クリスマスにぴったりの作品とあって「くるみ割り人形」と隔年で上演されている「シンデレラ」。ストーリーバレエはあらすじを読んでみて「も」わけわからないことが多いのですが、この作品はわかりやすいし、色々な仕掛けが楽しいし、何よりも舞台がカラフルで美しいので(ロイヤルのプロダクションだけあって、ダークカラーをベースとした上品な味わい)、僕は大好き。そして、連れて行った人みんながお気に入りになってしまうという、奇蹟のようなプロダクションです。上演時間も1幕と2幕が40分、3幕にいたってはほんの20分というコンパクトさも手ごろでしょ。
 志賀さんのシンデレラは始めてでしたが、さすが「踊る女優」だけあって、心理表現が細かい! 小柄なのと、舞台での華という面では僕好みではないダンサーだけれど、義理のお姉さんたちにいじめられる場面は「耐える女」をしっかり演じてました。志賀さんだと王子と結婚してからもお姉さんたちには反抗できなさそうだなぁ。ちなみに、僕のご贔屓のお花ちゃんだと、ニコニコしながらこっそりイジメ返してそう(笑) で、一番上のお姉さんとして登場するアクリさん。僕は彼のお姉さんしか観た事ないのですが、もう圧巻。えっと、新国バレエの舞台に鳳蘭が乱入って感じ。好き放題暴れまわって、場内爆笑。僕も大好き〜! 舞台が大騒ぎの中、新国のコールドダンサーによる星の精たちは相変わらず見事な踊りっぷり。一人一人、振付が違うと&やたらと舞台上を跳ね回る複雑なフォーメーションなのですが、一瞬でも間違えてしまったら、本人が恥をかいたり、元に戻れないとかではなく、大怪我に繋がりそうなシロモノ。でも、一人一人が完璧にビシバシ踊りまくるので、心地よいことこの上なし!
 とまぁ、1幕だけでも大満足の公演なのですが、新国初登場のスティーフェルがやってくれました。とにかく登場しただけで主役オーラ大放出! いつぞやは、友人とその子供を「シンデレラ」に連れてきたのですが、王子様が登場すると同時に「あんなの王子様じゃない!」と叫ばれて、客席が凍りついたのですが(確かに召使が似合いそうな人でした)、今日は文句なしの王子さま。スティーフェルは写真よりも、映画よりも生が良いです、キッパリ。表情だとか、ちょっとした動きだけで王子様。気品と優雅さは今まで僕が観てきた王子役の中でもピカイチ。シンプルで綺麗な役を綺麗に演じるって難しいですよね。例えて言えば、ピアノでモーツァルトのソナタを弾く時のような緊張感があると思うのですが、スティーフェルは自然に呼吸してた! また呼んでください>新国

2003年12月21日(日)15:00-17:05
伊藤亮太郎「ヴァイオリンリサイタル」@千葉市文化センターアートホール

 全席指定 3000円 12列-12番 (パンフレット:無料)
 ピアノ:奈良希愛

 ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第1番ニ長調 op.12-1
 ラヴェル:ヴァイオリンソナタ
(休憩)
 ブラームス:ヴァイオリンソナタ第3番ニ短調 op.108
 ドビュッシー:美しき夕暮れ
 ピアソラ:アディオスノニーノ
 サン・サーンス:白鳥
 グノー:アヴェ・マリア
 モンティ:チャルダーシュ
(アンコール)
 清しこの夜〜もろびとこぞりて
 マスネ:タイスの瞑想曲

