観劇日記〜2005年09月〜
02日(金) 12:00 宝塚歌劇団花組「Ernest in Love」 日生劇場
02日(金) 18:30 劇団四季「アスペクツ・オブ・ラブ」 自由劇場
12日(月) 13:00 東宝「エリザベート」 帝国劇場
15日(木) 11:00 東京藝術大学
「2005年度 第12回 奏楽堂 モーニングコンサート」
東京藝術大学奏楽堂
16日(金) 13:30 宝塚歌劇団雪組「霧のミラノ」「ワンダーランド」
東京宝塚劇場
16日(金) 19:00 東京都交響楽団「第613回定期演奏会」
東京文化会館
20日(火) 10:35 映画「ルパン」 テアトルタイムズスクエア
20日(火) 16:00 新国立劇場オペラ「ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー」 新国立劇場オペラ劇場
24日(土) 13:00 東宝「エリザベート」 帝国劇場


2005年09月02日(金)12:00-14:45
宝塚歌劇団花組「Ernest in Love」@日生劇場

 S席 7000円 2階-D列-47番 (パンフレット:1000円)
 演出:木村信司

 アーネストことジャック・ワージング(ハートフォードシャー育ちの貴族):樹里咲穂(月組:瀬奈じゅん)
 グウェンドレン・フェアファックス(フェアファックス家の令嬢。アルジャノンの従兄妹):遠野あすか(彩乃かなみ)
 アルジャノン・モンクリーフ(ロンドン生まれ、ロンドン育ちの貴族):蘭寿とむ(霧矢大夢)
 セシリイ・カデュー(ジャックが後見人を務める娘):桜一花(城咲あい)
 ブラックネル(グウェンドレンの母):出雲綾(専科)
 レイン(アルジャノンの執事):高翔みず希(光樹すばる)
 パーキンス(ジャックの執事)/チャジュブル(牧師):悠真倫(越野リュウ)
 アリス(メイド)/プリズム(セシリイの家庭教師):花純風香(瀧川末子)

 7月の月組公演は、トップコンビのプレお披露目として、肩の力の抜けた気楽な公演、今月の花組公演はサヨナラ公演として「何が何でも当ててやる」という空気すら感じるちょいと力んだ公演、という印象を受けました。ま、月組は楽近かったし、今回の花組は昨日が初日なので、その差もあるんでしょうね。役数も場面も少ない作品なので、7月の梅田芸術劇場はもとより、日生劇場でも小屋が大きすぎとは思いましたが、宝塚ならではのショーアップによって、どちらの公演も盛況で何より。劇場も出演者も違いますが、演出はほとんど同じで、冒頭で舞台上のオーケストラが鳥かごのようなセットに閉じ込められる大阪に対し、はじめから鳥かごに閉じ込められている東京(日生劇場はタッパがないので吊っておけないのかと思われます)という程度でしょうか。個人的にはバウホールで丁度良い作品かと思って観ていましたががいかがなものでしょう?
 さて、この作品はオフ・ブロードウェイ・ミュージカルとはいうものの、イギリスの階級社会だとか、当時の風俗に関するトピックスがわんさか登場するお話なので、直訳調の台本が残念。きゅうりサンドといい、名前といい、日本の観客にもっとわかりやすい味付けがあっても良かったんじゃないかなぁ。どうも宝塚のコメディというのは、緻密な台本に基づくものではなく、出演者のキャラクターだとか、関西風の「お笑い」に走ってしまうので、個人的には違和感が先立ってしまい、面白くないことがほとんど。今回も、全体的に生徒の芝居に一任しているような脚本・演出でして、お披露目の瀬奈じゅんも、サヨナラの樹里咲穂もやりにくい部分があったとは思いますが(樹里さんなんて最後の作品なのにキーが合わなくてとても歌いにくそう!)そんな中、演出家の要求に応えていた二人は検討賞モノ。そして、アーネストと一緒に縦横無尽に活躍していたので、アルジャノン役の霧矢大夢と蘭寿とむ。霧やんは突っ込み系の芝居で、蘭とむはボケ系の芝居で、同じ台本にもかかわらず、まったく違う約作りをしていたのが面白かったです。短期間に別座組による上演ともなると、ついつい比べてしまうものですが、男役陣に関しては、それぞれ個性を生かした役作りでなかなかの好演。主演者との息もピッタリで、自分の見せ場はキッチリ押さえつつも、主演者の邪魔はしないという見事なフォロワーぶりでした。蘭寿君など、いつの間にか、台詞や歌を押さえた声でこなすことができるようになり、かなり聞きやすくなっているのが嬉しい。
 対して、娘役ですが、月組のメンバーが見た目に美しさや、芝居においての感情表現の豊かさ、物腰の落ち着き、品の良さで圧勝。花組はねぇ、、、あすか嬢は相変わらずの大根ぶりで、台詞の間も悪ければ、感情表現もなしの棒読み。何よりも、貴族としての品位がなくて、下品な渋谷にでもいそうな姉ちゃんなのにはマイッタ。桜一花は厚化粧の少女という不気味な出で立ちでまずは大損(衣装もちんちくりん)、そして彼女もお嬢様というにはお下品な歌と芝居。ジャックやアルジャノンが彼女たちに惚れるのに納得がいかないのでは、御伽噺としては致命傷。あ、月組から続演の出雲たきは歌に芝居に大活躍。声の通りの良さや、存在感の大きさはさすが。彼女が登場すると、劇場の音響が急に良くなった気がします。たきちゃんは、月組はすんなり馴染んでいたのですが、花組に来ると実力がありすぎて目立ち度がUPしていた気がします。。。ちなみに、「ハンドバッグ」のシーンと、フィナーレでの歌唱は絶品でした。


