観劇日記〜2005年05月〜
01日(日) 10:00 LA FOLLE JOURNEE AU JAPON「フランス国立ロワール管弦楽団」 東京国際フォーラム ホールA
01日(日) 14:00 吹奏集団 風の和「第12回定期演奏会」 新宿文化センター
01日(日) 21:00 LA FOLLE JOURNEE AU JAPON「フランス国立ロワール管弦楽団」 東京国際フォーラム ホールA
02日(月) 18:30 新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」 新国立劇場オペラ劇場
06日(金) 13:30 劇団四季「夢から醒めた夢」 四季劇場[秋]
07日(土) 17:00 騎馬オペラ・ジンガロ「ルンタ」 木場公園内ジンガロ特設シアター
14日(土) 18:30 シンシ・ミュージカル・カンパニー「ギャンブラー〜黄金の鍵〜」 東京厚生年金会館
21日(土) 12:00 東宝「レ・ミゼラブル」 帝国劇場
28日(土) 15:00 新国オペラ「ベートーヴェン:フィデリオ」プレミエ
新国立劇場オペラ劇場
29日(日) 12:00 東宝「レ・ミゼラブル」千秋楽/2000回達成記念スペシャルバージョン
帝国劇場


2005年05月01日(日)10:00-10:55
LA FOLLE JOURNEE AU JAPON「フランス国立ロワール管弦楽団」@東京国際フォーラム ホールA

 全席指定 1500円 2階-19列-37番 (パンフレット:無料)

 指揮:飯森泰次郎

 ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番 Op.72b
 ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」Op.67

 朝からベートーヴェン、それも「運命」です。とってもヘヴィ。会場についたのは開演15分前だったのですが、それでも会場入口は入場待ちの人・人・人。「すわっ、時間までに客席に到達できるか?」と心配してしまいましたが、どうにか無事到着。昨日チケットを購入した時点で「2階席の19列目まで完売」という状況でしたが、公演までにまだまだ売れまくったようで、最後列までぎっしりの入り。みなさん朝からタフだわぁ。
 国際フォーラムのホールAは5000人収容なので、ベートーヴェンのような古典作品で、2階席まで音が届くのか心配でしたが、意外と素直に音が飛んできて、適度な残響感もあって一安心。やはり、オーケストラを聴くならば2階席ですね。なお、ベートーヴェンとしては巨大な8-16編成の弦(60人!)での演奏でした。もちろん、それでもホール内の音圧は余裕しゃくしゃく。実は開演前は客席賑やかだったのですが、演奏が始まればシーンと静まり返って、環境はナカナカ。でも、でも、50m以上も舞台が離れていると、視覚と聴覚に時差が生じて、あらためてフォーラムの広さを実感です。
 フランス国立ロワール管弦楽団という団体を聴くのは初めてでしたが、ナカナカの実力派集団のようでして、力みのない余裕ある演奏ぶり。パワフルな演奏よりも、爽やかで軽やかな響きが持ち味のようで、「運命」では第二楽章が特に心地よく「朝聴くベートーヴェンも悪くないやん」と見直した次第です。コンマスは都響ののぼぉちゃんのような演奏で、ノッテくると脚グセが悪くなるのが微笑ましかったです。


2005年05月01日(日)14:00-16:20
吹奏集団 風の和「第12回定期演奏会」@新宿文化センター

 全席自由 1000円 2階-4列-31番 (パンフレット:無料)

 指揮:金井勇、鈴木純也、他

 真島俊夫:五月の風
 飯島俊成:九州民謡による「風の詩」
   1.幻想曲 〜ひえつき節による〜
   2.奇想曲 〜佐賀の田植唄による〜
   3.哀歌 〜福連木の子守歌による〜
   4.頌歌 〜筑後酒造唄による〜
 金井勇:吹奏楽の為の「風の身振り」
(休憩)
 10th Anniversary Party! 〜風に誘われ踊り出せ!〜
(休憩)
 リード:アルメニアン・ダンス
   パートI
   パートII
     1.風よ、吹け(農民の訴え)
     2.クーマル(結婚の踊り)
     3.ロリの歌
(アンコール)
 松尾善雄:そよ風のマーチ

 あらためてプログラムを書き出してみると「風」がテーマだったことがわかります。そして、このコンサートから受ける風の印象はというと「暴風」もしくは「爆風」でしょうか。そして、裏テーマは「こんな男と結婚しちゃいけないよ」でした。
 ウィーン・フィルのように男性のみによって構成された楽団なのですが、まずは、会場の新宿文化センターが壊れるのではないかと思える大音響でスタート。朝の爽やかなベートーヴェンの余韻が一瞬にして吹き飛んでしまいました。ここは横浜アリーナか東京ドーム?というような非常に乱暴な演奏で、その肺活量と腕力を誇示。よって、小さなラジカセで音量を最大にして再生しているかのような汚い音の爆弾! 演奏するのが主旋律であろうと、福旋律であろうと、はたまた伴奏であろうと、力の限りの演奏なので、メロディは立ち上がらないわ、響きは汚いわ、フレージングはなってないわの困ったちゃん。アマチュアの楽団は音大のバンドやプロのバンドに比べて、技術面ではどうしても聞き劣りしてしまうので、指導者に良い人材を得られるかどうか、がキーポイントになってきます。今持っている力をどのように駆使して、魅力面を伸ばし、弱点を隠すかでセンスの見せ所。実は、fffに関しては、ある程度のバンドであれば出せるのです。難しいのはpppの表現。痩せた音にならず、表情豊かに表現することがどんなにしんどいことか! 上手い楽団はおしなべてpppの表現と音色、そしてアンサンブル感覚にたけているものです。今回、特に僕が拒絶反応を起こしてしまったのが、パーカッション。ストレスをぶつけるかのようにぶん殴るので、全ての曲で演奏をぶち壊し。でも、パーカッション以外も全体的に乱暴な傾向があり、どのパートも楽譜の音をただ元気に出しているだけだったなぁ。音色だとかフレージングは無頓着な一本調子の演奏という、僕の嫌いなパターンの音楽。音がお団子になっていて、クリアでないんです。自分の役割を忘れた「オレが、オレが」の演奏は聞き苦しゅうございます、ええ。周りの状況が読めず、自我ばかり強い演奏家の集団でした。……ということで自分勝手な男達。
 第二部ではダンス音楽特集。「Micky」「I love you baby」「ファントム」「マンマ・ミーア」といったノリノリのナンバ(ファントムはノリノリではないですね)。でも、ダンサーがいけなかった(泣) まず登場するのは、動きはユルユル、体系はタプタプ、衣装はダサダサのお姉さんたち7人。プロフィールを見ると舞台でも活躍とありましたが、何の舞台かの紹介がないのがちょっと怪しげ。足は45度までしか上がらず、これといったステップを踏むわけではなく、ただただ舞台の上を跳ね回っているだけなに動きが揃わず。チアとしてもダンスとしてもお客を楽しませるレベルには程遠いなぁ。。。時間がやたらと長く感じました。ようやく7人の女たちがはけたと思いきや、次に登場したのが、ソシアルダンスのカップルたち。登場した時点でオドオドし、立ち位置すら決められないカップルと、踊りだしたら決して目を合わず、腰も引いたままのカップル。前者は踊るでなく決めるでなく、舞台の上をウロウロするだけ。そして、後者はゴリラ体型で、燕尾服が感動的に似合わず、また、客席に向かって目線を飛ばすこともなく、焦点の合わない視線を天井に向かって泳がせるだけ。あげくの果てには、踊り終わると、男性ダンサーが女性ダンサーを舞台上に捨てたまま舞台袖に駆け込むという薄情者! 愛がないのがアリアリとしたカップルで、女性ダンサーも男性ダンサーとあわせようという気力もなく、勝手に一人で踊りだしちゃうし。デュエットダンス=美しきカップルの見せ場、というに慣れている者にとって、これはとっても異様です。踊りとしてみせるならばきちんとしたダンサーと曲にあった振り付けが必要ですし、初心者がダンスを披露するのであればお笑いに持っていくなどしていただかないと、客席も反応に困ります。短髪・色黒・ひげ面・マッチョ率が異様に高い、男性のみの集団なだけに、真面目にやればやるほど痛々しい……と、こちらは情けない男達。
 ということで、演奏も、演出についても、理想に実力が追いつかないのがアリアリ。いえね、理想に向かって努力する姿は尊いけれど、本人たちが真面目なだけに、ここまでギャップがありすぎると見ていて辛いですわ。出演者たちにとっては楽しい一日でしょうが、観客は取り残されっぱなしで厳しかったです(怒)。パンフレットには「"聴かせる"演奏活動を行わなければならない」とありましたが、とりあえず、自覚はあるみたいね(笑) アメリカン・バンドを目指すのか、ヨーロピアン・バンドを目指すのかはわかりませんが、いずれにせよ、アンサンブルのトレーニングが必須かなぁ。そもそも、個人レッスンの先生からはどんな注意を受けているのか気になります。。。
 って、言いたい放題ですが、実は招待券をいただいての入場。会場では大人しく拍手してきてますよ〜。そして、久しぶりのブラバンのコンサートは独特の雰囲気があって楽しかった〜。第三部〜アンコールにかけては、学生時代、演奏会やコンクールで演奏した曲なので非常に懐かしかったです。個々の奏者はそこそこ(腕力以外にも)力がありそうでしたし、指導者次第でまだまだ発展しそう。舞台は観るのも楽しいけれど、出演する楽しみもありますので、何はともあれ盛況なコンサート、うらやましいです。でも、「舞台に立ったら照れないで」と「パート譜だけでなく、スコアをちゃんと読んで」だけは切にお願いしとうございます、はい。


