観劇日記〜2005年01月〜
08日(土) 15:30 宝塚歌劇団雪組「青い鳥を捜して」「タカラヅカ・ドリーム・キングダム」 東京宝塚劇場
11日(火) 19:00 東京都交響楽団「日本赤十字社 第31回献血チャリティー・コンサート」 サントリーホール
15日(土) 15:30 宝塚歌劇団雪組「青い鳥を捜して」「タカラヅカ・ドリーム・キングダム」 東京宝塚劇場
16日(日) 13:30 来日カンパニー「サウンド・オブ・ミュージック」 東京厚生年金会館
22日(土) 13:00 来日カンパニー「危険な関係」初日 ゆうぽうと簡易保険ホール
22日(土) 17:30 劇団四季「オペラ座の怪人」 電通四季劇場[海]
29日(土) 14:00 東京都交響楽団「第6回三宅島支援チャリティコンサート」 東京芸術劇場
29日(土) 17:30 劇団四季「エビータ」 四季劇場[秋]
30日(日) 20:10 映画「オペラ座の怪人」 TOHOシネマズ市川コルトンプラザ
5 SCREEN


2005年01月08日(土)15:30-18:35
宝塚歌劇団雪組「青い鳥を捜して」「タカラヅカ・ドリーム・キングダム」@東京宝塚劇場

 B席 3500円 2階-12列-39番 (パンフレット:1000円)
 演出:石田昌也(青い鳥)/三木章雄、藤井大介、齋藤吉正(キングダム)

「青い鳥を捜して」
 ジェイク・マクノートン(下着メーカー、エルグランド社の重役):轟悠
 フィンセント・マクノートン(ジェイクの弟):朝海ひかる
 ケイト・フランクール(修道院の施設の世話係の女性):舞風りら
 デニス・ハワード(女優・ブレンダのマネージャー):貴城けい
 アンソニー・マクノートン(ジェイクの父親、エルグランドの社長):立ともみ
 マザー・フローレンス(修道院長):邦なつき
 鳥占いの老人:飛鳥裕
 バーバラ・ブラウン(アンソニーの再婚相手):灯奈美
 ジョルジョ・クレベール(悪ガキ・ピエールの父親):未来優希
 ミルボン(エルグランドの社員):壮一帆
 シモーヌ(元エルグランド社員):音月桂
 スーザン(ジェイクの秘書):愛耀子
 ブレンダ・バートン(女優、ジェイクの婚約者):白羽ゆり

「タカラヅカ・ドリーム・キングダム」
 Part1 ROSE 〜真紅に染まる夢
  序 幻
  夢の始まり
  夢の王国
  薔薇収集家
  ROSE
  真紅に染まる夢
 Part2 白昼夢 -IMITATION DREAM・栄華/幻-
  IMITATION DREAM
  この世の果て
  WHITE STREETS
  WHITE CLUB
  WHITE STATION
  漆黒の太陽 -BLACK SUNLISE-
  この世の果て -IMITATION DREAM-
 Part3 夢の城 〜夢は消えるのではない、ただ人が忘れるだけ〜
  夢の城
  眠れる街
  夢殿
  鏡の間
  エンディング
 フィナーレ

 まずは雪組トップの朝海ひかるが「トップらしくなったなぁ」と思える公演でした。今までは肩に力が入りすぎていて、それゆえに余裕のない印象があったのですが、今回は専科の轟悠主演ということもあって、ポジション・ダウンではあるのだけれど、それ以上に伸びやかで自由自在な舞台を見せてくれたということに、今回の轟悠の特出の意義を感じました。個人的には朝海ひかるの本公演におけるベストだと思っています。苦手だった歌も名歌手とはいえないものの、感情を込められるようになり、芝居も細かく丁寧、そして得意のダンスはこれでもか〜と踊りまくっていて、実に格好良いです。そして、銀橋渡りにおいては、流し目ウィンクでお客さんを釣り始めた! 宝塚スターはこうでなくっちゃ! それにしても、この人は何てジーンズが似合うのでしょう。退団後はぜひとも「ベスト・ジーニスト賞」を狙っていただきたいものです。ショーにおいては、トップ男役=轟悠、トップ娘役=舞風りら、トップ性別不詳=朝海ひかる、といったポジションで、場面によって男なのか女なのか、というよりも、性別を超えたショースター、という域に達していた気がします。どんな衣装も美しく着こなしていたのも印象的でした。個人的にはロングの鬘を被った姿がお気に入りです。
 そして、特別出演にして主演の轟悠ですが、芝居でもショーでも、自分の存在をアピールしすぎることもなく、それでいて要所要所で作品をしめるという、絶妙なポジションをきっちりこなしていました。好き嫌いはともかくとして、どっしりとした存在感と、迫力ある低音での吼え声はなかなか貴重です。
 そんなわけで、コムちゃんは踊りまくるし、トドさんは吠えまくるし、芝居においては4番手の音月桂が女役ではあるものの、朝海ひかるの相手役ということで、割りを食らってしまったのが貴城けい。身長の問題がなければ、芝居においては音月桂と役を交換した方が良かったかも。とはいうものの、少ない出番ながら、いかにも宝塚の二枚目といった、メルヘンチックな貴公子姿は(個人的には好みでないけれど)爽やかな風を舞台に呼び込みますね。そして、今までは線の細さのみならず存在感の軽さで印象に残らないことが多かったのですが、昨年一年間の他組への特出で濃さを学んだ成果でしょう。フィナーレでの轟、朝海との並び、そして歌唱はよくぞ持ち堪えた! ただし、ロングの鬘をかぶると彼女の場合は中性を通り越して女性になってしまうのは問題かもしれません。う〜〜〜、トップさんも二番手さんも揃って女性的なのは結構難しい組み合わせですね。
 そんな中、夢々しい娘役を造形した舞風りらはプロの仕事でした。ちょっと昔の「男役の邪魔をしない娘役」タイプですね。ただそれだけだと「気持ち悪い女」となってしまうのですが、彼女の場合はダンスという武器のおかげで、場面によってはキリリと舞台を締めることができるのが強みですね。トップ就任後しばらくは「職人」色が強くて、なんとも地味なステージでしたが、場数を踏んだせいか、舞台の中央で輝く術を覚えたのが頼もしい限り。ショーにおいての絢爛豪華なドレス姿の美しかったこと!
 そして、舞風りら以上に輝いていたのが白羽ゆり。おそらくトップ就任のためであろう星組への組替前の公演ということで「トップになったら二度と回ってこないであろう、体当たりで熱演のおかしな役」を心底楽しんでいる様子。個人的には澄ましただけのお人形のような娘役よりも「壊れようと思えば壊れられる女役」が好きな僕としては彼女の今後に期待大。それにしても、芝居でもショーでも今回は白羽ゆり大売出しの公演。歌もダンスもたっぷりあてがわれていました。裏声での歌声はヘタッピでしたが、地声での歌はなかなか良い感じ♪
 歌といえば、今までは未来優希というと、必要以上に歌い上げるがゆえにややうっとうしいイメージがあったのですが、今回は押さえて押さえて、最後に絶唱という、マーラーのシンフォニーのような力配分。それゆえに、ショーのフィナーレでは彼女の歌声に悶絶しました。素晴らしいです。そして、芝居ではまだまだ若いはずなのに、あまりに「父ちゃん」役がはまっていてこれまた素晴らしいです。朝海ひかるよりもずっと下級生なのに、轟悠と同期に見えてしまうって……どうよ!?
 雪組での歌姫といえば、美穂恵子と愛耀子のお二人が控えていますが、残念ながら愛耀子は「結構です」状態。歌唱スタイルが作品や組内でのバランスと違和感があり、また下品な役作り、愛想の悪さで僕は拒絶反応。でも、エトワールで「マツケンサンバ」も真っ青になるような、摩訶不思議な歌唱を聞かせてくれたのでなぜか帳消し。(この歌唱については、まりのすけ嬢のモノマネがこれまた絶品)。
 ま、若手出演者や作品についてはアレコレ言いたいことがあるのですが、もののはずみで来週の公演のチケットを購入してしまったので、感想はその時にでも。