2005年09月02日(金)18:30-21:00
劇団四季「アスペクツ・オブ・ラブ」@自由劇場

 A席 8400円 1階-14列-21番 (パンフレット:1200円)
 演出:浅利慶太

 ローズ・ビベール:保坂知寿
 アレックス・ディリンガム:石丸幹二
 ジョージ・ディリンガム:光枝明彦
 ジュリエッタ・トラバーニ:大鳥れい
 マルセル・リチャード:喜納兼徳
 ジェニー・ディリンガム:紗乃めぐみ
 ヒューゴ:青山祐士
 エリザベス:武木綿子

 ん〜〜〜、ヨーロッパの貴族のお話を上演するには四季って向いてないですねー。リッチな感じを表現するのが苦手な団体なので。。。保坂知寿も「大女優」には見えず、せいぜい「大女中」といったところ。ま、保坂知寿も石丸幹二も四季の中ではスターだけれど、外部でも看板スターでいられるかとなるとまた別問題でしょうし、違和感感じまくりの公演でした。これは初演時から変わらず。  が、そこに加わったのが大鳥れい。宝塚在団中は「庶民派トップ」と言われた彼女ですが、四季に来ればそれでもゴージャス。決して歌やダンスの上手い人ではないのですが、上手に見せてしまうツボを心得ているのはさすがトップ経験者。年齢はともかくとして、資質としては、保坂知寿と大鳥れいは役を逆にした方がしっくり来るような気がします。  光枝明彦は四季としては貴重な中年〜老年俳優で、あちこちの作品で使われまくるだけあって、さすがのバイプレーヤーぶり。でも、彼も保坂知寿よろしく「貧乏ったらしい」ので、モテモテの好男子であるとか、生活感のない貴族というには違和感が。だって、先頭を切って畑を耕してしまいそうですもの。石丸幹二は、苦手だった高音も楽々ではないけれど、しっかり出せるようになり、主題歌も絶叫せずに歌い上げていたのが嬉しい。でも、そろそろ年齢的に(四季内では得に)アレックス→ジョージに役をスライドさせても良い時期かも、と思いました。保坂知寿と並んでもさほど年の差を感じないのと、、、学生時代の若作りが痛々しい。。。紗乃めぐみと青山祐士はまだまだ素人の域。  この作品は数人の奏者による室内楽が魅力だったのに、今回はカラオケ公演。おまけに、演奏人数が増えているような響きで、作品から醸し出す雰囲気まで変わってしまっていました。音響……悪かったです。


2005年09月12日(月)13:00-16:10
東宝「エリザベート」@帝国劇場

 A席 8000円 1階-X列-25番 (パンフレット:1600円)
 演出:小池修一郎

 エリザベート:一路真輝
 トート:内野聖陽
 フランツ:鈴木綜馬
 ルキーニ:高嶋政宏
 マックス:村井国夫
 ゾフィー:寿ひずる(初風諄の代役)
 ルドルフ:パク・トンハ
 ルドヴィカ:春風ひとみ
 マダム・ヴォルフ:伊東弘美
 エルマー:藤本隆宏
 リヒテンシュタイン:小笠原みち子
 少年ルドルフ:笘篠和馬