2005年05月01日(日)21:00-22:20
LA FOLLE JOURNEE AU JAPON「フランス国立ロワール管弦楽団」@東京国際フォーラム ホールA

 A席 2000円 2階-8列-54番 (パンフレット:無料)

 指揮:井上道義
 独唱:澤畑恵美(ソプラノ)、寺谷千枝子(アルト)、望月哲也(テノール)、三原剛(バス)
 合唱:晋友会合唱団

 ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」Op.125

 三日間にわたって繰り広げられた「LA FOLLE JOURNEE AU JAPON」もいよいよフィナーレ。「第九」は毎晩演奏されていましたが、最後の締めとして本日のものをチョイス。「大きすぎる」だとか「デッドだ」だとか叩かれるフォーラムAですが、この曲に関してはサントリーホールよりも適していた気がします。そして、二階席で聴く限りは、各パートのフレーズがくっきり聞こえ、それでいてハーモニーとしてきれいにブレンドされているので、素直な響きと相まって、このホール嫌いじゃないです。
 オーケストラこそ今日が初対面ですが、指揮者もソリストもコーラスも「第九」は手馴れているので、観客としては気楽で安心。何といっても「普通に演奏してくれればちゃんと盛り上がる名曲」ですもの。フランス国立ロワール管弦楽団はpppのフレーズが爽やかかつカラフルなので、今回は第3楽章がとてもキレイ。聴き惚れました〜。第4楽章は晋友会の第九部隊ですから、これまたド迫力でホールの大きさを感じさせません(本日は律っちゃんが登板! 3列目の左端)。
 今回、コーラスは第1楽章の時点から舞台上にスタンバイしていたので、第3楽章前に一斉にノドをコホコホする姿が、獅子おどしの動きを思わせて、思わずニヤリ。そして、いきなり指揮者のミッキーが都響ののぼぉよろしくマイクを握ってしゃべり出すのにちょいとビックリ。だって、曲の真ん中ですよぉ。でも「動員できるかどうか心配だったけれど、11万人も集客という大成功で、来年もやります」と半泣きになりながらも言い切ったものだから客席は大拍手。そして、つい先日お亡くなりになった関屋晋さんにも触れ(関屋さん亡くなられてからこの音楽祭が晋友会の初の公式公演?)、演奏再開。ソリストは連日の公演ともあって、疲れが見られる人もいましたが、ホール全体にしっかり声を行き渡らせ、晋友会は期待通りに狂乱の場となり、終演後は誰も帰らずにしばしカーテンコールが続いたのでした。
 宣伝があまり行われていなかったので、前売り時点での集客率は芳しくなかったようですが、リピーター続出により、結局はほとんどの公演が完売御礼。イメージで前売券を買うよりも、本当に欲しい人がチケットを入手できる状態だったのが素晴らしいですね。出演者もスーパースターではなく、若手からベテランまで堅実な実力者が揃ったのが頼もしい限り。(余談ですが、外来組の多くは実力はあるものの、日本では無名の面々。きっと現地では評価が高いけれど、外国へのアピールをしてないのね、ということで、勝手に「都響の矢部ちゃんのようなポジション?」とコンサート仲間で噂していましたが、実際はどうなんでしょ!?) どの会場もコンサートホールではないので、音響的には完璧ではありませんが「気楽に参加できる」というお祭り感覚が抜群で、東京でこんなに素晴らしい音楽祭が開催され、一回目だというのに大盛況なのが嬉しいです。来年の開催も楽しみですが、毎年やって力尽きたりしないのでしょうかねぇ? 2〜3年に一度でも満足なんですけど(それに毎年GWはどこにも出かけられなくなるのも寂しいし)。


2005年05月02日(月)18:30-22:15
新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」@新国立劇場オペラ劇場

 ランク8 2992円(会員割引) 4階-4列-27番 (パンフレット:800円)

 指揮:デヴィット・ガルフォース
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:青木高志)

 オーロラ姫:志賀三佐枝
 デジレ王子:デニス・マトヴィエンコ
 リラの精:西川貴子
 カラボス:マシモ・アクリ
 フロリナ王女:さいとう美帆
 青い鳥:グリゴリー・バリノフ

