観劇日記〜2006年04月〜
02日(日) 11:00 宝塚歌劇団星組
「ベルサイユのばら〜フェルゼンとマリー・アントワネット〜」
(アンドレ:柚希礼音)
東京宝塚劇場
05日(水) 19:00 新国オペラ
「マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ」
「レオンカヴァッロ:道化師」
新国立劇場オペラ劇場
07日(金) 15:00 宝塚歌劇団花組「Appartment Cinema」 日本青年館
08日(土) 12:30 フジテレビ「ビューティフル・ゲーム」 青山劇場
08日(土) 17:00 東宝「レ・ミゼラブル」 日生劇場
11日(火) 18:30 劇団四季「クレイジー・フォー・ユー」 四季劇場[秋]
12日(水) 18:30 劇団四季「オペラ座の怪人」 電通四季劇場[海]
13日(木) 18:30 東京バレエ団「ベジャール・プロ」 東京文化会館
14日(金) 18:30 劇団四季「ライオンキング」 四季劇場[春]
15日(土) 19:10 映画「プロデューサーズ」 TOHOシネマズ市川コルトンプラザ スクリーン4
16日(日) 19:20 六世中村歌右衛門五年祭 四月大歌舞伎
「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」
歌舞伎座
17日(月) 19:00 東京都交響楽団「第625回定期演奏会Aシリーズ」 東京文化会館
18日(火) 18:30 宝塚歌劇団雪組
「ベルサイユのばら〜オスカル編〜」
(新人公演)
東京宝塚劇場
20日(木) 18:30 宝塚歌劇団雪組
「ベルサイユのばら〜オスカル編〜」
(アンドレ:貴城けい)
東京宝塚劇場
26日(水) 19:30 古川展生「チェロリサイタルシリーズT:プレイズ・バッハ」 大田区民ホールアプリコ小ホール
28日(金) 12:00 宝塚歌劇団星組「湖月わたる ダンシング・リサイタル ACROS」 サンシャイン劇場
28日(金) 18:30 東京藝術大学学内演奏会(オーケストラ) 東京藝術大学奏楽堂


2006年04月02日(日)11:00-14:10
宝塚歌劇団星組「ベルサイユのばら〜フェルゼンとマリー・アントワネット〜」@東京宝塚劇場

 SS席 10000円 2階-2列-34番 (パンフレット:1000円)
 演出:植田紳爾、谷正純

 ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン(スウェーデンの伯爵):湖月わたる
 マリー・アントワネット(フランス国王ルイ16世の妃):白羽ゆり
 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(男装の王妃付き近衛隊隊長):安蘭けい
 アンドレ・グランディエ(オスカルの幼馴染):柚希礼音
 ブイエ将軍(オスカルの上官):汝鳥伶(専科)
 マリア・テレジア(オーストリアの女帝。アントワネットの母):邦なつき(専科)
 メルシー伯爵(アントワネットの後見人。オーストリアの伯爵):未沙のえる(専科)
 モンゼット侯爵夫人(オスカルの取り巻きの貴婦人):出雲綾(専科)
 ルイ16世(フランス国王):英真なおき
 シモーヌ(フェルゼンの姉):万里柚美
 ベルナール・シャトレ(革命派の新聞記者):立樹遥
 ジェローデル(近衛少佐):涼紫央
 アラン・ド・ソワソン(衛兵隊士):綺華れい
 ロザリー(ベルナールの妻):陽月華

 本日最終日です。半年にわたって「ベルばら」に関わってきた星組なので、まさに集大成。湖月フェルゼンは今までは「歴史の波に流されるままの青年貴族」という役でしたが、今回は「さまざまな愛を学び宿命には立ち向かう」芯のある人間像を作り出したという点で新しいフェルゼン像を作り出したのではないでしょうか。フィナーレでのダイナミックなダンスも圧巻。白羽アントワネットも日に日に貫禄と安定度を出し、実に見事な女王様でした(お姫様ではない)。星組のゴージャス女役トップ路線を踏襲してくれそうで、今後に期待です。安蘭オスカルは実に女性的で、出番は少ないものの、アントワネット〜フェルゼン〜オスカルの三角関係をクッキリ表現するに足る存在感でした。今の星組の充実度をあらわす、見事なトリオで見ごたえがありました。
 でもって、吉本新喜劇みたいで実は今まで嫌いだったご夫人方の場面ですが、本日は出雲モンゼット夫人が大爆走。駄洒落にオーバーなアクション(イナバウアーまで飛び出してました)、そして素晴らしいエトワール、、、「ベルばら」というよりも「出雲綾ショー」という趣ではありましたが、はまりました。もともと大好きな生徒さんではあるのですが、ここまでノビノビと演じても浮かないのですから、彼女は宙組よりも星組の水の方が合っていたのでしょうね。たきちゃん、かむば〜〜〜っく!