 久しぶりの内野トートです。足が、足が、、、シークレットシューズをはいても短いっ。かつての腰履きパンツの高校生みたい。。。えっと、彼の歌は相変わらずリズムも音程も怪しいんだけれど、初演の頃のような恐る恐るのものではなく「俺ってシンガー」って見栄を張って歌ってて別人! 一幕では大ナンバーが多いので、さすがに小ささが目立ってしまいましたが、二幕に入ったらまるで別人。蛇のように獲物に定めをつけたら、躊躇せずに襲っていくという、怖〜いトート閣下でした。あれこれ回り道をせず、さっさと死のキスをしちゃうの! それでいて、エリザにだけはなかなかキスを与えないのが印象的でした。クールな出で立ちの中、目の表情だけで感情表現されててお見事!
 目といえば、どこに焦点が合っているのがわからない「見開きっぱなし」のフランツ皇帝はトート閣下とは別の意味で怖かったです。確か奇人変人が多いのはエリザベートの家系のはず。。。それにしても、トートといい、フランツといい(ついでにエリザもだけど)頬がげっそりこけててちょいと心配。ま、歌や芝居はなかなか細かくて好調なんですけどね。
 ルキーニは相変わらずです。観るたびにあれこれ言い方の違う彼の芝居が好きという人もいるのですが、僕的には駄目。必要だから言い回しを変えているのではなく、言い回しを変えるのが先にたってしまっている気がするんですよね。イタリア人の役なのに、明治座あたりで時代劇を観ているような気分になる芝居というのもちょっとねぇ。歌だって、技術のある人が音で遊ぶのは洒落っ気を感じますが、技術のない人が崩して歌うのはかなり聞き苦しいです。音域が狭いのに、歌も台詞もレンジを広く取ろうとするので、聞き取りにくいのが致命傷。
 逆に僕のツボだったのはパク・ルドルフ。前回公演で観ているはずなのに、ゴメンナサイ、ほとんど印象に残っていませんでした。多分「日本語、大丈夫?」と心配しながら観ていたので、芝居に集中できなかったんでしょうね。いやぁ、客席から見る限り品はあるし、30男の色気もあって、僕としては樹里ルドルフと並んで一番好きなルドルフ。ちゃんとおじさんしてました!
 さて、女性陣ですが、まずは今回初登場の寿イーちゃんのゾフィー。元男役だけに、低音の多いこの役の音域には合っていたと思いますが、歌のイーちゃんも第一幕は意外と苦戦。宮廷を牛耳る大きさがなく、ちんまりした印象。歌の伸びが現役時代ほどないのが原因? 見た目は貫禄あるのに。。なぁんてブーたれていたのですが、ニ幕になったら何かが取り付いたかのような芝居と歌唱。嫁には疎まれ、孫には恐れられ、息子には拒絶される哀愁が漂っていて絶品でした。私利私欲を殺して、ハプスブルク家の務めに殉じた一女性の悲しき姿でした。しきたりによって不幸になったのはエリザベートだけではない、というのがクッキリして作品としてのスケールが大きくなった気がします。このドライな感じがイーちゃんならでは。
 そんなイーちゃんに影響されてか、一路さんもニ幕に入って絶好調。彼女は孤高状態を演じさせると抜群に上手いですね。自分の周りの人間とは一線を引いて、自らをどんどん孤独へと追い込んで行くさまは圧巻です。一路さんは、気を抜くと音痴になるという悪癖があるのですが、ニ幕ではトート閣下やヴィンテッシュ嬢との歌合戦あり、あれこれ事件はおきるわで、集中が持続。かつては集中するとテンションを張って派手に叫びがちでしたが、冷静に落ち着いて歌い演じる部分を織り交ぜるので、迫力がありました。あ、順序は逆になりますが、第一幕最後の鏡の場での階段降り、元宝塚トップにふさわしい貫禄と余裕。姑(=しきたり)に押しつぶされようという姿には無理がありましたが、それに立ち向かう強さという面で、宝塚版とは違う、強いエリザベートを感じました。
 脇役ながら女性陣で感嘆したのがヴィンテッシュ嬢の河合篤子。歌唱力に関しては今回のカンパニーでピカイチ。軽〜く一路さんを食っちゃってました。ルキーニとは逆に歌に余裕があるので、皇后ごっこにも説得力があるんです。ニセモノの皇后なんだけれど、品があって、それでいて本物とは違う精神状態だというのを、大仰な芝居をせずとも歌と押さえられた動きだけで表現していて、本日のmyハイライトシーンとなったのでした。


2005年09月15日(木)11:00-12:05
東京藝術大学「2005年度 第12回 奏楽堂 モーニングコンサート」@東京藝術大学奏楽堂

 全席自由 無料 1階-11列-34番 (パンフレット:無料)
 指揮:三河正典
 管弦楽:藝大フィルハーモニア

 オーボエ:久寿米木知子(4年)
 ヴァイオリン:千葉清加(4年)

 B.A.ツィンマーマン:オーボエ協奏曲
 J.ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 二長調 op.77