 チャイコフスキー三大バレエの一つですが、出演者も多ければ、上演時間も長大なので、意外と上演頻度は低い作品です。派手な見せ場があるわけでもなく、ドラマティックな展開もないので、バレエを見始めて間もない人にはあまりオススメしませんが、新国立劇場こけら落とし公演に登場した、新国バレエ団自慢の豪華なプロダクションなので「キレイやねぇ、うっとり」という観劇が好きな方には、夢の世界にタップリ浸れるので良いかも。
 バレエダンサーにとってのこの作品は「派手な効果は出せないのに、滅茶苦茶ハード」という、ピアニストにとってのベートーヴェンやモーツァルトのような作品らしいのですが、確かにオーロラ姫の見せ場の「ローズ・アダージョ」を取り上げてみても、高速の回転もなければ、ジャンプもほとんどなく、一見「ゆる〜い」踊りなのですが、良く良く見ると、バランスが取りにくかったり、感情表現の差を表さなくてはならなかったり、地味なところの作業が多いので、観ている僕まで一緒に息をのんで緊張、という場面が多かったりします。はい、実は苦手な作品です。
 では、なぜわざわざ当日券を購入してまで劇場に足を運んだのかというと、プリマ・志賀三佐枝が突然の引退宣言。既に来シーズンの出演予定として発表されていたものも全てキャンセル。本日が全幕バレエにおけるサヨナラ公演なのです。もしや妊娠!?なんて勘ぐってしまいますが、いずれにせよ、あまりにも早い引退にビックリです(そういえば、首藤康之や小林十一など、最近スターがバタバタ引退してますよねぇ)。牧阿佐美バレヱ団〜新国立バレエ団と、牧さん門下一筋の彼女としては「卒業するなら今回の公演」と思うものがあったのでしょうね。
 志賀三佐枝は、テクニックを前面に打ち出したり、スター性を大きくアピールしたりするタイプではないので、華やかな「私を見なさいっ」系ダンサーが好きな僕としては、さほど注目することはなかったのですが、それでも細かく丁寧な感情表現についてはさすが!と思うことの多い職人ダンサーでした。今回も無邪気な少女から、女王として君臨するまでの変化を鮮やかに踊りわけ、それがそのまま彼女のダンサーとしての歴史に重なり、実に素敵なサヨナラ公演となったのでした。個人的には、四人の王子様にプロポーズされて、思わず母親の元「きゃー、恥ずかしいっ」と走り寄る場面や、「もうアナタしか見えないわっ、うっとり」のデジレ王子とのデュエットが白眉でした。決して早いステップが登場するわけでも、高速回転があるわけでもなく、終始ゆったり優雅に、のアダージョなのですが、チェロやヴァイオリンの絶妙なソロと相まって、間の一つ一つを慈しむような優雅な動き、表情、目線。志賀三佐枝の必殺技の連発! そんな彼女に客席も暖かく応援。派手な掛け声や拍手ではないのですが、熱い拍手を送ったのでした(スターとファンは似てくるのやろか?)
 さて、このバレエは第二幕でめでたしめでたし、となるので、今まで第三幕の存在が謎だったのですが「宝塚でいうフィナーレだよ!」という同行の知人の解説で目からウロコ。確かに、二番手あたりの見せ場があり、若手の○人口の場面があり、トップさんのソロやトップコンビのデュエットあり、最後はパレードまで! そのまま宝塚のショーとしてリフォーム可能(上演時間も第三幕だけで45分もありますし・笑)。頭の中が「???」で観るのと違い「!!!」で観るとこの幕は結構楽しいですわ。今まで苦手だった「眠れる森の美女」も今後は楽しく見られそうなので感謝・感謝。
 で、カーテンコールでは、志賀三佐枝への花束贈呈だとか、彼女のご挨拶があるかと思っていたのですが、牧阿佐美が登場して彼女と抱き合う(ま、芸術監督なので普段からやっていますけど)だけで、取り立ててイベントはなし。もちろん客席も舞台上の同僚ダンサーも拍手喝さいなのですが、そんな中、冷静に楽器の掃除を行い、列をなしてオケピから出て行く冷静な東フィルの面々だけが日常生活を感じさせました〜〜〜。ま、彼らは明日も仕事ですものね。。。そして、カーテンコールにおいても、常に志賀三佐枝の脇にはマトヴィエンコの姿あり。「あぁ、カップルが単位の文化だなぁ」と改めて思わされた瞬間でした。
 さて、そのマトヴィエンコですが、王子役に関しては定評あるだけに、実に優雅で美しいのですが、いつの間にやら「大人の男」としての力強さも感じさせるようになってました。ターンやジャンプに迫力が出てきました。西川貴子はキビキビと、バリノフは名前の通りバリバリと、さいとう美帆はほんわかキュート。それぞれ個性を生かして華を添えていましたが、僕の好みはやはりマシモ・アクリ。「シンデレラ」のアグリーシスターズに続いての女装ですが、ニコヤカなのに恐いカラボスで、その表情一つ一つから目が離せませんです。クネクネした怪しい動き、まるで女王様のようなキリリとした物腰、何よりも魔法をかける際のいっちゃった目つきが最高! こんな人が宝塚に、東宝に、四季にも欲しい〜〜〜。
 で、僕がお気に入りのコールド(群舞)ですが、人数は多い上に、フォーメーションが半円〜斜め〜S字〜少人数のチームに分離などなど、やたらと見せ場が多いにもかかわらず、どのシーンも寸分違わぬ角度と移動。いかに普段厳しい訓練を受けているかのあらわれでしょうが、個人的にここの群舞は世界トップレベルかと思っています(マクミランのような一人一人が個性的なダンスはまた別ね)。「どう? 私たちすごいでしょ!?」という自信溢れる表情がとっても僕好み。


2005年05月06日(金)13:30-15:45
劇団四季「夢から醒めた夢」@四季劇場[秋]

 A席 6300円(平日マチネ割引) 2階-2列-34番 (パンフレット:1300円)

 演出:浅利慶太
 演奏:録音

 ピコ:吉沢梨絵
 マコ:紗乃めぐみ
 マコの母:重水由紀
 メソ:有賀光一
 デビル:光枝明彦
 エンジェル:藤原大輔
 ヤクザ:野中万寿夫
 暴走族:西尾健治
 部長:田中廣臣
 老人:武見龍磨
 老婦人:斉藤昭子
 夢の配達人:下村尊則

 男性アンサンブル:遠藤敏彦、広瀬幹夫、内田孝志、滝沢行則、櫻井秀樹、小川善太郎、須永友裕
 女性アンサンブル:大石眞由、クリスティン・ゼンダー、北聖子、岡本結花、寺嶋あゆみ、佐藤知子、
             ヤマグチ・M・ユミ、山崎ゆみ子、北井久美子、朴琴淑、村岡萌絵