2005年01月11日(火)19:00-21:00
東京都交響楽団「日本赤十字社 第31回献血チャリティー・コンサート」@サントリーホール

 S席 6000円 1階-3列-28番 (パンフレット:無料)

 指揮:服部譲二
 チェロ:古川展生

 エルガー:行進曲「威風堂々」第4番 ト長調
 エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調
(休憩)
 ウェーバー:「舞踏への勧誘」(ベルリオーズ編曲)
 J.シュトラウスII:「花祭りポルカ」
 J.シュトラウスII:「ジプシー男爵」序曲
 ドヴォルザーク:「スラヴ舞曲」第10番
 J.シュトラウスII:「美しき青きドナウ」
(アンコール)
 ヨゼフ・シュトラウス:「ジョッキー・ポルカ」
 J.シュトラウスII:「ウィーン気質」

 今年のクラシック・コンサートはエルガーの「威風堂々」で始まりました。「威風堂々」というと一番が有名ですが、四番も非常に聞きやすい曲です。エルガーにしろ、ホルストにしろ、イギリスの作曲家のクラシックの曲って「スターウォーズ(ジョン・ウィリアムズ)」を彷彿とさせませんか? スケールの大きさと未来への希望を感じさせる曲は聴いてて気持ち良いですね。演奏には関係ないのですが、お正月のせいか、いつもよりこざっぱりした頭の演奏者が多くて、これまた新年らしい空気を感じました。
 さて、個人的には本日の「メイン」の曲となるコンチェルトですが、のぼぉちゃんでエルガーを聴くのは京都遠征の時以来かしらん? 前回よりも舞台に近い席のため、今回はソロもバッチリ聞こえてホクホク♪ この曲はソロの音の通りが悪いので、会場や席を選ぶ作品なのです>エルガー。チェロは音域的、音量的にコンチェルトとして扱うには難しい楽器なので、オケとの呼吸が合わないと「もしも〜し!?」になるのですが、服部氏と都響の面々がのぼぉちゃんを盛り立ててくれ、ファンとしては「ありがたや、ありがたや」。最近ののぼぉちゃんは技術を前面に押し出す傾向があるので、音質はちょいと荒れ気味なのですが(音量優先!?)、勢いのある演奏はライヴとして非常に魅力的でした。なお、のぼぉちゃんはすでに花粉症に苦しんでいるようでして、鼻呼吸ができず、口呼吸。演奏中に「ぷはぁ」と息継ぎをしている様子を見ながら「また水泳のレッスン受けたいな」と演奏にはまったく関係ないことを考えていました、たはは。
 休憩を挟んでの「舞踏への勧誘」では、もう一人のチェロ首席、田中さんによるソロをたっぷり堪能。今日のプログラムは、チェロパートには美味しいですね〜。田中さんの演奏は、のぼぉちゃんと対照的に、音の膨らみと暖かさが魅力なのですが、それがこの曲にはピッタリで「スミマセン、この曲に関しては田中さんのファンになります」状態。タイプの違う首席が揃っていると、こんな贅沢もできるのですね>都響。そして、ピアノ曲として親しんでいる作品がオケ版になると、個人的にとっても面白いし勉強になります。天才によるイマジネーションって凄いなぁ、と。(「展覧会の絵」とか「小組曲」も聞き比べると面白いですよぉ)。そしてそのまま、後半はリラックスした楽しいお年玉コンサート。プログラムを見ただけだと「またこの曲ね」って感じですが、聴いているうちに思わず足がムズムズしてきちゃうのもこれらの曲。贅沢な時代に贅沢をするために作られた曲は、幸せ光線がビシバシ飛び交って、気分は東京ディズニーランド。都響は弦が爽やかなので、ウキウキ気分も倍増です。服部さんの指揮ぶりは好き嫌いがわかれるようですが(ダンサーみたい)、頑張っちゃいけない曲を軽やか演奏することによってかもし出される音楽が小粋でお洒落でした。あ、燕尾の着こなしも小粋にお願いしますわ>服部さん


2005年01月15日(土)15:30-18:35
宝塚歌劇団雪組「青い鳥を捜して」「タカラヅカ・ドリーム・キングダム」@東京宝塚劇場

 B席 3500円 2階-13列-2番 (パンフレット:1000円)
 演出:石田昌也(青い鳥)/三木章雄、藤井大介、齋藤吉正(キングダム)

「青い鳥を捜して」
 ジェイク・マクノートン(下着メーカー、エルグランド社の重役):轟悠
 フィンセント・マクノートン(ジェイクの弟):朝海ひかる
 ケイト・フランクール(修道院の施設の世話係の女性):舞風りら
 デニス・ハワード(女優・ブレンダのマネージャー):貴城けい
 アンソニー・マクノートン(ジェイクの父親、エルグランドの社長):立ともみ
 マザー・フローレンス(修道院長):邦なつき
 鳥占いの老人:飛鳥裕
 バーバラ・ブラウン(アンソニーの再婚相手):灯奈美
 ジョルジョ・クレベール(悪ガキ・ピエールの父親):未来優希
 ミルボン(エルグランドの社員):壮一帆
 シモーヌ(元エルグランド社員):音月桂
 スーザン(ジェイクの秘書):愛耀子
 ブレンダ・バートン(女優、ジェイクの婚約者):白羽ゆり