 芸大に通って、各科のトップによるコンチェルトを聴いておりますが、音大における花形学部というのはピアノ科やヴァイオリン科なんだな、とあらためて認識した次第です。中・高校生になってから「芸大に行こうかなぁ」という人と、幼少時からプロを目指して、物凄い競争率を突破してきた人とは環境だとかお金のかけ方も段違い。結構、学内での階級差を体感できますよ。花形学部のトップともなると、学生でありながら、舞台経験は豊富だし、ステージマナーも自信満々、何よりも「人に見られている」という意識からか衣装やメイクの研究も余念なし。クラシックの演奏=芸術と呼ばれてはいますが、プロとしてやっていくためには「見た目も大切」というのは結構大きいかと思います。DENONのJ-CLASSICなんて、ルックス重視を堂々と前面に出している程ですし。
 ということで、割を食ってしまったのがオーボエ協奏曲。現代曲って上手いんだろうけれど面白くない、という曲が多いように思えるのですが、この曲もそんなタイプ。盛り上がるわけでなく、しっとり聞かせるわけでなく、とっても苦手。おまけに、今回のオーボエ吹きはとても地味なお方で、見た目でハッタリを効かせるタイプでもないので、、、スミマセン、ほとんど記憶にございません。
 変わって登場したヴァイオリニストは真っ赤で華やかなドレスと、美しいお顔、抜群のプロポーションで、演奏前から客席の注目を独り占め。宝塚の娘役トップとして大階段を降りてきても納得のオーラビシバシ。花總まりも真っ青です。本日のプログラムはブラームスのコンチェルトだったので、実はごっついタイプのヴァイオリニストが登場するかと思っていたのに、華奢で可愛い子が現れるものだからおじちゃんビックリ。そして、演奏が始まれば、非常に情熱的なヴァイオリンで、すっかりお気に入りになってしまいました。技術の安定度といい、表現の大きさといい、今すぐにでも東京文化に登場してもおかしくない圧巻の演奏でした。天は美貌と才能の両方をお与えになったのですね。学生ならではの自信満々の演奏は、迷いがなくて、冒険心に富んでいて、非常に聞き応えがありました。今後、プロとしてどんな演奏家に変貌していくのか楽しみです。


2005年09月16日(金)13:30-16:35
宝塚歌劇団雪組「霧のミラノ」「ワンダーランド」@東京宝塚劇場

 S席 8000円 1階-12列-68番 (パンフレット:1000円)
 演出:中村暁(霧のミラノ)/石田昌也(ワンダーランド)

 ロレンツォ・クローネ(ミラノ市職員。伯爵):朝海ひかる
 フランチェスカ・マルティーニ(ミラノの絹織物業者マルティーニ家の娘)舞風りら
 カールハインツ・ベルガー(オーストリア軍情報部少佐。子爵):貴城けい
 ジャンバティスタ・サルバトーレ(商人。元ミラノ貴族):水夏希
 ルーカ(理髪師):鈴鹿照(専科)
 ノーラ(スカラ座の職員):高ひづる(専科)
 マッシモ・バレッティ(ミラノ市評議員。侯爵):汝鳥伶
 カウニッツ(オーストリア軍の将軍):飛鳥裕
 アルド(尼僧):灯奈美
 ピエトロ・マルティーニ(フランチェスカの兄):未来優希
 エルコレ・バローネ(ミラノのジャーナリスト):壮一帆
 エンマ・シャンピオーネ(カジノのマダム。元ミラノ貴族):天勢いづる
 クリスチャン・クライス(オーストリア情報部中尉):音月桂