 当日券を購入する際「学生団体が入っていますがよろしいですか?」との確認がありました。「夢から醒めた夢」は、もともと子供ミュージカルですし、学生さんの新鮮な反応を観察するのも好きなので喜んで購入。あくまで個人的な感覚ですが、都内の高校生は劇場に慣れているせいか、開幕と同時に舞台に集中してくれる傾向が強いかと思います。今日の高校生たちは、舞台への反応が良く、観劇マナーも良い集団で、休憩時間や終演後に、作品のパロディでじゃれあっていたり、ミュージカルナンバーを口ずさんでいたりして、とても素敵なムードメーカーになってくれました♪ 同じ団体告知ならば「オタク団体」や「観劇初心者だらけの団体」について教えてくれた方が親切なんだけどなぁ(笑) なお、確認しなかった僕もいけないのですが、カラオケ公演だということも教えて欲しかった。。。カラオケ公演って、なぜかハウリング寸前までマイクボリュームも上げられてしまうため、声の表情がかき消されてしまうのです。そして、オーケストラ部分のみならず、コーラスまで録音されているのがモロわかりの音源だったりして、視覚と聴覚との差異に違和感を覚えます。踊りまくっているのに歌声はキレイすぎるというのは不気味ですらあります。せっかくのライヴなのですから、演奏もライヴに徹して欲しいものです。
 本日のピコ&マコは僕は初見なのですが、高校生位に見えるのが強み。荒削りな部分が技術面の弱さをカバーしていました。今後、どのように成長していくのか楽しみです。今回のカンパニーは若手が多いので、台詞や歌唱の拙さが、役の若さにマッチして、うまく作品に溶け込んでました。もちろん、光枝氏やグレーパスポートの三人組(ヤクザ/暴走族/部長)が要所要所を引き締めているおかげでもあります。客席の反応をチェックしつつ、若手を引っ張っていく先輩がいるというのは頼もしい限りです。
 さて、本日の主役、ピコの吉沢梨絵は小劇場女優という印象を受けました。まず、発声に難があり、聞いているこちらの喉が締め付けられるような喉を酷使した歌い方なので、大劇場での主演は無理でしょう。ミュージカルの主役として、クライマックスで、観客にカタルシスを与えられないのはかなりツライです。かといって、歌唱力を補う華があるわけでもないので、今回は役にはまりましたが、今後ヒロイン路線を目指すならば、かなり役が限定されるかと思われます。芝居に関しては、ナチュラルな表現を心がけているタイプのようなので、前方席や映像で見る分には丁度良いのかもしれませんが、小粒な印象を受けました。ま、彼女に限ったことではないのですが、小劇場公演なのにエネルギー不足を感じる若手が目立ちますね、最近。アマチュアの公演ではないので、「やりたい人」ではなく「やるべき人」の期用を……と外部の者が言うのは簡単ですが、その人材がなかなかいないんですよね。最近の四季は世代交代の嵐の中で、試行錯誤しているようです。「アンタが主役!」というカリスマ女優や、安定した技術の職人女優に成長しますように!
 マコの紗乃めぐみは、ベルカント(いわゆる音大発声です)からミュージカル発声への移行が未完了のため、声量と声質のコントロールができていない状況。出しやすい音域と出しにくい音域で声のムラがあり、高音はキンキンとハウリング、中音から低音にかけては声がポジションに当たらず聞こえてこない状況。演じている彼女が一番苦しいのではないかな。今の段階での吉沢梨絵との二重唱は、バランス調整ができず、メロディは浮かばず、そもそもサビの部分が盛り上がらないので、今後に期待ですね。なお、二人とも音程が悪く、二重唱になるとピッチのズレが目立ちまくり、乱暴さばかり目立つ歌唱にビックリ。でも、白羽ゆりに似たルックスと雰囲気なので、メイクや衣装によってはかなり華やかに化けるのではないかと期待しています。
 ところで、マコ=子役ということは、マコの母はかなり若いはずですよね。30代かせいぜい40代半ば。(初演では志村幸美が演じてましたし)。女ざかりの美しきマダムであるべき役なのに、衣装がとってもババ臭くないですか? 同級生のお母さんが、まるでおばあちゃんが着てそうな野暮ったい服を着てた場合、小学生(もしくは中学生)が「あなたのお母さんって素敵ね」なんて絶対褒めっこない!! もっとお洒落に素敵な服装しなくっちゃ。うちの母は60代ですが、あんなスーツを着せようもんなら発狂してしまうこと請け合い。
 ところで夢の配達人ですが、下村尊則にはキーが低い気がしませんか? 彼の声はもう少し高く明るいトーンの方が聞きやすいと思います。そして、若手のあっさり芝居の中にあって、彼のコッテリ芝居は、前世代のステージという印象を受けました。個人的にはコッテリ大芝居が好きなのですが、今回のカンパニーでは違和感を受けました。で、彼が低い声を頑張って出そうとしている姿を見て思ったのですが、この役って紫吹淳が演じたら似合いそうだと思いませんか? ミステリアスな雰囲気だとか、メロディラインだとかピッタリ。いかがなものでしょう?
 アンサンブルでの出演でしたが、大石眞由のダイナミックなダンスと豊かな表情が四季離れしていて迫力がありました。バネの効いた素晴らしいダンスで、彼女が出てくると目が釘付け。男優では藤原大輔の小柄な体を生かしたキビキビした踊りが気持ち良かったです。通常、ちっこい男優は少しでも大柄にみせようと無理ある動きをするのですが、藤原大輔は子役に徹していたのが良かったです。高校生のアイドルみたいで可愛かったですよ。ダンスが上手なので、コートの裾さばきがきれいだったのも◎。


2005年05月07日(土)17:00-19:00(開演は15分遅れ)
騎馬オペラ・ジンガロ「ルンタ」@木場公園内ジンガロ特設シアター

 プレミアムシート席 24000円 N-2列-24番 (パンフレット:3000円)

 演出:バルタバス

 「木場」公園にて「騎馬」オペラという駄洒落のような観賞をしてきました。急に入ったスケジュールのため、今回はまったくの勉強不足。とりあえず、かつてウィーンのスペイン乗馬学校で観た音楽付き調教ショーのようなものだと思っていました。もしくは、ラスベガスはホテル・エクスカリバーで繰り広げられる「キング・アーサーのトーナメント」のようなストーリー性のあるものかとも想像していました。だって「オペラ」という名が付くんですもの。それが、一歩劇場に足を踏み入れてみれば、まずはお香の香りが充満する真っ暗な場内。おまけにジプシーだかお坊さんだかわかりませんが、怪しい格好の男達が芋虫のように舞台の上をうごめいているので、思わず汗・汗・汗。
 舞台は新宿コマ劇場の三重回り舞台をすり鉢状にセリ下げたような構造。外枠は宝塚でいう銀橋、中枠が馬たちが走り回る滑走路、内枠はアクティングスペース。内枠にかぶせるように儲けられたお椀状の幕。この幕は薄い布で出来ていて、内部が透けたり、時にはスクリーン代わりに利用したり、はたまた裾がまくりあがって、帽子型になって、巻き上げられたりします。
 開幕と同時に響き渡るのはお坊さんのお経の声。荘厳な響きの中、舞台中央の幕が透けて、馬の集団が見えてくるという演出。が、お経があまりに長いので、正直さっさと飽きてしまったのですが、見えてきた馬の中の一頭も同じ気持ちだったようで、他の馬がきちんと静止しているのに「なんでこんな狭いところに押し込められているんだろう???」と地面の匂いをクンクンしたり、あちこちキョロキョロしたり。あれ、こんな風景どこかで見たなぁ(あ、都響の舞台の上での某首席奏者にソックリだぁ!!!)。その後は入れ替わり立ち代り様々な妙技が繰り広げられます。真横に移動したり、四本の足を器用にやりくりして360度回転を行ってみたり、二人乗りの逆ヴァージョンで二頭の馬を一人で乗りこなす等など。僕が勝手に「のぼぉ」と名づけた馬以外は実におとなしく整然と技を披露していきます。手を伸ばせば届きそうな席だったのですが、近くで見る馬たちの何と優雅なことよ! 巨体にもかかわらず、フワリと浮かび上がるような動き、しなやかな筋肉、風圧になびくタテガミ。もうウットリです。でも、でもね、音楽がずーっとお経なの。もしや「オペラ≠歌劇」で「オペラ=作品」ってこと!?!? おまけにフランス人にとってはエキゾチックで面白いのかもしれませんが、妙に宗教がかっていて、馬以外については理解不能。スミマセン、上野動物園と同じレベルでの観察でした。入場料は上野動物園に40回分……猫に小判な観賞でした。。。ま、動物好きにはたまらない舞台です。が、ショーの中では最も受けていましたが、僕があまり気に入らなかったのは、牧羊犬のごとく、馬がアヒルたちを追い回すシーン。あれは、小さな犬が大きな羊たちをコントロールするから可愛いのであって、巨大な馬が小さなアヒルたちを追い回すのは見ていてあまり気持ちの良いものではなかったなぁ。ま、最後はアヒルたちが馬を追いかけて集団で走るという演出が施されていましたけどね。でも、悪趣味!
 なお、この公演は元・馬具専門メーカー、今や世界のブランドのエルメスがスポンサー。そのせいかどうかわかりませんが、郊外の公園の仮設劇場にしては、集まる人達のドレスがなかなかの高級品。が、馬というのは歩きながら、走りながらでも平気でウ○チをします。おまけに狭いサークル内を走り回るので、結構色々なものが客席に飛んでくるのです。臭いし汚いのですが、そんなの動物としては自然な姿。が、僕たちの前の席に陣取った方たちは何かが飛んでくるたびに大騒ぎしているのが印象的でした。終演後にまとめてパタパタすれば良いのにね。きっと、犬を飼ってても自分でお風呂に入れたりせず、ペット美容院に連れて行くタイプの方たちなのでしょう。
 この料金、この内容のショーなのに満員御礼というのがとっても不思議な公演でした。個人的にはもっとわかりやすくショーアップした作品の方が好きですね。そして「週末は馬に乗りに行こうかな(成田の方に乗馬倶楽部があるんです)」だとか「競馬場って手もあるな(隣り街の船橋市には船橋競馬と中山競馬があります)」なぁんて余計なことばかり考えている観賞でした。


