観劇日記〜2004年08月〜
07日(土) 11時 宝塚歌劇団宙組「ファントム」 東京宝塚劇場
08日(日) 11時 宝塚歌劇団星組「花のいそぎ」 日本青年館
08日(日) 15:00 新国立劇場 こどものためのオペラ劇場
「ワーグナー:ジークフリートの冒険 指環をとりもどせ!」
新国立劇場中劇場
14日(土) 12:30 東宝「ミス・サイゴン」プレビュー 帝国劇場
15日(日) 17:15 東宝「ミス・サイゴン」初日 帝国劇場
21日(土) 11時 宝塚歌劇団宙組「ファントム」 東京宝塚劇場
21日(土) 16時 映画「シュレック2」 日比谷スカラ座1
22日(日) 11時 宝塚歌劇団雪組「あの日みた夢に」 日本青年館
28日(土) 11時 宝塚歌劇団宙組「ファントム」 東京宝塚劇場


2004年08月07日(土)11:00-14:10
宝塚歌劇団宙組「ファントム」@東京宝塚劇場

 S席 8000円 1階-8列-33番 (パンフレット:1000円)
 演出:中村一徳

 ファントム(オペラ座に潜む怪人):和央ようか
 クリスティーヌ・ダーエ(オペラ歌手を目指す少女):花總まり
 ジェラルド・キャリエール(オペラ座の前支配人):樹里咲穂(専科)
 フィリップ・ド・シャンドン伯爵(オペラ座のパトロンの一人):安蘭けい(星組)
 アラン・ショレ(オペラ座の新支配人):鈴鹿照(専科)
 カルロッタ(新しいプリマドンナ、ショレの妻):出雲綾
 マダム・ドリーヌ(オペラ座最古参のバレエ教師):高柳みどり
 ジャン・クロード(楽屋番):美郷真也
 ルドゥ警部(パリ警察署長):寿つかさ
 セルジョ(オペラ座の団員):初嶺磨代
 リシャール(オペラ座の団員):遼河はるひ
 モーク・レール(舞台監督):速水リキ
 ソレリ(オペラ座の団員):彩乃かなみ
 ラシュナル(オペラ座の団員):悠未ひろ

 「ファントム」というとどうしてもロイド・ウェバー版を思い浮かべてしまいますが、今回はそれよりも後に作られたコピット版によるもので、宝塚での上演がそのまま日本初演となります。これが、予想を上回る素晴らしい仕上がりで、さすがに一日に二回観るにはしんどいけれども、なかなか見ごたえのある公演でした。宙組は宝塚の中でも特殊な組構成で、トップコンビの下には二番手と三番手、脇を固めるのは組長と副組長、その他の組子はアンサンブルという、他の組ではありえない状況。よって、通常公演においては「スター不足」という印象を受けることもあるのですが、元来の役の少ない既製ミュージカルの場合は、逆に丁度良い役振りが出来るのです。おまけに、アンサンブルに関しては訓練されまくっているので、コーラスや群集の動きの処理に関してはダントツの実力。後ろの後ろまで独自の芝居が行われている方が好き、という人もいますので好き好きですが、今回の公演には良い方向に転んだかと思います。ま、今回もトップコンビと組長、特別出演の二人以外は役名こそついていてもほんのチョイ役だらけ。個々の生徒のファンには可愛そうかな?
 和央ファントムですが、トップ就任7作目にしてようやくトップらしくなった印象を受けました。今まではどうしても「花總まりの相手役」というイメージが強かったのです。彼女の芸風があっさりサッパリというのも原因かもしれませんね。彼女の場合、能動的な役よりも、運命に流される孤独な役が似合うこともあって、どうしてもトップとしてのカリスマ性に欠けるところがあったのですが、ファントムという、一般人とは異なる、いわば別格の役がそのままトップというポジションに相まって、ステキなタイトルロールでした。この作品で彼女はようやく「当たり役」にめぐり合ったのではないでしょうか。長身で顔が小さいので、マント姿が非常に格好良く(マントさばきは今ひとつ)、ちょっと甘えがかった歌唱法もマザコンのファントムという役にピッタリ。まるで彼女のために作られた役のようでした。彼女はライオンのようなちょっとワイルドな長髪と、裾の長いジャケット(フェルゼンなんかが良く着ているヤツ)については、宝塚一似合いますね。僕の好みのジェンヌではないけれど、少女漫画から抜け出たヒーローとでも言いましょうか、仮面をつけていても美しい男役でした。
 今年でトップ就任10周年という花總まり嬢によるクリスティーヌですが、歌も芝居もそつなくまとまっているものの、若干物足りなさを感じました。最近の彼女は「役に自分を近づける」のではなく「役を自分に近づける」ような印象があり、ルーティンワークを感じてしまいました。とはいえ、可愛いだけのクリスティーヌではなく、母性を感じさせる部分があったのが嬉しい限り。彼女はお姫様役者として、若きプリンスと結ばれるという役が回ってくることが多いのですが、意外と母親系の役の方が向いているのかもしれない、と思いました。「My True Love」でのファントムに向けての絶唱が圧巻でした。今回のクリスティーヌ役は、ファントムに対して恋人として憧れ慕うというよりも、彼を包み込むような役というのが新鮮でした。このパターンですと、和央さんの芸風とのバランスも取れ、結構良いのでは? 個人的な独断と偏見ですが、おとなしいお嬢様役だと「裏がありそう」と勘ぐってしまうんですよねぇ。。。
 組長でありながら、もしかしたらヒロイン以上に活躍の場を与えられて、それを完璧にこなしてしまったのが出雲カルロッタ。実際の彼女の人となりを知らないのですが、僕が勝手にイメージしている出雲組長とカルロッタ役がピッタリなので登場するだけで勝手に大喜び。実力派だからこそ許されるこのポジションですね。ビックリしたのはフィナーレ。ぬぁんと、舞台のど真ん中でダンサーとしても踊りまくっていました!! 恐るべし!!!
 そんな組長にも負けず、完全に主役を食ってしまったのが樹里キャリエール。さすがに「ファントムのお父さん」というには無理がありましたが、その役作りは圧巻。クリスティーヌに対する思いやりや、ファントムに対する愛情がそこかしこで表現されていて、セリフ回しも年齢を重ねた風格を表現しているのです。おまけに、歌にドラマを乗せる事にかけては宝塚でも一、ニを誇る実力派なので、銀橋でのファントムに「自分が父親だ」と伝えるシーンは、歌唱力でも演技力でもトップさんを喰ってしまいました。もう誰も太刀打ちできないレベル。出番こそ少ない役ですが、実質的な主役でした。そもそも、コピット版の「ファントム」では、きっかけもドラマを動かしているのも実はキャリエールなんですね。劇中でキャリエールはやたらと「何でやねん!?(何てことだ!?だったかも……)と叫びますが、実はその原因は全てキャリエールだというのがmyツボで、勝手に突っ込みを入れながら観ていました。
 そして、二番手格で参加にもかかわらず「そういえばいたっけ?」と、ほとんど印象に残っていないのが安蘭シャンドン伯爵。ヨーロピアンの香りの作品の中で、ただ一人アメリカンなナンバーを与えられ、おまけに派手なだけで薄っぺらい役ということで、こうなると演技力云々以前に、役者としての華で勝負するしかないという、意外と難役なのですが、ハッタリを効かせるタイプでない彼女は残念ながら作品が要求するだけの「ステキな伯爵様」にはなりえていなかったようです。宝塚90周年による二番手シャッフルの関係もあったのでしょうが、この役に関してはミス・キャストと言っても良いでしょう。かわいそう。フィナーレでようやく張り切って歌い上げていましたが、なぜか「ポーギーとベス」のナンバー。なして急に別作品を歌いだすのか、非常に違和感を感じました。