 「霧のミラノ」は、いきなりJ.シュトラウスによるウィンナ・ワルツ「春の声」で幕が開くので、ちょいとビックリ。オーストリア軍に抑圧されている、というのを表現したかったのでしょうが、宝塚の華やかな舞台で歌い踊られると、芝居そっちのけで楽しい気分になってしまいます。そういえば、この作品は、無駄に歌い踊るシーンが登場するので(作は柴田宥宏なので、ミュージカル処理は結構強引)宝塚ビギナーを連れてきたくない作品ともいえます。というのも、あまりメリハリのない作品なので、生徒の番手がわかってないと、主のストーリーなのかサブのストーリーなのか結構混乱してしまいそうだからです。観客優先というよりも、生徒優先という作りが、エンターテインメントとしてはどうなのかなぁ、と思いながらの観劇でした。こんな時の言い訳に用意されているのは「宝塚はプロじゃないから」というお言葉。でも、いくら生徒と呼ぼうが、研究公演だと言おうが、お金を取る限りは観客優先にしてほしいなぁ。……と、ちょっと話が険悪になってしまいましたが、ベテランはもちろん、下級生に至るまで、生徒の見せ場は用意されているので、それぞれの場面は丁寧に作られているのですが、ゴメンナサイ、僕としてはパスでした。
 このような作りの作品の場合は、圧倒的存在感のトップさんだと「座長公演」としての面目が保たれるのでしょうが、朝海ひかるが押し出しの強いスターではなく、芝居も地味なので、どうしても埋もれてしまいがち。貴城けいは水夏希導入によるW二番手という立場に発奮したのか、かなり濃くて重厚な芝居をしていて、そのやる気を感じましたが、やる気=成果となっていたかはまた別問題。そして、新参入の水夏希はというと、雪組公演に参加するのは二度目といえども、組子として参加するのは初めてにもかかわらず、昔から雪組っ子であるかのような馴染み具合にビックリ。前回公演まで出演していた宙組よりも雪組の方が似合っているかも。そして、中性的なスターが多く、大芝居にあまり縁のなかった雪組の中では目立ちまくっています。上記のような生徒配置・作品構成も相まって、やたらと派手な衣装で歌い踊ってばかりいる水君が主役に見えてしまうことも。。。でも、水君が気持ち良さそうに演じていても、それが浮いていないのは面白いですね。どうやら、共演者たちがすでに水君になつき、ファンになっているのではないかと思われます。組替直後にしてこの状態、朝海嬢、貴城嬢にはかなり良い刺激になったのではないでしょうか。
 対する娘役ですが、ヒロインとしてやたらと派手な衣装を着せられている舞風りらも、いわゆるイイ女として、美味しい娘役デビューを飾った天勢いづる(前回まで男役だったのが信じられない要旨とお歌!「ベルばら」はジャンヌで出演だろうなぁ)も、決して存在感の強いタイプではないので、物語のアクセントにはならなかったみたい。それにしても、舞風嬢の泣台詞、今回はちと耳障りでした。もっと、強い精神の人じゃないのかなぁ、この役は。
 さて、休憩を挟んでのショーは石田さんならではのバラエティショー。今回は芝居のみならず、ショーでも男役トップ3の一人一人の大売り出し。トップ娘役の舞風りらの登場場面が少ないため(石田作品は大抵娘役トップの扱いが非常に悪いです。そういえば、宙組でのショー担当はまだない・笑) 朝海・貴城・水の三人はほとんど同格扱い。よって、場面ごとのボリュームが平均化してしまい、コレという強烈なシーンがなかったかな。もっと「私が主役よ!」とスター同士が張り合うと面白いんでしょうが「仲良し三人組」というのは舞台上ではあまりよろしくないのかもしれませんね。でも、雪組には贔屓さんのいない僕としては、気楽にスターの競演を楽しめて満足です。嫌いなスターが「これでもかー」と出ずっぱりの公演よりもどんなに良いことか!(どの組かはバレバレですね)。秋の地方公演に持っていく作品であること、地方公演には貴城けいが参加しないことが決まっていることもあってか、芝居(ちなみに「霧のミラノ」は地方公演には持って行きません)では貴城>水でしたが、ショーにおいては水>貴城といった扱いでしょうか。
 このショーは石田作品恒例の銀橋に男役がズラリと並んで歌い踊るシーンから始まるのですが、これが見事にバラバラ。最初は個々に違う振り付けなのかと思ってました、数分間は。そして、トップの朝海嬢がセリからポンッと打ち上げられてからは、テーマ曲での総踊りなのですが「ワンダーランド=タカラヅカ」と繰り返すテーマ曲は客席にいるこちらがかなり恥ずかしくなるもの。こんな主題歌を堂々と歌いあげちゃう生徒たちに脱帽。個々の場面だとか美術はかなりTDLを意識したものかと思われます。どの場面も思い浮かぶアトラクションがありますもの。そういえば、TDLでの自画自賛ソングは気にならないのはなぜだろう?>自分 なお、一緒に観劇した知人によると「ジャニーズのショーみたい」とのこと。確かにっ!


2005年09月16日(金)19:00-21:05
東京都交響楽団「第613回定期演奏会」@東京文化会館

 S席 5200円 1階-7列-14番 (パンフレット:200円/無料配布)

 指揮:クリストフ・エーベルレ
 チェロ:古川展生

 ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.VIIb:1
(休憩)
 ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ハース版)

