観劇日記〜2004年05月〜
02日(日) 11時 宝塚歌劇団月組「愛しき人よ」 日本青年館
04日(月) 12時 東宝「エリザベート」 帝国劇場
09日(日) 11時 宝塚歌劇団星組「1914/愛」「タカラヅカ絢爛」JCB貸切 東京宝塚劇場
15日(土) 18時半 ギリシャ・リセウム舞踊団「オリンピアの創造」 東京厚生年金会館
16日(日) 15時 新国立劇場「ヴェルディ:マクベス」 新国立劇場オペラ劇場
30日(日) 13時55分 映画「TROY」 ヴァージンシネマズ 六本木ヒルズ 7 SCREEN


2004年05月02日(日)11:00-13:35
宝塚歌劇団月組「愛しき人よ」@日本青年館

 B席 4000円 2階-H列-36番 (パンフレット:600円)
 演出:齋藤吉正

 遠藤和実:霧矢大夢
 ジョセフィーヌ:城咲あい
 ケビン:月船さらら
 川島芳子:紫城るい
 ヒッツフェルト:磯野千尋
 一乃宮若菜:夏河ゆら
 ジェネディーヌ:嘉月絵理
 ミシェル:楠恵華
 麗河:美鳳あや
 ヨルク:青樹泉
 大門誠:真野すがた
 ミーナ:夏月都

 「遠距離恋愛はうまくいかない」というストーリーでした。近くにいないからどんどん相手のことを美化しちゃう人、近くにいないとさっさと他の人に鞍替えする人。ベクトルの交わらない様々な愛が登場するので、二時間半の舞台よりも、半年かけての大河ドラマに仕立てればさらに魅力UPとなるかもしれません。<br>  公演自体は「ヴィンターガルテンの悪夢再び」でした。様々な人種が入り乱れ、史実よりもロマンスに重点を置いた作りという意味ではとても宝塚的で、他の劇団ではとても観劇に耐えられる上演はできないだろうとは思うのですが、いかんせん観客に不親切この上ない台本で、出演者はみなテンションが高いけれど、前後関係も複線もないので、観ていながら取り残されている気分。様々な国籍は入り乱れているし、時間も場所もピンポイントであちこちに飛びまくるので、とても困ってしまいました。作・演出の齋藤氏は座付き作者として生徒を輝かせるよりも、生徒を人形のように扱い、一人遊びを楽しんでいるような印象を受けてしまいました。劇団四季の「ミュージカル李香蘭」を観ておいて良かった、と心から思いながら頭の中でアレコレ補完してましたヨ。ええ。
 さて、出演者ですが、病み上がりとはいえ、座長のキリヤンに精彩がなく、観ていてホント気が滅入ってしまいました。声量はなくなっているし、音域まで狭くなっていて、かつては歌が売りの人だったのに、今や聴いてて苦しい。前回の主演作品の「スラップスティックス」が縦横無尽の大活躍だったので、今回のような状態は悲しい。。。客席は「病み上がりだから……」とみなさん暖かいのですが、それはそれ、これはこれ。今の状態で無理やりハードスケジュールで主演させるべきだったのかなぁ? 無様な姿を観客にさらすのは本人もつらいでしょうに。本来は「背中で演技する受けの芝居」らしいのですが、どれもこれも病気に結び付けてしまうのは僕の責任ですけど、それにしても中心が輝いてない宝塚はツライ。。。
 ジョセフィーヌの城咲嬢は久々に大輪の薔薇系娘役スターの登場を印象付けました。若くてピチピチしているにもかかわらず、しっとりとした大人の風情も感じさせ、何よりも存在が華やか。登場しただけで「アンタが主役」という存在感はサスガ。4〜5年後には大トップとして君臨していることでしょう。(あ、ここからは妄想ですが、月組は次の公演でトップが就任、次の次で娘トップが退団、さらにその次で城咲嬢がトップ就任&トップがサヨナラのエリザベートなんて良いなぁ。。。) 彼女にはコスプレの似合う大型男役が必要ですね。キリヤンとはタイプが違いすぎて、コンビの魅力は生きてなかったかな。でも、不調のキリヤンに変わって、舞台を良く支えてました。今すぐにでもすぐにトップOK。
 そして、今や上昇気流に乗った感のあるさららん。いつの間にやら技術面でのボロが出なくなり、スターとしての押し出しの良さ、勢いの良さで、今が絶好調。苦手だった歌も声が前に出るようになって、非常に聞きやすくなってて嬉しかった〜。どちらかというと甘いタイプかと思いきや、結構キザな仕草にもチャレンジしているので、今後さらに化けるかもしれません。
 るいるいの川島佳子は奇人変人ぶりがクローズアップされててかわいそう。そして、組長のゆらさんは主役とのラブシーンからデュエットまでのフルコースなんだけど、完璧な娘役に化けてて逆に怖い!! いつ目をひん剥いてニヤリと笑うだろうか、とあらぬ方向を期待してしまいましたさ(笑)

