観劇日記〜2005年02月〜
05日(土) 08:45 映画「五線譜のラブレター」 シャンテ シネ1
05日(土) 14:00 東京都交響楽団「プロムナードコンサート No.312」 サントリーホール
05日(土) 19:00 「NEVER GONNA DANCE」 東京国際フォーラム ホールC
06日(日) 14:30 矢部達哉×古川展生×田部京子
「夢のスーパー・トリオ・コンサート」
磯子区民文化センター 杉田劇場
10日(木) 18:30 藤原歌劇団「ロッシーニ:ラ・チェネレントラ」 オーチャードホール
11日(金・祝) 15:00 新国オペラ「ベルク:ルル」 新国立劇場オペラ劇場
13日(日) 14:00 伊東恵里・吉岡小鼓音「バレンタイン ミュージカルコンサート」 かなっくホール
19日(土) 18:30 二期会「レハール:メリーウィドー」 オーチャードホール
20日(日) 15:00 女塾「天使のいいわけ」千秋楽 銀座みゆき館劇場
26日(土) 14:00 ミューズの森・銀座十字屋シリーズコンサート
「古川展生チェロリサイタル」
銀座十字屋ホール
27日(日) 12:45 映画「プリティ・プリンセス2 ロイヤル・ウェディング」 TOHOシネマズ市川コルトンプラザ
8 SCREEN


2005年02月05日(土)08:45-10:55
映画「五線譜のラブレター」@シャンテ シネ1

 全席自由 当日1500円(ペルソナ割引) E列-9番 (パンフレット:700円)
 監督:アーウィン・ウィンクラー

 コール・ポーター:ケビン・クライン
 リンダ・ポーター:アシュレイ・ジャッド
 ゲイブ:ジョナサン・プライス
 ジェラルド・マーフィー:ケビン・マクナリー
 サラ・マーフィー:サンドラ・ネルソン
 モンティ・ウーリー:アラン・コーデュナー
 ルイス・B・メイヤー:ピーター・ポリカーポー
 アーヴィング・バーリン:キース・アレン
 エドワード・トーマス:ジェームズ・ウィルビー
 ボビー・リード:ケビン・マクキッド
 ビル・ラーザー:リチャード・ディレイン
 ボリス・コフノ:エドワード・ベイカー=ダリー

 ロビー・ウィリアムス/レマー/エルヴィス・コステロ/アラニス・モリセット/シェリル・クロウ/ミック・ハックネル/
 ダイアナ・クラール/ヴィヴィアン・グリーン/マリオ・フラングリース/ララ・ファビアン/ナタリー・コール/コール・ポーター

 ミュージカル・ファンにはお馴染みのコール・ポーターの結婚〜晩年までを描いた伝記映画です。ジョナサン・プライスが扮するゲイブがコール・ポーターに自身の伝記ミュージカル(映画? ちとこのあたり不明)を見せる、という劇中劇。ちょっと「クリスマス・キャロル」の過去の妖精の場面みたいでしょ。よって、ポーターの代表的ミュージカルのハイライトシーンは満載ですし、音楽はもちろんコール・ポーター。おまけに上記のような大物ミュージシャンもこぞって参加、というとても贅沢な映画なのです。時は女性はエレガント、男性はダンディを競ったアメリカの黄金時代。登場するのはお坊ちゃまにお嬢様なので、衣装もお金かかってます(リンダの衣装はアルマーニが手がけたとか!) そして、舞台となるのはパリにヴェネチアにニューヨーク、ハリウッドと当時のお金持ちの集まる贅沢な場所ばかり。都会の社交界のみならず、郊外の別荘や田舎の邸宅も登場するのですから、まずは目の保養、目の保養。何から何まで贅沢♪ 貧乏くささや野暮ったさは皆無といった、奇跡的ともいえるお洒落な映画です。
 ストーリーはとてもシンプル。バイ・セクシュアル&遊び人のコール・ポーターはリンダと結婚したものの男遊びから足を洗えないが、リンダは献身的な愛を捧げ、自分の死期を悟ると、コールのために男まで紹介しちゃうというもの凄いもの。リンダの、美貌とやさしい微笑みに隠された、強固な意志に感服。コールに作曲されたナンバーはその時々でリンダを想定してのものだったり、浮気相手の男性に対してだったり、私生活が濃厚に反映されているのが見もの聞きもの(どこまで史実に正確かは知りませんけれど、エンタメとしてはなかなか)。才能はあるけれど、自分勝手でケ・セラセラなコール・ポーターなのですが、なぜか人望には恵まれていて、本人さえその気になれば、幸せいっぱいの人生だったかと思われるのに、いかんせん「愛されて当たり前、お金があって当たり前、才能があって当たり前」というパーフェクト・マン。凡人には理解しがたい生活観をお持ちのご様子。何しろ、落馬によって足を骨折し、ピアノのペダルが踏めない!と泣き叫ぶのがやっとの苦悩なんですもの(あ、浮気の手管の悩みは別か)。リンダ=幸せだった、というのに気付いた時にはリンダは死期を迎えているという、間に合わなかった青い鳥のお話とでも言いましょうか。コールはリンダに出会えて幸せだったでしょうが、リンダにとってコールとの出会いはどうだったんでしょうね。でも「愛は求めるのではなく与えるもの」というリンダの精神は感動的です。
 さて、劇中劇では初演当時の舞台を彷彿させるクラシカルな美術と演出、そして各作品に登場する豪華な出演者がこれまた楽しい! 上記のように、ラストは寂しいお話なのですが自分の晩年を振り返り「惨めだ」とコールが嘆くと、ゲイブは突然「あれは〜ゲイブリエル、ゲイブリエル、あれは〜天使のゲイブリエル(あ、東宝版の歌詞ですね、これは・笑)」と歌い出し、そのまま豪華絢爛なフィナーレに突入。そして、再び一人になってピアノに向かうコールの背後に現われるのはリンダ。いやぁ、過去と現在、現実と虚構が自由自在に絡み合うという映画ならではの手法を駆使した素晴らしいミュージカル映画でした。舞台で成功した作品をそのまま映画にリフォームするよりも、映画は映画用の作品を用意すると、出来上がりが段違いですね。ま、このあたりは好みの問題でしょうが。好みといえば、リンダ役のアシュレイ・ジャッドは、良い女だぁ〜。大人の魅力に満ちていて、ゴージャスなドレスの着こなしと、情感に満ちながらも下品にならない絶妙なお芝居に惚れ惚れ。コール役のケビン・クラインはちょいとブッシュ大統領に似ていて、個人的にはあんまり……。脇を固める面々は、結構ステレオタイプに描かれていたりするのですが、みなさんとても丁寧に演じていて、非常に品のある出来栄え。コールやミュージカル、そしてこの映画に対する愛情に満ちていて、非常に後味がよろしゅうございます。
 自分の幸せを再認識し、今後の生き方や誰かの愛し方について色々考えさせられましたが、見終わった時に根拠はないけれど幸せ気分に満たされる映画です。オススメ♪ そして今なお色あせることなく、お洒落なコール・ポーターのナンバーの数々も圧巻。ゆりかごから墓場まで、ハイソだった天才ってあなどれないわぁ。もう完敗、そして乾杯!