 倦怠期に突入してしばらくの「
のぶ倶楽」ですが、久しぶりに二桁の人数が集合しました。いえね、足が遠のいているわけではないのですが、のぼぉちゃんといえども、みんな冷静にコンサートをチョイスするようになっておりまして。。。公式HPが開設されたころは、当時の管理人に「私物化するな」と叱られるほど熱くなっていた僕たちもすっかり落ち着いております(今は別の方たちが熱くなっているようです)。さて、のぼぉちゃんのハイドンのコンチェルトというと、わざわざ地方遠征までして聴きに行ったのに、舞台からも丸見えの席でグーグー寝てしまったという苦い思い出があるのです。あ、観光が忙しくて、コンサートの頃には疲れ果てていたというだけですけど(汗) ということで、個人的にはちょいとリベンジ気分。昨夜のサントリー公演ではのぶ倶楽Tさんによると「あっという間だった」ということなので一同期待満々。そんな中舞台に登場したのぼぉちゃんは何だかニコニコと上機嫌。もちろん「僕たちが応援に来ているから!」と勝手に決め付けて拍手でお出迎え。そして、都響だけが演奏している部分では、お約束の「客席睨み」だの「ポケットごそごそ」だのが飛び出し、おじちゃんたちをアセアセさせてくれました。ハイドンのコンチェルトは古典作品で、オケの編成も小さいので(ということで、東京文化公演にもかかわらず、前方席を確保!)、音圧の低いのぼぉちゃんのチェロには丁度良い規模ですね。もちろん、のぼぉちゃんのチェロは大好きななんですよ。でも、コンチェルトに関してはロマン派だと無理を感じることが多いだけに、今回のように「ちゃんとソロが聞える」曲だと、かなり満足度が高いです。(ちなみに、僕がコンチェルトを聴いたことのあるチェリストってそんなにいないので、もしかしたら聞えない状態が普通なのであったらゴメンナサイ。。。) 無理しなくてもちゃんと音が飛んでくる状態で、のぼぉ節も炸裂のリリカルな音空間に満足、満足。無理している音と、楽に聞えてくる音というのでは、受けての印象も全然違いますもの。 最後に知人の感想です→→→『やんちゃなのぶお総集編』という感じで、ちょっと懐かしい気分にすらなりました。彼がすっかりおじさんになったことを除けば。
 休憩後はオケのメンバーも倍増してのブルックナーのシンフォニー。かつては「エキストラなしでマーラーが演奏できる」のが自慢だった都響ですが、財政難のあおりか、知らない顔がチラホラ。それだけに、前半のリリカルな音空間とは一転して、重厚でカラフルな音空間に変貌。一晩でマッタク違う音を楽しむことができて楽しい。ffになると音が散ってしまうサントリーと違って、東京文化はパンチのある音なので、後半に関しても、こちらの公演を選んで良かった、と自画自賛。かつてブルックナーというと重苦しくて、全曲聴くのはかなりツライ、というイメージがありましたが、今の都響は弦も管も爽やかなサウンドが持ち味なので「こんなに気楽に心地良くなっちゃって良いの?」という意外な気分で演奏を聴いておりました。聴きやすかったです。おかげで、気持ち良くホールを後にすることができました。個人的に夏休みの後ということもあってか、9月は「劇場詣新シーズン開幕」という気持ちになるのですが、久しぶりに生オケのコンサート、堪能しました。生の奏者100人が奏でる音の渦に身を任せているのって快感です。


2005年09月20日(火)10:35-12:50
映画「ルパン」@テアトロタイムズスクエア

 全席自由/前売一般 1500円 (パンフレット:600円)

 監督:ジャン=ポール・サロメ

 アルセーヌ・ルパン:ロマン・デュリス
 ジョゼフィーヌ=カリオストロ伯爵夫人:クリスティン・スコット・トーマス
 ボーマニャン:パスカル・グレゴリー
 クラリス・スビーズ:エヴァ・グリーン

 「きっと好みだと思うよ」といただいたチケットでの鑑賞ですが、ホントに好みでした。僕の趣味をわかっている人からのサプライズ・プレゼントって嬉しい! かの有名なアルセーヌ・ルパンの幼少時から50近くになるまでのドラマで、小説だとあれこれ沢山の事件にかかわるルパンですが、その中の一部分を抽出してのかなり濃いドラマです。上映時間がかなりある映画なのですが、ルパンじゃないけれど「誰を信じて良いのかわからない」人間関係なので、ハラハラドキドキしまくりの二時間。多くのトピックスを広く浅く扱わずに、ドラマとしての完成度を優先させた台本作りにぶらぁぼです。ルパンがなぜ怪盗となったのかのバックグラウンドがはっきりしているのと、恋愛設定に無理がないのとで、大変見ごたえがありました。
 お約束の宝石はカルティエが協力しているので、ルパンが獲物の宝石をチェックする場面では、客席中からため息が漏れていました。上流階級のパーティはやたらと登場するし、パリの美しい街並みや、フランスの田舎の雄大な自然の迫力など、目にも保養。そして、悔しいけれど、ゴージャスなドレスやため息ものの宝石に対して、役者が負けていないんです。日本の女優でこれだけのドレスや宝石を自然に身に着けられる人って思い浮かばないなぁ、と。フランス国宝という王妃の首飾りをごくごく当たり前のように身に着けられるあたり、フィギア・スケートの芸術点じゃないけれど、登場した時点で完敗です。
 さて、主役のルパンですが、とてもスマートな風貌なので、ゴージャスドレス集団の中に登場した時には「頼りないかも」と一瞬だけ思ってしまいましたが、まるでバレエを見ているかのような動きの美しさ、指さばき、剣さばき、おまけに女性さばきにいたるまで、非常にエレガント。野性的なのに下品でなく、ハンサムなのに甘くもなく、非常に興味深いキャラクターを造形していました。そして、彼が惚れる(惚れられる)女優陣もまことに美しく、非常に説得力のある映画と言えましょう。もちろん、ルパンが巻き込まれる陰謀の数々にかかわる謎めいたおじさんや、腹黒い人たちなど、一人一人がとても丁寧に描かれているので、面白いの何の! 目の保養をされたい方、スリルとサスペンスが好きな方、何よりもルパンが大好きな方にオススメの映画です。
 なお、上映時間がかなり長いので(予告編とあわせると2時間半近く!)着席前にはトイレを済ませておきましょう。そして、お飲み物は控えめに! ちなみに僕はお尻がかなり痛くなりました(汗)