2004年05月04日(火・祝)17:00-20:00
東宝「エリザベート」@帝国劇場

 S席 13000円 1階-P列-18番 (パンフレット:1500円/2000円)
 演出:小池修一郎

 エリザベート:一路真輝
 トート:山口祐一郎
 フランツ:鈴木綜馬
 ルキーニ:高嶋政宏
 マックス:村井国夫
 ゾフィー:初風諄
 ルドルフ:浦井健治
 ルドヴィカ:春風ひとみ
 マダム・ヴォルフ:伊東弘美
 エルマー:今拓哉
 リヒテンシュタイン:小笠原みち子
 少年ルドルフ:川綱納加来

 ラストスパートにはまだ早いけれど、初日から二ヶ月たって「だれちゃったなぁ」と舞台の空気がゆるんでいるように感じた公演でした。脇役陣にのやる気がなさすぎ。祐さんは体幹部分は一切動かさず、ダンスはドタバタ、歌はリズムも音程も声量もあんまりじゃない?の出来(「最後のダンス」のみ張り切ってました)。ルキーニは力んだ挙句に作りこみすぎる芝居と歌という悪癖が顕著に。そろそろ演出家の再チェックが必要じゃないかしらん?
 そんな中、一路さんは相変わらず全力投球でした。もっとも、この人が手を抜くのは観たことありませんけど。一幕の幕切れでの足元を見ないでの階段降りは「眠れる森の美女」でのオーロラ姫登場のアダージョに匹敵する素晴らしい安定感と貫禄だと思いました。そして後半の自ら不幸を選ぶような生き方に関しては絶品でした。逆に常に全力投球の人なので、一幕前半の少女の天真爛漫な部分は苦しいかな。苦しいと言えば、彼女の歌ってとても苦しそうに聞こえるのにもかかわらず、決して喉を潰さないし、常に一定の状態で歌えるというのはミュージカルの座長としてはホント理想的ですね。
 本日初めて見たのがルドルフの浦井君。思っていたよりもちゃんと歌ってましたが、いかんせん品位に欠けるのが難点。Wのパク・トンハもそうだけれど、王子様というよりも家来にしか見えないんですよねぇ。日本のミュージカル界に品と位取りを兼ね備えた若手俳優が登場するのはいつのことでしょうねぇ。ちなみに、ルドルフはオッサン役なんですけど、なぜか東宝は若手を起用しますね。

2004年05月09日(日)11:00-14:05
宝塚歌劇団星組「1914/愛」「タカラヅカ絢爛」JCB貸切公演@東京宝塚劇場

 S席 8000円 1階-7列-61番 (パンフレット:1000円)
 演出:谷正純(1914)/草野旦(タカラヅカ)

 アリスティド・ブリュアン:湖月わたる
 アデル/謎の伯爵夫人:檀れい
 ギョーム・アポリネール:貴城けい(雪組)
 アメデオ・モディリアーニ:大和悠河(宙組)
 ジャン・ポール・フレーレ伯爵:立ともみ
 フレデ親父:汝鳥伶
 アナトール:英真なおき
 エティエンヌ:万里柚美
 ポール・ギョーム:汐美真帆
 マルク・シャガール:立樹遥
 モーリス・ユトリロ:真飛聖
 ハイム・スーチン:涼紫央
 マリー・ローランサン:叶千佳
 エドモン:柚希礼音
 クロディーヌ:陽月華