 年内最後のクラシックコンサートは、のぼぉちゃんを追って銚子まで行くか、亮太郎君を追って千葉に行くかで悩んだのですが、安らぎを求めて亮太郎君をチョイス。千葉市内のホール事情は詳しくないのですが、いつの間にやら室内楽向きの小ホールがあちこちにできていてビックリ。今日の会場は多目的ホールながら、落ち着いた雰囲気の客席で、こう配が急な割には音響も良く聴きやすいホールでした。ただし、ロビーにはバーカウンターも自動販売機もないので、訪れる際は、ペットボトルの飲み物を持って行くことをオススメします。とにかく喉が渇いた〜〜〜。
 亮太郎君の音や歌いまわしは、癖がないので、気持ちよく身をゆだねることができます。ベートーヴェン・ラヴェル・ブラームスと、時代の異なる三つのソナタが演奏されたのですが、個人的にはやはりブラームスが一番好き。もちろん、ベートーヴェンのゆるぎのない音楽も、ラヴェルのエスプリの効いた音楽も素敵だとは思うのですが、聴いてて「燃える〜」と思えるのはやはりロマン派。とはいえ、ここしばらく、アグレッシヴな演奏が続いた亮太郎君ですが、今日はいつもの丁寧で綺麗な音楽だったので、情熱的な曲よりも、繊細な曲が素敵に思えました。ドビュッシーやサン・サーンスは、会場中にpppの音が染み入るようで、気持ちよかった〜。反面、ピアソラはちょっと上品すぎたかな? 亮太郎君に限らずのぼぉちゃんもそうなのですが、ダンスの曲はリズムといい、勢いといい「こんなんじゃ踊れない!」と思ってしまうことが多いのです。どうしてもダンスの場面を思い出してしまう僕に責任があるのですけど、綺麗一辺倒のダンス音楽はつまらないよぉ。勝手に「このフレーズはリフトでしょ、ここの流れだとジャンプでしょ」と思いながら聴いているので、勝手に期待して勝手にこけてます(汗) とはいえ、モンティともなると、だいぶ弾き込んでいる曲とあって、僕の邪念をも振り払う名演。どうぞ、ピアソラも弾き込んでくださいまし。
 と、独断と偏見で感想書いてますけど、行って良かった、聴いて良かったなコンサートでした。ご本人様にチケットをお願いしたせいか、僕のまわりは「亮太郎君が…(みんなに君付けなのねぇ)」という暖かな応援ムードでいっぱい。気持ちの良い午後となりました。亮太郎君はね、pppで音を伸ばす時の音澪がとってもキレイ。息をとめて聞き入るのではなく、一緒に空気の中にとけてしまいそうな気分になります。通常、クラシックでpppの演奏というと、苦しくなっちゃうでしょ? そんなことは皆無で、ひたすら気持ち良いのです。リラックスしたpppが演奏できる人というのも珍しいなぁ。


2003年12月22日(月)15:00-17:35
宝塚歌劇団星組「巌流 散りゆきし花の舞」@日本青年館

 B席 4000円 2階-H列-42番 (パンフレット:600円)
 演出:齋藤吉正

 佐々木小次郎:安蘭けい
 宮本武蔵:汐美真帆
 伊藤椿:叶千佳
 アンナ・フェアラート:陽月華
 鐘巻自斎:英真なおき
 新免無二斎:麻園みき
 吉岡清十郎:綺華れい
 新田利助:彩海早矢
 阿国:華美ゆうか

 安蘭けいの時代劇は格好良いです。見得の切り方、眼力、刀さばき、どれをとっても力感溢れていて圧巻。佐々木小次郎というと、武蔵のストーリーのハイライトに登場する別格脇役というイメージがあるのですが、今回は小次郎が主役の舞台。……やっぱり、無理はあるんです。主役が成仏しないのでカタルシスを感じないもの。とはいうものの、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの安蘭けいなので、力ずくで盛り上げること盛り上げること。ついこのあいだまでエチオピアの王女役を演じていたせいか、男役にしては、発声のポジションが定まらない状態だったけれど、舞台姿は大きく立派でした。本公演では、わたる君というノッポなトップさんが君臨しているから損しているのかなぁ。ところで、今回は前記の通り声が高かったことと、組長さんと親子の関係のせいか(?)英真さんの台詞回しと似てるなぁ、と思う箇所がいくつかありました。
 そして、助演男優賞モノなのが武蔵を演じる汐美真帆。魅力のある役だし、台本も良く書かれているので、W主演に近い別格状態。安蘭嬢とは新人時代を一緒に雪組で過ごしてきたし、同期生でもあるので、お互い遠慮なしでがっぷり組んでの熱演。宝塚の舞台は主役と二番手が拮抗している座組の方が面白いな、と再認識しました。汐美嬢がエライのは、あくまで主役を立てつつ、それでいて自分の見せ場はかっちり決める事。彼女が武蔵を練り上げてくれたから、この作品が盛り上がったと言っても過言ではありますまい。汐美嬢は素顔になると目が細いのですが、舞台上ではこれまた目に力と色気があるのです。そして、武蔵のテーマ曲が格好良いのなんのって。彼女は決して歌がうまくないのですが、芝居歌としてはナカナカ聴かせるのです。歌詞を引き立てるのが抜群に上手い人ですね。
 中心二人が充実しているもんだから、他の組子もやる気満々。パンフレットの扮装写真からして「のめりこんでます」という勢いを感じます。上級生はこのまま「ザ・ラスト・サムライ」に出演できそうな程の鋭さと男臭さに満ち溢れています。下級生もバウ作品とあって見せ場があるのですが、技術点にこだわり小さくまとまるのではなく、大きく、勢いをもって演じているのにエネルギーを感じ、嬉しかったなぁ。トートダンサーズならぬ、白鷺ダンサーズは思わず見惚れるしなやかさでしたよ。今まで新人だという印象が強かった麻園みきはいつの間にか線の太い大人の役が似合うようになり(マリコさんにそっくり)今後の活躍に大期待。綺華れいははっと息をのむ色男ぶり。宝塚のハンナリ系色男は一歩間違えると気の強いオカマになってしまうのですが、きっちり男役として演じきった実力に脱帽。おまけに、セリフの明瞭さは今回の座組みでピカイチ。彩海早矢はまるで男の子のような自然な笑顔とイキの良さがありましたし、華美ゆうかも気風の良い阿国を気持ちよく好演。まったく、今の星組の充実と勢いを感じた好演です。
 ヒロインの二人組は……元々僕が苦手なお二人なのです。カノチカ嬢の泣き台詞と、梅ちゃんのパサパサ芝居はどうも僕には合わないのです。が、今回はカノチカ嬢は後半は泣き女になってしまったけれど気の強い剣の達人の女性だったし、梅ちゃんもオランダ人遊女とあってドライな芸風がさほど気にならなかったし、まったく、座付き役者の本領発揮を感じました>齋藤氏。


