観劇日記〜2005年07月〜
07日(木) 11:00 東京藝術大学
「2005年度 第9回 奏楽堂 モーニングコンサート」
東京藝術大学奏楽堂
08日(金) 18:30 安寿ミラ「FEMALE Vol.8」 サンシャイン劇場
09日(土) 15:00 新国オペラ「プッチーニ:蝶々夫人」 新国立劇場オペラ劇場
09日(土) 19:00 「トッパンホール アンサンブル Vol.1」 トッパンホール
10日(日) 12:30 東宝「モーツァルト!」 帝国劇場
10日(日) 18:00 英国ロイヤル・バレエ団「シンデレラ」 東京文化会館
12日(火) 19:00 山本耕史/Nao「the Last 5 Years」 シアターX
16日(土) 11:00 宝塚歌劇団星組「長崎しぐれ坂」「ソウル・オブ・シバ!!」 東京宝塚劇場
17日(日) 18:00 英国ロイヤル・バレエ団「マノン」 東京文化会館
18日(月・祝) 11:00 宝塚歌劇団月組「BourbonStreet Blues」 宝塚バウホール
18日(月・祝) 16:00 宝塚歌劇団月組「Ernest in Love」WOWOWメンバーシアター 梅田芸術劇場
24日(日) 12:30 来日カンパニー「プロデューサーズ」千秋楽 東京厚生年金会館
27日(水) 19:00 アメリカン・バレエ・シアター「ドン・キホーテ」 東京文化会館
30日(土) 19:00 音楽座「21C:マドモアゼル モーツァルト」 パルコ劇場
31日(日) 13:00 東宝「モーツァルト!」 帝国劇場


2005年07月07日(木)11:00-11:50
東京藝術大学「2005年度 第9回 奏楽堂 モーニングコンサート」@東京藝術大学奏楽堂

 全席自由 無料 1階-11列-28番 (パンフレット:無料)
 指揮:高関健(佐藤功太郎の代役)
 管弦楽:藝大フィルハーモニア

 バストロンボーン:山口隼士(4年)
 チェロ:辻本玲(4年)

 エワイゼン:バストロンボーン、ハープと弦楽オーケストラのためのバラード(オーケストラ版日本初演)
 ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 Op.107

 すっかりお気に入りの藝大モーニングコンサートです。ちなみに、藝大フィルハーモニアは学生オケではないので、もしかしたら都内でも平均年齢が高いことにかけてば群を抜いているオケかもしれません。
 一曲目のバストロンボーンの曲は知らない作曲家だということと、ブラバン経験者のクセに実はほとんど興味を持っていない楽器ということもあって期待していなかったのですが、とんでもない掘り出し物の曲でした。ちょっと、ジョン・ウィリアムスを思わせるなぁ、と思いながらパンフをめくったら、アメリカの作曲家だとのこと。なーるほど。日本の現代曲って訳のわからない曲が多いけれど、アメリカの現代曲は映画音楽的なので、個人的には耳触りが良くって好きですね。この曲は、ハープと弦楽オーケストラに金管楽器が加わるというのに、絶妙なボリューム調整がされていて、全員でのTuttiになっても、トロンボーンが他楽器の音を掻き消さないのに脱帽。元々、クラリネット用の曲をトロンボーンに編曲したとかで、確かにトロンボーンではあまりに細かな動きが大変そうな箇所もいくつかありましたが、ソリストはなかなかの力量をお持ちで、キッチリこなしていました。それにしても、藝大の中って、小さいころから英才教育を受けてきたお坊ちゃま、お嬢様の、いかにも音大生というヴァイオリン弾き達と、大人になってからの楽器(管楽器にその傾向が強いかな)を演奏する突然進路決定組とで、全く雰囲気が異なるのが面白いです。着ている物、持ち歩いている物からして違うんですもの。
 チェロコンチェルトはかつてのぼぉちゃんがバルシャイ指揮の都響で競演し、ファン一同から絶賛を浴びた曲。とっても難しそうな曲だったという記憶があるのですが、本日のソリストもなかなかのハイレベル。演奏が終わると同時に「ぶらぁぼ」の声が飛び交っていました。音量だとか、オケに対抗するパワーについてはもしかしたら本日のチェリストの方が勝っていたかも。あ、でも、藝大の奏楽堂はとっても音響が良い上、客席数ものぼぉちゃんが弾いた芸劇の半分以下なので、単純に比べるのは無理がありますけど。でも、色気だとか、個性に関してはのぼぉちゃんの方がまだまだうわて。聴衆の心を揺さぶれるかどうかが、今後の彼の活躍の鍵を握っている気がします。
 それにしても、大学生の演奏って若々しくて、勢いがあって楽しいですね〜。学内コンサートということもあってか、妙に固く、小さくなることもなく、ノビノビと演奏していますし、客席も友人や高校生、近所のおばちゃんやおじちゃん(含・僕!?)なので、非常にアットホーム。また来たいな!



2005年07月08日(金)19:00-20:40
安寿ミラ「FEMALE Vol.8」@サンシャイン劇場

 全席指定 8000円 1階-11列-8番 (パンフレット:1000円)
 構成・演出:ANJU

 安寿ミラ
 楓沙樹
 友杉洋之
 SHUN

 安寿ミラも舞台生活25周年とのこと。彼女は高卒で宝塚に入団しているから……○才!? 相変わらず、シャープで動きの大きなダンスがまことに気持ち良いのですが、「体力を生かしたスピードと勢いのあるダンス」から「ゆったりとした動きの中にもドラマのある、叙情的なダンス」へとシフトしてきている印象を受けました。よって、若手の男性ダンサーと張り合って互角に踊ろう、というのではなく、ダンスの中にキャリアがある人のみ可能なドラマを投入することによって、主役として存在する、という姿に感銘を受けました。無理をせず、得意分野を生かして舞台上で花開く姿というのは観ていて気持ちが良いですね。シアターダンスの楓沙樹、バレエの友杉洋之、ストリートダンスのSHUNと、出演者それぞれが得意分野を持ち、それを披露しあうので、少人数の舞台にもかかわらず、見応えがありました。でも、ヤンさんのあまりの細さに病的なものを感じてしまいました。ある程度肉付きがあった方が美しいです。折れそうな手足というのは近くで見ると結構恐い。。。
 それにしても、FEMALEのパンフって、ほとんど内容のない折りたたみ式のリーフレットなのですが、この内容で1000円はとっても高いと思います。今回はちょっとでも高く見せようとしてか、一部ずつビニール袋に入れられていましたが、100円で丁度良いような内容。動員も落ちているし、台所事情が厳しいのかなぁ。内容を確認しないで買っちゃった僕も僕だけれど、あまりに観客を馬鹿にしている気がします>スタッフ。


2005年07月09日(土)15:00-17:50
新国オペラ「プッチーニ:蝶々夫人」@新国立劇場オペラ劇場

 ランク7 5670円 4階-3列-28番 (パンフレット:800円)
 指揮:レナート・パルンポ
 演出:栗山民也
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 蝶々夫人:大村博美
 ピンカートン:ヒュー・スミス
 シャープレス:クラウディオ・オテッリ(ウィリアム・シメルの代役)
 スズキ:中杉知子
 ゴロー:大野光彦
 ボンゾ:志村文彦
 神官:大森一英
 ヤマドリ:工藤 博
 ケート:前田祐佳
 書記:柴田啓介