2004年08月08日(日)11:00-13:40
宝塚歌劇団星組「花のいそぎ」@日本青年館

 B席 2500円 2階-F列-18番 (パンフレット:600円)
 演出:大野拓史

 小野篁(おののたかむら):真飛聖
 三の君(さんのきみ):琴まりえ
 藤原常嗣(ふじわらのつねつぐ):柚希礼音
 清原夏野(きよはらのなつの):萬あきら
 藤原冬嗣(ふじわらのふゆつぐ):一樹千尋
 済恩院喜娘(さいおんいんきじょう):万里柚美
 小野瀧雄(おののたきお):にしき愛
 稗田鈿女(ひえだのうずめ):彩愛ひかる
 藤原良房(ふじわらのよしふさ):嶺恵斗
 一の君(いちのきみ):涼乃かつき
 長岑高名(ながみねのたかな):祐穂さとる
 源潔姫(みなもとのきよひめ):南海まり
 粟田家継(あわたのいえつぐ):彩海早矢

 振り仮名残しておかないと役名わからない(笑) おまけに 、日本史をまじめに勉強してこなかったので、実は時代背景だ とか、人間関係もよくわからない(汗) パンフによると、イ メージがつかめない程、多彩なエピソードが残されているとい う小野篁ですが、お恥ずかしいことに「そんな歌人いたような 気がする」程度の知識での観劇でした。日本に住む日本人であ りながら、こんなことじゃいけませんねぇ。。。でも、それを さし引いたとしても、台本の出来はあまり良くなかったと思い ます。エピソードが多すぎて、一つ一つが散漫になっていたの で、ラブ.ストーリーなのか、魔術者の苦悩なのか、はたまた 、若者の成長の話ななか、芯が定まらず、落ち着かない舞台で もありました。
  それをフォローしたのは出演者の面々。平安時代の学園物 ということで、宝塚ならではの美しい若者とお姫様がズラリと 舞台に並ぶ様は、少人数・低予算の青年館公演といえども圧巻 です。中でも、主演の真飛氏はノーブルな美貌が映えました。 若手中心の学生たちも、呼吸とタイミングを合わせたアンサン ブル芝居を披露し、この手の芝居にありがちなガヤガヤうるさ いだけの集団に陥らなかったのが星組ならではでしょうか。適 材適所でみんなが活躍。あて書き作品の良さですね。もっとも 、日本物はあまり上演しない組でもあるので、ド素人の僕がみ ても違和感のある所作や踊りで、何だか外人さんが一生懸命時 代劇に取り組みました、みたいなシーンもあって、思わずププ プ(笑) そんな中、一人だけ動きも美しく、芝居も別格な女 役さんを発見。誰かと思いきや、副組長の柚美姐さんでした。 一樹、萬の元星組でもある本専科のお二人と一緒に、がっちり と脇を支えるので、舞台に安定感がありました。スターの輝き も素晴らしいけれど、いぶし銀のような渋い魅力を放つ生徒の 育成も重要ですね〜。
 あ、余談ですが、11時開演公演にもかかわらず、朝食を取り 忘れて劇場に入るとどうなるか……。静かなシーンで高らかに 鳴り響くお腹の音。おまけに、足元からは美味しそうな香りが プンプンで、近隣の皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ありませ んでした(ペコリ)