2005年02月05日(土)14:00-16:00
東京都交響楽団「プロムナードコンサート No.312」@サントリーホール

 S席 5500円 1階-3列-27番 (パンフレット:200円・無料配布)

 指揮:下野竜也
 チェロ:古川展生

 ブリテン:マチネ・ミュージカルOp.24
 ブロッホ:ヘブライ狂詩曲「シェロモ」(ソロモン)
(休憩)
 ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
 レスピーギ:交響詩「ローマの松」
(アンコール)
 プッチーニ:菊

 素晴らしい「シェロモ」でした。どうも「ソロモン」というと、吹奏楽コンクールでもお馴染みの「シバの女王ベルキス」が思い浮かんでしまうのですが、ブロッホによる「ソロモン」もドラマティックな一曲でした。知られざる名曲との出会いは嬉しいものですが、チェロ・コンチェルトの定番としてもっとブレイクしても良いのでは? エキゾティックなソロのメロディ、オケとの絶妙なやり取り満載の曲で、のぼぉちゃんの音やフレージングにもぴったり。オケとの演奏バランスも良く考えられて作曲されていて、ソロの通りも好調。響きもサントリーにぴったりの多重音声。まるで今日ののぼぉちゃんのために作られた曲のよう。おまけに、指揮の下野さん(そして聖響さん)による、のぼぉちゃんの応援トークがコンサート前にあちこちで炸裂。ファンとして、感謝感激、ありがとね〜>指揮者のお二人。某ファンの集いでは、のぼぉちゃんの暴言があったとレポートがあがっていますが、愛には愛で応えましょうね>のぼ。そして、何よりも都響の「応援してるぞ〜」という暖かなサポート。これ以上、何をのぞみますかって位、お膳立てが整っておりました。ここまで逃げ道を絶たれるのも恐ろしい気がしますが、おかげさまで、本日はソリストの個性を生かしきった素敵な仕上がりでした。のぼぉちゃんも年に数回あるかないかの集中モードで(あ、書いちゃった)、いつになく濃厚な音色。いやぁ、色気があって、聞き惚れました〜。彼は「ちょっと緊張」モードの時に良い演奏を披露する確立が高いですね。満足、満足。蛇足ながら、客席にはのぼぉママや矢部ちゃんも応援に駆けつけていました、はい。
 イタリア物は後半になればなるほど乗ってきた感じ。「ローマの松」のオルガンっていつも気付くと演奏しているのですが、あまり効果が出てない、と思ってしまうのは、楽器の音量の問題? 演奏とは関係ないのですが、竜さんはマエストロとして君臨するのではなく、ちょっとマネージャーさんのような雰囲気の方でしたねぇ。三越や高島屋の各階の責任者に居そうなタイプ(あはは)。


2005年02月05日(土)19:00-21:45
「NEVER GONNA DANCE」@東京国際フォーラム ホールC

 B席 8000円 3階-6列-20番 (パンフレット:2000円)
 演出:植田景子

 Lucky Garnett:坂本昌行
 Penny Carroll:紺野まひる
 Spud:渋谷すばる
 Mr. Pangborn:治田敦
 Margaret Chalfont:秋山エリサ
 Velma:藤林美沙
 Mr. Chalfont:前根忠博
 Major Bowes:池田紳一
 Ricardo Romero:赤坂泰彦
 Mabel Pritt:大浦みずき
 Morganthal:三田村邦彦

 ここ最近の観劇はというと「舞台作品を映画化したミュージカル」「映画用に作られたミュージカル」そして、今回の観劇は「映画作品を舞台化したミュージカル」となります。この作品はフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースによる「スイング・タイム」を下敷きにしたもの。となると、かなり古い作品ということになります。ストーリーはかなり強引、というよりもどうでも良いんです。展開もオチも見え見えなのですが、求められているのは楽しく爽やかにダンスが繰り広げられ、ハッピーエンドになることだけ。実は、紺野まひると大浦みずき目当てでチケットを購入していたのですが、観客席の女性の比率に唖然。宝塚劇場なんて比べ物になりません。とにかく、女・女・女! しまった、ジャニーズのアイドル主演の作品やぁ〜、と思っても時すでに遅し。気付けば「メリー・ウィドウ」の7重唱が頭の中をリフレイン!! デパ地下のバレンタイン用特設会場に紛れ込んでしまったかのような居心地の悪さでした(汗)
 さて、雰囲気重視の作品で、アイドル主演にしてはかっちり揃えられたのが助演メンバー。ベテランが土台をきっちり支えてくれると若手もノビノビ演技できるので観ていて安心。坂本昌行は既に何本も舞台をこなしているのと、年齢からくる落ち着きからか(ちなみに同い年です)、気楽に安心して観ることができました。主演者に華があるのは気持ち良いですね。そして、紺野まひるはあいかわらず色気ナシですが、そのサッパリ加減が作品に合っていましたし、大浦みずきは相変わらず、こういった「わけわからない人物」を演じるのが上手いですワ。リピートする作品ではないけれど、チケット代もパンフ代も半額だったら、何も考えずに雰囲気を楽しむには良いかも。ちと高いなぁ。。。