 新国の「蝶々夫人」は舞台機構を生かした名演出だと思っていたのですが、今回は演劇部門の芸術監督による新版です。実はこの演出家、僕はダメなんです。貧乏臭い世界を描かせたら右に出る者のいない演出家ですが、劇場に貧乏臭さだとか、惨めさだとかは全然求めていない僕にとっては用ナシの方(好みだから、何言われようとダメなものはダメなんですっ!)
 今回は新国の舞台のタッパの高さを生かしたセット。「ライオンキング」のプライドロックのホワイト・ヴァージョンとでも思っていただくとわかりやすいと思います。左上方にカーブを描いた階段が続き、右奥はやはりカーブを描きつつ、奈落に向かって坂道になっていて、中央部分が演技スペースなのですが、まな板のようなセットがあるだけ。で、一番僕が気に入らなかったのは、一幕では枯葉があちこちに汚らしく積もっていて、ニ幕では桜の花びらが積もっていること。とにかく、見た目の第一印象が汚らしいってこと。結婚式なんだから、掃除位するでしょうに。。。そんな枯葉だとか花びらの上を役者は転げ回ったりするのですが「一張羅を着ているのに、そんなわざわざ汚すなんてことはしないよなぁ」と、ついつい洗濯の事なんぞを考えてしまいました。ん〜〜〜、様式美で見せるわけでもなく、かといってリアルな芝居で見せるわけでもないので、中途半端な印象。家の外も中も区別があいまいで、外履を脱ぐ人もいれば、土足のままどかどかと出入する人もいれば、屋外なのにそのまま正座しちゃう人がいたり、、、何だか外国のオペラハウスで「蝶々夫人」を見ている気分。全幕を通して、舞台上で星条旗がパタパタはためいているのも、あまり気分良くないなぁ。。。
 タイトル・ロールの大村博美はスゴイです。演技派の蝶々夫人。登場シーンなんて満面の笑みを浮かべて、足元を見ずに長大な螺旋階段を降りてくるのです(ちなみに、宝塚の大階段は直線に26段降りてきます)。蝶々夫人というのは一幕では15歳、ニ幕では18歳という設定なのですが、ほとんど出ずっぱりで、低音域の鋭い声が求められるので、今までだと女子プロレスラーの悪役のような歌手がしかめっ面で歌うことの多い役なのですが(単に緊張しているだけかも)、大村バタフライはピンカートンとの結婚が嬉しくて嬉しくてたまらないという雰囲気を漂わせていて、一幕に関しては幸せ気分でいっぱい。こりゃ、ピンカートンでなくっても惚れます。物凄く可愛らしいです。お歯黒を「捨てちゃうっ!」と放り投げる部分なんて、恋する乙女してて、微笑ましいったらありゃしない!
 が、第二幕になると、ピンカートンに遊ばれ、捨てられたということをが(スズキも含めて誰もが思っているにもかかわらず)受け入れることのできない女性に変貌しての登場ですが、ここで一幕でのお芝居が功を奏し、実に涙を誘います。ある意味、長大な「狂乱の場」とでも言える演出・演技に大拍手! ケートが登場するまで、一切現実を認めなかったにもかかわらず、いざその時が来ると以外と反応は冷静。仏壇代わりに祀っていた十字架を通りしなにさりげなくパタンと倒し、着々と自殺の準備を整えていく様は圧巻の迫力がありました。
 ピンカートンのヒュー・スミスはよくぞ最後まで歌い切った、と思わずねぎらっちゃう程の不調。声はひっくり返るわ、音は当たらないわ、おまけに妙に汗ビッショリでフラフラしているんですもの。彼に合わせてオケまで押さえて、押さえてになっていました。観ていて気の毒になるほど体調が悪いらしく、ちょっとでも良くないとすぐに「ブー」の声が飛んでくる新国にもかかわらず、終演後はねぎらいの拍手が送られたのでした。あぁ、良い劇場になったな〜。
 スズキの中杉知子は文学座あたりから特別出演したかのような見事な女優っぷり。聞かせどころのソロがあるわけでなく、大見得を切るような芝居があるわけでもないのですが、蝶々さんを愛し、心配し、最後までお仕えしようという、この人もまた武家屋敷に使えていた人なのね、という重みを感じました。歌もね、さほどネットリしている声ではないのですが、品と重みのある声。とにかく、蝶々さんとスズキのコンビが絶妙なプロダクションでした。今日はこの二人のために来たといっても良い位です。
 東フィルは相変わらずです。一時期の都響よりも管の荒れ具合がひどく、今日は弦までがとっても乱暴な演奏。ピッチも音色も滅茶苦茶。ま、「蝶々夫人」という作品を悪夢ととらえるのであれば、それにふさわしい演奏だったのかもしれませんが。。。


2005年07月09日(土)19:00-21:05
「トッパンホール アンサンブル Vol.1」@トッパンホール

 全席指定 6000円 E列-8番 (パンフレット:無料)

 ヴァイオリン:川崎洋介
 ヴィオラ:柳瀬省太
 チェロ:古川展生
 コントラバス:吉田秀
 クラリネット:四戸世紀
 ファゴット:吉田将
 ホルン:阿部麿
 オーボエ:宮本文昭
 ピアノ:リコ・グルダ(ティル・フェルナーの代役)

 モーツァルト:オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K370(368b)
 モーツァルト:ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調 K452
(休憩)
 ベートーヴェン:七重奏曲 変ホ長調 Op.20

 ここ数日、やたらとある特定の電話番号からの着信履歴が残っているのです。それでいて、留守電にはメッセージが残っていないので、公衆電話から折電してみるものの「トッパン印刷の代表番号につながっておりますので、各担当部署へ直接お電話ください」というアナウンスに接続。すわっ、もしや、昔の仕事での大ミスでも発覚したのか、と焦ってしまいましたが、トッパンホールのコンサートの出演者変更のお知らせでした。そういえば、のぼぉちゃんのコンサートがあったんだった! ご贔屓のスケジュールでさえ忘れているのに、共演者なんて覚えているわけもなく「知らないピアニストから知っているピアニストになったなぁ」位で通話終了。フェルナーさん、ごめんなさい。
 のぼぉちゃん=雨男なのですが、ここ数日の良いお天気も、コンサート当日になって崩れてしまい、コンサートが始まることには大降りに! まったく、期待を裏切らないヤツです。あいにくトッパンホールはどの駅からもアクセスが良くなく、びしょびしょの靴で気持ち悪いままコンサートを聴くのも嫌だったので、劇場のはしごで時間もなかったことだし、ここは奮発してタクシーでホール入り。歩くのを拒否した人は僕以外にも多かったようで、ホール前はタクシーの列になっておりました。開演ギリギリの滑り込みだったので結構アセアセッ。
 が、一歩ホールへ足を踏み入れれば、自分の焦りが恥ずかしくなるようなのんびりムード。室内楽に集まる聴衆って、オペラともオーケストラとも異なり、演奏直前まで優雅にのんびりおしゃべり、それでいて演奏が始まるやいなや、音楽に集中(楽章間の咳払いも少ない!?)するので、なかなか素敵な雰囲気です。ちなみに、のぼぉちゃんのポップス系コンサートの会場はギラギラした雰囲気です(展生様〜♪の世界)
 とはいえ、座長(とコンサートでも言うのやろか?)が宮本さんということもあり、演奏者は結構リラックスムード。好き勝手なことをやっているようで、要所要所では手綱を引き寄せる宮本さんの見事なリーダーぶりを見せ付けられました。そういう宮本さんも、暖かな音色で自由気ままに音楽と戯れたかと思いきや、グルベローヴァも真っ青のコロラテューラ(「夜の女王」や「ルチア」でおなじみ、ころころ高音を転がすソプラノです)のようなフレーズを軽々しく華やかに吹き上げてしまうのがお見事。モーツァルトに「汗」だとか「努力」ということばは似合いませんものね。天才の音楽は天才が演奏してこそナンボのものかもしれません。
 共演は中堅どころの実力派が集まったせいか、宮本さんの監視下(笑)のびやかな演奏を繰り広げていました。何がのびやかって、音色が気持ち良いんです。今日は室内楽の得意なメンバーが集まっていて、あれこれあれこれ音に遊んでいて、まことにもって僕好みの音空間でした。ヴァイオリンの川崎さんの柔らかく暖かい音が得に印象的でした。
 演奏されたのは、前半はモーツァルトの中期(といっても21歳の時の作品。何しろ享年35歳のお方ですから。。。)、後半はベートーヴェンといった王道プログラム。曲名こそ地味ですが、ここかしこで耳に覚えのあるフレーズが登場する曲たちだったのが嬉しい! 実は、悩みや澱みには縁のないモーツァルトの音楽よりも、低音が補強されてどっしり安定したベートーヴェンに心ひかれる昨今なのですが、人生に疲れちゃっているのでしょうか?>自分
 ちなみに、今回は段差の少ないホールだったので、僕の席からののぼぉちゃんはほとんど前席の方の陰。観察日記(笑)はお預けです。