 「あれ、今回はショーが前モノなの?」と錯覚を起こしそうなゴージャスで華やかなプロローグで幕開き。ザ・タカラヅカとでも呼びたくなるようなフリフリドレスと燕尾服、電飾で飾られたデコラティブな美術にまずはウットリ。シモジモが盛り上げに盛り上げたところでジャジャーンとトップスターが登場。……とここまでは素晴らしかったのですが、トップさんが登場した途端にシートベルト着用。ただでさえ歌が苦手なわたさんに、音程もリズムも取りにくい難しいシャンソンを歌わせるのに無理ありすぎ。おまけにこの曲が長いのだぁ。「いつまで歌うんだろう?」と気が遠くなるころようやく袖に引っ込むので「次は他のスターが歌い継ぐんだろうな」と思いきや、ナイアガラ付きの大羽を背負って銀橋に登場。さらにさらにソロを延々と歌いだすもんだから、プロローグだけなのにすでにグランドフィナーレを観ているかのような疲労感に襲われてしまいました。いやぁ、トップを生かしてこそ宝塚だと思っていたけえど、トップさんがいちばん格好悪くなるように作られた作品というのも初めて。わたさんは元々声が細く高いにもかかわらず、地を這うようなモゴモゴとして低音だらけの歌とあっては、うなり声が聞こえるだけで、歌詞もわからなければメロディも不明。まったく、演出家をはじめとするスタッフは何を考えてたんだか(怒)
 芝居はね、わたさんもガラッパチのシャンソニエを装いながら、実は貴族のボンボンという面白い役どころを見事に演じ分け、ことに「このビンボー人ども、俺様の歌を聞きやがれ!」と見栄を切りまくりのわたさんの格好良いことといったら! まことに惚れ惚れすること請け合い。プロローグさえボロを出さなければ歌だってそんなに気にならなかったのに。。。プロローグのおかげで、歌の場面になると本人のみならず客席まで固くなるのがわかってまったくもってお気の毒。下品な笑いも少なく、品の良いコメディにまとまっているし、フランスの香り漂う小洒落た作品なのですが、いかんせん第一印象が悪すぎるので損してます。
 実はショーも「踊りたいのに踊れない(檀ちゃ〜ん)、歌いたいのに歌えない(わたさ〜ん)」と思わず( )の掛け声を追加したくなるような恐ろしい主題歌で始まってあらビックリ。その後集団縄跳びだとか美川憲一だとか蛇だとかが登場はするんだけれど、基本的に意識が飛んでて(寝てはいないんだけど)、かのちかのAV女優のようなとんでもない衣装&ダンスを見せ付けられ、フィナーレにこぎつける頃にはこっちの息も絶え絶え。これはね、星組よりも、リカちゃん在団中の月組で上演すべきショーでした。
 あっけに取られる芝居のプロローグに始まり、力の抜けまくるショーのフィナーレまで、体力勝負の公演でした。とにかく、力尽きます。わたさん大好きなまりのすけ嬢がムラの初日を観た時の感想が印象的なので勝手に転記しておきます。

 ワタルとウメの「扉を〜開けてくれ〜」のシーンが泣ける。。。もう「う〜〜〜〜〜〜〜〜」ってハンカチで涙吹いてるのに、ワタルが「俺様の歌を聞きやがれ〜!出血大サービス今日はただ!べらんめえ」とか歌いだしこんな歌聞かされたらこっちが金をもらいたい

2004年05月15日(土)18:30-20:10
ギリシャ・リセウム舞踊団「オリンピアの創造」@東京厚生年金会館

 S席 5000円 1階-16列-21番 (パンフレット:無料)

 アテネ・オリンピックにちなんでの招待公演のようです。民音は世界各地の珍しい音楽や踊りを招聘するのが売りですが、ギリシャの音楽というと「日曜日はダメよ」位しか知らなかったので、楽しみにしていた公演でした。ギリシャという国はイタリアの隣ですし、壮大な神話の国ということもあって、スケールの大きな音楽をイメージしていたのですが、意外や意外。日本や中国の民謡を思わせる素朴なメロディと、物悲しい歌詞がエキゾティックな効果をあげていました。
 踊りも「見せるためのもの」ではなく、各地のお祭りで踊られるものをそのまま舞台にあげたようで、振り付けも変化に乏しく、見よう見まねで一緒に踊れそうなものばかりでしたが「屋根の上のヴァイオリン弾き」における「しきたりの歌」のダンス(みんなが手をつないでステップふみながら移動するアレです)を思わせるものが多く、ギリシャ〜ロシア〜アジアというダンスの変遷というか、人間の移動というものに思いを馳せた公演でした。