2005年02月06日(日)14:30-16:30
杉田劇場オープニングフェスティバル
「夢のスーパー・トリオ・コンサート」@磯子区民センター 杉田劇場

 全席指定 3500円 D列-9番 (パンフレット:無料)

 Vn:矢部達哉
 Vc:古川展生
 Pf:田部京子

ドビュッシー:ピアノ・トリオ ト長調(矢部/古川/田部)
ポッパー:ハンガリー狂詩曲(古川/田部)
サン=サーンス:白鳥(古川/田部)
マスネ:タイスの瞑想曲(矢部/田部)
ラヴェル:ツィガーヌ(矢部/田部)
(休憩)
グリーグ:ペール・ギュント第一組曲(田部)
フォーレ:ピアノ・トリオ ニ短調 Op.120
(アンコール)
見岳章:川の流れのように

 昨日オープンしたばかりの杉田劇場にて、クラシック・コンサートのお披露目。したがってヤマハのフルコンも新品。こけら落とし公演に出演、というのはお目出度くもありますが、ピアニストにとっては楽器が固くて固くて泣かされることが多々あるようです。そして、本日のピアノは素人耳にもひどい状態。高・中・低音で音色が異なるわ、中音域は鳴らないわ、何よりも音が安定せずにカチカチ。もちろん、コンサート前には調整を行っているのでしょうが、いかんせん「弾きこまれていないピアノ」というのがアリアリ。田部さんがとってもお気の毒。ご愁傷様です。
 さて、のぼぉちゃんはというと、「コンチェルトが思うようにいかなくて本気モード」になるか、はたまた「コンチェルトに集中したし、トリオは既にやっているから手抜きモード」になるか、etc...とてつもなく失礼な噂をしていたのですが、ありがたいことに、昨日のコンチェルトに引き続き、本日も好調。良かった、ホッ。のぼぉちゃんのテンションは結構波があるのでファンとしては毎回とても気になるのですが、昨日の余韻が残っているのか、ダイナミックな中に丁寧な演奏。うん、多目的ホールにしては響きもナカナカやないですか! が、ここで問題発生。通常、田部さんとの並びだと、のぼぉちゃんが「共演させていただきます」の立場なのですが、いかんせん「ポッパー「と「白鳥」に関しては「俺の曲だ〜」とのぼぉちゃんが主導権を譲らない状態。となると、これらの曲を弾き込んでいるのぼぉちゃん vs 滅多に伴奏は弾かない田部ちゃんとなるので、丁々発止というよりも、意地を張り合うようなやり取り。いえね、別にどちらが主導権を握ろうが聴き手としてはかまわないのですが、寄り添い感ゼロ。でも、まあ曲も曲ですし、「気の強そうな二人やわぁ」と面白く聴いておりました。
 そんな田部ちゃんのソロですが、何故に「ペール・ギュント」だったのでしょう? 小学生や中学生がピアノの発表会で弾く版で、さすがにそのレベルは段違いではありましたが、とっても魅力のない編曲。ピアノの魅力も発揮しなければ、オケ版の色彩感が再現されるわけでもなく、ひたすら退屈。もっと田部ちゃんをアピールできる曲が良かったなぁ!
 矢部ちゃんはね、相変わらずポーカーフェイスです。演奏はもちろんですがトークも(笑) 例のごとくのぼぉちゃんがオチも感動もないつまならない話をクドクド続けるのを(あ、書いちゃった・笑)澄ました顔して遮ってくれるし、短いながらも気の利いたコメントをされますし。それにひきかえ、こらっ、のぶお君ちょっとここに座りなさい! 自分が話そうとするのにいっぱいいっぱいで、舞台上での話の流れを読めない状態はなぁ、、、何年も見せられるとねぇ、、、あわわわわ。って、これでものぼぉファンです、あはっ! せめて「自己紹介しましょう」の時に、まったく関係ない話を始めてしまうのはダメやん。可愛がりたい気持ちと、愛想を尽かしている気持ちが半々の倦怠期ファンの休憩時間の会話のタイトル:「君は誰〜?」 でも「お馬鹿なのぼぉちゃん」が見られなくなったら、それはそれで寂しい(くどいようですが、のぼぉちゃんファンです>自分) 閑話休題。さて、好き勝手に書いておりますが、矢部・田部・のぼトリオは適度な緊張感があり、その中でのぼぉちゃんが自由に泳げる環境というのが嬉しい限り。次男坊のポジションにはまった時ののぼぉちゃんはオススメです。三者三様の面白さが発揮されて、これまたナカナカ。


2005年02月10日(木)18:30-21:40
藤原歌劇団「ロッシーニ:ラ・チェネレントラ」@オーチャードホール

 D席 4000円 3階-4列-34番 (パンフレット:1200円)
 指揮:アルベルト・ゼッダ
 演出・装置・衣装:ピエール・ルイジ・ピッツィ
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 アンジェリーナ:ヴィヴィカ・ジュノー
 ドン・ラミーロ:ホアン・ホセ・ロペラ
 ダンディーニ:ロベルト・デ・カンディア
 ドン・マニーフィコ:ブルーノ・デ・シモーネ
 アリドーロ:彭康亮
 クロリンダ:高橋薫子
 ディーズベ:向野由美子