2005年07月10日(日)12:30-15:55
東宝「モーツァルト!」@帝国劇場

 A席 8000円 1階-U列-53番 (パンフレット:1600円)
 演出:小池修一郎

 ヴォルフガング・モーツァルト:井上芳雄
 コンスタンツェ(モーツァルトの妻):西田ひかる
 ナンネール(モーツァルトの姉):高橋由美子
 ヴァルトシュテッテン男爵夫人:久世星佳
 コロレド大司教:山口祐一郎
 レオポルト(モーツァルトの父):市村正親
 セシリア・ウェーバー(コンスタンツェの母):阿知波悟美
 アルコ伯爵:花王おさむ
 アマヌエル・シカネーダー:吉野圭吾

 晩年(といっても今の僕ち位の年齢ですが)になって、作品はより透明に洗練された音になるにもかかわらず、伝記を読んでも、舞台を観ても、あまりに急に死に急ぐ印象があります。音楽の幸せ感と、人生の壮絶さがマッチしないのがとっても不思議。ベートーベンはわかりやすいんです。耳の病気が悪化するに従い、音楽も深刻に重々しくなるから。でも、モーツァルトはその逆。どんなに人気が落ちようと、モーツァルトといブランドイメージを保守した人。彼の文献などを調べる限り、実際は結構単純な人らしいので、彼の死因については、「モーツァルト!」は説得力が弱いんです、僕には。アマデって、子供のころのモーツァルトでありながら、時にはより大人だし、その存在意義も実は未消化。ウィーンで、モーツァルトのミュージカルという恐ろしい企画を良く実現したとは思いますが、(確か、ウィーン初演ではかなり公演評で叩かれていたはず)音形もあえてモーツァルトと逆のイメージのものを多用しているし、実はオタク向きのとっても嫌らしい作品なのかもしれません。メロディラインもエリザよりずっとひねくれていて難しいです。本日はMY初日。前回からの続演メンバーを観ようと思ってチョイスしてみました。今後、今回からの新メンバーでの観劇も予定しています。
   タイトルロールの井上君は声が育ち、中低音も前よりも安心して聴けるようになったのが嬉しいです。だからといって、この子の発声はとっても苦手なのには変わりありませんが。。。そして、井上君のプライヴェートの実生活は知りませんが、彼の特徴として中流サラリーマン家庭を連想させる雰囲気があるのです。貴族には見えないんだけれど、かといって自由奔放な役だとまだ無理しているのがアリアリとしています。根っから「自由に憧れている人物」ではなく、「自由に憧れている人物に憧れている」ようなモーツァルトに見えました。まだ醒めているというか、役と一体化していないみたい。自分とは別の人間の人生を表現しなくてはならないのですから、役者とは大変な商売ですよね。。。とはいえ、豊富な舞台経験を経て、堂々たる主演ぶり。若さの勢いもあいまって、全然似合わない鬘をかぶらせられているというのに、舞台上でキラキラ輝いていました。井上アンチの僕が言うんだから間違いないですっ(笑)
 さて、モーツァルトをめぐるファントムコンビは相変わらず快調です。むしろパワーアップしているみたい。市村パパはモーツァルトへの愛情のみならず、使用人としてのジレンマの表現が大きくなり、作品をより大きなスケールのものとした気がします。コロレド様は相変わらずマントさばきが絶品です。何度見てもほぅ〜とため息もの。喉の調子もよろしいようで、一人だけサラウンド音声。でも、トイレのシーンはよりしつこいというか下品になったような。。。お笑いのシーンでもないし、ちょっと理解に苦しみます。
 好調の男性陣に反して、女性陣はボロボロ。西田コンスタンツェはただ台詞と楽譜をなぞっているだけで、ドラマが感じられないのにはビックリ。前回もこんなでしたっけ? 結構存在感のある女優さんだと思っていたのですが、今回は小さく地味に埋もれています。そして、高橋由美子も声が伸びず、全体的につかれ切った様子(後半はナンネールという役自体が疲れているので調度良いのですが)。恐ろしいことに、久世男爵夫人は歌唱力が低下。高音はぶら下がってしまうし、低音もピッチが定まらずフラフラ。作品きっての大ナンバーがあるだけにものすごく残念。そんな彼女らにつられてしまったのか、アンサンブルも女性陣もひどい状態。舞台上で元気な役を演じるからといって、声を無理に張り上げるというのはいかがなものでしょうね? 聴いているこちらの喉が痛くなるような無理して押し上げている発声に参ってしまいました。それで盛り上がるならばまだしも、吸音室のようなセットと、帝劇の音響の悪さが相まって、全然客席には声が響かないのですから。。。
 さて、この作品はまだまだ観る予定なので、ここいらでちょいと妄想劇場です。……モーツァルトって、ひたすらスケベだし、とりあえずモテモテだし、結婚も女遊びもしているのに子供なし。当時は避妊の知識も技術も今ほどないのになして!?!? 持てない男代表のベートーヴェン以外の当時の音楽家ってみな子沢山じゃないですか!! モーツァルトのオペラって女性蔑視色が強かったり、なぜかドラッグクイーンにふさわしい人物が登場したりしますし、器楽曲に関しては、完璧に整理整頓されたスコアだったりするので、「マドモアゼル・モーツァルト」では「モーツァルトは女?」と表現されていますが、僕にはモーツァルトはゲイだったとしか思えない! となると、男爵夫人は男色夫人ですね。ひとりだけ派手な格好や、ひそかに権力があること、モーツァルトへののめり込み具合も妙に納得しませんか? 実は彼女は女装趣味者だったとか(爆) あ、今、酔っ払ってます、念のため。でも、独断と偏見は観客の勝手な楽しみ。小池さん、ごめんなさーい(笑)


2005年07月10日(日)18:00-20:45
英国ロイヤル・バレエ団「シンデレラ」@東京文化会館

 E席 8000円 5階-L2列-30番 (パンフレット:2000円)
 指揮:ベンジャミン・ポープ
 管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 シンデレラ:ダーシー・バッセル
 王子:デヴィッド・マッカテリ(ジョナサン・コープの代役)
 シンデレラの義理の姉たち:アンソニー・ダウエル、ウェイン・スリープ
 シンデレラの父:ウィリアム・タケット
 仙女:イザベル・マクミーカン
 道化:ホセ・マルティン