「タカラヅカ・ドリーム・キングダム」
 Part1 ROSE 〜真紅に染まる夢
  序 幻
  夢の始まり
  夢の王国
  薔薇収集家
  ROSE
  真紅に染まる夢
 Part2 白昼夢 -IMITATION DREAM・栄華/幻-
  IMITATION DREAM
  この世の果て
  WHITE STREETS
  WHITE CLUB
  WHITE STATION
  漆黒の太陽 -BLACK SUNLISE-
  この世の果て -IMITATION DREAM-
 Part3 夢の城 〜夢は消えるのではない、ただ人が忘れるだけ〜
  夢の城
  眠れる街
  夢殿
  鏡の間
  エンディング
 フィナーレ

 何だか芝居よりもショーの印象が強く残る公演なのですが、雪組トップのコムちゃんは今日も踊りまくり&舞台を走りまくっていました。演出家三人による共同演出ということで、全部で三つのパートをそれぞれの演出家が担当しているのですが、コムちゃん=ダンスが売りということもあり、とにかく使われまくっています。そして、各パートごとに振付家が異なるので、各演出家が「俺こそ見せ場のシーンを作るぞ」と張り切っているのが垣間見える作品で、役者にはハードな公演です。でも、観る側としては、安寿ミラのスタイルやkazumi-boyのスタイルなど、色々なダンスを楽しめるのが嬉しいです。そんなわけで、コムちゃんは相手役の舞風りらと組んで踊ったり、特出の轟悠と組んで踊ったり、その他の下級生と絡んでみたりするので、彼女のファンにとっては嬉しい構成かと思います。が、個人的に「コムちゃん=孤高のダンサー」というイメージが強く、実はデュエットダンスについてはほとんど記憶がないのです。一番印象に残っているのは、前回のショーも今回のショーも「肩で誘いを振り払う」という仕草。ちょっとした動きなのですが、ダメージの大きそうな強烈な拒絶を相手に与えるこの表現は今まで色々なダンサーを見て来た中でもピカイチ。勝手に「タカピーな女を踊らせたら日本一」と思っています、はい。そんな中、トドさんとの組み合わせは結構好きでした(それだけ、女性色が強いスターともいえますね>コムちゃん)。
 そして、特出のトドさんはというと、「Part2 白昼夢 -IMITATION DREAM・栄華/幻-」でのちゃんばらダンスが絶品。「どこが新宿!?」「どこが現在!?」「なぜに靴磨き!?!?」という突っ込みはさておいて、トドさんの剣使いは「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」でもお目にかかれないような姿の良さ、貫禄があるのにキレもある所作で、これが素晴らしいのです。このシーン、この役に関しては他のスターでは代役はつとまらないでしょう。それほどピッタリ。
 そして、ウザッタイ女を造形するために(ま、宝塚の娘役としては良いのでしょうけど、僕はキリリとした「女役」が好きなので……)芝居に関しては大の苦手な舞風リラですが、ショーにおいては「私がトップダンサーよ」と先頭を切って踊りまくるのが気持ち良いですね。芝居でも気持ちの良い女を表現してほしい。。。そして、芝居で気持ちの良いオンナを演じていたのが音月桂。彼女は平時は男役ですが、すばらしい娘役です。普段男役だということが信じられない女らしさで、ちょいと「キル・ビル」チックな姉ちゃんを好演。男役の時よりも好きやわぁ〜。このまま娘役に転向して〜! ファンになっちゃう!!!(残念ながら、次公演より男役に舞い戻り。。。)彼女は、ショーでも目立つ役で歌い踊る場面が多く、番手としては音月嬢よりもひとつ上の壮一帆は割を喰らってしまい、ほとんど印象に残りませんでした。「あれっ、いたの?」っていうスターさんに格下げ。。。
 壮君と同じように出演頻度については割を喰らっている貴城嬢(カッシー)ですが、さすがのキャリアといいますでしょうか、少ない出番の中で、きっちり印象を残して、格の違いを見せ付けていました。貴公子としての美しさは今さらですが、トドさんもコムちゃんも、吼え系の声と歌なので、カッシーの伸びやかな声によるフィナーレでの絶唱はインパクトが大きかったです。苦手なダンスはほとんど踊ってないし、今回は美味しいポジションを確保!
 あ、芝居で悪目立ちしていたのが孤児の子供たち。おそらく小学生という設定なのでしょう。衣装は可愛らしい制服で、芝居も子供らしくてなかなか(宝塚の生徒の子役ってなぜかみなせんとっても達者)。でもね、でもね、フルメイクなの(笑) せっかくの芝居の熱演も、そのお顔を見ちゃうと爆笑シーンに早替わり。せめて薄化粧にして欲しかった〜。夢に出てきそうな恐さです。くれぐれも、子役のシーンでは、オペラグラスをお使いにならないことをオススメいたします、はい。


2005年01月16日(日)13:30-16:15
来日カンパニー「サウンド・オブ・ミュージック」@東京厚生年金会館

 S席 9500円 2階-7列-14番 (パンフレット:1500円)
 演出ダレット・ノリス

 マリア・ライナー:ジェニファー・セムリック
 ゲオルグ・フォン・トラップ大佐:ジム・バラード
 修道院長:ベス・カークパトリック
 マックス・デトワイラー:スチュワート・ブラウン
 エルザ:フリージア・シュイル
 ロルフ・グルーバー:イアン・レオナルド
 リーズル:ハイディ・ディーン
 フリードリッヒ:トレバー・N.オールズ
 ルイーザ:リサ・ケイ・カーター
 クルト:J.T.ムッソン
 ブリギッタ:エイドリアナ・ガブリエラ・トミュウ
 マルタ:アシュレイ・キャロライン・イースタリー
 グレーテル:メアリー・ケイトリン・イースタリー