2004年05月16日(日)15:00-17:50
新国立劇場「ヴェルディ:マクベス」@新国立劇場オペラ劇場

 D席 6300円 3階-4列-50番 (パンフレット:800円)
 演出:野田秀樹
 指揮:ミゲル・ゴメス=マルティネス
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 マクベス:ヴォルフガング・ブレンデル
 マクベス夫人:ゲオルギーナ・ルカーチ
 バンクォー:妻屋秀和
 マクダフ:ミロスラフ・ドヴォルスキー
 マルコム:井ノ上了吏
 侍女:清水華澄
 医師:大澤建
 マクベスの従者:大森一英
 刺客:篠木純一
 伝令:塩入功司
 第一の幽霊:青山貴
 第二の幽霊:高原由樹
 第三の幽霊:直野容子

 野田秀樹がオペラ演出に進出!ということで、チケットが売れまくった公演です。野田氏というと、機関銃のように連射される台詞、やたらと舞台を走り回る演出、そして天皇制や戦争を絡めた解釈、という印象があるのですが、オペラとあって、さすがに音声面ではスコア通りでしたが、その他の部分は美術からアンサンブルまで、まさに野田ワールドが展開されたのでした。個性が強いので、好き嫌いは別れるでしょうが(スミマセン、僕の好みではないです……)、オリジナリティ溢れる舞台と、その意欲には好感を抱きました。新国も予算を削られてスター歌手を揃えられないということが話題になっていますが(個人的にはスターが登場する時は入場料倍増というウィーン式で良いと思ってます)、その分アイデア勝負の様相も呈してきて、これはこれでナカナカ面白いのです。
 で、野田版の特徴はというと、ズバリ「魔女」です。「マクベス」というと、真っ暗な舞台の中、ホーンテッドマンションのゴーストたちがうごめく世界、という先入観を持っていたのですが、いきなり舞台全面花畑という豪華さ。そんな中、宮崎アニメに登場する「顔なし」がワラワラと登場して、ダンサー・シンガー入り乱れての大繁殖。あまりの気味悪さに悪寒を覚えたら、なんと彼らがそのまま魔女に大変身。彼らは舞台に出ずっぱりで舞台を支配。時に死神として人間を恐がらせたかと思うと、こんどは権力者による争いに巻き込まれた民の死霊と化したりして、おぉ、コレはと膝を叩くような解釈がなされていました。何というんでしょ、人間の欲望のようなものを感じました。魔女が主役とあって、通常は焚き火にかけられた大釜も、何と回り舞台いっぱいを利用した超巨大サイズ。したがって、そこに投げ込まれるイモリの死体だとか、こうもりの羽というのも「CATS」の舞台装置並の大きさ。人間のもがれた手足だとか、血だらけの死体もわんさか登場するので、気味が悪いったらありゃしません。子役たちはよくぞ大人しく演技してたものです。三階席から観てあんなに気味が悪いんですもの、僕が子役だったらきっと泣き出して降板必至です。
 魔女たちとは対照的に、人間達の衣装は華やかです。マクベスもマクベス夫人もヴィヴィッドな服で登場。お城に集まる面々もブルーやグリーンといった目に爽やかな色調のドレス。でも、彼らが華やかであればあるほど、魔女たちとのコントラストが際立って、貧富・権力の差の大きい独裁政治を表現しているのが際立つのです。おまけに、舞台装置というのが、王冠をかたどった板の表裏を利用したもので、場面によって、心理によって、それが回り舞台でグルグル回るという凝ったもの。社会的面でも、人間の多重人格さの面でも、その不安的で落ち着かない様子が嫌でも際立つ演出に、好き嫌いはともかくとして「野田さんは天才!」とその力を見せつけられてしまいました。通常の公演だと、マクベスが倒された後、出演者一同でバンザイを繰り返す、ちょっと宝塚宙組チックな演出で幕切れになるのですが、今回の舞台では喜んでいるのはマクベスを倒し、クーデターを成功させた兵士たち(なぜか太平洋戦争時の日本軍の軍服を着用)、クーデターの巻き添えになった民は喜びを表現せず、逆にクーデターが原因の屍が舞台を埋め尽くすという衝撃的なフィナーレ。圧巻でした。
 「魔笛」のパパゲーノや「こうもり」のファルケ博士といった、オモロイおっちゃん、というイメージの強いブレンデルが「マクベス役にデビュー」というから「陽気なマクベスになるか!?」と思いきや、既に100回は演じているに違いないとすら思える、細やかな芝居に「コメディは芝居巧者でないと演じられない」という言葉を再認識。言葉で強がってても、内面はビクビクしていて、思わず空威張りしてしまう、というマクベスの心理が、まるで小説を読んでいるかのように伝わってくるんですもの。余談ですが、体格が立派で、金髪ハンサムな彼が王冠をかぶった姿は非常にゴージャスで、まさに「王者」でした。役柄によっては、ルックスも大事だなぁ。
 マクベス夫人のルカーチは芝居こそ大味でしたが、ドラマティックなその声と、鳳蘭も真っ青になる目を見開いた芝居で、マクベスのみならず、客席をもドキドキさせたのでした。ま、あまりに立派すぎて、夢遊病の場があまりにも嘘臭かったかな。だって、人殺し位じゃうろたえないであろう程おっかないんだもん!