 一昨年あたりの記者会見で、新国バレエ団の牧阿佐美芸術監督は、クリスマスシーズンの演目として、「くるみ割り人形」と「シンデレラ」を隔年交互に上演します、と言っていたのです。昨年末は「くるみ割り人形」だったので、今年は「シンデレラ」だと楽しみにしていたのですが、公演予定を見たら「くるみ割り人形」になってる。。。「くるみ割り人形」って音楽は有名ですが、バレエとしてはあまり面白くない気がするのです、個人的に。「シンデレラ」はプロコの曲だけあって、音楽は複雑だし、さほど有名作品とはいえませんが、アシュトンの名振り付けも相まって、もっともっとブレイクしても良いと思うんですけどね。一般的には「腐っても”くるみ”」なのでしょうか。。。
 ということで、今年は観られないとがっかりしていた「シンデレラ」ですが、奇しくも新国と同プロダクションによるロイヤル・バレエが来日。発売と同時にチケットを購入しました。とはいうものの、新国と東京文化ではステージの大きさが違いますし、ロイヤルではつい最近、この作品の衣装をリニューアルしたので、あちこち違いはあるのですが、それでも見慣れた作品をロイヤルバレエで観られるというのは嬉しいものです。今回は四人のプリマの競演なので、どのキャストで観ようか悩んだのですが、バッセルが一番可憐だったので(ふふふ)彼女の出演公演をチョイス。期待にたがわぬ、素晴らしいシンデレラでした。とにもかくにも美しい、これに尽きます。王子はコープが急病のため、代役になってしまいましたが、ルックスはコープに負けず劣らず。まことに美しきカップルでした。おとぎ話作品は、まずは雰囲気作りが重要ですね。登場するだけで、思わずはは〜とお辞儀したくなるような高貴なオーラびしばしのスターっぷりでした。それでいて、芝居心たっぷりで、アグリーシスターズや、目上の人(父親だとか貴族、妖精など)との応対は実に謙虚で柔らか。王子が彼女を所望するのも当然ですし、思わず「シンデレラ、ガンバレー」と応援したくなるような初々しさがありました。このキャリアでこの初々しさは凄い! ちょっと、アメリカの青春映画のヒロインのようなシンデレラ役でした。
 残念ながら、ロイヤルの弱点の群舞については、かなり見劣りしました。動きや角度が揃わないので、集団としての迫力だとか、アシュトンの万華鏡のように変化しまくる、フォーメーションの楽しさが半減。おまけに、衣装もカラフルになったせいか、全体的に散漫な印象。ま、この個人主義が、ロイヤルの素敵なスターさんたちを生み出した源でもあるので、なかなか思い通りいはなりませぬ。パリ・オペラ座はまさかこのプロダクションは上演しないでしょうから書いてしまいますが、コールドに関しては、新国バレエ団の方が数段ウワテですね。ま、ピシッと音が聞こえそうな群舞が好きか、個々が自由にしている群舞が好きかは人それぞれなので、あくまで僕の好みの上での比較ですけど。
 今回は残念ながら、ロイヤル・オペラハウス管弦楽団ではなかったのですが、東京シティ・フィルはとっても庶民的な響きでした。色気がないというか、膨らみがないというか、、、かなり不満。弦のうねりだとか、管のフレーズの歌い継ぎとかが面白くないのです。そりゃ、バレエ公演ともなると、コンサートの時と違って、演奏に対する要求や制限が多いでしょうが、ここまでよろしくない演奏を聞かされると「日本の恥」とまで思ってしまいます。ま、新国バレエの公演でも「今日のオケは三軍?」と文句を付けたくなる公演がありますけどね。。。


2005年07月12日(火)19:00-20:30
山本耕史/Nao「the Last 5 Years」@シアターX

 全席指定 6500円 H列-16番 (パンフレット:1500円)
 演出:鈴木勝秀

 ジェイミー:山本耕史
 キャサリン:Nao

 当日券で見てきました。男は出会いから別れまでを未来に向かってに歌い、女は別れから出会いまでを過去に向かって歌う、という、構成上はとても興味深い作品でしたが、歌詞の聞き取れない小屋ということもあって、僕の中では不完全燃焼の公演でした。状況がわからないんだもの。  ま、キャサリン役のNaoがあまりによろしくなかったというのもあるけれど。この作品は、ジェイミーもキャサリンも一人芝居なので、結構な実力者でないと成り立たないと思うのですが、Naoの芝居は大根、歌も一本調子なので、全然、状況が客席にいてわからないのです。ただただ、不平不満を言い続けるだけの嫌な女にしか見えなかった! ジェイミーは順番通りに状況を歌い上げるので、そこそこ話として繋がるのですが、キャサリンは結果から発端に向かって時間を逆行するので、小説ならばともかく、舞台の上だと結構混乱します。もしも、これからご覧になるのであれば、ちゃんと予習をしていった方が面白いかと思われます。
 それにしても、パンフの公演予定を見たところ、シアターXでの公演後、、そのまま梅芸に持っていんですね。200人劇場→2000人劇場へのサイズ変更でしょ。Naoの演技力と歌が2000人クラスの劇場で通用するのかしらん? そして、演出や美術はどうなるのでしょう??? 昔、日生→ドラマシティ→帝劇という作品もありましたけど、それ以上に規模が違いすぎますよねーーー。
 山本君は、独特の声と動きなので、かなり役を選ぶ俳優かと思うのですが、自分にあった役をよくまあ見つけ出してくるものですね。こんなこと言ったら某演出家にぶっとばされそうですが、彼のトートやモーツァルトというのも、ロック色が強くて面白いかもしれないなぁ、なんて思っております。癖の強い人なので、時にはサザンの桑田さんのような歌唱に聞こえる部分もありましたが、劇中でオペラ調に歌う場面での声が意外にも正統派なのにビックリ。その他、パロディ風に歌う部分や、声だけの出演ですが、女役の声も違和感なくこなしていて、なかなかの芸達者です。何よりも、舞台を引っ張っていく勢いがあって、堂々とした主演ぶりが気持ち良いですね。キラキラと輝いていました。


2005年07月16日(土)11:00-14:05
宝塚歌劇団星組「長崎しぐれ坂」「ソウル・オブ・シバ!!」@東京宝塚劇場

S席 8000円 1階-14列-59番 (パンフレット:1000円)
演出:植田紳爾(長崎)/藤井大介(シバ)

 伊佐次(江戸無宿):轟悠(専科)
 卯之助(長崎奉行所の下っ端。伊佐次の幼馴染):湖月わたる
 おしま(堺の芸者。伊佐次の幼馴染):檀れい
 芸者、花魁、精霊流しの女S:松本悠里(専科)
 らしゃ(伊佐次の子分。江戸無宿):安蘭けい
 和泉屋庄兵衛(堺の商人):立ともみ(専科)
 水牛(唐人屋敷内の居酒屋の亭主):英真なおき
 李花(伊佐次の女):万里柚美
 館岡(長崎奉行所同心):立樹遥
 さそり(伊佐次の子分。豊後無宿):真飛聖
 らっこ(伊佐次の子分。尾張無宿):涼紫央
 芳蓮(水牛の娘):白羽ゆり
 あんぺ(伊佐次の子分。土佐無宿):柚希礼音
 柳麗(芳蓮の友達):陽月華