 ホリプロの宣伝方法もあってか、会場内は子供・子供・子供。ちょっとザワザワしていましたけれど、でもみなさんお行儀良く観劇されていました。有名な曲が多いのと、子役が大活躍しているのとで楽しく見られたのかな。このままシアターゴーアーになって、日本のミュージカル界を引っ張る存在になってくださいね〜。
 「サウンド・オブ・ミュージック」というと、既に何度も来日公演の行われていますし、東宝版も頻繁に上演されているのですが、今回はそれらの中でも最も質素な公演でした。いかにも地方公演用といった簡素な装置と美術。そして、少ない出演者による大幅に上演時間を短くした上演。恐らく「すでにこの作品を知っているでしょ」「映画も見ているでしょ」という前提で演出されたのかと思われます。色々観ているからこそ「こういう演出もありなんだな」と思いつつ観ましたが、やはり古い作品はきっちり飾りこんで、時間をかけての上演がふさわしいなと感じました。そもそも、大人向けなのか、ファミリーミュージカルなのかの演出コンセプトが不明瞭で、政治ドラマとしても、ヒューマンドラマとしても中途半端になってしまったのが残念。ナンバーとナンバーの間の台詞がカットされ、台詞と台詞の間もキチキチに詰められているので、感情の変化がわかり難いのと、装置や舞台機構の関係で、観客にも想像力を求められる美術ということもあって、初めてこの作品に触れる人にはオススメできない仕上がり。第一幕では(子供たちや女性を)愛することに関して心を閉ざしていた大佐が、マリアの登場によって素敵なおじさまに変化するさまや、子供っぽくて世間知らずのマリアが少女から大人への変貌していく過程が、第二幕では戦争によってドロドロしていく人間ドラマや、大佐の家長としての毅然とした強さが見せ場なのですが、台本通りだとあっさりしていて盛り上がらないまま、いきなり修道院長が歌って「幕」、となってしまうのですが、今回は残念ながらそのパターン。「売り」がはっきりしない=「大味」です。
 とはいえ、そこそこ楽しめてしまうのが名作たるゆえん。芝居や演出がとんでもなくても、名ナンバーの数々が演奏されるだけでおじちゃんは満足です。「ドレミの歌」なんて、難し〜〜〜い音楽理論を、子供が聞いてもわかるように明るく楽しく解説する上、ハーモニーの楽しさまで教えてくれる、これ以上ないってほどの名曲だと思いませんか? (これに匹敵できる日本の曲は「いっぽんでもにんじん」でしょう。) まさに、ロジャース&ハマースタインの最高傑作です。さらに、深い深い祖国への愛をさりげなく歌い上げる「エーデルワイス」も素晴らしいバラード。そして、ハマースタイン作品の定番とも言える、人生の応援歌として登場する「すべての山に登れ」も感動的。その他のナンバーもスタンダードとしてあちこちで独立してうたわれているものばかり。まさに「サウンド・オブ・ミュージック」はアメリカの無形文化財ですよね〜。
 ということで、全体的にあっさりした芝居が進行する中、子役たちが大活躍していて、ドラマの薄さをカヴァーしていた気がします。見せ場のシーンになると、いきなり、状況を説明してくれちゃうの(笑) そして、しまりのない演出にもかかわらず、唐突の歌い上げで「良かった〜」と観客を丸め込んでしまうという力技を披露した修道院長が素晴らしかったです。彼女は歌もさることながら、マリアや子供たちに向けられる、大きくて暖かい目がとても印象的でした。素敵です。
 ……ということで「サウンド・オブ・ミュージック」が好き、という人には「楽しいよ、観ておいでよ」と後押ししますが、この作品は初めの人は、(ナンバーの入れ替えなどはありますけど)まず映画を見てから観劇された方がより楽しめるかと思います。でも、劇場をあとにする時に、ミュージカルナンバーを口ずさめるのって何と幸せなんでしょうか!!


2005年01月22日(土)13:00-15:15
来日カンパニー「危険な関係」初日@ゆうぽうと簡易保険ホール

 S席 14000円 1階-12列-7番 (パンフレット:2000円)
 振付・演出:アダム・クーパー

 ヴァルモン子爵:アダム・クーパー
 トゥールヴェル夫人:サラ・ウィルドー(アダム・クーパーの奥様)
 メルトイユ侯爵夫人:サラ・バロン
 ロズモンド夫人:マリリン・カッツ
 ヴォランジュ夫人:ヨランダ・ヨーク・エドジェル
 セシル・ヴォランジュ:ヘレン・ディクソン
 ダンスニー:デーミアン・ジャクソン
 ジェルクール伯爵:リシャール・キュルト
 プレヴァン/神父:サイモン・クーパー(アダム・クーパーのお兄さん)