2005年05月14日(土)18:30-20:55
シンシ・ミュージカル・カンパニー「ギャンブラー」@東京厚生年金会館

 S席 8000円(招待席) 1階-12列-39番 (パンフレット:1500円)

 演出:林英雄

 カジノのボス:ホ・ジュノ
 ギャンブラー:イ・ゴンミョン
 ショーガール:チョン・ソナ
 伯爵夫人:ソ・ジヨン
 ジジ:キム・ホヨン

 韓国のミュージカル劇団の来日公演です。ドイツの作曲家ウルフセンによるミュージカルなのですが、ストーリーはチャイコフスキーのオペラ「スペードの女王」をより単純化したようなもので、ギャンブルに興味のなかった若者がカジノのボスの罠によってギャンブルにはまり、最後は身を持ち崩して自殺する、というお話。が、このミュージカル版は人物の描写が非常にあいまいで、感情移入や登場人物の心理の理解ができないうちに次のシーンに進んでしまうのです。展開があまりにも唐突なので、戸惑うこと多々。そもそも、ほとんどの登場人物に名前がないというのも怪しいでしょ。通常ミュージカルというと、歌やダンスによってストーリーが展開されるものですが、この作品は歌やダンスによって、ストーリーが中断されてしまうので、集中力がそがれることはなはだしかったなぁ。
 ということで、期待するのは韓国自慢の歌唱力だとかダンスになりますが、意外や意外、これが期待ハズレでした。歌はやたらとエコーを聞かせたマイクと大きなボリューム。それでもごまかせぬアンサンブルの甘さ。ハーモニーについてはまったく関心なし状態。久しぶりに椅子からずり落ちるコーラスでした。そしてダンスはもっとダメ。動きがとろくてキレがない上、全員の動きがバラバラ。男性は動きも衣装の着こなしもヨレヨレだし、女性は色気まったくナシでギスギス。衣装や装置のセンスが悪く、色彩やデザインがダサダサなのと相まって、とにかく野暮ったい印象を受けました。台詞の上では豪華絢爛でテクニックも物凄いというレビューシーンのショボサにもガッカリ。
 主演のホ・ジュノはジョニー大倉のようなオジサマなのですが、声が潰れていて通りが悪く、アップテンポの曲はハウンドドッグの大友康平のごとし。芝居だとか動きは劇団四季の芝清道のごとし。おまけに、スローテンポのバラードになると、声の立ち上がりの関係か、全て半拍ずれての歌唱というある意味スゴイ妙技を見せてくださいました。そして、なぜかやたらと脱ぎたがりで、中年の半裸を披露してくださるのです(勘弁して〜〜〜)。
 ギャンブラー役のイ・ゴンミョンはジミー大西ソックリで、歌はソコソコですが、いかんせん大根役者。表情は2〜3のパターンの繰り返しだし、自分に台詞のないシーンでは所在なさげに舞台上をウロウロ。そして、いざ台詞を話しだしたかと思うと、すぐにテンションが沸騰して、暴言・暴力男に豹変するのです。設定がヨーロッパのカジノなので、おそらくヨーロッパ人の役だと思うのですが、上流階級の社交場にこんな男が紛れ込んだら即つまみ出されること必至ですわ。ヨーロッパのカジノってあまりの格式の高さに僕なんて間違っても足を踏み入れられないなぁ。。。
 ショーガールのチョン・ソナは評判にたがわぬ歌唱力を披露。デビューが「RENT」のミミというだけあって、地声を張り上げる「Limelight!」はさすがに圧巻でした。が、男性二人とは声質が噛み合わず、重唱シーンでは陥没。
 伯爵夫人のソ・ジヨンはまず役にみあった品位がなく、ひたすら下品。しゃべり方だとか物腰が下町のおばちゃん。歌も弱かったなぁ。川島みゆきのようなルックスで、歌声は70年代アイドル。ダンスもドタバタしていて、男性ダンサーと踊るシーンではヨロヨロしてました。
 ジジ役は「女装をしているオカマだけれど、女性ダンサーのオーディションにもぐりこんだら見事合格してしまった」という本筋とはまったく関係のない役。ニ幕の頭の15分は彼(彼女?)の客いじりなのですが、こちらもお客に媚びまくりで非常に下品。いえね、コメディ作品で笑いを取るのは楽しいけれど、シリアスな作品で、作品とは関係のない客いじりや怪しい日本語で笑いを取るのってどうよ?
 韓国のミュージカルを観るのは初めてですが、演出のツメの甘さ、衣装や装置の野暮ったさ、出演者の意識や技術の拙さなど、少なくとも今回の公演に限ってはまだまだレベルが低かったです。でも、考えてみれば、来日公演にもかかわらずS席が8000円というのからもそのクオリティがわかるべきでした。韓国の中ではどのクラスのカンパニーなんでしょうね。日本でいうと○○○○カンパニーのような位置づけかしらん?(○の中はナイショ。なお、○の数は適当ですよん)。面白かったのはお客の反応。掛け声飛びまくりで結構みなさん熱狂しているんです。終演後なんてスタンディングオベイションですよぉ。ん〜、この舞台でスタンディングだったら、四季や東宝、宝塚の舞台なんて毎回スタンディングだわ。。。話し声から察するに韓国からの方(もしくは在日韓国人のみなさん)が応援に駆けつけていた様子。舞台上の役者もそれに反応していたりして、これはこれで心温まる風景。オペラ程はグローバルな状況にないミュージカルですが、資料によると、このカンパニーでもディズニーのライセンス・ミュージカルが上演されているらしいので、今後の作品には変化がみられるかもしれません。この公演とは関係ないのですが、劇団の応援団と、現地の客とで温度差があるという意味で、もしかしたら宝塚の海外公演の会場もこんな雰囲気なのかしら?と思いをはせたりもしました。(宝塚の海外公演はテレビ中継でしか知りませんけど、現地の常識とは違うステージや美術だし、応援団もかなり特殊でしょ)。