 配役表を見ると、何だか数年前の雪組公演みたいですねぇ〜。しみじみ。今回の公演でトップ娘役の檀れいちゃんが退団となります。彼女は技術的には最後までハラハラし通しのスターでしたが、月組トップ時代とは打って変わって、星組トップ時代は自分の魅力を前面に押し出した、なかなかのスターっぷりを見せてくれました。これで、歌と踊りがも少しマシなら(あぁ!)
 先月の花組芝居は「パリでやり直そう」というお話でしたが、今月の星組芝居は「お江戸でやり直そう」というお話。細かな設定はもちろん違いますが、大筋は似たり寄ったりです。が、摩訶不思議で盛り上がりのない作品で終わった花組に対して、強引な力技で盛り上げてしまうのが星組版。演出家の影響は大きいですね。今回は恥じらい皆無の自画自賛だとか、観ているこちらが照れてしまうような寒いお笑いがなかったのと、久しぶりにトップと二番手(今回だと専科の轟悠と星組トップの湖月わたる)ががっぷり組んだ作品なので、舞台の進行もわかりやすく、気持ち良く「男の友情」に入り込むことができました。人情物は、無国籍の謎だらけのお話よりも、単純明快な座長芝居としてこしらえた方が向いているのかもしれませんね。そして、轟悠特別出演の際のトップ娘役との間柄についての違和感のない処理かと思われます。癖が強いので、あちこちで叩かれることの多い植田作品ですが、まだまだ学ぶべき物があります。もちろん、要らないシーンは山ほどあるのです。プロローグなんて「今日は和物ショー作品だったっけ?」という錯覚を起こしそうなほど、延々とダンスシーンが続きますし、わかりきっていることを何人もの若手が長々と説明しだしちゃったり、物語の本質にはまったく絡まない日舞が延々と踊られたり(あ、花組芝居における蛇=星組芝居の松本悠里?)、誰かの入退場の度に野暮ったいファンファーレがなったり、ものすごく時代がかった演出なのですが、そのおかげで舞台がわかりやすくなり、大いに盛り上がってしまうのですから、これはこれとして「様式美」の範疇に入れるべきかしらん?と自問自答しております。難しいところですね。でも、一つ一つのシーンは楽しいんですよ。蛇の踊りだとか、若手を引き連れて松本女史が本舞台で踊る中メインキャストたちが銀橋にてクライマックスの芝居を繰り広げるだとか、船の出発時のセットのはけ方だとか、どれもこれもベテランの味わい。大芝居なので役者を選ぶ演出家ですが、ピタリとはまった時には独特の世界が繰り広げられますね。今回は大芝居の得意な星組、そして素顔からして男前の轟悠が出演ゆえ、かなり良い線じゃないでしょうか? 原作物らしいのですが、親分肌の轟悠、弟肌の湖月わたる、芸者がぴったりの檀れい、出番は少ないもののちょっと斜めに構えた安蘭けい、轟悠の子分核の若手まで、まるでアテ書きのようにピッタリはまっていて、違和感のある生徒がいなかったのが凄いです。でも……リピートするほどじゃなさそう。。。
 ショーはわたさんがトップになりたてのころ、もしくは彼女が専科として他組に特別出演していた頃に見たかったなぁ。トップさんが激しく踊りっぱなしの体育会系のショーなので、今のわたさんにはしんどいのではないでしょうか。でも、トップさんが一番元気で、長身を生かしたダイナミックなダンスを踊りまくるので、結構気持ち良いです。踊り手には申し訳ないけれど、夏にピッタリの元気な作品。轟悠は、半年前に特別出演した雪組公演のショーでは組子とすっかりなじんでいたですが、星組は下級生に至るまで「私は二枚目」と男役連中がキザリまくるので、芸風の違う彼女は、お客様になってしまっていました。観劇前は「どうせ余計なシーンが多いのだろうから、芝居を10分延長、ショーを10分短縮することなんてないのに」なぁんて思っていましたが、テンポ良く場面が移り変わるせいか、もしくは、あまりのテンションの強さに引き込まれてしまうせいか、通常のショーと同じだけの時間と感じました。王子様や貴族が似合う、お上品なトップさんが多い昨今、パワーとハッタリで押し切るわたさんのようなトップは貴重な存在ですね。安蘭けいは小柄なので、派手な衣装の着映えはしませんが、安定した技術はやはり魅力的。トップの湖月わたると、お互いの弱点を助け合う、見事なコンビネーション。でも彼女、最近声域が高くなってきていませんか? 声質も女性化しているような。。。


2005年07月17日(日)18:00-20:50
英国ロイヤル・バレエ団「マノン」@東京文化会館

 D席 11000円 4階-R1列-27番 (パンフレット:2000円)
 指揮:グラハム・ボンド
 管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 マノン:シルヴィ・ギエム
 デ・グリュー:マッシモ・ムッル
 レスコー:ティアゴ・ソアレス
 ムッシューG.M.:アンソニー・ダウエル
 レスコーの愛人:アリアネラ・ヌニェス
 マダム:エリザベス・マクゴリアン
 看守:ウィリアム・タケット
 乞食のかしら:ブライアン・マロニー

 今回のロイヤル・バレエの来日公演は、演劇色の強い、それでいてダンスとしても魅力的な振り付けの作品がチョイスされていて、「マノン」もマクミラン振り付けによる名プロダクション。彼の振り付けは変化し続けるがゆえに、踊る方も大変でしょうが、観る者にとっても一瞬たりとも目が離せないという嬉しくも困ったちゃんなのです。おまけに、通常のバレエだと、終幕の見せ場に向けて徐々に盛り上がっていくものですが、この作品に関しては、主役陣は登場するやいなや超絶技巧連発で踊り狂うのですから、大好きな作品ではありますが、観終わるとあまりの幸せにこちらもグッタリです。
 さて、本日はロイヤル・バレエの来日公演の千秋楽、そして、ソリストはスーパーバレリーナのギエムとあって、東京文化会館は補助席まで出しての満員御礼。開演前からして会場が熱気でムンムン。そんな中、大拍手に迎えられて搭乗したギエムは、マクミランの超絶技巧の数々を簡単そうにこなしてしまうのでいきなりノックアウトを食らってしまいました。僕はギエムというとベジャール物ばかり観ていたので、マクミラン作品の彼女は初めてなのですが、技術など超越していて、舞台の上ではただただマノンの感情のみが息づいていたのには脱帽です。どちらかというと、おっかない女性というイメージのギエムなのに、何て愛らしいのでしょう。おまけにスタイル抜群なので、上手いだとか下手の以前に「キレイだなぁ」と彼女の動きに見とれるばかり。決めのポーズの一つ一つから「私を見なさいっ!」というトップスターならではのオーラが発せられているので、こちらとしてはひたすら拝見するばかり、土下座状態です。「ギエムも年が年だし、そろそろ見納めかなぁ」なんて思いながらの劇場入りでしたが、今後もまだまだ踊っていただかなくては困ります!
 そんなギエムを巡るムッルとソアレスも長身・足長・超絶技巧派で、これまた長身のギエムをブンブン振り回しちゃうわ、男同士でのダンス合戦では東京文化の広い舞台ですら「まだまだ狭いぜ」と高くて大きなジャンプを見せ付けるわの大活躍。それでいて、動きの一つ一つが優雅なのですから、これまたほほぉと見とれるばかり。悔しいけれど、バレエって白人の白人によるエンターテイメントなんだなぁ、と思い知らされました。登場するだけ、立っているだけで美しさが違うし、何よりも気品があるのですもの。今回は目の保養であると同時に、ちょっぴり毒も味わった気分です。「シンデレラ」の時にはばらつきが気になったロイヤルのコールドも、ソリストの集団のような「マノン」では、一人一人の登場人物のドラマが見えてきて、バラバラ加減が面白かったです。あぁ、ソリストはジックリ見たいけれど、アンサンブルも見たいし、「どこを見れば良いんじゃ〜〜〜」と発狂寸前。来て良かった〜。


2005年07月18日(月・祝)11:00-13:35
宝塚歌劇団月組「BourbonStreet Blues」@宝塚バウホール

 全席指定 4500円 り列-6番 (パンフレット:500円)
 演出:正塚晴彦

 ジェフ(札付の不良少年):月船さらら
 シンシア(ジェフの幼馴染):白華れみ
 ジェラルド(刑事)/キューザック(建築家)/フェルッティ(ギャングのボス):嘉月絵理
 ロザンナ(デイリー・ダイナーの経営者の妻):美鳳あや
 デイモン(ギャング)/DJ:真野すがた
 ダイアナ(ギャング):憧花ゆりの

 東京公演なしのバウ作品です。今年のバウホールでは、中堅生徒が出演の舞台と、若手生徒が出演の舞台を続演させるという面白い試みを行っており、今回の月組公演がそのトリで、今日のキャストは中堅メンバー。とはいっても、名前と顔が一致するのは主演の月船さららと、嘉月絵理位。その他の若手は「アンタだぁれ?」状態でした。。。主演の月船さららは、すでにキャリアを積んだスター候補ということもあり、舞台の真ん中に立つことに関して安定感がありました。そして、技術の上手い下手ではなく「月船さららとしてどう見せるか」という方向性を感じました。うん、宝塚スターとして、今後は個性が出せるかがキーですものね。
 今回は、主人公のジェフが自分の閉じ込められた環境を抜け出そうともがき苦しむ姿を描いた、正塚氏らしい心理描写の凝った作品なのですが、バウ公演は芝居にたっぷり時間が取れるので、ジックリと正塚ワールドに浸ることが出来ました。出演者が全部で15人と少ない公演ですが、それぞれの見せ場があり(うってつけたような見せ場でないのが嬉しい)、公演期間もバウとしては長いとあって(約3週間)、若手の生徒たちにとって、貴重な公演となったことでしょう。そんな中、唯一のベテランの嘉月絵理ですが、男良し、女良し、若者良し、おっさん良しと、何をやらせてもうまいですね。若者を見守るという役どころが、下級生を見守る先輩という姿に重なり、とても暖かな気持ちになりました。バウといえども、正塚作品はクライマックスが肩透かし気味ではあるのですが、嘉月ジェラルドが舞台をしっかり締めてくれたので、落ち着くべき場所に落ち着いた……ような気がします。
 ヒロインの白華れみは僕は知らない娘役でしたが、とってもベッピンさん。今回は初ヒロインかと思いますが、あまり物怖じしないところも凄いですねー。男役と対等に張り合うタイプのように見受けられました。お歌はかなり頑張って欲しいなぁ。ただ、彼女は元々高音域が出ないのか、調子が悪くて高音域が歌えないのかは不明です。そういえば、主演の月船さららも元々ハスキーな声がよりいっそう森進一になっていて苦しそうでした。みんなで夏風邪!?