 いつの間にやら毎年恒例の藤原歌劇団のロッシーニ・シリーズ。今年は「ラ・チェネレントラ」が登場です。なに「シンデレラ」のイタリア語版です。ミュージカルやバレエの「シンデレラ」は妖精や魔法の登場するファンタジー色が強いのですが、オペラ版はあくまで人間界のお話。ドン・ラミーロ王子は使用人のダンディーニと衣装を取替えて、身分ではなく自分を愛してくれる女性を探す、という別の童話のストーリーも挿入されていて、結構見応えのある作品です。今回の演出はついたてを多用し、主な舞台装置といっても、テーブルや椅子、ベッドが登場するというシンプルなもの。時代も場所もはっきりしないのですが、一つ一つのセンスが抜群で、とてもお洒落な印象を受けました。モンテ・カルロ歌劇場のプロダクションときいて、ちょっと納得。ふとした仕草や表情で笑わせるという、歌手には結構厳しい高度な芝居を要求される演出なのですが、今回のカンパニーはとても良くこなしていて、クスクス、ゲラゲラ楽しく笑ってまいりました。
 この手の宝塚チックな芝居は、はっきりいって、トップコンビはあまり面白くないのです。二枚目路線なので遊びようがないのですから。ということで、ジュノー(長身で彫りが深くて、宝塚のトップさんみたい)と、ロペラのお二人は超絶技巧を駆使した歌唱で勝負。最近、好調の藤原歌劇団なので、なかなかのキャストを揃えての公演なのですが、それでも、この二人、特にジュノーが歌いだすとまわりは霞んでしまいますわ。高音から低音まで独特の音色ながら、自由自在にコロコロ声が転がるさまに感嘆! あまりの凄さに笑っちゃうしかないんです。聴いているこちらの脳細胞がおかしくなりそう! ロペラはやたらと出てくるハイCも気持ちよく響かせて個人的にはかなり好きなコンビですね。
 が、なんと言っても今回の白眉はカンディアとシモーネ。この二人は登場するだけでおかしい。おちゃらけても、おちゃらけても、伊達男のままで居られるというのは特筆物です。表情が大きくてもいやらしくならず、さりげない仕草であっても客席にちゃんと伝わる。それでいて「頑張っている」という空気が皆無で、とりあえず「粋」という言葉しか思いつかないのですが、この手の役作りに関してはイタリアの歌手は圧巻ですね。ダンディーニは、王子と入れ替わって権力を振るえる自分の状況を満喫しているし、ドン・マニーフィコは欲の塊で、どの「シンデレラ」よりもシンデレラをいじめるのですが、あまりの「自分に甘い」姿に、「可愛い♪」とすら思えるじいちゃまでした(関わりあいたくはないですけどね)。主役二人が真面目に澄ましているだけに、不真面目で感情的なこの二人はとても効果的!
 そんなカンディアとシモーネにひっぱられてか、優等生タイプの高橋薫子と、今回は藤原オペラデビューの向野由美子もはじけていました。それにしても、悪役だとか、イジメ役が生き生きしている舞台って楽しいですね〜。オケもウキウキしてて、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。あ、アリドーロ先生は真面目です。そして、それを演じている彭康亮も真面目なのでしょう。この役については、も少しウィットがある方が僕好み。


2005年02月11日(金・祝)15:00-17:35
新国立劇場オペラ「ベルク:ルル」@新国立劇場オペラ劇場

 ランク7 5670円(ATRE割引) 4階-L8列-4番 (パンフレット:800円)
 指揮:シュテファン・アントン・レック
 演出:デヴィッド・パウントニー
 管弦楽:東京交響楽団

 ルル:佐藤しのぶ
 ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:小山由美
 劇場の衣装係/キムナジウムの学生:山下牧子
 医事顧問:大久保眞
 画家:高野二郎
 シェーン博士:クラウディオ・オテッリ
 アルヴァ:高橋淳(永田峰雄の代役)
 シゴルヒ:ハルトムート・ヴェルカー
 猛獣遣い:晴雅彦
 力業師:妻屋秀和
 公爵/従僕:加茂下稔
 劇場支配人:工藤博

 2004/2005シーズン・オペラ「ルル」(2005年2月8日初日)につきましては、劇場の音楽スタッフが全力で音楽稽古を行って参りましたが、非常に高度な芸術的レベルが要求される作品であり、新国立劇場といたしましては高い水準を維持した公演を聴衆の皆様に観劇いただくため、本公演を三幕版から二幕版に変更して公演することとし、アルヴァ役永田峰雄が降板、代役として高橋淳が同役で公演することといたしました。
  ツェルハ補作による三幕版から二幕版(ベルク・オリジナル版)に変更することに伴い、出演者に関しましてご案内いたします。 3幕だけの出演者であった15歳の少女役・木下周子、その母役・与田朝子、女流工芸家役・背戸裕子、新聞記者役・成田博之、警部役・羽山晃生は新たに演出上必要な役(演技のみの出演です。歌唱はございません。)として出演することになりました。また、召使い役・大久保光哉は出演したしません。

 という告知があったので、どんなにひどい状態なのかと心配して劇場入りしたのですが、なかなか安定した良い公演だったのではないかと思われます。……と、いきなり歯切れが悪い感想ですが、実はベルクは好きな作曲家ではなく、この作品も12音技法で作曲され、不協和音やと変拍子満載のため、僕にとっては「どこが良いの、この音楽」なのです。。。いえ、演奏する分には面白そうなのですが、終演後に耳に残る曲がまったくないというのは僕にとっては致命傷。オペラ=芸術ではなく、オペラ=エンターテイメントの感覚なので……。歌い上げるアリアも、盛り上がる重唱も、クライマックスを構成する幕切れも皆無。拍手のタイミングがわからないような終わり方ということで、ベルクに関してはかなり不満足(って、こんな事書いたら元も子もないですねぇ)。
 ということで、期待するのは出演者なのですが、上記のような僕の好みからいくと、佐藤しのぶは素晴らしいです。そりゃ、飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃のような声の力は感じられませんが、舞台に登場した時の華、演技の大きさ、男たちを次々に惑わしていくのを納得させる色気と美貌、豪華な衣装を次々と着こなせるスタイルなどなど、彼女以上に表現できる歌手が思いつきませんもの。今なお日本のオペラ界に、彼女を越える「スター」が存在しないのですから、ちょっとやそっとの事は気にならないですわ(バレエでいうと草刈民代タイプ)。とにかく、この役に対する意気込みがビンビン伝わってくるような素晴らしいエネルギーでした。
 そして、摩訶不思議な音楽ながら、その歌いまわしが「なんだか凄い」と感じさせられたのが小山由美。豊かな声を自由自在に駆使し、結局いちばん大きな喝采を浴びていました。彼女の歌はいつどの作品で聴いても素晴らしいですね。
 パウントニーの演出は「こりゃ、レパートリー・システムの劇場じゃ上演できないわ」と思われる、歌手にも非常に高い演技力を要求するもの。音楽稽古のみならず、芝居稽古(って言うのやろか?)も時間をかけて丁寧に行ったに違いありません。舞台転換も多く、音楽が(僕には)単調でつまらない分、入退場から、歌いながらの芝居にいたるまで、非常に細かく凝った作りでした。美術に関しては、モノトーンを貴重としているのですが、その中に浮かび上がる強い色合いのルルの衣装が美しかったこと!! そして、これまた摩訶不思議な装置と、変化に富んだ照明も素晴らしかったです。作品が作品なので「また見たい」とは思いませんでしたが、プロダクションの力量をまざまざと見せ付けられた公演でした。急な第三幕カットということで、きっとスタッフやキャストにとっては、もっともっとやりたかったことがあるでしょうが、僕としては今回の公演でも十分満足です。