2004年08月08日(日)15:00-16:20
新国立劇場 こどものためのオペラ劇場
「ワーグナー:ジークフリートの冒険 指環をとりもどせ!」@新国立劇場中劇場

 全席指定 2100円 1階-19列-48番 (パンフレット:無料)
 演出:マティアス・フォン・シュテークマン
 指揮:三澤洋史
 管弦楽:新国立劇場こどもオペラ・アンサンブル(東京フィルハーモニー交響楽団メンバーによる)

 ブリュンヒルデ:高橋知子
 ジークフリート:秋谷直之
 ヴォータン:米谷毅彦
 森の小鳥:直野容子
 ファフナー:峰茂樹
 ラインの娘/ワルキューレ:蒲生由美子、増田弓、佐々木昌子

 高校生のためのオペラは新国で普段上演しているプロダクションの新人公演なのですが、こどものためのオペラ劇場はオリジナル作品でした。オリジナルと言っても、元のメロディは存在していて、それがなんワーグナーの「ニーベルングの指環」だというのだからのけぞってしまいます。何しろ、休憩なしで上演して15時間。実際は1時間半歌って1時間休憩みたいな、歌手にも観客にもスタミナが要求され、全曲上演には4日もかけるという、最大・最長のオペラなのです。そりゃ「ロード・オブ・ザ・リング」のヒットもあって、子供達にも少しは馴染みのある題材ではありますが、話の複雑さ、ライトモティーフ満載の難解な作品ですので、いったいこれをどうやって1時間に縮めるんだ!?と興味深々で劇場へ。オペラではありますが、子供達が主役とあって、客席は非常に賑やか。作品の中での疑問や感じたことをそのまま口にしてしまうというのが、非常に新鮮でした。そして、原曲の難しさに根をあげている僕にとっては、どこのメロディを持ってきたのかすらわからなかったりするのですが、少なくとも台本に関しては、子供達が興味を持ちそうな部分のみピックアップし、愛だの権力だのといった「成人指定」の部分は上手にカットされていました。オペラというよりもミュージカルのような演出もオペラ入門として適当だったのでしょう。でもまあ、個人的には今回限りの観劇で良いです、ええ。フィナーレにいきなり非クラシカルな曲想のナンバー(たぶんこの公演用に書き下ろしたもの)を持ってきたのにも違和感を感じました。それにしても、たったの1時間の作品のために費やした労力と情熱には脱帽。新国ってスゴイ!


2004年08月14日(土)12:30-15:15
東宝「ミス・サイゴン」プレビュー@帝国劇場

 B席 3500円 2階-K列-27番 (パンフレット:1500円)
 演出:ニコラス・ハイトナー

 エンジニア:別所哲也
 キム:知念里奈
 クリス:石井一孝
 ジョン:坂元健児
 エレン:ANZA
 トゥイ:tekkan
 ジジ:平澤由美
 キャデラックの運転手:KAZZ
 アンサンブル:つ組