小説のみならず、ストレートプレイの舞台や映画でも有名な、あの「危険な関係」です。とにかく、フランスのお芝居らしく、人間関係が複雑、そして、心と裏腹な言動を行うというやっかいなストーリーなのですが、呼び名と笑い声程度の台詞が入りますし(台詞か?)、フランス語ながら人物紹介の歌も入りますし、意外や意外、ストーリーがわかりやすくまとまっていました。出演はわずか9人! 作品としてはナカナカ面白いです。アダムはストーリーダンスの振り付けの才能ありますわ。自身がダンサーなので、見せ場はしっかり押さえつつも、ストーリーダンスとしてわかりやすい表現。芝居としてもダンスとしても嬉しい満腹感。もっとも、原作をご存知ない方は、人間関係程度は観劇前に頭に入れておいた方がよろしいかとは思います。パンフレットのあらすじのページは結構なボリュームが割かれているので、開演前にストーリーチェックをされるのであれば早めの入場をオススメ。
 さて、アダムが扮するヴァルモン子爵はプレイボーイな上に、メルトイユ公爵夫人との駆け引きの関係で、あちこちの女性と性交を結ぶ、というストーリーなので、ダンス作品とはいえ成人指定のエロエロ舞台で「そういや、舞台には18禁指定ってなかったよなぁ」と余計な心配までしてしまいました。実際、子連れのお母様方は、ストーリーについてはどう説明しているんでしょう? クーパーは今回「も」必要以上にストリップしていました。いやぁ、まさにストリップ。服を脱ぐのが大きなナンバーになっていましたし(汗) 今回、あまり舞台が近い席でなくて良かった〜、と心から感謝(笑) 肉質の変化と、腰回りのモッタリ感がかなり年齢を感じます。中年のエロオヤジでした。なお、彼と僕とは同い年なので、何となく応援してはいるのですが、あれ、ってことは僕も中年の仲間入り? 嫌〜〜〜っ! なまじ恋敵として登場する、ダンスニー役のデーミアン・キュルトが若々しい肉体を披露しているだけに、アダムが裸を売りにするのはかなり辛かったです。ま、それをさておいても、実は今回の彼は個人的にはあまり好きではありませんでした。胴長短足でスタイル悪いくせに、やたらと足をグニャっと曲げるので、立ち姿が美しくないのです! 全体の振り付けは好きでしたが、ヴァルモン子爵に関しては、その短いおみ足をやたらと絡ませる振り付けが多いので、見栄えしませんでしたし、ロココの衣装やカツラの着こなしにも研究の余地あり。そして、フランス貴族の一癖も二癖もある役にもかかわらず、彼の表現は割と単純なので(心と言動が裏腹、という面についてあまり深く表現できていない印象)退廃的空気が彼によって社団される感じ。もっと彼がこの役を踊りこんだ頃にまた観てみたいものです。今日の段階では、僕だけがそう思ったのではないようで、客席も舞台に陶酔という状況には至っていなかった印象です。
 トゥールヴェル夫人のサラ・ウィルドーは「オン・ユア・トーズ」の時とは打って変わって、素晴らしい舞台を披露してくれました。やはり、彼女は踊りだけに専念できる舞台の方が落ち着くのかもしれません。登場しただけで「貞淑な人妻」という雰囲気を醸し出していましたし、そんな彼女がヴァルモンの誘惑に負けて身を持ち崩す過程に至っては、非常にドラマティックな表現をしていました。第二幕でのヴァルモンとの駆け引きのシーンは思わず息を飲む緊迫感でしたヨ。そして、メルトイユ侯爵夫人のサラ・バロンは、サラ・ウィルドー(アダムの奥様)が出演ということもあってか、配役表では三番手になっていますが、やはりこの作品の主役はメルトイユ公爵夫人。サラ・バロンはもちろん素晴らしいダンサーでもあるのですが、今回は女優としての実力を発揮。踊りのみならず、表情だとか、ちょっとした動きによる感情表現の豊かさは圧巻でした。貴族としての恋愛ゲームに溺れ、最後は自業自得ではありますが、空虚な人生を送らざるを得なくなる、という難しい役どころを見事に表現。次から次へと男を、自分より若い女性を罠にはめて落としいれていく過程は思わず背中がゾクゾクするような恐さ。舞台は、悪役が映えた方が盛り上がりますね〜。サラ・ウィルドーとの対照的な持ち味が冴えまくっていました。
 また、今回の舞台は何がスゴイって、美術と照明が素晴らしい!! 舞台空間は文字通り「鏡の間」になっていて、中でもマジックミラーを多用した演出は、登場人物の心の表と裏をはっきり見せていて、また、舞台上で起きていることは、誰が仕組んでいるのかがはっきりわかるよう、上手く上手く出来ているのです。そして、少ない登場人物とあって、キャスト全員が目一杯、踊って芝居をしているのが非常に気持ち良かったです。細かな部分で気になることはありますが、作品に対する作り手の愛情を感じられるのは、客席にいても幸せになります。本日初日ということもあり、舞台も客席もスタッフも固さが見受けられましたが、定番として今後も上演して欲しい作品でした。そうそう、雅かつエロティックな趣あるオリジナル音楽も素晴らしかったです。個性が強いので好き嫌いが別れるでしょうが、僕は結構この作品好きです♪


2005年01月22日(土)17:30-20:15
劇団四季「オペラ座の怪人」@電通四季劇場[海]

 B席 6300円 2階-10列-2番 (パンフレット:1500円)
 演出:ハロルド・プリンス

 オペラ座の怪人:高井治
 クリスティーヌ・ダーエ:佐渡寧子
 ラウル・シャニュイ子爵:石丸幹二
 カルロッタ・ジュディチェルリ:種子島美樹
 メグ・ジリー:荒井香織
 マダム・ジリー:秋山知子
 ムッシュー・アンドレ:林和男
 ムッシュー・フィルマン:青木朗
 ウバルド・ピアンジ:半場俊一郎
 ムッシュー・レイエ:立岡晃
 ムッシュー・ルフェーブル:深見正博
 ジョセフ・ブケー:寺田真実
 男性アンサンブル:小林克人、増田守人、佐藤圭一、岡智、長裕二、岩崎晋也、孔大愚
 女性アンサンブル:平野万里、西山愛由美、イジンヒ、鈴木さおり、石川愛、李朱蓮、戸田真美、畠山馨、平野綾、石野寛子、岡山梨都子、室井優

 五年半ぶりの東京公演です。今まで「ファントム」というと二期会系キャストが占めていた印象が強いのですが、今回はアンサンブルに真央組の岡さんはじめ、東宝からの流れが見られました。まだ東宝芝居しているのですぐにわかります! そうそう、オークションの場面でラウルに猿人形をもって来るのが新橋演舞場でラウルを演じた長さんでした。一瞬「いきなり配役変更?」と思い、すぐに「ラウル役者の揃いぶみだ〜」と喜んでしまいましたさ。そういえば、本日のラウル役の幹ちゃんは新橋公演が四季デビューでしたー。いつの間にかポジションが入れ替わってしまうのが四季の恐ろしいところ。そして、15年間も同じ役を演じ続けている幹ちゃんもスゴイです。個人的には、ただ若くてハンサムなだけだった昔よりも、ファントムと拮抗する魅力に満ちた、現在の役作りの方が好きですね〜。三角関係がくっきりして非常に面白いです。
 そして、今回がクリスティーヌデビューの佐渡っちがこれまた素晴らしいです。初々しさだとか、お人形のような可愛らしさを求めると無理があるけど、実力は歴代一! まずは歌が素晴らしいです。幹ちゃんもつられて歌いかた変わっているのが興味深いところです。やはり、今まではやりにくかったのね。久しぶりに幹ちゃんの本気歌唱を聴いた気がします。ファントムの高井さんも芸大組だし、主要キャスト全員がベルカント発声なので、今回は二階席を確保しておいて正解でした。一階だと声が散っちゃうはず。佐渡っちは帝劇で活躍していたので大劇場芝居の下地があるし、幹ちゃんも舞台の真ん中に立つのになれているし、新人さんにありがちな段取り芝居ではなく、また目が泳がず力があるのはさすがのキャリアですね。そして、佐渡っちのお芝居も力強かったです。技術点よりも芸術点に心配っていたのが印象的。佐渡クリスは、ファントムやラウルを心ならずも翻弄してしまう、ファル・ファタムとでも言いますか、恋の駆け引きを面白く見せてくれました。もちろん、幹ちゃんや高井さんとは役に関わっている期間が段違いに短いので、役作りに荒い部分はあるのですが、ベテラン二人を手玉に取るような勢いがあるのが非常に魅力的で、四季の舞台には珍しい「熱さ」を感じさせるものでした。「オペラ座の怪人」というよりも「オペラ座のクリスティーヌ」というタイトルがふさわしく思えるほどの好演!
 そして、僕は初めてですが、マダム・秋山・ジリーも素晴らしい存在感。この役は独特の台詞回しなので、音楽にあわせて一定のテンポとリズムに納めようとすると棒読みになってしまうことが多いのですが、彼女はちょっとした台詞にも感情を込められるのが強み。そして、台詞の声と歌の声に違和感なく、地声のまま高音まで鋭い響きを保ちつつ歌えるキャストも久しぶりではないでしょうか? 舞台に立つだけで醸し出される、オペラ座の陰の支配人といったミステリアスさが絶品でした。かなり好きです、彼女。
 残念なのはカルロッタ。この人はかなり前からキャスティングされていて、結構な舞台数をこなしているはずなのですが、不思議なほど芝居が下手なままですね。。。歌が中途半端なのは、ある程度仕方ないのです。ヴェルディのようなリリコ・スピントから、モーツァルトのスーブレットまで求められるので、「椿姫」ではないけれど、こちらを立てればあちらが立たず、というとんでもない難易度ですもの。かといって、泣く子も黙るロイド・ウェバー様に文句なんていえませんものねぇ。いずれにせよ、ダブルまたはトリプルにして数日おきの出演にでもしないと、この役を満足に歌える歌手は引き受けてくれないことでしょう。
 ま、それはさておき、最近の劇団四季にしては珍しく、メイン・キャストはベテランを揃え、装置も久しぶりに本公演用のものを準備。そして何より嬉しい生オケ公演! 心なしか、シャンデリアの落下速度も速いように感じ、地方の方には悪いけれど「やはり東京公演は良いなぁ」と思ったのが正直なところです。えっ、高井ファントムですか? 素晴らしいお歌でしたよ。でも、クリスティーヌとラウルを追うのに忙しくて、ほとんど視界に入ってなかったのです(汗) 市村さんや祐さんとまでは言いませんが、もう少し求心力が欲しいです、ええ。。。