2005年02月13日(日)14:00-15:25
伊東恵里・吉岡小鼓音「バレンタイン ミュージカルコンサート」@かなっくホール

 全席指定 3000円 う列-18番 (パンフレット:無料)
 ピアノ:林絵理

 「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー
   グレゴリオ
   サウンド・オブ・ミュージックのテーマ
   もうすぐ17歳
   私のお気に入り
   エーデルワイス
   ひとりぼっちの羊飼い
   すべての山に登れ
   ドレミの歌
 「ジキルとハイド」より"In his eyes"
 「ジーザス・クライスト=スーパースター」より"私はイエスがわからない"(伊東)
 「オペラ座の怪人」より"私を思って"(吉岡)
 「ファウスト」より"宝石の歌"
 アンダーソン:タイプライター
 「リカルド」より"私を泣かせてください"(伊東)
 ベッリーニ:優雅な月よ(吉岡)
 日本の歌メドレー
   ちょうちょ
   おぼろ月夜
   こいのぼり
   雨
   茶摘み
   夏の思い出
   われは海の子
   夏祭り
   赤とんぼ
   雪のふる町を
   どこかで春が
   ふるさと
 「美女と野獣」より"美女と野獣のテーマ"
 「アラジン」より"ホール・ニュー・ワールド"
(アンコール)
 「ピノキオ」より「星に願いを」

 劇団四季の同期にして同年齢の二人は、音大の声楽科出身で、劇団四季に在籍するも、その期間は短く、退団後は自分にあった作品に恵まれて活躍、と経歴も似ているのですが、その持ち味は異なり、ゆえに変化に富んだ楽しいコンサートとなりました。ま、バラエティに富みすぎて、ミュージカル・ナンバーもオペラ・アリアも「もっと他の曲も聞かせてよぉ」と思ったのも正直なところ。ちょっとずつ色々、という「幕の内弁当」のようなコンサートでした。
 すでにキャリアを積んだ二人なので、それぞれ魅力的なのですが、個人的には、どの曲も歌唱法をほとんど変えず、清純的表情を崩さない伊東嬢よりも、ベルカントから地声まで曲にあわせて歌唱法を変え、色気やお笑いといった味付けの可能な吉岡嬢の方が好みです(実力派が好き、というのもあります。。。) それにしても、他愛もないおしゃべりから、過去・現在・未来の夢を語り、今までの芸歴を披露し、さらにはCDやコンサートの宣伝までうまくまとめる話術って、女優さんとはいえ上手いですねぇ。普段のおしゃべりのように話題が移ろいで行くのですが、その流れが自然で、かつ時間内にピタリと収まるのが凄いです。


2005年02月19日(土)18:30-21:40
二期会「レハール:メリー・ウィドー」@オーチャードホール

 D席 5000円 2階-7列-43番 (パンフレット:1000円)
 指揮:飯森範親
 演出:山田和也
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 ハンナ・グラヴァリ:腰超満美
 ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵:加賀清孝
 ミルコ・ツェータ男爵:平野忠彦
 ヴァランシェンヌ:小林真由美
 カミーユ・ド・ロジョン:水船桂太郎
 カスカーダ子爵:秋山徹
 サン・ブリオッシュ:松尾健市
 クロモー:三林輝夫
 ボクダノヴィッチ:松本進
 シルヴィアーヌ:佐々木弐奈
 オルガ:三橋千鶴
 プリチッチュ:竹沢嘉明
 プラシコヴィア:押見朋子
 ニェーグシュ:志村文彦