 客席は大人しいし「何だか普通のミュージカルみたい」と感じたのは、それだけ日本のミュージカルが充実してきた、ということなのか、それとも僕が不感症になってしまったからなのかはわかりませんが「再演はありえません」と宣伝され、18ヶ月劇場を埋めないと赤字になる、と大騒ぎをした初演時に比べて、あっけなく幕が上がり、そして終演しました。メインキャストにミュージカルのベテランがいなかったのも原因かしらん? 場面説明のスライドが加わり、説明セリフが入り、メロディやオーケストレーション、装置や衣装まであちこち手が加えられていて、前回の「レミゼ」ほどではありませんが、あちこちマイナーチェンジが観られました。そういや、オケが舞台の盛り上げに貢献せず、ひたすら平坦なのには閉口。特に管楽器。ノッペリの演奏ぶりにブーイングです。
 今回はクアトロキャストということで、観劇日を決めるのがとにかく大変でした。僕は役者の好き嫌いはともかくとして、一通り観ておきたいタイプなので「東宝の思うツボやん」と自嘲しながらの劇場入りでした。18ヶ月も公演を続けた前回のカンパニーの記憶と、プレビューほやほやの今回のキャストを比べちゃだめよ、と自分に言い聞かせながら、新しいキャストの見所を探しながらの観劇を心がけていたのですが、それ以前に時代の流れというのも感じさせられる公演でした。椅子からずり落ちるほど下手な人というのもいなかったけれど、おぉ〜っと感動させてくれる人もいなかったかな。アンサンブルも含めて、平均点であっさり味。これから味付けがされるのかなぁ。ピアノでいうと、譜読みが終わった段階で舞台に上がってしまった感じ。明日から本番という時期にしては仕上がりが雑でとにかく段取りをこなすのが精一杯というのはプロとしてどうよ!? キャストが多すぎてリハーサルが充分にできないというのは、最初からわかっているので、言い訳にはならないと思うんですがねぇ。。。あ、女性コーラスがとてもキレイでした。
 さて、別所さんのエンジニアはおフランス度の高い役作りで登場。実は僕のまわりでは彼の出演日は外すという友人が多かったのですが「もしかしたら穴馬か?」と一瞬喜んでしまいましたが、その後のあまりの金太郎飴状態に僕としては大ブーイング。大根芝居ならぬ、大根歌。相手に話しかける部分と独り言をブツブツ言う部分、セリフの部分とモノローグの部分などの入り混じった難しい役なのですが、まったくこなれてないのです。 表情も変わらず、動きもギクシャク、なによりも、楽譜がそのまま目の前に浮かぶような歌唱に唖然。芝居も歌も体に入ってないのです。元々、歌が得意なわけでも、芝居が上手いわけでもない人でしたが、定価を取れる状態じゃないなぁ。あ、今回のようにベテラン・新人が入り乱れての公演は、キャストによって入場料が違うなんてしたら面白いのにね。相当覚悟していったにも関わらず、予定通りいえいえ、予定以上に気持ち良く怒りに浸ってきました。だって、主役だよぉ!! 彼が登場すると客席の温度がす〜っとさがるのはツライなぁ(拍手がパラパラなのでわかります)。彼については、初日前ではありますが、my楽で結構です、はい。
 キムの知念さんは、まずは田舎から出てきて、初めてドリームランドのショーに出る恥ずかしさや戸惑いを非常に丁寧に演じてました。ダンスのテンポがずれていたり、振りが一人だけ小さかったり、演技の上ではありますが、素晴らしい出だしでした。ただ、キャラクター的に、あまりみじめな役が似合わないようでして、悲壮感はあまりなかったかな。キムとしてのひたむきさ、ギリギリの線の上を生きている悲壮感はまだまだ。華やかな美人さんなので、貧乏臭さだとか、苦労人という雰囲気が出ないのがネックかな。これは、歌や芝居が常にてんぱってて、メリハリがついてないのが原因かもしれません。ホップ・ステップがなくていきなりジャンプに向かってしまう芝居と歌なので、まだ泣けない。これから舞台数をこなしていくうちにどう変わるのかが楽しみです。歌は……とにかく頑張れ〜! 「命をあげよう」はさすがに歌いこなしてました。
 石井さんはクリスとしては初役ですが、初演出演メンバーとあってか、一人段違いの安定感。ほとんどのキャストがまだ役者名のまま舞台に立っている中、一人だけ役名で舞台に生きている、とすら感じました。感情の多彩さ、力の抜き入れ、感情の爆発感がずば抜けていました。他キャストとは段違いの仕上がりゆえに浮いてしまった気味はありますが、素晴らしいクリスでした。たまに高音がひっくり返るクセはあるものの、表現の大きさ、歌唱スケールが、帝劇&大作ミュージカルにピッタリ。アメリカンな雰囲気も出てたかな。
 逆にジョン役の坂元氏はとってもとっても日本人。体の小ささは声量だけではカバーできないって誰か言う人いないのかしらん? 何だか怒鳴ってばかりでした。芝居はというと、アメリカ軍人の役だから、別に日系人だという設定でもおかしくはないのですが、あまりに日本人らしい所作は非常に違和感がありました。どちらかというと、ベトナム人役の方がお似合いかも。。。東宝版は日本人だけでの公演なので、人種問題部分がただでさえわかり難いので、役者の方の動きや表現方法に気をつかっていただきたいな、と。彼の場合はとにかくイッパイイッパイなのが、二階客席後方からでも手に取るようにわかり、これから役が体の中に入ると変わってくることでしょう。歌の合間に入るセリフが、入るぞ入るぞ、とカウントしているようでして、表現する余裕がなく棒読みになるんですもん。
 エレン役のANZA嬢は立っているだけでアメリカの中流階級の奥様って感じ。物質的にも精神的にも恵まれているという余裕を感じさせる雰囲気作りが抜群でした。彼女も歌は……頑張れ〜!
 トゥイのtekkan氏はまだ素人の域、ジジの平澤嬢はお色気前回でいい味だしてました。KAZZは女ったらしのGIや、唯一踊らない運転手役など、結構美味しいポジションでしたが、今回の公演ではじめて「俳優サンになったな〜」と実感。ちゃんとアメリカ人になってましたし!
 アンサンブルは、役として切羽詰っている感じはまだ表現できるレベルには達してなく、今後の変化に期待。前述のように、一定レベルの力があるだけに、力技や勢いで押し切ってしまえ、という状況でなく、初演の時はその無理やりな姿勢が、生きるか死ぬかのギリギリのところで生きている人々の迫力に繋がったのですが、今回はまだ生ぬるい感じ。セットや音楽の大きさにまだ手こずっているようです。