2004年05月30日(日)13:55-16:35
映画「TROY」@ヴァージンシネマズ 六本木ヒルズ 7 SCREEN

 大人一般 1800円 B列-21番 (パンフレット:700円)
 監督:ウォルフガング・ペーターゼン

 アキレス:ブラッド・ピット
 ヘクトル:エリック・バナ
 パリス:オーランド・ブルーム
 ヘレン:ダイアン・クルーガー
 アガメムノン:ブライアン・コックス
 ショーン・ビーン:オデュッセウス
 テティス:ジュリー・クリスティー
 プリアモス:ピーター・オトゥール
 テティス:ジュリー・クリスティ

 何だか知らないけれど、とにかく大人気のようでして、久しぶりに満席の映画館で観賞しました。ま、ヴァージンは座席指定制だから立ち見というのはないのですが(チケット発券後、開場まで並ばずに買物やお茶が出来るので、この制度は大好きです)スペクタクルな映画を鑑賞するにはさすがに前すぎました。合戦シーンなんて、あまりの大画像に状況がわからず、まるで目の前でフラッシュがたくさんたかれているみたい。空中から撮影されたシーンにいたっては、乗り物酔いしそうな気分にすらなりました。そして、ブラピの印象はというと「鼻の穴が大きかった!」に尽きます。とにかく、どセンターの席だったので、主役のアップになんてなろうものなら視界一面が鼻の穴。ま、アップになっても大丈夫なようになってるんですけどね(笑)
 ストーリーは世界史の復習とでもいいましょうか、城壁に囲まれたトロイの街が滅びるまでの大河ドラマ。トロイの木馬が登場するくだりは、上記のようなどアップも相まって、精巧に作られた木馬の不気味さ、圧迫感は、不滅といわれたトロイの街を崩壊させるには充分な迫力。高校時代に教科書で読んだ当時は「嘘くさい」と思ってましたが、実際ありうるなぁ、と美術スタッフに感心しきり。この映画はテレビの画面ではなく、是非、映画館の大スクリーンで堪能してくださいまし。細かなディテールまで良く作りこまれています。さすがハリウッド!
 さて、出演者も好調でして、獰猛さと甘さのバランスが絶妙で、ブラピはまさにはまり役。彼の生涯の代表作になることでしょう。荒々しい戦士としての冷血な凄みを見せた直後、こんどは女性を誘惑する色気を全開。むさくるしくなる前に恋心が絡み、甘ったるくなる前に雄雄しさを押し出すのです。これによって、テンポにメリハリが生まれ、予告編を含めると3時間以上の長丁場の映画にもかかわらず、あっという間に時間が流れ去ったのでした。おまけにこの映画に備えての肉体改造がとてつもなく、まことに美しい40男でした!
 美しいといえば、実はこの映画は美男・美女がやたらと登場するのです。歴史上でも美貌を鳴らしたパリスやヘレンも登場しますし、彼らの親戚もうじゃうじゃとなれば、とにかく俳優も美男美女を揃えなくてはならないわけでして、タイプの好き嫌いはともかくとして、まことに壮麗な眺めでした。美男子兄弟のヘクトルとパリスですが、ヘクトルは優秀な長男としての厳しさと包容力に満ちていて、パリスは美男子だけれど頭も剣の腕も今ひとつながらどこか憎めない末っ子だったし、そんな彼を支えるヘレネはしっかり姐さんで、ヘクトルの奥さんはダンナがほれ込むのも無理はない芯の強さをみせ、なかなかバラエティに富んだ面々でした。そして、美しさを際立たせるためか、やたらと脱ぐ(笑) でもね、美しい人たちは脱いでも美しいのです。いやらしくならない。さすがです。