 このところ演出家の人選を意識するようになった二期会ですが、オペレッタの演出を東宝の山田氏に依頼。20年ぶりの新プロダクションになったのでした! とにかく、今までの演出が野暮ったかったのに、なまじドル箱作品ゆえか、ちっとも演出がかわらないのが不満だっただけに、今回の新しい風は大歓迎です。今回は歌詞にも手を加えられているのですが、いっそのこと、歌詞も前面改定した方が良かったのではないかと思うのですが(物凄く時代がかっていて台詞と違和感があったりします。。。)、改革は一度に行わない方が良いのでしょうね。終演後は「楽しかったね〜」という声を客席で、ロビーで、劇場から駅までの道すがら、そして電車の中でまで聞くことができ、ちょいと幸せ気分になりました。
 新プロダクションとはいえ、二期会公演なので、あいかわらず予算の少なそうな装置。ゆえに、貧乏国の大使館がシンプルなのはともかく、お金持ちの未亡人のお屋敷だとか、マキシムの場面なども非常に質素。とはいえ、そこが演出の見せ所でして、POPな装置の楽しさと、人材配置の工夫で上手くカバー。黒燕尾の男性を舞台に密集させ、その真ん中にハンナがドレスで登場する様は、まるで大地真央作品のよう。腰超嬢が艶やかなこともあって、非常に華やかな主役の登場となりました。彼女のハンナは素晴らしいですね。国家でさえもひれ伏すほどの大富豪としての貫禄を誇りながら、ダニロに対しての甘さ、可愛らしさを見せ、年齢的に個性的に、今この役と出会えたことが非常に幸運な方です。今回は全体的に女優陣の活躍が顕著で、ほんのチョイ役の面々に至るまで、芝居に凝り、体当たりでコメディ演技に挑んでいたので、客席は思わず拍手喝采。取り澄まして「オペラ歌手でございます」ではなく、「今日の私は森公美子」状態なんですもの。コメディは演じている側が照れたり気取ったりすると面白くないですものね。二期会のラインナップを見ると、今までの歌唱第一主義から、歌芝居への移行を図っているようですが、なかなか良い感じで人材が育っているようなのが頼もしい限りです。しか〜し、男性陣はもっと自分を捨てましょう。舞台上で照れる姿を見せられると、あまりの痛々しさに笑いではなく哀れみを感じてしまうのです。
 今回の演出のポイントは「色」。衣装の前田氏が舞台面でのバランスに気を配り、基本的に男性は黒、女性は白を採用。その中にピンポイントとして登場する色鮮やかなドレスが美しかったこと。そして、ダンスシーンになると強い色調の衣装をまとったダンサーがなだれ込み。「メリー・ウィドー」はどの幕もダンスの見せ場がある作品なのに、今までは「踊れない人が無理して踊っている」のが観ていて辛かったのですが、今回は「踊れない人も上手に見える演出」がなされていて、さすが東宝演出部!と唸ってしまいました。どんな演出家というと、歌手に与えるのは一番難しくてボックス・ステップ。あとは歩いたり、ちょっと足を上げたりという程度。しか〜し、麻咲梨乃氏が、ステップではなく、フォーメーションで見せる方向で振り付け。ゆえに、個々のダンス技術ではなく、全体の動きで魅力的に見せるので、まずは目くらまし。そして、ダンスシーンに登場するダンサーは、通常のオペレッタ公演に登場するバレエ・ダンサーと異なるせいか、お芝居を心得ていて、自分が見せるシーン、主役(歌手)に華を持たせるシーンで、うまく存在感をコントロール。歌手vsダンサーのよそよそしさがないのが嬉しい限り。実はこれらの場面は、衣装とのコラボレーションも素晴らしく、前述のように、歌手の衣装はさほどカラフルではないのですが、ダンサーの衣装は強い色を使用しているので、舞台上で二つの色がシャッフルされたり、ツートンになったり、振り付けにうまくリンクして見目麗しいのです。そして、激しいダンスになると、衣装の色合いの関係もあって、ダンサーばかり印象に残るというとんでもなく素晴らしい連携プレー。ミュージカルのクリエイティブ・チームの本領発揮です。
 さて、残念だったのは男性陣。主要役がことごとく高年齢&伊達男ではなくエロ親父。そして、軽く楽しげに歌うことが出来ず、音楽が弾まないのです(なまじ音大の教授などを歴任しているとそうなってしまうのでしょうか?)。オペレッタのとんでもない内容の歌は、音楽的に格調高くよりも、表情豊かに体で歌っていただければどんなに華やいだ空気になりますことやら。キャラクターとして、ツェータ男爵は年配でも構わないのですが、ダニロをはじめ、モテモテなのが不納得の人選続出。何しろ、終幕のカーテンコールで登場した指揮者が一番男前でダンディで、歌手と一緒に歌い踊る姿が一番キラキラしているんですもの。僕なんかは「やっとスター登場!」と喜んでしまいましたが、看板歌手の皆さんとしてはどうよ!? 負けるな、頑張れ〜。今後のオペラ界には、貴族やプレイボーイが決まる男優育成に期待(女優ももっともっと出てきて欲しい!)


2005年02月20日(日)15:00-17:15
女塾第2回公演「天使のいいわけ」千秋楽@銀座みゆき館劇場

 全席指定 3000円(前売) J列-3番 (パンフレット:無料)
 演出:伊丹ドンキー

 三島照代(外科医):西尾三枝子
 城之内貞子(士長):飛志津ゆかり
 桜まりこ(中堅看護士):大友恵里
 矢部みはる(新人看護士):岩村水咲
 立花あかり(新人看護士):比良友美
 阿部真世(ゴシップ雑誌編集):藤波靖子
 菊川雅美(仰木加代子のマネージャー):佐藤美佐子(星由有の代役)
 岡千里子(入院患者):室住美穂
 仰木加代子(占い師。入院患者となる):應蘭芳

 佐藤美佐子嬢が出演の舞台です。今までは街娘だったり、お姫様だったり、割と時代劇を中心に観てきたのですが、今回は現代劇。どんな感じかなぁと興味深々。で、今回は初めての彼女の舞台だったらファンにならない、というのが真っ先に思ったことでした。だって、登場した時点から何だかケッタイなオーラを発散してるわ、いかにも悪だくみをしていますという怪しい目つきをしているわで「嫌な女〜〜〜」なんです。ホント素の彼女を知らなかったら石投げてた(笑) もうね、観劇中はムカムカしておりましたよぉ。(正確に言うと、美佐子嬢にというよりも菊川雅美役に対しですけど。)「お笑い担当」「お涙担当」「いかにも悪役担当」とカラーがはっきりしている登場人物の中で、「良い人そうに振舞っていて、裏では嫌がらせ工作を行っている」ミステリアス担当で、もう胡散臭さNO.1。おかげで、登場シーンが少ない割りには強い印象が残りましたさ。それにしても、低音で冷たい口調で話す時の美佐子嬢はいつの間にやら「大人のオンナ」の魅力を発揮しつつありますねぇ。いつか、豪華なドレスと豪華なアクセサリーをまとった、貴婦人役を演じる彼女を観て見たいものです。結構、ゴージャス系の役が似合いそうな気がするんですよねぇ。というのも、終演後に近くで会う美佐子嬢は、とりたてて小柄でも大柄でもないのですが、舞台上だととても大きく見えるのです。なんでかなぁ、と思いつつみていたのですが、まずは姿勢が良いんです。ビシっとした姿あっての品の良さ。そして、新人女優にありがちな「黙っている時に手持ち無沙汰」ということがなく、逆に「黙っている時に目で演技してる」といるからではないかと。。。今回は役柄も相まって「何たくらんでいるのさ?もう!」とドキドキもの。舞台上で女優さんが「今、私はどうしてたら良いの?」とオドオドしていると、急に身近な人になりさがり、生活感まで見えてきてしまうのですが、この余裕シャクシャクの雰囲気作りはナカナカです。近いうちに、お客さんの一本釣りを始めることでしょう。キャピキャピしてても違和感がないのに、情感のある芝居も出来るので、今後はより良い役にめぐり合えるのを願うばかりです。個人的には、若い娘〜晩年までの女の一生をジックリ演じられるような役を希望!
 ……とすっかり美佐子嬢ネタで長くなってしまいました。「女塾」という団体名通り、出演者は女性ばかり。ベテランからいかにも新人女優まで、年代は色々。今回の作品は出演者に合わせた当て書きなのか、すでに存在していた戯曲なのかは知りませんが、女優としてのキャリアと、舞台上でのステータスがキレイに一致していたように思えます。若手は元気いっぱいに舞台に立ち、中堅どころは盛り上げどころを担当、そしてベテランがかっちり芝居を固めているという図式。若手が暴走しそうになると、西尾三枝子と應蘭芳が引き締めに入るという、出演者にも観客にもありがたい座組みでした。芝居としても、人間の一緒を重ねて眺めても「年齢を重ねるって素敵なことなんだなぁ」と思える時間を満喫です。あらすじ? 民放の2時間一本立てドラマのような作品で、あれこれ入り組んでいるので省略。そういや、パンフにもこれといった筋は書いてないんだった。。。でも、面倒だから書くの嫌(笑)