2004年08月15日(日)17:15-20:05
東宝「ミス・サイゴン」初日@帝国劇場

 S席 13500円 1階-A列-27番 (パンフレット:1500円)
 演出:ニコラス・ハイトナー

 エンジニア:市村正親
 キム:松たか子
 クリス:井上芳雄
 ジョン:今井清隆
 エレン:高橋由美子
 トゥイ:泉見洋平
 ジジ:杵鞭麻衣
 アンサンブル:め組

 キャストが変わるだけでこうも印象が変わるものかと度肝を抜かれた公演でした。悪いけれど、昨日のキャストと今日のキャストが同じ料金を払う気にはなれないわぁ。本日が正価だとしたら、昨日キャストはディスカウント必至。ま、観る順番が順番だったので、本日の観劇に向けての食前酒となりましたけど。。。初日ということを差し引いたとしても客席のテンションも段違い。お客さんは正直です。
 12年ぶりに登場した市村さんがまずは圧巻。さすがに、お年を重ねているので、力で押し切るエンジニアではなく、人生や運命に対して、枯れた味わいまで醸し出していて、前回とはまた異なる役作りでした。緩急自在に表の顔と裏の顔を演じ分け、非常にヘヴィな場面も、オーララとやり過ごすエンジニアにおフランスの香りを感じました。芝居が細かい人はしばしばショー場面でのスケールが小さくなりがちなものですが、市村さんの場合は男・鳳蘭状態で、客いじりからダンサーのあしらい、ナンバーの組み立てまで物凄く計算されていて「アメリカンドリーム」では舞台がキラキラと星が舞っておりましたさ。自分が輝き、仲間を輝かせ、お客さんも乗せてしまうという至芸はまさに国宝モノ。彼のエンジニアに再び出会えたことに感謝感激雨あられです。エンジニアとしてガールズ達をリードするだけでなく、座長としてカンパニーをもリードしていました。年齢的に、体力的に、彼のエンジニア役は今回が最後になるでしょうから、も一度観にこようかなぁ。
 キムの松たか子はまずは役者歌の上手さにビックリ。「モーツァルト!」の時に音域の広さに唸ったものですが、難曲揃いのキム役の各ナンバーに込められる感情の豊かさに彼女の才能を見せ付けられました。彼女はテクニックというよりも、歌に込める感情の変化によって、ナンバーを組み立て盛り上げるタイプのようです。ことに、母親としての強さのナンバーへの乗せ方が抜群で、その歌いこみの鋭さが素晴らしかったです! 自分がどんなに犠牲になっても息子を幸せにする、という意気込みに迫力があり、トゥイ殺害のシーンと、自殺のシーンは胸が締め付けられ、切なくて苦しかった〜。舞台の上では当たり前のように行われる殺人行為ですが、「当たり前じゃないんだよ」という強烈なメッセージを感じました。演技派の面目躍起ですね。
 実は期待していなかったのが井上クリス。レジェロな声と、おおよそ兵隊らしくない体型に「キャスリーン・バトルがトスカを歌う」位のインパクトがありました。ドラマティックに歌い上げられるのかいな?と心配していたのですが、意外にピッタリ。中年の役なのに高校生にしか見えないルドルフ皇太子だとか、夢々しい王子様役よりも、男らしい骨太の役の方が似合うタイプかもしれません。地声や低音、シャウトを聞かせる歌唱法に、彼のクリス役への意気込みを感じました。ところどころ、バロックオペラになってしまう箇所もありましたけど許容範囲。戦争という波には個人の叫びなど飲み込まれてしまう、という設定と、迫力のコーラスにかき消されてしまう美声が妙にマッチしていましたもの。20歳そこそこで兵役に借り出された一般人といったキャラクターで、感情の起伏が結構激しく、今まで「大人のクリス」に慣れていただけに非常に新鮮でした。持ち味が爽やかなので、暴れようが叫ぼうが、暑苦しくならないのが心地良いですわ。力いっぱい演じてOKという資質は今後大化けするかもしれません。軍服やジーンズの着こなしもナカナカでした。彼のベストパフォーマンス。
 市村さんと並んで初演メンバーの今井ジョンは、恰幅の良さと豊かな声量ゆえに、井上クリスの「戦友」というよりも「上司」になっていましたが、大きくて強くて恐そうな人が優しさを示す、というパターンに弱い僕としてはドンピシャリのキャスティング(ちなみに「ブラザー・フッド」のチャン・ドンゴンもこのタイプでした)。深く響く声は、張り上げなくても人々の注耳を促すので、いちいちてんぱってなく、それゆえに大人の落ち着きと魅力に満ちていました。役の上だけではなく、作品を支える意味でも、この手の役者さんが加わるというのは安心しますね。クリスをいさめ、なだめ、守るのに父性愛を感じました。「ブイ・ドイ」のゴスペルチックな歌い上げも健在。至福の時間をありがとう!
 高橋エレンはいつの間にやら地声の音域は広がっているし、発声は楽になっているし、すっかりミュージカル女優ですね。もはや、歌が弱いと思う人はそうそういないのではないでしょうか。どーでも良いことですが、彼女は井上君の恋人役、お姉さん役を経て、ついに奥様役。何かとご縁があるのですね。松キムが壮絶な決意を込めたまなざしで息子のタムを眺めるのに対し、高橋エレンが柔らかなまなざしでタムを見つめていたのですが、恋敵(エレンにとっては、夫の二重結婚の相手!)の子をふんわり包み込む包容力がこの作品に安らぎを与えていた気がします。救いがあるってありがたいですね。
 そして、本日の掘り出しモノは泉見トゥイ。歴代のトゥイが「悪役」を前面に出している(もしくは、僕がそう感じてただけかもしれませんが)のに対し、ベトナム人としての生き様を描いたということで、役のみならず、作品の印象すら一新させる強烈な存在でした。キムに対する愛情を吐露し、ベトナム人としてのアイデンティティを主張し、一人の男としての人生を語り、出番こそ少ないものの、強い印象を残す名演でした。素直に二枚目として演じたのが良かったのかもしれません。トゥイの存在が大きくなると、クリスのみならず、キムもアメリカ人とベトナム人との間で苦しむという構図がクローズアップされるのですョ。
 アンサンブルは昨日とは総入れ替わり。同じ作品・演出家であっても、細かな役作りが全然違い、KAZZがいたというだけで、昨日も結構アンサンブル芝居を眺めていたのですが、また違う味わいを出していて楽しめました。二日間で二つのカンパニーを観劇できるだなんて、ものすごい贅沢体験ですよねぇ。これは未確認の事ですが、プレビュー開幕直前に銀座でみかけたKAZZがやたらと太っていてビックリしたのですが、本日のめ組にもGIにはきっといるに違いないと思える、妙に太った人を発見。もしかしたら演出家の指定で太ることを要求されているのかもしれません。
 次回観劇は約一ヵ月後の予定です。メインキャストはまだまだ初見の人ばかりですが、一ヶ月の本公演によってどのように変化してしているのか楽しみです。