2005年07月18日(月・祝)16:00-18:40
宝塚歌劇団月組「Ernest in Love」WOWOWメンバーシアター@梅田芸術劇場

 S席 8000円 1階-10列-25番 (パンフレット:1000円)
 演出:木村信司

 アーネストことジャック・ワージング(ハートフォードシャー育ちの貴族):瀬奈じゅん
 グウェンドレン・フェアファックス(フェアファックス家の令嬢。アルジャノンの従兄妹):彩乃かなみ
 アルジャノン・モンクリーフ(ロンドン生まれ、ロンドン育ちの貴族):霧矢大夢
 セシリイ・カデュー(ジャックが後見人を務める娘):城咲あい
 ブラックネル(グウェンドレンの母):出雲綾(専科)
 レイン(アルジャノンの執事):光樹すばる
 パーキンス(ジャックの執事)/チャジュブル(牧師):越野リュウ
 アリス(メイド)/プリズム(セシリイの家庭教師):瀧川末子

 「ミー&マイガール」のようなちょっとおとぎ話かかった貴族の物語に関しては、宝塚の右に出る劇団ってないですよねー。寓話として、自然に納まるのがお見事! そして、クラシカルな衣装がとっても似合うのです、みなさん。そして、普段からチームとして組単位で公演を行っているせいか、アンサンブル芝居のまとまりもナカナカ。(出雲綾でマリアおばちゃんが見たい!)
 そんな中、月組の新トップコンビとして登場したのが瀬奈じゅんと彩乃かなみ。瀬奈じゅんは一年前から月組公演に出演しているものの、彩乃かなみは初登場。そんな座組みなのに、いきなりアンサンブルが重視される、古めかしいコメディなんて持ってきちゃって大丈夫かなぁ、と心配していたのですが、フタをあけてみれば、ここ最近の宝塚では一、ニを争える素晴らしいトップお披露目公演。でも、考えてみれば、瀬奈じゅんも、彩乃かなみも、霧矢大夢も花組出身ですし、瀬奈-彩乃コンビについてはバウ主演公演すらあるのですから、心配なんて不要だったのかもしれません。
 さて、ここ最近の月組は、個性派トップが続いていましたが、瀬奈じゅんはディズニークラシックスから飛び出してきたかのようなオーソドックスかつ華やかな男役っぷり。おまけに、エリザ効果か、歌手たちに囲まれてもひけをとらない堂々たる歌唱。さらに、娘役を自由に泳がせるという懐の広さを見せ、若葉マークトップとは思えない俺様ぶり。おまけにお得意のコメディとあって、霧やん、かなみちゃんという宝塚きってのコメディエンヌが競演しているのですから、はじけること、はじけること。「Ernest in Love」は古いミュージカルなので、スターの魅力で盛り上げるような箇所も結構見受けられるのですが、そのどれをも余裕でクリア。もしかしたら、今後大トップに化けるかもしれません。楽しみです。
 そして、トップ娘役として、いきなり大輪の華を咲かせているのが彩乃かなみ。お嬢様としての澄ました面と、本音を語るキャピキャピぶりの見事なチェンジは、大地真央も真っ青の怪演です。いやはや、トップ娘役の立場の人がここまでやってくれるとは思いませんでした。それもこれも、そのような芝居を許し、受けて立てる瀬奈じゅんゆえ。その余裕が男役としての大きさにつながり、贔屓目なしに見ごたえがありました。お互いに手加減せず、思い切り実力を発揮できるカップルって、宝塚においては意外と少ないので、観ていてとても気持ち良いです。歌に芝居に大車輪の二人でした。
 そんな新トップコンビに刺激されたのか、二番手の霧矢大夢と城咲あいも大熱演。キリヤンは、さすがの大阪人。水を得た魚のようにコメディを楽しんでいる様子で、この役を引き継ぐ花組の蘭寿とむが気の毒になった程。そして、数年後には大物娘役になりそうな予感の城咲あいも出番は少ないながら、あさこちゃんに、キリヤンに、かなみちゃんに大胆に絡む熱演。いやはや、この四人のカルテットは素晴らしいです。全員が丁々発止と渡り合い、相手の出方を読んでは攻撃を仕掛けるのですから! そして、彼ら四人に引けをとらない存在感を発揮するのが、ついこの前まで宙組組長(同じく宙組に在籍していたかなみちゃんを差し置いて、実質的な二番手娘役だった!)、そして今回から専科生となる出雲綾。歌に芝居に実力発揮。女性陣(って全員女性ですが・笑)が張り合って、男役そっちのけで大口論する場面なんて、僕好みということもありますが、まさに油断禁物の大バトル。笑って笑って、お腹が痛くなりましたヨ。今まで組が別だったメンバーが終結したからこそ許される自由な空気と、今回が初顔合わせにもかかわらず、だれもオドオドせずに攻めて攻めて攻めまくりの舞台作りがとっても新鮮。おじちゃん大喜びでんがな。
 大劇場公演で翻訳ミュージカルを上演する場合は、生徒の人数に対して役が少なかったり、ニンと役が合わない役が序列の関係で割り振られたりということが多々見受けられますが、今回は選抜メンバーということもあってか、まるであて書きのようなフィット感。もちろん、上演にあたっての脚色もあったでしょうが、宝塚ならではのウェルメイドな舞台に仕上がっていて嬉しい限り。このメンバーで、このまま東宝劇場に持ってきて欲しい位です(あ、劇場ごとでも可。この劇場は僕は初めてですが、僕好みのゴージャス感)。なお、初見ゆえ、ついついメインキャストの芝居にばかり集中してしまいましたが、下級生の一人一人まで細かな裏芝居を行っているので、余裕があればそちらも観たかったです。とにもかくにも、あっという間に幕となる二時間半。ジェットコースターのようなミュージカルでした。


2005年07月24日(日)12:30-15:15
来日カンパニー「プロデューサーズ」千秋楽@東京厚生年金会館

 S席 13000円 1階-17列-46番 (パンフレット:2000円)
 演出:スーザン・ストローマン

 マックス・ビアリストック:ボボ・アマラル(日本版だと伊ノ原快彦)
 レオ・ブルーム:アンディ・テイラー(長野博)
 カルメン・ギーア:リッチ・アファナート(岡幸二郎)
 ウーラ:アイダ・カーティス(彩輝直)
 ロジャー・デ・ブリ:スチュアート・マーランド(藤木孝)
 フランツ・リープキンド:ビル・ノルティ(桑野信義)
 ホールドミー・タッチミー:デニース・ノリン(松金よね子)