2003年12月22日(月)19:00-21:05
新国立劇場バレエ団「こうもり」@新国立劇場オペラ劇場

 B席 5670円(会員割引) 2階-5列-16番 (パンフレット:1000円)
 指揮:デヴィット・ガルフォース
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 ベラ:真忠久美子
 ヨハン:山本隆之(森田健太郎は怪我のため休演)
 ウルリック:吉本泰久
 ギャルソン:奥田慎也、マイレン・トレイバエフ、ギリゴリー・バリノフ

 初演は大人気だったのに、日程が悪いのか、バレエ団内でキャストを組んだのが災いしたのか、先週の「シンデレラ」とは打って変わって客席はガラガラ。では出来はいかんや、というと、これがナカナカの名舞台。今年は「ガラ」公演もあった新国バレエ団ですが、いよいよ底力を発揮しだしました。嬉しいし、今後が楽しみ。あとは、スター育成を残すのみ!
 真忠さんは、登場した瞬間「今日って外来キャストの日だったっけ?」とパンフで確認してしまった程。プロポーションの良さもさることながら、身振り手振りが正にヨーロッパの女性。通常、オーバーな動きを日本人がやると嫌らしく下品になってしまうのですが、自然に動くしサマになるしでビックリ。彼女のダンスは「やわらかさ」が特長のようで、とにかくしなやかにクネクネ良く動いてました。主役経験が少ないせいか、押し出しの弱さを感じる部分がありましたが、今後の活躍に大期待!
 モリケンさん休演により、全公演主役を踊ることになった山本君。残念ながら、彼はどう見ても日本人でした。これは日本人ダンサー全般に言えるんですけれど、表情がいつも固いんですよねぇ。そういや、割と表情豊かだった、牧阿佐美バレヱ団の正木君って最近名前みないけれど、消息をご存知の方はいらっしゃいませんか?
 ウルリック役の吉本君もコメディを楽しく見せる術を身に付けられたようで、個人的には彼が登場するだけでワクワクしてしまいました。彼は表情が豊かですね。小柄なので、コメディリリーフとしてちょこまか舞台上を走り回るのが妙にキュートで楽しいのです。


2003年12月23日(祝)15:00-17:05
新国立劇場バレエ団「こうもり」@新国立劇場オペラ劇場

 Z席 1500円 4階-4列-58番 (パンフレット:1000円)
 指揮:デヴィット・ガルフォース
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 ベラ:湯川麻美子
 ヨハン:山本隆之
 ウルリック:吉本泰久(小嶋直也は怪我のため休演)
 ギャルソン:奥田慎也、マイレン・トレイバエフ、ギリゴリー・バリノフ