2005年05月21日(土)12:00-15:30
東宝「レ・ミゼラブル」@帝国劇場

B席 4000円 2階-L列-31番 (パンフレット:2000円)
演出:トレヴァー・ナン、ジョン・ネピア

 ジャン・バルジャン:石井一孝
 ジャベール:鈴木綜馬
 エポニーヌ:笹本玲奈
 ファンテーヌ:シルビア・グラブ
 コゼット:河野由佳
 マリウス:泉見洋平
 テナルディエ:佐藤正宏
 テナルディエの妻:森公美子
 アンジョルラス:東山義久
 ガブローシュ:桝井賢斗

 来週からはスペシャル・ヴァージョンによる公演が始まるので、新メンバーによる公演はあとわずか。そのせいかどうか、アンサンブルにいたるまで、テンションの高い面々による公演でした。あまりに前面に出てくるアンサンブルメンバーに対しては、ちょいとやりすぎ〜という気がしなくもないのですが、「レミゼ祭り」としては盛り上がりが嬉しかったりします。今回は初見のメンバーが多かったのですが、新しいアプローチというのは、作品の新たな面に光があたることがあって、リピーターとしては楽しいですね。(好き嫌いはまた別としてね)。  さて、前回公演よりバルジャンとして登場の石井さんですが、僕は今日がお初です。予想通り「熱い」バルジャンでした。パン一つのために盗みを働いたり、仮出獄の際に「同じにされてたまるか屑と!」と罵倒されて思わず相手に殴りかかったりするバルジャンがとってもシックリ。プロローグ部分での説得力はかなりのものです。そして、歌唱については「ONE DAY MORE」では誰よりも元気な声、「BRING HIM HOME」の最後で高音のロングトーンは会場に染み入るようなキレイな音。勢いにまかせて歌う人、という先入観があったのですが嬉しい驚きでした。芝居も長年レミゼに関わっているという自負からか、あれこれ細かな部分まで表現しようとしていてなかなか好感。もちろん、渋さだとか包容力についてはまだまだの部分があります。小細工に気を取られるせいか、主役としての大きさが感じられないのです。アンサンブルの面々が好き勝手な裏芝居をしていることもあって、主役である石井さんがよりちんまりまとまってしまってました。さらに、常に顔が下方を向いているので、二階席からだと表情が伺えず、場面によっては「どんな顔をしていたのか記憶にない」という致命傷。今回のようにクアトロ・キャストでの座長はともかく、一枚看板での座長はまだツライなぁ。今年の年末は真央さんとの仕事がありますが、座長としてのアピール方を盗んできていただきたいです、はい。
 ジャベールのタマさんは「お久しぶり」のお方。石井さんの「名前はジャン・バルジャン!」という怒鳴り声に反応して「俺はジャベール!!忘れるなよっ」と怒鳴り返したのが印象的でした。だって、常にジェントルな人というイメージがありましたから。タマさんのジャベールは冷血漢ではなく、何かわけがあって冷たい人なんだろうな、と思わせるものがあるのですが、これが芝居なのか彼の特性なのかわかりませんけれど、暖かな歌声とあわせて「やっぱり、彼の役じゃないなぁ」と思いながら観ていました。
 ファンテーヌのシルビアもpppがキレイな歌唱。これまたpppがキレイな笹本エポニーヌと石井バルジャンが加わっての終幕の三重唱は、アンサンブルがピタリとはまって、優しいなかにも神々しい空気が醸し出されて素敵でした〜。ただ、シルビアは劇場に響きにくい声質なので、pppはキレイですが、ところどころ何を歌っているのかわからない部分があったのも事実。帝劇は音響が悪いので、せっかくのクオリティ追求も逆効果なのが惜しい(建て替えはいつになるのやら)。して、笹本エポニーヌですが、若くして「お姉ちゃん」してました。しっかり者です。ひたすら不幸続きの人生なのですが、常に全力投球で挑んでは玉砕。最後の最後にマリウスとキスできて良かった、良かったと観客をほっとさせるエポニーヌは初めてかも。今までは、可哀想で可哀想で観ていて辛いエポニーヌが多かったでしょ。ようやく、島田歌穂とは違うタイプのエポニーヌが登場したみたいでちょいと嬉しい。そして、エポニーヌに愛されるマリウスはひたすら次男タイプ。泉見マリウスは以前観ているはずなのですが、同一人物???と「???」が頭の中を飛び交っておりました。それにしても、急に老け込んでて唖然呆然ですが、病気にでもなったんやろか? 歌声も力がなくなってまったく別人。河野コゼットも声量がないのですが、ファンテーヌとエポニーヌのpppは声楽的に考えてのものでしたが、マリウスとコゼットのpppは力不足のもの。この差は大きいです。
 佐藤テナルディエはヒットです。歌がうまいわけでも、奇抜な芝居をするわけでもないのですが、淡々と演じて(or歌っている)いながら、ちょっとした仕草や間によって笑いに持っていけるのが絶妙。マダムと張り合うでなく、尻に敷かれるでなく、ひょうひょうとしているのが面白いです。この亭主が相手だと、暴走しがいがないのか、最近マンネリ気味だった森マダムもちょいと起動修整。このカップル良いわぁ。そして、もう一人のヒットは東山アンジョルラス。いやぁ、格好良いです。衣装の着こなしと立ち姿が他キャストとは大違い。さっすがダンサーです。ちょいとタカラジェンヌみたいでした。何もせずに舞台に立っているだけなのに、チマチマした邪魔芝居(裏芝居なんかじゃありませぬ)をしている学生達が安っぽく見えてしまう程。歌も上手ではないけれど、ちゃんとヴォイス・トレーニングを行っているようで、通りが良いのが何より。
 さて、来週からいよいよスペシャル・キャストによる公演が始まります。あの濃〜いメンバーが、現在のさっぱり&あっさりの演出やオーケストレーションの中でどんな風に見えるのか楽しみです。はっ、その前に若いアンサンブルの中に混ざって浮かないかしらん!?!?!?
 本日は終演後に、懸賞論文「私とミュージカル『レ・ミゼラブル』」の優秀賞授賞式が執り行われました。司会はモリクミさんで、手身近にそれでいて臨機応変な笑いも交えた彼女のトークはさすが! そして、舞台の上でちょいと戸惑う受賞者たちをさりげな〜くフォローするのはタマさん。うん、うん、仏頂面のジャベールよりもにこやかな素姿の方がしっくり来るわぁ。


2005年05月28日(土)15:00-17:45
新国立劇場オペラ「ベートーヴェン:フィデリオ」プレミエ@新国立劇場オペラ劇場

 ランク7 5670円(会員割引) 4階-3列-34番 (パンフレット:800円)
 指揮:ミヒャエル・ボーダー
 演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 レオノーレ(=フィデリオ):ガブリエーレ・フォンタナ
 フロレスタン:トーマス・モーザー
 ロッコ:ハンス・チャマー
 ドン・ピツァロ:ペテリス・エグリーティス
 マルツェリーネ:水島育
 ヤキーノ:吉田浩之
 ドン・フェルナンド:河野克典
 囚人1:水口聡
 囚人2:青戸知