2005年09月20日(火)16:00-22:00
新国立劇場オペラ「ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー」@新国立劇場オペラ劇場

 F席 3990円(会員割引) 4階-4列-50番 (パンフレット:800円)

 指揮:シュテファン・アントン・レック
 演出:ベルント・ヴァイクル
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 ハンス・ザックス:ペーター・ウェーバー
 ファイト・ポーグナー:ハンス・チャマー
 クンツ・フォーゲルゲザング:大野光彦
 コンラート・ナハティガル:峰茂樹
 ジクストゥス・ベックメッサー:マーティン・ガントナー
 フリッツ・コートナー:米谷毅彦
 バルタザール・ツォルン:成田勝美
 ウルリヒ・アイスリンガー:望月哲也
 アウグスティン・モーザー:高橋淳
 ヘルマン・オルテル:長谷川顯
 ハンス・シュヴァルツ:晴雅彦
 ハンス・フォルツ:大澤建
 ヴァルター・フォン・シュトルツィング:リチャード・ブルナー(トレスマン・ケールの代役)
 ダーヴィット:吉田浩之
 エーファ:アニヤ・ハルテロス
 マグダレーネ:小山由美
 夜警: 志村文彦

 名歌手≠名演出家を実感した公演でした。新国オペラ劇場というよりも、ホールオペラがふさわしいような装置(おかげで音響は良かったけれど)、個々の判別の難しいソリストたち、「合唱団」として舞台上に鎮座するコーラス。もともと演出への期待はしていませんでしたが、上演時間が6時間もかかる作品の演出としてはかなり厳しかったです。新国だからといって、自慢の舞台機構だとか、奥行きをいかせとは言いませんが、どこかのコンサートホールでもそのまま上演できるようなプロダクションっていかがなものでしょうねぇ。再演されてもパスしたいプロダクションの一つです。残念。。。個人的には美術や衣装を省略した簡素な舞台よりも、きっちり作りこんだオーソドックスな舞台が好きなので、ちょいと期待はずれでした。
 さて、歌手たちはというと外来組と日本人組との声量の差をとても感じさせられました。上手い/下手の前に、聞える/聞えないのレベル。体格の差と言ってしまえばそれまでなのですが、軽々しく劇場中に声を響かせる人たちと、絶唱しているにも関わらず声が客席まで届かない人たちが同じ舞台に立っているのは痛いものがあります。子供ミュージカルに大人が混ざってしまっているかのような印象を受けてしまいました。もしも日本人組が新人歌手たちだったらそうそう気にならないのでしょうが、今回こそ脇役で出演しているものの、他舞台では主役を張っている面々なので、余計に痛さ倍増です。。。オケやコーラスは重厚さよりも、クリアな爽やかなサウンドだったので、もしかしたら、日本人だけでキャスティングを組んだ方がまとまりは良かったかもしれません。とはいえ、ウェーバーもガントナーも低音ビシバシで気持ち良いし、ブルナーの高音はかなり僕好みで、余裕を残しつつ張りのある声を朗々と響かせていて、実に耳に心地良い歌唱でした。
 この作品を最後に観たのは1980年のベルリン国立歌劇場日本公演なので……25年ぶりの生の舞台!?!? 今回は同じ時期にミュンヘン・オペラが同じ渋谷区内のNHKホールで同じ作品を上演中ということもあってか、新国の新シーズン・オープニング作品、それもワーグナー作品だというのに、空席が目立ったのが寂しかったです。(おかげで、当日券で安いチケットを楽々購入できたのですが。。。)


2005年09月24日(土)12:00-15:15
東宝「エリザベート」@帝国劇場

 S席 13000円 1階-H列-31番 (パンフレット:1600円)
 演出:小池修一郎

 エリザベート:一路真輝
 トート:山口祐一郎
 フランツ:石川禅
 ルキーニ:高嶋政宏
 マックス:村井国夫
 ゾフィー:寿ひずる(初風諄の代役)
 ルドルフ:井上芳雄
 ルドヴィカ:春風ひとみ
 マダム・ヴォルフ:伊東弘美
 エルマー:藤本隆宏
 リヒテンシュタイン:小笠原みち子
 少年ルドルフ:笘篠和馬