2005年02月26日(土)14:00-16:50
ミューズの森〜銀座十字屋シリーズコンサート
「古川展生 チェロリサイタル」@十字屋ホール

 全席自由 5000円 (パンフレット:無料)
 ピアノ:近藤亜紀

 バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調より
   プレリュード
   サラバンド
   ブーレ
 コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ Op.8 第1楽章
 ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 第3楽章
 ラフマニノフ:ヴォカリーズ
 カサド:親愛なる言葉
(休憩)
 エルガー:愛の挨拶
 ヘンデル:オペラ「リナルド」より「私を泣かせてください」
 ヘンデル:オペラ「セルセ」より「ラルゴ(オンブラ・マイ・フ)」
 ポッパー:ハンガリー狂詩曲
 塩入俊哉:夢のしずく
 ピアソラ:アディオス・ノニーノ
 ピアソラ:タンティ・アンニ・プリマ
 ピアソラ:リベルタンゴ
(アンコール)
 サン=サーンス:白鳥
 シューベルト:アヴェ・マリア

 昔は開場前からホール前に並んだものですが、最近は寒さに負け、のんびり入場するようになってしまいました。ということで、今回は入り口近くの後方席(といっても6列目ですが)をget。フラットな会場ゆえ、のぼぉちゃんはほとんど見えないので、ひたすらお客様ウォッチング。「のぼぉ様〜」と前のめりになっている集団、ちょっと斜めに構えている集団(あ、僕達!?)、お義理か何かでいらしているんだろうなと思える、やたらと荷物をガサゴソしている集団など、それぞれ異なる反応が観察できて面白い席でした。それにしても、多種多様な集団の前に出てきて、いきなり無伴奏の曲でコンサートをはじめるのには毎回「すごいなぁ」と思ってしまいます。一人で空間を埋めること、チェロの音だけでお客さんを自分の世界に巻き込むことが必要なんですもの。願わくば、後半はバッサリカットしてかまわないので、前半も抜粋ではなく、全曲きちんと弾いて欲しかったです。トークにおける語彙の少なさはもはや諦めの心境ですが、「通常のC-G-D-Aの調弦ではなく、H-Fis-D-Aの調弦で演奏する曲なんです」などと、演奏家ならではの解説が入ると俄然面白くなりますね(弦をどの音であわせるかまでは説明してなかったかも。うろ覚えです)。のぼぉちゃんも、実はネタは色々持っていると思うんですヨ。せっかくのネタですし、MCするの好きなのですから、いかにも「本なんて読んでまませ〜ん」というポーズはやめて、読みましょうよ、うん。「好きなんです」と「色々ありまして」以外の話も聞きたい!!
 さて、今回は「ホール」と名前は付いているものの、デパートの催し物会場のような場所で、椅子もステージも仮設。ゆえに、入場して最初に思ったのは「どこかの楽器屋さんの発表会に来たみたい」でした。トイレも、市販のハンドソープの入れ物利用で、その中身は薄めた別の液体石鹸で貧乏臭いこと貧乏臭いこと。こういうちょっとしたところで運営者のセンスというのがあらわれるものですね。運営者といえば、司会者は「素敵なピアノなのでその音色を……」と説明していましたが、素敵なのは木目調の見た目だけで、音に関してはちょっと思い出せる範囲でも1,2を争うであろう、ひどい状態のピアノでした。あまりのひどさに終演後「いつ調律したんですか?」と確認したところ、当日調律しているとのこと。でも、音程を合わせただけで、決してピアノ自体は調整してない様子。フタを全開しているにもかかわらず音が飛ばないわ、中音域はまったく響かないわで、素人耳にもひっどいモノ。ピアニストは他楽器と違って、自分の楽器を持ち歩くわけにはいかないのですし、立場によってはそうそう注文できないでしょうから、担当者が責任もって調律に文句を言うべきでしょう。お話した感じでは、司会の方はピアノの音の良し悪しは気にされてない様子でしたが(どこがどう良くないのか話が通じなかった!)、何よりもホールの人、そして調律師の良心を疑いますわ。僕だったらすぐに調律しにクレームつけてやり直しを要求しますね。一般家庭のピアノよりもひどい調整状態ってど〜なってるの? これではYAMAHAのSシリーズのピアノが泣きます! ピアノは購入したあとでどう手入れするかによって全然違う音を出すのですからもっと可愛がっていただきたいと、切に思いました。そういえば、調律師って完全に黒子ですよね。弘法は筆を選びませんが、演奏者は楽器を選ぶので、運命共同体として調律師の名前もプログラムに記載すべき、と僕なんて常々思っているのですが、いかがなものでしょう?
 と、いきなりピアノの文句で始まりましたが、実はピアニストも良くなかった。若くてキレイなピアニストでしたよ、そりゃぁ、のぼぉちゃんの相手役ですもの、ええ。もっとあの手この手で、のぼぉちゃんに絡んだり、挑発したりした演奏を繰り広げて欲しいのに、ひたすら一本調子。楽器の問題もあるとはいえ、音色やタッチの違いを感じられない時点で僕にはパス。重さもでなければ軽やかさもなし。おまけにぺダリングが雑で音澪が汚いの。そして、ffで音が飛ぶ部分になると遅れるし。。。きっとピアニストにとって苦手な曲が揃ってしまったのでしょうね。でも、5000円もするコンサートですからハッキリ文句書いちゃいますけれど、の本日ののぼぉちゃんがややつんのめりながらの演奏だっただけに、恐る恐るのピアノはイライラ〜。のぼぉちゃんも「このピアニストとはどんな音楽を作ろうかな」ではなくって、勝手に自分の世界に入っちゃってるし。ホント、のぼぉちゃんはピアニスト運には恵まれていない&大事にしていないのが残念。ちなみに、チェロの音に関しては音圧が高く、のぼぉちゃんの特徴の「うにょ〜ん、バリバリッ」という独特のフレージングと音作りが強調された感じ。これにピアノが絡めばそれはそれとして面白かったでしょうに、お互いがソッポを向いているデュオというのは聴いてて辛いですわ。「アディオス・ノニーノ」は途中で空中分解しそうでハラハラでしたし、「リベルタンゴ」はモコモコ。先日の新国の「ルル」ではないけれど、ピアニストの得意・不得意によって、一定のクオリティを維持できない曲については、差し替えを行う勇気も必要ではないかと。。。のぼぉちゃんはもっとピアニストを慎重に選ばなければならない時期にきているのではないかと思います、キッパリ。実際、誰と共演するかによって、演奏の出来不出来が大きくなっていますし(あ、書いちゃった・汗) 
 さて、では聴き所はというと、くぐもったピアノとうぐいす廊下状態のチェロということもあって、優しい響きの部分でしょうか。「私を泣かせてください」なんて、コロラテューラの部分をチェロで弾くとポルタメント聴かせたソプラノみたいになるので、今回の二人の組み合わせとしてはキレイにブレンドされていて聞き惚れました。まるで別の曲のような仕上がりが楽しい。そして「タンティ・アンニ・プリマ」のpp部分も会場に音が溶けていく感じ。結局、のぼぉちゃんが丁寧に弾く部分になってようやくピアノとチェロの音が絡み合ってきたのかな。細かなビブラートもクリアに聞こえて素敵でした♪
 余談ですが「ラルゴ」の歌詞で言うと「オ〜ンブラマイフ」と「ディヴェジェ〜タービレ」の間の伴奏部分をチェロで弾いていたんですけど、チェロ独奏用ってそのような編曲になっているんやろか? 他の楽器の時ってまず弾かない部分なのですが、ちょっと楽譜を見てみたかったなぁ。