 好きな作曲家特集があると、必ず上位にランキングされるベートーヴェンですが、なぜかほとんど上演されないのがオペラ「フィデリオ」。ストーリーがもっと突拍子もない作品は山ほどありますし、上演にあたっての規模がやたらと大きいわけでもないので、なぜかはとっても疑問です。そんなわけで、生でこの作品に触れるのは僕は初めて。いやぁ、面白いです、コレ。モーツァルトと時代はかぶる作品なのですが、オーケストラの低音隊が大活躍するせいか、ぐっと近代的な響き。そして、時代設定が不明の演出(懐中電灯が出てきたり、衣装が現代の服だったり)ゆえ、非常にモダンな印象を受けました。それにしても、ベートーヴェンの響きって安定感があって落ち着きますねー。
 あらすじです。監獄所長ピツァロは、フロレスタンを政治的な理由でこっそり中。フロレスタンの妻レオノーレは夫を救出するため、男装してフィデリオと名乗り、監獄の番人ロッコの下で働きつつ、救出に向けての機をうかがっている。そしてピツァロが悪事を隠滅させるため、フロレスタンを殺害しようとした瞬間、レオノーレがピツァロに銃を突きつけて、夫をかばう。そこへ、監獄の査察のために大臣のドン・フェルナンドが到着、ピツァロを裁く。人々は神の正しい裁きとレオノーレの愛をたたえる。。。
 さて、レオノーレ役のフォンタナですが、序曲の段階で舞台に登場。いきなりストリップをはじめるので「おぉ〜」と客席が凝視するなか男装完了。男装なんて書くと、宝塚ばりの麗人を思い浮かべてしまうでしょうが、彼女の場合は「男」に大変身。ガッチリした体型にゆったりとしたコートを羽織った姿はなかなかの男前。歌いだすとソプラノですが、台詞部分は低音が楽々でていて、マルツェリーネならずとも男だと思い込んでしまうこと必至。ということで「夫を救うために男装して牢獄の官吏として就職」という無理ありそうなシチュエーションもいきなり納得(笑)
 レオノーレが男装したフィデリオに恋するマルツェリーネは小柄で女性的な体型ゆえ、フィデリオとの並びがキレイ。とってもステキなカップルでした。フォンタナがメゾに近いドラマティックな声なのに対して、水島育は硬質な軽い声なので、二人のハーモニーもバッチリ。そんなフィデリオを「息子として迎え入れよう」とするロッコがこれまた娘の幸せを祈る、ちょいとバルジャンチックなパパさんで良い味を出しています。
 が、素晴らしい男っぷりのフォンタナも、モーザーの登場とともに小柄なお嬢さんに急変。いえね、彼女は雄々しいままなのですが、モーザーの体格があまりに立派で、ハリー・ポッターに出てくる「ハグリッド」みたいなので、さっきまで巨大に見えていたフォンタナも形無し。でも、夫と再会するまでは「男として」頑張ってきたフィデリオが、夫を救うと共に「妻として」のレオノーレに戻ってしまうので、劇の上では全く違和感ナシ。逆に「今まで女を捨てて突っ張って生きてきたんだね」と同情すらしてしまいました。それにしても、レオノーレとフロレスタンは非常に重厚なカップルでした。日本人キャストも健闘していて、なかなか立派な歌唱を披露したのですが、声の威力の差は如何ともしがたいですね。声量が段違いで圧倒されました。
 逆に細かな芝居に関しては日本組が圧勝。終幕の水島育など、フィデリオが女と知って大ショック〜恥ずかしいわ〜私の恋も終わったのね(涙)〜はっ、ヤキーノが今も寄り添ってくれるのね〜ひどい仕打ちをしていた私を許してくれるの?(はにかみ)〜パパ、ヤキーノとくっついても良いかしら?、という流れを非常に細やかに表現していて、目が離せませんでした。彼女はムゼッタのような華やかな役は似合いませんが、今回のマルツェリーネはドンピシャリ。声も良く伸びていて気持ち良かった〜。
 声といえば、いつもの公演ではやたらと散りがちゆえ、あまり僕好みではない新国合唱団ですが、今回は重低音を響かせていて、とっても聴き応えがありました。一幕初頭のナチスを彷彿させる場面での細かな芝居や軍人ぶり、一幕のクライマックス「囚人たちの合唱」ではいきなり太極拳! さっきまでベルリンかどこかの話っぽかったのに、いきなり天安門広場になってしまうのですから思わずお口アングリです。そして、ニ幕のクライマックスではいきなりウェディング・カップルの集団! こんなにおそろいの衣装の男女がそろって歌い踊るのって、宝塚のフィナーレ以外では初めて観た気がします。舞台面はもうすっかり宮本亜門ミュージカル。そして、奏でられる音楽はというと第九の第四楽章。愛と勇気をたたえる大合唱なのですが、合唱団はノリノリ、オケも気持ちよく鳴り(あ、ホルンはもっと練習しましょうね……)ベートーヴェンなられはのド迫力のクライマックスとなったのでした。何だか、日本の合唱団の得意技オンパレードの作品なのですね。ちょっとずるい〜(って何がずるいんでしょ?>自己突っ込み)
 ということで、知名度の割に上演頻度は低い作品ですが、ソリストは少ないし、上演時間も手ごろ、なによりも合唱団の見せ場があるということで、実は地方オペラにピッタリの演目かと思うのですがいかがなものでしょうね? 新国としても、是非とも公演を重ねていただきたいプロダクションでした。全然僕好みのオペラじゃないのに、作品のクオリティと、出演者の熱気伝わる舞台ゆえか、非常に楽しい午後を過ごすことが出来ました!! 嬉しい♪


2005年05月29日(日)12:00-15:45
東宝「レ・ミゼラブル」千秋楽/2000回達成記念スペシャルバージョン@帝国劇場

S席 13500円 1階-O列-40番 (2000回達成記念スペシャルバージョンパンフレット:1200円)
演出:トレヴァー・ナン、ジョン・ネピア

 ジャン・バルジャン:今井清隆
 ジャベール:鹿賀丈史
 エポニーヌ:島田歌穂
 ファンテーヌ:岩崎宏美
 コゼット:知念里奈
 マリウス:石川禅
 テナルディエ:斎藤晴彦
 テナルディエの妻:森公美子
 アンジョルラス:岡幸二郎
 ガブローシュ:大久保祥太郎