 昨日あまりに楽しかったので、今日は当日券を購入。が、開演直前だというのに、まだZ席が売られているだなんて! 入手できたことは嬉しいけれど、そこまで入りが悪いのが悲しいという複雑な気持ちで劇場入り……とそこにまた張り紙がありました。ナニナニ、今日はウルリックが代役ですか。ってことは、ウルリック役は吉本君のシングルキャストですね。となると、ベラのみ役替わりってことで、彼女を中心に観ることに決定!
 で、湯川ベラですが、真忠ベラとはダンスの質が違い、バネの効いたキレの良いダイナミックな動きが特徴。大人の素敵なマダムって感じで、別のキャラクター作りが楽しい。似たようなタイプのダンサーではない配役を組んでくれた劇場に感謝。そういう意味では、モリケンヨハンも観たかったなぁ。
 それにしても、4階席からは、こうもりがフライングしても影すら見えないのには参った! 新国の舞台はタッパが高く、おまけに奥行きまで深いのでこんなことは往々にしてあるのです。それと、できればやっぱりバレエは中央よりの席の方が良く見えます。

2003年12月24日(水)19:00-途中退席
姿月あさと「THE PRAYER」@ル テアトル銀座

 全席指定 10500円 28列-04番 (パンフレット:なし)

 クリスマスだというのにあまりのひどさに途中退席。出演者同士のアイコンタクトもなければ、客席に向かってのサービスもなし。ま、宝塚時代から愛想の悪い人だったけど、盛り上げてくれる組子もいなけりゃ華やかな美術もないもんね。ひたすら無表情にマーラー並みのアダージョを歌い続けるだけで、オケのテープを舞台上でじっと聞き入るだけの場面に至ってはもはや絶句。安らぎをテーマにしたショーらしいんだけど、アンタが安らいでどうするねんっ(-"-;) 癒されるどころか、癒しを求めてしまうショーでした。一部では、アベマリア、カルミナ・ブラーナ、プロコのロメジュリ、第九、デザートソング、アディオス・ノニーノ等が使われていたんだけど、統一感もなければ盛り上がりもなし。あ「右手がほにゃらら、左手がほにゃらら」という曲は、ズンコさんお得意の吠え節で、ここでようやく客席から拍手が。……それまで拍手できなかったのです。構成・演出が誰なのか気になるのですが、スタッフの書かれた資料がないので不明なまま。ま、知られない方が良いんでしょうねぇ。そういや、時折ダンスはあったけれど、ほとんどは舞台上をゆ〜〜〜っくり日舞歩きするだけ。のったりのったり舞台上をうろうろするだけで、歌わず・踊らずというのが何曲あったことか(怒) 宝塚スターを求める客席、芸術家を目指すズンコさん、客入りを求めるプロモーターと、三者の思いがすれ違い、妙に寒〜い空間でした。そういや、スタッフもやる気がなく、客席で携帯のライトを駆使して雑誌が何かを読んでるし(・_・)エッ......? キャストがキャストならばスタッフもスタッフ。劇場って「みんなで楽しみましょう」って場所じゃなかったのかなぁ。カメラチェックだの、客席の監視以前にスタッフマナーをなんとかしていただきたいものです。
 今日の席は一番後ろの一番端だったんだけど、公演中に時計を見るためにやたらと携帯を開く人がいるのが見えて笑った! 僕も同じ気持ちだったもの(開かなかったけどね) さらに「まだあるの?」とぐずり出した子には深く同意。こりゃあ、ディープなズンコさんファンでなけりゃ耐えられないや。愛のない舞台に用はありませんっ!
 きっと、小さなライブハウスなんかでやったらもっとまとまったと思うんだよね。劇場のサイズとショーの内容が合ってなかったもの。でもね、でもね、いちばん頭にくるのは、こうなることを予測できながら、あえて、それもクリスマス・イブの公演のチケットを購入した自分自身。馬鹿っ!


2003年12月29日(月)13:00-16:05
東宝「イーストウィックの魔女たち」千秋楽@帝国劇場

 S席 12500円 1階-A列-41番 (パンフレット:1500円)
 演出:山田和也

 ダリル:陣内孝則
 アレクサンドラ:一路真輝
 ジェーン:涼風真世
 スーキー:森公美子
 フェリシア:大浦みずき
 ジェニファー:笹本玲奈
 マイケル:新納慎也