 「なんて難しいミュージカルなんだろう」と思いながらの観劇でした。哲学的だとか、音楽が複雑だとか、そういうのではなく、作品の凝り具合が、です。あまたあるミュージカル作品のパロディ集とでも言ったら良いでしょうか、劇中に登場する作品名なんて「フォービドゥン・ブロードウェイ」も真っ青なおちゃらけ具合なので、装置が目に飛び込んでくるだけで僕は爆笑。おまけに、台詞がねぇ、これまたミュージカル界の小噺をもじったものだとか、ミュージカル俳優の過去の名言・迷言で遊んだものが多いので、お腹の筋肉がよじれてしまいました。さらに、ニューヨークならではのキツイジョークだとか、地理ネタも入り混じっていて、同行者は「意味がわからない」と寝ている横で一人笑い転げている僕は、まるでワライダケを食べてしまった怪しいオッサンでしたよ。宝塚のようなハデハデしい美術に惑わされてしまうけれど、ミュージカル・オタクによる、ニューヨーカー向けのコメディなのではないでしょうか。それでも、字幕担当が台詞をあれこれいじって、コメディとして成立するよう頑張っていましたが、残念ながら笑いが少なかった気がします。というか、予備知識がないと、なぜこの台詞がおかしいのかがわからない意地悪な作品なので、ミュージカルに通いつめてない人だと面白さは半減ではないでしょうか。僕は割とミュージカル公演に足を運んでいるほうだと思うのですが、脳みそフル活動でした。とはいえ、そんな予備知識がなくとも、作品が楽しめてしまうのがこの作品の凄いところ。ミュージカル・コメディにかける情熱はさすがの国ですね>アメリカ
 ということで、登場人物はさほど凝っていません。ある程度パターン化した人物ばかり。そんな中、細かな振りや演技で笑いを取るのですが、笑いを役者の演技だけに頼るのではなく、照明だとか、装置も一緒に盛り上げの一端を担っていて、演出家って凄い仕事だよなぁ、と感服いたしました。まさに各パーツの組み合わせの妙技。一つ一つは大したことがなくても、その組み合わせや膨らませ方によって、2時間半もの長時間、舞台をだれさせず、観客の興味をひき続けるのですから、並大抵の才能じゃできませぬ。主演の二人は、オリジナルキャストのネイサンやマシューのような、強烈なスターオーラはないものの、きっちりと舞台をまとめていました。でも、彼らがブロードウェイで大スターとして活躍する日は……なさそう。でも、2000人の観客のハートを鷲掴みにするような迫力だとか、サービス精神というものをあまり感じず、ちょっとサラリーマン的舞台と感じてしまいました。も少し、舞台上で暴れて欲しかったなぁ。
 さて、間もなく日本版の舞台が幕をあけるのですが、中年が主役の作品なのに若者を主演に据えることによって必要となるであろう脚色だとか、アメリカと日本の文化の違いに基づく台本の処理だとか、どんな作品に仕上がるのか、今から興味深々。なお、ネイサンとマシューがそのままスクリーンにシフトして撮影された映画版も公開予定なので、色々見比べてみるのも面白いかと思います。そういえば、ネイサンもマシューも映画と舞台を行ったり来たりの俳優ですね。どちらにいても安心と信頼のブランド。舞台でも光り輝くし、映画に出てもスクリーンからはみ出すわけでもないし、凄い方々です。
 あ、今回の公演は千秋楽とあって、客席はスタンディング・オベイションになったのですが(主役の個性や、作品がどの程度観客に理解されたかはともかく、公演としては良くまとまっていたと思います)、タイムテーブル通り、15:15に終演。観客一同もそそくさと帰り支度。ちょっとあっけなかったかなぁ。それにしても、厚生年金って、エントランスこそ、電飾ピカピカの宝塚のような大階段が迎えてくれるのでゴージャスな気分ですが、ロビーはないし(廊下だけ)、客席は暗いし薄汚れているし、舞台は観づらいし、あまり好きな小屋じゃないんですよね。かといって、長期間利用できる小屋もそうそうないでしょうし、難しいところです。青山劇場や日生劇場だと小さいし、新国クラスの劇場がミュージカル用にあると良いのですが。。。


2005年07月27日(水)19:00-21:35
アメリカン・バレエ・シアター「ドン・キホーテ」@東京文化会館

 D席 7000円 5階-1列-15番 (パンフレット:1500円)
 指揮:デイヴィッド・ラマーシュ
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 キトリ:ジリアン・マーフィー
 バジル:ホセ・マヌエル・カレーニョ(イーサン・スティーフェルの代役)
 メルセデス:ヴェロニカ・パールト
 エスパーダ:デイヴィッド・ホールバーグ(ゲンナジー・サヴェリエフの代役)
 ドン・キホーテ:ギョーム・グラファン
 サンチョ・パンサ:アレハンドロ・ピリス=ニーニョ
 ガマーシュ:フリオ・ブラガド=ヤング
 ロレンソ:アイザック・スタッパス
 森の精の女王:ミシェル・ワイルズ
 キューピッド:マリア・リチェット

 大好きな大好きな「ドン・キホーテ」です。おまけにABT。期待に胸膨らませながらいざ東京文化へ。が、なにやら入り口の張り紙の前に人だかり。嫌〜〜〜な予感がして人ごみを押しのけて近づいてみれば「代役のお知らせ」。それも、お目当てだったスティーフェルが休演だぁ!? でも、マーフィーは予定通りだし、「代役」と呼ぶには恐れ多いカレーニョが登場だし、と気を取り直して客席へ。
 「ドン・キホーテ」は古典作品ではありますが、バレエ団によって使用するヴァージョンが異なり、上演幕の順番も違えば、ストーリー展開も別物となります。ABTはドン・キホーテとサンチョ・パンサの比重が大きく、ストーリー性の強い演出でした。そして、コールドバレエはさほど重用されていませんし、レベルもイマイチ。ちょっと前に見たロイヤルもコールドは大きな出番は与えられていませんでしたが、群集芝居はきっちり行われていたのですが、ABTともなるとスターダンサーで見せるスタイル。ロンドン・ミュージカルとブロードウェイ・ミュージカルの違いとでも言いましょうか、結構お国柄って表れるものですね(新国バレエ団、東京バレエ団、牧阿佐美バレヱ団はソリストもさることながら、群舞が売りの部分があります)。
 ということで、キハーナ老人が冒険の旅に出るまでのプロローグから賑やかなセヴィリアの街への転換があまり鮮やかな印象を受けませんでした。群衆のエネルギーがないんです。一人一人がちゃんと演じているのですが、なぜだかダラダラした人たちで「ドンキ」ならではのエネルギッシュな幕開きを感じられないのです。思わず「もしやハズレの公演では!?」と焦りまくり。が、いざソリストが登場するやいなやいきなり活気付きます。主役陣のスターっぷりは並大抵のものではございませぬ。日本のバレエ団だと、ソリストとコールドとのちょっとした芝居のやり取りなんかがあったりするのですが、ABTの場合は「私"だけ"を見なさいっ!」という光線がビシバシ。実際、彼らしか目に入らなくなるので、コールドのみなさんにはゴメンナサイして、ひたすらスター芸を堪能。「ドン・キホーテ」自体、超絶技巧の連発なので、この作品に関してはスターさえ良ければ満足できます。そういえば、群集芝居色の大きな作品を持ってきたロイヤル、スターがいてこその作品を持ってきたABT。。。さすがです。
 さて、キトリのマーフィーですが、彼女の踊りはビシバシと見得を切りまくるタイプではなく、ふんわり柔らかなタイプ。宝塚でいうと、男役の踊りではなく、娘役の踊りとでも言いましょうか。ということで、登場時のインパクトはさほどないのですが、超絶技巧をあまりに軽々と演じてしまうのにビックリ。「今、凄いことしてるのよ」なんて空気は全然なく、涼しい顔をしてウルトラCを連発。街娘というよりもお姫様タイプなのかしらん? 汗だとか努力などは全く感じさせないのはお見事!
 バジルのカレーニョは見るからに力持ち。日本人ダンサーではお馴染みの筋肉で太くなった足からも想像できるように、細かなステップは僕好みの鮮やかさは感じられませんでしたが、ジャンプだとかリフトの安定感は現在の男性ダンサーの中ではダントツではないでしょうか。一幕に登場する片腕でプリマを持ち上げて静止するリフトなんて「拍手、、、しても良いんだよね?」と一瞬考えてしまう程で、ヒョイって軽々しくマーフィーを持ち上げてしまうのです。スピンだって砲丸投げではありませんが、クルクル回ってどこかに飛んでいってしまいそうな迫力。
 ただね、メトもステーツシアターも巨大な劇場なせいか、NYの観客の好みのせいか知りませんが、やたらと説明過多なんです。コメディってちょっとした間がずれると途端に野暮ったくなるでしょ。そんな感じ。ということで、多分、ABTのスタイルは僕の好みじゃないのかな、という印象を受けました。スターダンサーはさすがに揃っているけれど、演出と群舞、衣装や装置に関してはさほどパッとしなかったので。。。ま、食べ物だって気候や風土が大きく影響するのですから、NYでABTを観るとまた違う印象を受けるかもしれませんね。次回はNYで!!