2004年08月21日(土)11:00-14:10
宝塚歌劇団宙組「ファントム」@東京宝塚劇場

 S席 8000円 1階-9列-64番 (パンフレット:1000円)
 演出:中村一徳

 ファントム(オペラ座に潜む怪人):和央ようか
 クリスティーヌ・ダーエ(オペラ歌手を目指す少女):花總まり
 ジェラルド・キャリエール(オペラ座の前支配人):樹里咲穂(専科)
 フィリップ・ド・シャンドン伯爵(オペラ座のパトロンの一人):安蘭けい(星組)
 アラン・ショレ(オペラ座の新支配人):鈴鹿照(専科)
 カルロッタ(新しいプリマドンナ、ショレの妻):出雲綾
 マダム・ドリーヌ(オペラ座最古参のバレエ教師):高柳みどり
 ジャン・クロード(楽屋番):美郷真也
 ルドゥ警部(パリ警察署長):寿つかさ
 セルジョ(オペラ座の団員):初嶺磨代
 リシャール(オペラ座の団員):遼河はるひ
 モーク・レール(舞台監督):速水リキ
 ソレリ(オペラ座の団員):彩乃かなみ
 ラシュナル(オペラ座の団員):悠未ひろ

 千秋楽まであと一週間ということで、トップコンビに疲れが見え始めました。和央さんは肌に張りがなくなり、妙に年齢を感じさせる状態。そして、お花さまはやせ細ってしまい、二の腕など細すぎて病的な程。暑い中、出ずっぱりの公演なので、そりゃ疲れがたまるでしょうが、あと一週間、無事に持ちこたえていただきたいものです。でも、この二人のコンビぶりはさすがですわ。セリ上とセリ下に別れて歌う「Home」なんて、離れているにもかかわらず、心の交流が感じられるし「You Are Music」の甘さ・とろけ具合、さらにはフィナーレのデュエットダンスに至るまで、技術点ではなく、芸術点で見せきってしまうのが凄い!!
 二度目の観劇とあって、前回は見えなかった部分に気付いたりするのですが、副組長の高柳みどり嬢が意外な場面にも出演していて、クリスティーヌとシャンドン伯爵がデートする場面ではなんと「娘役」として可愛らしく踊っているのには絶句。動きといい、表情といい、うら若き乙女にしか見えないのです。その直後にマダム・ドリーヌとして登場した時には、ギロリと睨み付けるだけで、客席を凍りつかせるという妙技を披露。まったく、この人の女優魂と実力には毎度のことながら感服です。
 美郷真也が男盛りの色気滴るダンディなドアマンで、初嶺磨代はタイミングさえあえば、歌えるコムちゃんになったかもと思わせる活躍を見せ、かなみちゃんは柔らかな美声を響かせてました。作品の中ではちょい役ではあっても、それに腐ることなく、自分の実力で、見せ場として作り上げていくタカラジェンヌの心意気って好きですねぇ。初日と同じ芝居を繰り替えすという劇団もありますが、舞台は生ものですから、客席の空気を感じつつ、主役を邪魔しない程度であれば、変化があって当然、と僕なんかは思うのですが。。。
 ところで、前支配人のキャリエールは一幕の前半であっけなく新支配人夫妻によってオペラ座を追い出されるにもかかわらず、常に劇場内にはいるし、公演日も客席ではなく舞台袖に待機しているのが気になるのですが……。どなたかこの部分の設定をご存知の方はいらっしゃいませんか?
 そうそう、宝塚は女声のみなので既存ミュージカルだと低音が弱く感じるのは致し方ないのですが、オケも通常のミュージカルに比べて低音が弱いのに今回初めて気付きました。チューバ・プリィズみたいな感じ。よって、全体的なサウンドがやや浮ついているのですが、今まで何十年と観劇していながら、初めて気付きました!