2005年02月27日(日)12:45-14:50
映画「プリティ・プリンセス2 ロイヤル・ウェディング」
@TOHOシネマズ市川コルトンプラザ 8 SCREEN

 全席指定 1300円 (パンフレット:600円)
 監督:ゲーリー・マーシャル

 プリンセス・ミア:アン・ハサウェイ
 クラリス・レナルディ女王:ジュリー・アンドリュース
 ジョー(ジョゼフ):ヘクター・エリゾンド
 リリー:ヘザー・マタラーゾ
 ニコラス・デヴロー卿:クリス・パイン
 アンドリュー・ジャコビー公爵:カラム・ブルー
 シャーロット:キャスリーン・マーシャル
 メイブリー子爵:ジョン・リス=デイヴィス
 アサナ:レイヴン
 パオロ:ラリー・ミラー
 ヘレン:キャロライン・グッドール

 まずは前回のおさらいから。アメリカの平凡な高校生だったミアは実はヨーロッパの小国・ジェノヴァのお姫様。早速プリンセス修行が始まるが、周囲の応対の変化や、マスコミにあれこれ書きたてられる生活に自信を失いかける。そんな彼女を優しくフォローするクラリス女王、そして親友リリーや母へレンの励ましもあって、立派にプリンセスとして開花!
 それから5年。無事、大学を卒業し、間もなく祖母に代わって女王に即位する……はずが、ジェノヴァの法律では「女性は王位に就く前には結婚しなければならない」ことが発覚。おまけに国王位継承権を主張するライヴァルが登場するとあって、なんと「30日以内に結構しなければ即位できない」ことになってしまう。。。
 ディズニー映画ですからもちろんラストは爽やかでハートフルです。そして、今回もアメリカとヨーロッパのカルチャーギャップ、王室のパロディ、そしてあちらこちらに仕掛けられた毒などでクスリと笑わせてくれます。全員揃って「ワッハッハ〜」ではなく、わかる人だけ「クスクス」できるという作りがなかなか上品でしょ。そうそう、王族としての公の顔と、個人としての表情豊かな顔の使い分けも楽しかった〜。その切り替えの早さに大笑い。キレイなお姉さん(マダムもね)が、笑いを取るのは小気味良いですね。笑いじわが出来ること必至の映画です。でも、Myベストは、各国の王女たちが集まったパジャマ・パーティの場面で、マットレス・サーフィンを仕切るミアが「昔はおばあさまもやったんでしょ!?」と話をふったところ「私の時は滑るんじゃなくて飛んでたのよ」とジュリーが切り返すところ。「メリー・ポピンズ」の自己パロディ! 確かに、子供たちを引き連れて、空飛んでました! ちょいと観客が昔に思いをはせていたら、あらら、吹き替えなしで見事なサーフィン姿を披露するジュリーがなんともチャーミング。品の良さと、押し出しの良さ、オーラびしばしの貫禄……ジュリー以外にクラリス女王役は考えられない!! そして、愛らしさとゴージャスさでアン・ハサウェイの王女様もピッタリ。
 とはいえ、その他にも僕的には非常に見所満載です。まずはジェノヴァの小ぢんまりしながら趣きのある街並みがヨーロッパのお洒落な田舎の雰囲気を良く出していて素敵。王室物なので、インテリアや衣装も豪華なのですが、現代物なので、カジュアルなものとのコラボレーションが見事。美術スタッフにぶらぁぼです。そして、ロマンティックな宮殿にもかかわらず、ハイテク機器が満載で、女王自ら新しい機械を楽しんでいるのも嬉しい。それなのに、登場する自転車は前輪がやたらと大きな骨董品なのがおかしい。動物も登場すれば、ロマンティックな庭園や湖も登場。このお城でバカンスを過ごせたらどんなに素敵なことでしょう!
 さらに、ミュージカルファンにとって感動的なのは、歌えなくなったはずのジュリーが歌い踊るシーン。涙ちょちょ切れの狂喜乱舞場面ですよ、アナタ。久しぶりに「DVD買うっ!」と心に決めた映画でした。オススメッ!