 同じ作品でも役者が入れ替わるだけで全く別の印象を受けます。今回はフランツに芝居巧者の石川氏が入ったおかげで、フランツの存在がぐっとクローズアップされました。母親からは皇帝としての義務を強要され、妻からは皇帝としてではなく夫としての対応を求められ、息子には義務よりも自由をと反抗され、踏んだり蹴ったりの人生。母への愛、妻への愛、息子への愛情を素直に表現できず、時代や宮廷のありかたの変化に付いていけなかった彼の悲劇を強く感じました。可哀想で可哀想で見ちゃいられないんです。石川氏はワンフレーズの歌やちょっとした一言台詞の中に感情を込めるのが抜群なので、目立つのが難しい役なのに、しっかり存在をアピールしていて見ごたえがありました。
 そして、愛情を拒絶して、自ら孤独への道を選んでしまうエリザベート。一幕でキャピキャピしている部分に関しては「子役使った方が良いのでは。。。」と思いますが、二幕に関しては一路さん圧巻です。もともと「ゆったり感」よりも「ギリギリ感」の雰囲気を持った人なのですが、役と個性が一致して、壮絶な光り具合です。好き嫌いは別として、二幕でこれだけの雰囲気をかもし出せる人を他に思いつかないなぁ。
 僕の大嫌いな高嶋ルキーニですが、今回、舞台の近くで観た限りでは悪くなかったです。発声に無理があり、芝居がチマチマしているので、帝劇の二階席好きな観客向きではないのだな、と認識しました。今回は劇中劇ということを強調した演出なので、ますます松本幸四郎の「ラ・マンチャの男」の物真似というイメージが強いのですが、小屋にあわせて歌や台詞を響き渡らせるのって大事じゃないかなぁ、と思っております。そして、近くで見るとイタリア人テロリストではなく、日本人のひねくれオヤジにしか感じられないです。見た目はいたし方ないとして、芝居の一つ一つが明治座チック。
 痛いといえば祐さんが今回は壊れていました。ポツポツと舌足らずに歌ってみたり、声をひっくり返してみたりがいつも以上に過剰で、さらに、高音のあちこちで音を抜いて逃げちゃったりして「どうしたの?」状態。それでいて、どの曲も「声を最大に張り上げて歌い終えるぞ」という単調な歌唱なので、役の上での感情がイマイチ。感情表現の苦手な人が、声楽的に手抜きをしてしまうと、まったくもって困ってしまいます。おまけに、芝居は相手に合わせようということもなく(あ、これはいつもか)、ダンスなんて一人だけ浮いておりました。その浮き方が、竜小太郎の洋物女装がいきなり舞台に現れたという雰囲気で、正視して良いか悩んでしまうシロモノ。トート→エリザへの愛情が感じられないと話が成立しないわけでして、フランツとの対立関係をもっと出して欲しかったなぁ。どうもお客の反応ばかり気にしているみたいで、芝居に身が入ってなかったです。
 さて、初演以来久しぶりに登場の井上ルドルフですが、前回とは見違えるほど舞台で、自信を感じました。今回この役はトリプルキャストですが「俺がオリジナルだ〜」という迫力がありました。相変わらず、20歳前後にしか見えないし、軍人としての所作も頼りないんだけれど、一回り大きくなったのは頼もしい限り。「闇が広がる」では声量たっぷりの祐さん相手に絶唱を繰り広げ、今回唯一のショーストップとなったのでした。でも、個人的に、彼はまだ座長よりも、ルドルフ位のボリュームの役を積んでくれた方が嬉しいです。舞台が大きくなったとはいえ、まだ余裕がないのも事実。
 ルドルフといえば、カーテンコールで子供ルドルフと大人ルドルフがおばあちゃんのゾフィーの手を引いて登場するのですが、初風ゾフィーだと「孫に囲まれた幸せなおばあちゃん」という雰囲気なのが、寿ゾフィーだと「おばあちゃんに命令されて、しぶしぶ手を引いている孫たち」と見えるのが興味深かったです。初風さんはカーテンコールでは素の顔なのですが、寿さんはカーテンコールでも役のまま。寿ゾフィーは前回よりもさらに強く・厳しく・冷徹に♪パワーアップしていて、恐ろしさ倍増。今までのゾフィーはどこかコミカルな面もあったのですが、甘さ皆無の恐ろしいゾフィー。となると、安奈淳あたりでも出来る役じゃない?(ファンの人ゴメンナサイ〜)。