2005年01月29日(土)14:00-16:05
東京都交響楽団「第6回三宅島支援チャリティコンサート」@東京芸術劇場

 A席 4000円 2階-LBC列-4番 (パンフレット:無料)

 指揮:小泉和裕(ジャン・フルネの代役)
 ソプラノ山本真由美
 オルガン:室住素子
 司会:頼近美津子

 ●チェロ・アンサンブル
  クレンゲル:賛歌
  ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番
 ●金管アンサンブル
  バッハ:管弦楽組曲 第1番から「ブーレ」 第3番から「エア」 第2番から「バディヌリ」
  ワーグナー:歌劇「ローエングリン」より第3幕第3場「行進曲」
(休憩)
 ●オーケストラ
  ビゼー:「アルルの女」第2組曲
  ラヴェル:ボレロ

 今月はチャリティづいている都響ですが、本日は三宅島支援のためのコンサート。そんなこともあってか、頼近美津子さんの司会付き。さすが話のプロだけあって、声は聞きやすいし、話の持っていきかた、反応も上手。スピーチのクラスを受講しているようなお得な気分です。赤シャツの誰かさんも何年もやっているんだからお勉強しましょうね。プロなんだし(あ、言っちゃった〜)。それにしても、今日ののぼぉちゃんは(あぁぁ、名前出しちゃった〜)非常に困ったちゃんでした。ファンの贔屓目を引き算してもありゃひどいわ。。。リラックスするのとだらしないのは別ものだと思うのですが、都響のみんながソリストをたたえて拍手している中、一人だけそっぽ向いて客席を睨んでいるし、「ボレロ」演奏後は一人だけ「早く裏に引っ込みたい」とばかりにソワソワしだすし、心ここにあらず状態。順序は前後しますけれどマイクを握ったら「こちらに座っていらっしゃいますのが田中さんです」と言い放ったもんだ。(都響の人間なのだから「こちらに座っておりますのが田中です」が正解)。ん〜、若手の演奏家だと微笑ましかったりしますが、良い加減何とかしましょうね。
 さて、本日は前半はアンサンブル、後半はオーケストラという特殊な形態のコンサートでした。チェロ・アンサンブルは既に何度も演奏している十八番だけあって、安定した演奏。9人それぞれがバラバラのパートにもかかわらず、種旋律担当の演奏が気持ちよく浮かび上がってくるのはさすが! 格調高い「賛歌」ではじまり、色彩感覚豊かな「ブラジル風バッハ」に繋がる流れも良いわぁ。そういえば、これらの曲をちゃんとしたコンサートホールで聴くのは初めてだぁ。席の関係もあるのかもしれませんが、今日が一番響きがブレンドされてて良かった〜。あ、話がまた飛びますが、ここ最近ののぼぉちゃんのコンサートはコンサートホールで、というのがほとんどないですよね。響きの良いホールで真剣勝負のリサイタルなんて一年に一回あるかないか!? すっかりPOPSのソリストになってて寂しい。。。閑話休題。ブラジル風に引き続き、本家バッハ様の管弦楽組曲ではじまり、オルガンとの対話の楽しいワーグナーを披露したのが金管アンサンブル。こちらは「○○県吹奏楽コンクール、アンサンブルの部 ○○高校吹奏楽部金管アンサンブル」のノリで、個人的には懐かしい響きで楽しかったです。(ちなみに、Tpの高橋氏もステージトークとしての敬語が変。指揮の小泉氏に関しては何を言いたいのが不明瞭。しっかりしてくれ〜>都響)。
 休憩をはさんでの後半は都響の面々によるソロを堪能できる曲が並び、みなさんそれぞれ「聴いて〜!」という演奏なのが個人的には嬉しい限り。芸劇のLBブロックは舞台からの音が良く飛んで来るので次回も選んでみようかな。舞台も近いのでオススメです。(ヴァイオリンのみなさんはほとんど後ろ姿になってしまうので、例えば矢部ちゃんのファンの方にはオススメしませんけど・笑)


2005年01月29日(土)17:30-19:55
劇団四季「エビータ」@四季劇場[秋]

 B席 5250円 2階-7列-11番 (パンフレット:1300円)
 演出:浅利慶太

 エビータ:井上智恵
 チェ:芝清道
 ペロン:下村尊則
 マガルディ:渋谷智也
 ミストレス:久居史子
 男性アンサンブル:菊池正、青山祐士、山口嘉三(劇団昴)、阿川建一郎、香川大輔、前田貞一郎、村澤智弘、岡崎克哉
            笠嶋俊秀、那俄性哲、谷本充弘、山田大介、遠藤敏彦、澤村明仁、小川善太郎、横山清崇、白倉一成
 女性アンサンブル:石塚智子、佐藤夏木、丸山れい、藤田晶子、荒木美保、岡本和子、クリスティン・ゼンダー、大徳朋子
            望月秀美、柴田桃子、団こと葉、秋本真結実、首藤萌美、大石眞由、有永美奈子、吉川サナエ