2004年08月21日(土)16:00-17:35
映画「シュレック2」@日比谷スカラ座1

 前売一般 1300円 O列-11番 (パンフレット:600円)

 シュレック:マイク・マイヤーズ
 フィオナ姫:キャメロン・ディアス
 ドンキー:エディ・マーフィ
 ハロルド国王:ジョン・クリース
 リリアン王妃:ジュリー・アンドリュース
 長ぐつをはいたネコ:アントニオ・バンデラス
 チャーミング王子:ルパート・エベレット

 それにしても豪華絢爛たる声優陣でしょ。
 前作「シュレック」を観ていないので、上映開始間もなくはやや戸惑いましたが、有名なおとぎ話のスターたちが大集合なので、楽しく笑って過ごせました。先月、新国立劇場で観た「Into the Woods」も今回の「シュレック2」もハッピーエンドの続編といった作りで、おまけに「ファントム」も「シュレック2」も自分の容姿に悩める男が主人公ゆえ、何となく関連付けながらフムフムと観賞してました。ドリームワークスの映画は「年齢制限をとっぱらったディズニー」といった感じで、コメディとはいいつつ、その笑いは結構シュール。おとぎ話の設定を借りてはいるものの、結構、身につまされるセリフが多くてドキリとさせられました。とはいえ、おとぎ話のみならず、声優たち、映画界、アメリカ、はたまた英国王室まで、細かな細かなパロディに彩られているので、一回観ただけでは、チェックしきれない〜〜〜。映画好きにはこたえられないシーンが満載です。大人のためのアニメーション!
 個人的には一見「快傑ゾロ」のようでいて(声優のバンデラスが「マスク・オブ・ゾロ」主演というのも個人的にツボ)。実はキュートなことこの上ない「長ぐつをはいたネコ」のお目目にぞっこんでした。もしかしたら、声優の起用もこんなつながりがあったりするのかもしれません。このままのメンバーで実写版で映画化しても良かったのに、とすら思いました。


2004年08月22日(日)11:00-13:20
宝塚歌劇団雪組「あの日みた夢に-シカゴ・アンダーワールド・ブルース-」@日本青年館

 B席 5000円 2階-H列-11番 (パンフレット:600円)
 演出:中村暁

 マイケル(ギャング):朝海ひかる
 エリー(歌手を目指す娘):舞風りら
 スティーブ(医師。マイケルの幼馴染):壮一帆
 アルビン(ギャングのボス):飛鳥裕
 エドナ(マイケルの母):美穂圭子
 ローリー(クラブ・ムーン・ライト・カフェのマダム):有沙美帆
 エディ(ギャング):悠なお輝
 リーアム(ギャング):麻愛めぐる
 フィリス(看護婦):ゆり香紫保
 スージー(マイケルの弟分):天勢いづる
 ロッキー(ギャング。アルビンの息子):鳳稀かなめ
 ハンキー(マイケルの弟分):緒月遠麻

 実は全然期待していない公演で、家を出るまでは衝動買いを悔やんでいたのですが、これが予想外に面白く、思わぬ掘り出し物にホクホクです。舞台って見てみないとわからないものですね。!! 機会があればまた観たい! タイトルは野暮ったいし、ポスターはあまりの手抜きで「歌劇団も力を入れてないのか!?」とすら思っていたのですが、ここまでの作品に仕上げたのは演出家の、そして出演者の気合いでしょうね。ギャングの面々を従えてコムちゃんが中央で踊るシャープなポスターで、かつメインタイトルとサブタイトルが逆だったら、売れまくったのではないでしょうか。
 最近の宝塚はあて書きではない作品が多く、出演者と内容がマッチしない公演も見受けられるのですが(歌が苦手なのに歌手の役だとか、踊りが苦手なのにダンサーの役だとか、芝居が苦手なのに和物の二役だとか……)久しぶりに出演者と作品がどんぴしゃりで、今の宝塚では、コムちゃん率いる雪組で上演するのがベスト、という作品との出会いが嬉しい限りです。コムちゃんもトップ就任後、こんなにのびのびと演じているのは初めてではないでしょうか。無表情でぶっきらぼうな彼女の個性とマフィアという役が良く調和していましたし、華奢で女性的な体型で、スーツ姿が似合わないのを、コートや帽子でうまくカバー。ドスの効いた低音によるセリフは良く響いていましたし、アクションシーンもダンサーならではの動きで華麗に披露。舞台に余裕があるので、トップとしての貫禄も出てきて見ごたえがありました。彼女の今までの舞台の中でベストだと思います。歌いだすと急に余裕がなくなるのは相変わらずなので「顔だけは名歌手」という技術を真央さんあたりを目標に研究していただきたいかな。
 上演時間は一幕が60分,ニ幕が45分、フィナーレが10分。あらら,本公演でもできそうじゃないの!! よって、大劇場公演の通常の芝居の時間とほとんど一緒なので、あまり難しくこねくり回してないのですが、個人的には頭を悩ませながら観る舞台よりも、ストーリーを半歩先読みしながら観る舞台の方が好きなので「えっ、もう休憩!?」「おぉっと終わりですかい」という今回の演出は僕には丁度良かったです。下級生にいたるまで、多彩な人物が登場し、それぞれに見せ場があるのも楽しい限り。昨日観劇の宙組は、メイン5人以外は「その他大勢」という公演だったので、逆に新鮮でした。そして、この新人さんたちが頼もしい限りで、平沢智氏振付のシャープなダンスはダンディに踊るし、コーラスもナカナカ。そして、下級生のスーツ物にありがちな、見ているこっちがこっ恥ずかしくなるということもなく、見事に野郎野郎していました。中でも、凰稀かなめの新人離れした素晴らしいギャングっぷりと、緒月遠麻の明るさと華やかさが印象的でした。女の子として素に戻ることなく、ひたすらダンディズムを競いあい、それでいて華やかさを振りまく男役連は、ちょっと前の星組を思わせるものがありました。……とはいうものの、実は杜けあき&鮎ゆうき時代の雪組で上演したら大ヒットかな。というのも、今回もっとも残念なのが、主題歌が記憶に残らないこと。。。でもまあ、今の段階ではチケット営業に苦しんでいるみたいですが,じわじわと人気が出ると思います。コムちゃんファンも,他生徒のファンも満足〜とホクホクしながら劇場をあとにしてました。