 5/24-5/29は、日本におけるレミゼ2000回公演を記念して、スペシャルバージョンによる上演となりました。こういうところがとっても東宝的ですね。イベント好きな僕としてはワクワクです。この一週間だけのためのパンフレットも作成され、並々ならぬ力の入れよう。一部の報道では「初演キャストによる公演」と紹介されていましたが、嘘です。今井さん、知念さん、石川さん、森さん、岡さんは初演には参加してないのであしからず。それにしても、スペシャルバージョンだというのに、千秋楽だというのに、なんと落ち着いて静かな客席なのでしょう。拍手や歓声も通常公演と同じ位。意外なまでの平常さでの公演でした。恐らく、観客の多くがスペシャル公演に慣れていること、今回の帝劇楽の後、地方公演を経て、来年の春にはまた帝劇公演があると発表されていることから、千秋楽という実感がわきにくいこと、そして、出演者が疲れ果てていて、気力だけで舞台に立っていた、というのがあるかもしれません。最近ではWどころか、クワトロキャストの「レミゼ」なので、同一キャストが8回連続出演というのはなかったのですが、年齢を差し引いたとしても、みなさん疲れ果てていました。元気だったのってバルジャンだけかも!?
 キャストがキャストなので、台本も原点版を利用するのかと思っていたのですが、残念ながら改訂版による上演でした。改訂版は心理描写だとか、アンサンブル芝居の部分がバッサリ省略されているので、個人的にはとても不満なのですが、そんな制約の中でも人生を見せようとする古株メンバーには脱帽。稽古期間や内容の差について、あちこちで語られている現行の「レミゼ」ですが、観客には見えない裏の部分での準備も、確実に舞台には現れるものですね。立っているだけで醸し出す雰囲気や、ちょっとした芝居、そして、主芝居なのか裏芝居なのかでの絶妙なさじ加減。経費の問題もあるのでしょうが、やはりこの部分はキッチリ押さえていただきたいな、と。そんな中、アンサンブルの面々にとっては古株メンバーとの競演は素晴らしい勉強の機会になったのではないでしょうか。
 さて、バルジャンとして登場したのはオリジナルの滝田氏ではなく今井氏。個人的にはとっても好きなバルジャンです。改訂版では短気で性格の悪そうに見えてしまうバルジャンを「気は優しくて力持ち」に見せきってしまうのは彼のキャラクターゆえでしょうか。そういえば、今井さんって鹿賀バルジャンのアンダーでしたよね。鹿賀バルジャン-今井ジャベールでの配役は何度も接していましたが、こうして役を交換して共演してみると、今井バルジャン-鹿賀ジャベールの方が納まりが良いように思えました。声の面でも体格の面でもね。
 そして、今回の一番人気は鹿賀ジャベール。拍手も一番大きかったかな。鹿賀さんの歌唱は、声の細さと、喉で唸るという癖が顕著のため、一時期からとても苦手だったのですが、再び昔の歌唱法に戻ったようで、朗々とタップリした声での歌い上げに久しぶりに聞き惚れました。歌いまわしの癖は相変わらずですが、バルジャンを追い続けるジャベールとしてはキャラクターがピッタリはまって、非常に粘着質なジャベールでした。ジャベールの執念が芝居に歌に表れるのが圧巻です。彼のバルジャンはまた観たいとは思いませんが、ジャベールはレギュラーメンバーとして復帰していただけないものかしらん?
 さて、レミゼの顔として君臨した島田歌穂。カーテンコールでは「若く見えるかが課題でした」とのことですが、体型を保っているからか、すぐにでも現役メンバーに混ざってもOKの初々しさ。さすがに声の伸びには年齢を感じさせる部分がありましたが、2000回のうちの半分以上は島田エポニーヌというだけあって、実に安定したエポニーヌ。泣かせどころも気持ちよく決めてくれます。
 逆に年齢を感じさせたのが岩崎宏美。コマ劇場の「狸御殿」じゃないけれど、これは彼女の舞台を知っている人が往年の姿を重ね合わせて観る分には良いでしょうが、役の出来としてはかなりツライです。歌が売りの人なのに声が思うように出ず、高音は引っかかるだけ、中低音も支えがきかずフラフラ。さらに言えば、体型が崩れまくっていて、中村紘子みたいでした。「レミゼ祭り」として、彼女のファンティーヌが目玉の一つだっただけに、思わぬ不調にビックリ。
 そして、なぜかこのキャストに入ってしまった知念里奈。思えばコゼットって一番難しい役ですよね。エポニーヌとほとんど同じ年齢のはずなのに、子供時代の事をきれいさっぱり忘れているし、テナルディエ夫妻やエポニーヌと出会っても「どちら様?」状態でしょ。おまけに出番が少ないのにナンバーはクラシカル。芝居の面でも歌唱の面でも手も足も出ない状態。マリウスがエポニーヌではなくコゼットを選ぶのが納得できる何かが欲しい〜。いえね、コゼットだったらこの人、という役者がいないので、現役の知念嬢のスペシャル版への起用は理解できますが、ここまでボロでまくりだと、エポニーヌよりもコゼットの方が惨めに見えてしまいました。
 石川マリウスは知念嬢との並びはイマイチでしたが、コゼットやエポニーヌを包み込むようなあたたかさと、伸びやかな歌唱は相変わらず気持ちよかった〜。そういえば、最近は癖のあるマリウスが多く、朗々と歌えるマリウスって久しぶりじゃない? 夜這いシーンでの塀超えが出来たのは最後の二回だけだったそうですが、んなことはどうでも良いんです。ルックスは好みがあるでしょうから人それぞれでしょうが、こいつはモテルやろなぁ、という納得のマリウス。
 久しぶりに登場の斉藤テナルディエは年齢を考えると「よくぞオファーを受けた」と思います。歌の勢いも、芝居のキレも、死体の引きずり方も以前とは段違いですが、それでも、彼が舞台に登場するだけでふっと空気が変わるんです。技術的には昔の姿、今いずこなのに、舞台に登場するだけでテナルディエなのはさすが。でも、アンサンブル部分については、かつての台詞はカットされていて、現役キャストとの絡みもなく、ちょいとお客様状態。体力面の問題もあるし、テナルディエだけのシーンだけでよかったんじゃないかしらん?
 岡さんはジャベールで頑張ってますが、やはりアンジョルラスの方がはまりますね。この一週間のためにかけたパーマもとても似合い(ちなみに、楽直後にパーマはとりましたね〜)美しきアンジョルラスでした。彼は現在、絶不調で、公演中に声が出なくなったり、救急車で運ばれたりと、ファンをハラハラさせたものですが、アンジョルラスも無理して声を押し出しているのが客席に伝わってきて、手に汗を握ってしまいました。絶好調の歌声を知っている者にとっては「そんなに頑張らなくても良いよ〜」と声をかけたくなるほど。でも、そんな状態にも関わらず、誰よりもアンジョルラスが似合い、リーダーっぷりが見事なのも事実。立っているだけ、死んでいるだけのポーズ一つをとってもこだわりが感じられ、圧巻の存在感でした。あぁ、これで絶好調だったらどんなに素晴らしいアンジョルラスだったことでしょう。今まで何人ものアンジョルラスを観ていますが、スミマセン、岡さん以外のアンジョルラスって霞んでしまうんです。それにしても、当たり役に出会える役者って幸せですよね〜。
 「レミゼのお母さん」の称号をジョン・ケアードから授けられたモリクミさん。ベテラン組と現役組の橋渡し的存在なのかな。若手の中で場面を引っ張っていくのではなく、ベテランの中で演じられるとあって、久しぶりに節度あるお遊び満載でした。千秋楽特別カーテンコールでの司会っぷりも手馴れたもので、今や「レミゼの顔」かしらん!?!?(座長とはいえ、現行のバルジャンたちはMC任せられないものねぇ〜)。
 ……と、好き勝手に書いてきましたが、今後の上演で「レミゼ」がどう変貌していくのか、観続けていきたいと思っています。実は初演から何回観ているのかカウントしようとしたのですが、恐ろしい数字になりつつあるので、途中でカウント放棄! 満足感半分、自己嫌悪半分ってところかなぁ。