 浅利さん曰く、この作品は芸術面においてロイド=ウェバー作品の最高峰なんだそうです。でも、すみません僕の好みの世界ではないんですよねぇ。二時間半ものあいだ欲求不満を訴え続けられ、何の解決もしないまま主人公が亡くなって幕なんですもの。「こんな田舎でくすぶっているのは嫌〜」と始まり、「死にたくない〜〜〜」で終わるお話。おまけに最後の最後は、自分の人生を延々と回想しちゃうので、散り際の美学は皆無。おまけにプロレタリア文学の香りまでしてきちゃって気分はいきなりブルーになります。そうそう、前回僕が嫌いだった「賃金倍増」だの「労働時間短縮」だのといった昭和30年代風プラカードを持って登場する労働者たちは姿を消していましたが、歌詞は相変わらず古めかしく汗臭いもの。「劇場は社交場」「カタルシスを得て満腹になりたい」「ショーほど素敵な商売はない」が好みの僕にはどんなに名作でも猫に小判(汗) お金払って嫌な気分になる作品は困るなぁ。なぁんて言いながらも、「エビータ」は再演されるごとに観ております。なんでだろう?>自分 僕にはまだ魅力が把握できない作品ですが、その魅力を理解したい、という思いが強いのかもしれません。
 さて、大人になってからも「人を見かけで判断してはいけない」と良く言われますが、道徳面はさておいて、少なくとも舞台においては「人はみかけ」が大事かと思われます。「エビータ」は一人の女性の生涯を描いたミュージカルではありますが、階級間のパワーゲームが陰の主役で、妾の子として虐げられて育ったエビータがファーストレディに上り詰めるまでが表のストーリーだとしたら、アルゼンチンの貴族社会の黄昏を描いたのが裏のストーリー。これだけの規模のミュージカルにしては、意外にも役数が少ない作品ですが、その分アンサンブルが大活躍。何をって、階級間格差を表現するのに、です。実は東宝も四季も宝塚もこの面に関してはあまり得意でありません。基本的に同じ人種(と言い切るのは問題があるのは承知しております)、同じ階級の集団ゆえ、貴族役は上品になりきれず、下層階級役はギラギラ感が乏しくなってしまうのです。そこそこリッチだけれど、貴族の品格は持ち合わせていないのですからいたしかたありますまい。さりとて、オーバーに表現しても嫌らしくなるので、この問題はどうしたら解決するのでしょうね。。。とりあえず、女性キャストは前回公演に比べ、ドレスの着こなしが段違いに向上。ドレスと体が馴染んでいたのが嬉しい限り。男性の燕尾服は……ほとんどの人がシワシワ。貴族の人たちではなく、市民第九合唱団(S友会ではありません!)。とりあえず、新人さんたちは、回数をこなして、早く燕尾が体に馴染みますように!!
 さて、今回の公演で僕が注目しているのは(1)6代目エビータとして井上嬢が登場することと、(2)新演出になること。ということで、まず(1)のは井上嬢ですが、期待以上に良く歌っていました。地声部分もなかなか力のある声。芸大組ではありますが、ミュージカル発声も板についたもので、歌詞もクリアにくっきりはっきり。さすがに不協和音や変拍子てんこ盛りのこの作品のナンバーの数々は難しかったようで、歌うことだけでいっぱいいっぱい。今の段階では芝居については余裕がありませんでした。エビータは自分の生い立ちからの反動で、常に貴族社会にたいして挑戦的であり、ファーストレディになってからも、物のはずみでヒステリックに地をさらしてしまうのですが、井上嬢は「芸大出身のお嬢さん」のままなので、「糞喰らえ」だの「こんちくしょう!」だのといった台詞が唐突に出てくると観ているこちらが落ち着きの悪さを感じてしまいました。そして、とにかく小柄なのでドレス姿がちんちくりんで貫禄ナシ。おまけに三階席まで見上げることもなく、目線が常に低く、全体の印象はひたすら地味。実は、この役は真央さんが演じると抜群に上手いのではないかと妄想しているのです。猫を被って上品ぶっているけれど、激しい気性と下心を秘めているだとか、豪華なドレスを堂々と着こなしてファーストレディとして立派に君臨するけれど、時折ボロを出してしまうところだとか、ね、ピッタリでしょ。大鳥れいでもいけるかも。なお「エビータ」初見の知人の感想は「宝塚トップだった人で観てみたい」でした。あ、何か通じあえそう(笑) それにしても、タイトルロールではあるものの、最初から最後まで欲求不満しか言わないエビータという女性は、あまり魅力を感じないし、知り合いにもなりたくないなぁ。ファーストレディになってからは権力だとか、尊敬されたいだとか、自分の今の幸せをかみしめるなんてしなかった人でしょ。最後までペロンよりもペロンの権力に興味を持っていたようですし。ホント、嫌な女!!! こんな役を魅力的に見せなくてはならないのですから、女優も大変ですわ。
 さて、(2)の演出でまず目についたのが装置。前回は東京国際フォーラム中庭の床のようなSFチックな装置と、プロレタリア臭ぷんぷんのこの作品との違和感を感じましたが、今回の基本は円形にしつらえられた舞台の後方に設置された左右にスライドする曲線状の壁が2枚。幕が上がった瞬間「マンマ・ミーアみたい」と思いました。そして、床は八百屋舞台に新宿コマ劇場のような二重回しを設置。「Don't cry for me Argentina」では、なんと前方舞台が客席に迫り出してから上昇するというジャニーズ公演ばりの舞台設営。一つ一つのアイデアは面白く、眺めとしてもキレイなのですが、作品とのマッチ度はいかがなものでしょう。元々、この作品はLPで音楽のみ発売されたヒットアルバムの舞台化のような経緯があるので、ナンバーごとに場面がプツプツ切れてしまうのです。それをどう一本の線につなげるのか、が演出の腕の見せ所かと思うのですが、音楽もあまりに変化に富んでいるのでアイデア力と構成力がスタッフには求められますね。加藤敬二の振り付けも個々のナンバーとしては見応えがありましたが、エビータの世界ではなく「加藤敬二ショー」になってしまうのが気になりました。「どのプロダクションもこの演出でやれっ!」という決定版がないのも寂しい気がしますが、演出家にとっては挑戦しがいがあって面白いのかもしれません(ちなみに浅利さんは三回目の演出)。あ、もしかしたら、あえて様式をバラバラにして上演してみたのかな?