2005年07月30日(水)19:00-21:45
音楽座「21C:マドモアゼル モーツァルト」@PARCO劇場

 B席 6300円 N列-32番 (パンフレット:1500円)
 演出:ワームホールプロジェクト

 モーツァルト/エリザベート←凄い並び!!:新妻聖子
 サリエリ:広田勇二
 コンスタンツェ:中村桃花
 カテリーナ:浜崎真美
 レオポルト:園岡新太郎
 シカネーダ:藤田将範
 フランツ:丹宗立峰  ウェーバー(コンスタンツェの母):新木りえ

 キャストを一新しての久々の上演です。帝劇の「モーツァルト!」が結構ヘヴィな作品なので、コミカル色の強い「マドモアゼル・モーツアルト(MM)」を心待ちにしていました。主要ナンバーはほとんど頭に入っているし、今か今かと心待ち。
 が、幕が開いていきなり違和感。アジアだか中東だかわかりませんが、いきなり戦争シーン。それも民間人が惨殺されるもの。「もしや劇場を間違えた!?」と勘違いしてしまいそうなオープニング。その後もこの戦争の場面が何度か登場するのですが、本筋には全然関係ないし、とても違和感がありました。パンフによると「なぜ21世紀にMMを上演するのか」を検討したとのことですが、余計な事は考えないでいただきたいですっ。劇場に笑いと幸せを求めて行ったというのに、よりにもよって戦争物。。。それと、今まではサリエリはモーツァルトが女か男かわからない、という設定だったのに、今回はあっさりと「女だ」ということを見破ってしまうので、ドラマの盛り上がりも欠けてしまったのが残念。
 さらに、音楽が全曲書き直されていて、クレジットからも小室哲也氏の名前が消えていました。チラシを良く確認しなかった僕も僕ですが、ミュージカルの要とも言える音楽が全然違うことについては、もっとはっきり告知していただかないと困ります。MMの権利を横山氏〜ヒューマンデザインで争っていた裁判の判決がおりて、ようやく上演できたというのに、全然違う作品を持ってくるなんて、あぁブツブツ(怒) いえね、今回の音楽の○○氏は今までも音楽座ミュージカルに関わっている人ではありますが、小室さんの音楽とは天と地ほどの差がありました。とにかく盛り上がらないんです。一幕が終わった時点で、客席のあちこちから「つまらない」という感想が囁かれた程。実はこの日は終演後に知人と待ち合わせをしていたのですが、一幕終了した時点で「つまらないからもう劇場を出ます。待ち合わせ時間を早めてください」と連絡してしまった程。「とりあえず最後まで見ろっ!」と説得されなければ途中退場でしたわ。
 そんなこんなで第ニ幕も観賞しましたが、こちらも盛り上がらないんですよねぇ。思うに、主演の新妻さんがモーツァルトのニンじゃなかったというのが大きいかも。真面目な優等生という雰囲気なので、茶目っ気だとか遊び心などについて表現が苦手みたい。そして、エポニーヌやキムのような地声を張り上げる歌唱は素晴らしいけれど、クラシカルなナンバーは苦手みたい。もっとも、彼女に限らず、どのキャストもいっぱいいっぱいで舞台に余裕がなかったので、余計に息が詰まる気分になってしまったのかもしれません。コメディって余裕があってこそ客席を笑わせられるんだな、と再認識。
 あ、でもね、エリザベートがサリエリに別れを告げに行くシーンは情感があって好きでした。ニ幕も、劇場に留まって良かった〜。二人とも「モーツァルト=エリザベート=女」だとわかっているんだけれど、決してそれを口にせず、それでいて、お互いの立場を理解し、別れを認め合うという素敵なシーン。今後もモーツァルトとサリエリは顔をあわせ、ライバルとして仕事をしていくんですよー。それにもかかわらず、今後二人は決して口にしてはならない秘密を抱えて接しあうことになるのですから、非常にドラマティックな場面でしょ。この部分は「ばらの騎士」に繋がる、ウィーンっぽい大人のお遊びの終わらせ方を感じました。ま、涙ちょちょ切れの前にあっさりと次のシーンになってしまったのが残念です。


2005年07月31日(日)13:00-16:30
東宝「モーツァルト!」@帝国劇場

 A席 8000円 2階-F列-6番 (パンフレット:1600円)
 演出:小池修一郎

 ヴォルフガング・モーツァルト:中川晃教
 コンスタンツェ(モーツァルトの妻):木村佳乃
 ナンネール(モーツァルトの姉):高橋由美子
 ヴァルトシュテッテン男爵夫人:香寿たつき
 コロレド大司教:山口祐一郎
 レオポルト(モーツァルトの父):市村正親
 セシリア・ウェーバー(コンスタンツェの母):阿知波悟美
 アルコ伯爵:花王おさむ
 アマヌエル・シカネーダー:吉野圭吾
 アマデ:高橋愛子

 昨日よりコンスタンツェとヴァルトシュテッテン男爵夫人が新キャストに入れ替わりました。チケット購入日を間違えたので、本来ならば昨日がモーツァルトDayになる予定でしたが、日をまたいでの観劇になりました。前評判通り、木村さんの歌はイマイチ、香寿タータンの歌はお見事でした。でも、木村さんの芝居はかなり面白く、あっけらかんとした雰囲気だとか、台詞の鋭さの意味では、三人のコンスタンツェ(松たか子、西田ひかる、木村佳乃)の中では一番雰囲気に合っていた気がします。中川アッキーとの並びもお似合い。彼女は、もう少し強い声で歌えれば、もっと色々な作品に出られるでしょうに。どうしても素人の歌、という印象(発声が変なんです)はウィークポイントですね。。。とはいえ、二回目の本番とは思えない共演者との絡みぶりや、堂々とした態度はナカナカの大物かもしれません。タータンはすでに大阪公演で登場していたということもあってか、安心して観ていました。前任の久世星佳が歌が苦手ということもあって、ナンバーを楽々と歌いこなす姿に「やっぱりミュージカルは歌える人が良いなぁ」と再認識。(久世さんファンの人、ゴメンナサイ。でも、彼女は彼女で別の道が良さそう。。。)。演技の細かさでは久世さんの方が上ですが、歌い上げてナンボの部分ってありますでしょ(コロレドの祐さんもあの歌声だからこそスターでいられる、、、みたいな)。タータンは元男役とはいえ、女性度の高いスターだったので、今回のような役はピッタリ似合いますね。
 さて、タイトル・ロールの中川アッキーですが、絶好調ですね。モーツァルトという天才を演じるには、井上君だと「努力の人」色が強くて違和感がありましたが、自由気ままに生きるという面においてアッキーだとピッタリ。わがままでお子ちゃまなヴォルフガングに言動にムカツクか共感できるかは、結構この部分の資質が大きく影響するかも。モーツァルト役のナンバーもロック系だったりリズムが複雑だったりするので、彼の歌唱の方が僕にはしっくりきました。(それにしても、音大出ている人に限ってリズム感が悪いのは何故だろう!?!?)。そして、市村さんや山口さんを初めとする、一枚看板をはれるベテランに囲まれながら、しっかり中川主演!という貫禄があったのには舌を巻きました。いつの間にこんなにしっかりしちゃったんでしょう!? 決して誰かが手を抜いていたという舞台ではないのに、中川君のカラーが舞台を支配していました。この点において、井上君とは大きな開きが出来てしまった印象を受けています。ま、彼の場合は今後ミュージカルに関わるとしても、作品や役を選ぶことになるでしょうが、今回のようにニンに合った役に出会えると凄いことになるかもしれませんね。