2004年08月28日(土)15:30-18:40
宝塚歌劇団宙組「ファントム」@東京宝塚劇場

 S席 8000円 2階-5列-22番 (パンフレット:1000円)
 演出:中村一徳

 ファントム(オペラ座に潜む怪人):和央ようか
 クリスティーヌ・ダーエ(オペラ歌手を目指す少女):花總まり
 ジェラルド・キャリエール(オペラ座の前支配人):樹里咲穂(専科)
 フィリップ・ド・シャンドン伯爵(オペラ座のパトロンの一人):安蘭けい(星組)
 アラン・ショレ(オペラ座の新支配人):鈴鹿照(専科)
 カルロッタ(新しいプリマドンナ、ショレの妻):出雲綾
 マダム・ドリーヌ(オペラ座最古参のバレエ教師):高柳みどり
 ジャン・クロード(楽屋番):美郷真也
 ルドゥ警部(パリ警察署長):寿つかさ
 セルジョ(オペラ座の団員):初嶺磨代
 リシャール(オペラ座の団員):遼河はるひ
 モーク・レール(舞台監督):速水リキ
 ソレリ(オペラ座の団員):彩乃かなみ
 ラシュナル(オペラ座の団員):悠未ひろ

 いよいよ明日は千秋楽。本日はMY楽です。今回は二階席からの観劇でしたが、舞台全体が観られるので今までとは違った印象を受けました。二階席からだと群集の後ろの後ろまでしっかり見えるのですが、集団で動くシーン一階席では味わえない迫力です。オープニング(「美女と野獣」のオープニングに似てません?)からまるで初めての観劇であるかのようにゾクゾク。目の前の一人に注目する必要がないので、全体のバランスも見ることができるので、やっぱり二階席は僕好み♪
 ミュージカルへの出演の多さゆえか、実力ゆえかわかりませんが、やはり今回の作品は樹里さんが主役です。最後の最後まで初老の紳士には見えなかったし、年齢を出そうと工夫した台詞回しはナチュラル芝居の宙組では浮いてたけれど、それにもかかわらず銀橋での父子のナンバーでは泣かされてしまうのが舞台の魔力。きっちりポイントポイントを押さえた樹里さんの舞台姿は専科の面目躍起。宝塚の至宝ですわ。指揮者が強引に進めなければショーストップになったに違いないと思えるほど、拍手が熱かったです。素晴らしい〜。
 そして、先週はお疲れ気味だったトップコンビも千秋楽へのカウントダウンが始まってエンジン全開。「仮面を外して顔見せて〜」「うぅ、どうしよう、どうしよう」の部分の駆け引きはナカナカ見応えがあって、今までの和央さんとは比べ物にならない細やかな芝居、お花さまとは思えない情感ある芝居をたっぷり堪能しました。個人的に、和央さんは少年っぽい役や運命に流される役が似合うし、お花さまは大人っぽい役の方が似合うと思っているので、彼女達の芝居の白眉の気がします。相変わらず上級生たちも実力を駆使してキッチリ脇を固めていて実に見応えがありました。
 が、問題は中堅どころ、特に男役。群集としてのまとまりは良い組ですが、ジャンボコンビなんてあまりの踊りの手抜き具合に怒りすら感じてしまいました。キレもなければアピールもない、あまりのフラフラダンスに「アンタらそこしか見せ場ないんだから、もっとやる気見せなはれ」ってハッパをかけたくなります。上級生がバリバリ踊っているのに、あんなチンタラダンスを披露するだなんて信じられない! 元来、男役臭さの薄い生徒たちなだけに、だらだらしていると余計に女の子になってしまうんですよねぇ。なまじ大きいから悪目立ちするし。二階席からはしっかり見えてるんだぞ〜、プンプンッ!