2005年01月30日(日)20:10-22:45
映画「オペラ座の怪人」@TOHOシネマズ市川コルトンプラザ 5 SCREEN

 全席指定 1300円 I列-6番 (パンフレット:600円)
 監督:ジョエル・シュマッカー

 オペラ座の怪人:ジェラルド・バトラー
 クリスティーヌ・ダーエ:エミー・ロッサム
 ラウル・シャニュイ子爵:パトリック・ウィルソン
 カルロッタ・ジュディチェルリ:ミニー・ドライヴァー
 メグ・ジリー:ジェニファー・エリソン
 マダム・ジリー:ミランダ・リチャードソン
 ムッシュー・アンドレ:サイモン・カロウ
 ムッシュー・フィルマン:シアラン・ハインズ

 映画になる、映画になると言われ続け、その割にいつまでたっても実現しなかったファントムがいよいよ公開されました! ミュージカルファンの中では話題沸騰で「チケット取れないかも」と大騒ぎでしたが、フタをあけてみれば、シネコンでは一番大きな劇場をあてがわれず、足を運んでみれば、ゆったり楽々座れて完全に肩透かし。上映時間は長いし、ずっと歌いっぱなしだし、実は一般受けしにくい!?
 映画版は舞台と違って、空間や時間の制限がほとんどないので、パリ・オペラ座内部がどのように再現されるのか、どんなに豪華になるかと期待で胸を膨らませて着席しました。廃墟となった劇場でのオークションで、シャンデリアが紹介されると同時にタイムスリップするのですが、さすがにこのシーンは映画ならではのド迫力。瞬時にして、画面がカラーになり、劇場が美しくよみがえるさまは、圧巻でした……途中までは。ええ、途中までは! ぬぁんと、オーバーチュアとともに画面に登場したのは、どこかの田舎の小さなオペラハウスなのです。もしくは、ユアン・マクレガーとニコール・キッドマンが登場しそうなムーランルージュ。もうガッカリ。終映後にパンフを読んだら、質素な劇場にした言い訳をツラツラ書き並べてありましたが、あまりにも有名なガルニエ宮があんなにチャチな劇場になっていたのが何よりもショックで、いきなりテンション落ちまくり。。。いえね、芝居に嘘は付き物ですけれど、いくらなんでも、パリ・オペラ座があんなになってしまうのは侮辱ですよ。オペラ座サイドからクレームは来なかったのかしらん? (「マスカレード」のシーンも、フランス国宝とでも呼べるあの大階段が、博多座ロビーの階段程度になっているんですもの。あたしゃ悔し涙を流しましたさ)。
 さて、そんなわけで、映像に関しては期待をはるかに下回ったので、次に気になるのが出演者。舞台版だと、あれだけの曲を一週間に何度も歌うということで、僕が観た限りでは「歌手」が演じることの多い作品なのですが、映画版はカルロッタのみが吹き替えで、その他の役は俳優が歌っています。したがって、歌唱力はかなり低いです。クリスティーヌも「16歳にしては良くこの役歌ってるね」というレベルで、ファントムではないけれど「声は美しいがまだまだ勉強が必要だ」って歌。で、ここで気になるのが「映画なのに、無理して歌えない俳優が歌う必要があるのか?」という事。ま、これに関しては好みの問題になってくるのですが、(1)ファントムもラウルもオクターブ上げたり下げたりが忙しく、メロディラインが落ち着かない。宝塚か!? (2)早いテンポで歌えないので、難しい箇所になるとすぐにテンポルバートして間のびするので音楽が盛り上がらない。(3)音を追っているだけで、音圧の差や音色の差などはまったくないので、表現が一本調子で盛り上がりなし。……ということで、舞台版に慣れている人間、そして、ミュージカル・オタクには受けが良くないかと思われます。
 では、映画版として面白かった部分はというと、細かなディティールで納得させられる部分が多かったことでしょうか。カルロッタの声が何故出なくなったのか、だとか、墓参り中のクリスティーヌの前になぜ都合良くファントムもラウルも現われるのか、などなど。なるほどっと膝を打った部分があちこちにあり、これはなかなか楽しい♪ そして、カルロッタは完全にお笑い担当。演出家の指定なのか、ドライバーの役作りなのか知りませんが、キャラクターを「歌えないくせに態度だけはプリマドンナな嫌われ者な歌手」という設定に大改造。いやぁ、笑いました、笑いました。おかげで、ウバルド・ピアンジは完全に食われてしまい、パンフレットの主な配役に役名も役者名も登場しないほど。うん、ウバルド役者には申し訳ないけれど、カルロッタの設定については舞台版にも導入して欲しいです。そして、舞台ではおっかない年配のダンス教師のマダム・ジリーは優しいキャラクターに変身。そしてコピッド版の「なんてぇことだ(by樹里咲穂)」おじさんのキャリエールのような人物に昇格。ファントム伝説については、具体的に映像化していましたが、その話自体もおもろくないッス。神秘的な謎を含んだ舞台版や、親子愛で盛り上がりまくりのコピッド版の方が僕好み。
 ということで、主役三人はというと、歌えない上に、脇役二人が大熱演のため大変! 監督もそれをフォローするためか、アンサンブル役者が担当部分の芝居やナンバーはばっさりカット! 雪が降り注ぐ寒空の下、屋上で愛を語らせたり、ぬかるみの中をシャツ一枚で馬に乗せてみたり、あれころフォローしていました。ファントムのバトラーは(って何だか山口祐一郎か今井清隆のことみたい・笑)仮面姿でも、仮面をはがされてもナカナカの男前。すぐに弱々しい声に戻ってしまうけれど、ところどころワイルドな歌唱も行ってみたりしてなかなか情熱的。若さゆえの強引な求愛と、愛情を受けたことがなく歪んでしまったハートに心痛めてしまいました。いやぁ、クリスティーヌがなぜなびかないのか不思議な位。仮面をはがされた後もそんなに醜くなかったのが原因!? そのクリスティーヌはキレイな声と、ティーンエイジャーとは思えないセクシーさが魅力なだけで、感情表現の希薄さゆえか、ちょっとパープー娘。まったく、男を見る目がないわぁ。(ハンニバルでのエリッサの衣装とヘアメイクが「エリザベート」の鏡の間のものとソックリだったのにはビックリ!!) そして、一番の問題がラウル子爵。男から見ても良さがわからんわ、こいつ(あらら、失礼)。ファントムと同年代という設定らしいのですが、子供時代に海に落ちた帽子を拾ってあげたというだけで、どうしてここまでファントムに拮抗できるのかわからない。。。若さも美貌も(関係ないけれど歌唱力も)ないし、舞台版以上にコレといってクリスティーヌのためになる行動もないし。あちゃちゃ。