 これというナンバーもなければ、ストーリーも陳腐な作品。おまけに演出が山田和也氏ですもの(今回も平坦で盛り上がりがないという演出でした)、これはもう芸を楽しむ舞台。1990年前後の花・月・雪組のトップスターにモリクミさんが特別参加という、とにかく女性陣が強力で楽しい舞台でした。が、全員が役不足という感は否めず、このメンバーだったら『マンマ・ミーア』を上演してくれたら大ヒットするのになぁ。ほら、アドリブだとか、お客さんの一本釣り、フィナーレでのド派手な衣装といい『マンマ』って今日のメンバーで帝劇で上演したらもっともっと盛り上がるでしょ!?
 一路・涼風・森の魔女トリオはお三方とも歌唱力が売りなのですが、それぞれ歌唱法が異なり、そして、それぞれが主演作品多数なので、ソロではプライドをかけた芝居歌合戦、トリオでは主旋律・副旋律をわきまえて、バランスとりまくりという、日本のミュージカルとしては屈指のクオリティ。こんなに安心し、かつ個性を楽しめる公演も珍しいですワ。(それにしても、カナメさんの美しいことといったら特筆モノ。一路さんより4歳年上のはずなのに、宝塚の現役時代と同じツルツルタマゴ顔。)演技だって、どこまでアドリブなんだかわからない程の弾けっぷり。そして、誰が何をやっても、動揺するどころか、さらに仕返しを仕掛けるというさすがのトップさまぶり。技術点はしょっぱなから高いので、ひたすらお客様サービスに努めるんですもの。素晴らしいかった!
 こんな強力な三人を相手に一歩もひかなかったのがナツメさん。彼女のナンバーになると、まあ存在感が大きい大きい。「見て!見て!」と大ナンバーを歌われるのですが、そんなに絶叫しなくても見てますってば(笑) カナメさん・一路さんが芝居系スターだったのに対して、ナツメさんはショースターだったせいか、それとも二人が二番手のころのトップさんだったせいか、とにかく歌いだした瞬間、アナタがトップ♪ 一瞬にして観客の心をワシヅカミにしてしまうトップオーラはまだまだ健在です。それにしても、ヒステリックな役を演じたら、今やナツメさんは第一人者ですね。圧巻でした。
 おまけに「レミゼ」のエポニーヌでは、ちと力不足を感じた笹本嬢もいつの間にやら立派な歌唱を披露するようになり「ミス・サイゴン」への期待をつなげる好演。さらには、子役の第一人者の小比木嬢が相変わらずの芸達者ぶりを披露(これが最後の子役になるかな?)。相変わらずの実力を発揮して、もう、舞台上は輝ける女優さんのオンパレード。ほ〜ら「マンマ」のソフィー役者も揃ってるでしょ、このカンパニー(笑)
 そんなわけで割を喰ったのが陣内さん。こんなパワフルで濃〜いオネエサマたちをあしらうにはあまりにも力不足。今回の公演は市村正親さんでもなければ不戦敗必至ですわ(いっちゃんだったら面白かっただろうなぁ)。どうも陣内氏というと小劇場というイメージがあるのですが、まだ帝劇は彼には大きすぎたようで、スケール感もなければ、オーラも感じることができませんでした。そりゃ、助演や脇役に強力メンバーが揃ってしまったせいもあるのですが、主役なのに存在感がないというのは致命傷です。ん〜、カナメさんも一路さんも「私を見て〜」と強くアピールするタイプではないんだけどなぁ。。。とにかく、女優陣が余裕で遊びまわっている舞台で、ただ一人イッパイイッパイなんですもの。暴れまわっているのに目立たないというのは目が当てられませんワ。アンサンブルも含めて歌唱力の高いカンパニーだったので、声量のなさ、歌いまわしの一本調子が悪目立ち。もう観てて気の毒で気の毒で仕方なかったなぁ。だって、僕も気づけば陣内さんではなく、バックで歌い踊っている田中利花さんや西村直人さんを観てたほどですもの。いきなり座長ではなく、徐々にステップアップするようお膳立てすれば良かったのに>東宝 ま、あまりに影が薄かったせいか、イラツクこともなかったけどね(厳しい? でも正直な感想だもん!)。
 話題のフライングは凄かったです。魔女の三人が吊り上げられた状態でffで絶唱。かつては大セリ上がりで腰を抜かした一路さんも余裕の微笑み。今日は千秋楽だから書いちゃうけれど、実はモリクミさんだけ、フライングの途中で客席に落下するのです。もちろん、スレスレのところで持ち直すのですが、ここで僕が思い出したのは「オペラ座の怪人」の一幕の最後。色んな劇場でシャンデリアの落下を観てきたけれど、一度たりとも恐怖を感じたことはなかったのです。が、が、離れた席からでも、モリクミさんの落下のド迫力は凄かった〜。思わず手に汗握ってしまいましたサ。僕の頭上に落ちてきたら悲鳴をあげちゃう(爆)