2006年04月05日(水)19:00-21:55
新国オペラ
「マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ」
「レオンカヴァッロ:道化師」
@新国立劇場オペラ劇場

 F席 2992円 4階-4列-36番 (パンフレット:800円)
 演出:グリシャ・アサガロフ
 指揮:ファビオ・ルイージ
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 サントゥッツァ:ガブリエーレ・シュナウト
 ローラ:山下牧子
 トゥリッドゥ:アルベルト・クピード(クリスティアン・フランツから変更)
 アルフィオ:小林由樹
 ルチア:三輪陽子

 カニオ:クリスティアン・フランツ
 ネッダ:大村博美
 トニオ:河野克典
 ペッペ:樋口達哉
 シルヴィオ:星野淳

 決して派手なプロダクションではないけれど、新国オペラの再演物としてかなり売り上げが良かったのではないでしょうか。ネタバレしている演出なので、初演時のような感動は得られないけれど(コレはオペラに限らず劇場の宿命ですね)今回は初演とはまた違った魅力にあふれた公演でした。というのも、初演時は女声優位だったのですが、今回は男声優位だったので、同じ作品を「女性側から見るか、男性側から見るか」という面白い体験をさせてもらいました。
 「カヴァレリア・ルスティカーナ」では、「ニーベルングの指環」でのスーパーマンコンビ(スーパーマンの格好をしてたんです!)がリアルな芝居ではどんな感じになるのか楽しみにしていたんです。だって、英雄だらけの神話をドラマティックに歌い上げていた人たちが、今回はいきなりフォークソングの世界のオペラですよ(おぉぉローラ、とラブソングで始まりますし)。が、いきなりトゥリッドゥ役が交代。フランツは「愛の二重唱」だけで一時間以上歌い続けることが出来る人ですし、「道化師」には出演しているので、体力的な問題ではないと思うのですが、理由は今ひとつ不明です。して、代役(というのだろうか、この場合?)に立ったのは日本ではすっかり人気者のクピード。彼のファンは凄いですね。「カヴァレリア〜」はほとんど音楽が途切れないので、かなり拍手を入れにくい作品なのですが、強引に拍手はしちゃうわ、掛け声は飛ぶはで「ここは歌舞伎座?」状態。ま、それに見合ったすばらしい歌声でしたけど、舞台よりも客席が気になっちゃいました。引いたわぁ〜。そして、失礼ながら、トゥリッドゥが格好良くないので、なぜサントゥッツァが彼にぞっこんなのかがうやむや。根暗でしつこくて嫌な女になってしまいました。このあたり、
前回の僕の感想とは反対かも。結局のところ「ストーカーの女から逃れようと元カノのところへ逃げた男の悲劇」となってしまいました。前回公演ではオペラ界のパパイヤ鈴木(青戸知。柔らかい美声の素敵なバリトン)がミス・キャストで「熱さ」がなかったのですが、小林由樹はラテンな熱さと占有欲が良く出ていて、トゥリッドゥとアルフィオの対立が際立ってなかなか盛り上がりました。でも、奪い合うのが山下牧子……地味すぎ。
 「道化師」は日本人中心のキャストにフランツが参加しての公演。「リング」では若者っぽかったフランツですが、今回はかなりなオッサンに見えました。実年齢はいくつなんでしょ? クピードのような熱い歌唱ではないけれど、パワフルな声は実に魅力的で「笑え、道化師!」はかなり盛り上がりました。日本人歌手たちは声量こそかないませんが、アンサンブルの良さでは負けておりません。おかげで「一座」という雰囲気がかなり盛り上がっていました。それにしても、このネッダという人は結構惨めな人生ですよね。一人ぼっちの子供時代、そして拾われた先では威張りん坊のダンナ、言い寄ってくるのはさえない奴らばかり。そりゃ、性格も悪くなれば、浮気だってしたくなるでしょうよ。ちなみにこちらもヒロインがとっても地味。華のあるプリマ、出てきて欲しいなぁ。。。


2006年04月07日(金)15:00-17:35
宝塚歌劇団花組「Appartment Cinema」@日本青年館

 B席 5000円 2階-H列-11番 (パンフレット:600円)
 演出:稲葉太地

 ウルフ(ホテルコンチネンタルに宿泊する謎の男):春野寿美礼
 アンナ(アイドル女優):桜乃彩音
 レオナード・フォスター(スタン・オコナー)(ホテルコンチネンタルに宿泊する記憶を失くした男):彩吹真央
 オーランド(ウルフの弟分):真飛聖
 シモーヌ(ホテルの女主人):千雅てる子(専科)
 ゴーチェ(ウルフの組織のボス):夏美よう
 アマンダ(シモーヌの友人):梨花ますみ
 メリッサ(コンスタンチンの妻):鈴懸三由岐
 パトリシア・オコナー(スタン・オコナーの妻):絵莉千晶
 コンスタンチン(青年作家):華形ひかる
 アドルフ(オンラインビジネスの経営者):望月理世

 28歳の新人演出家、稲葉太地のデビュー作品の東京公演です。歌劇団は彼のために、花組組長、副組長、トップ、二番手、三番手が出演という万全の体制でバックアップ。滅多に完売になることのない日本青年館公演が即日完売とあって、演出家冥利につきるでしょうね。実は本日はオペラグラスを忘れてきてしまったんです。(アップで見たいという人がいないのがばれちゃいますね・汗) でも、青年館の二階席は角度といい、距離といい、非常に観やすいつくりなので、オペラグラスがなくてもさほど気になりませんでした。
 今回はホテルのロビー(両脇に客室やバーが設置されている)と中庭(ホテルのセットが両脇にはけると背景画で登場)のみのシンプルな設定なのですが、舞台上でいくつもの芝居が同時進行したり、ダンスによって登場人物が過去にどんな状況だったのかを一気に見せたり、非常にテンポ良く話が進んでいきます。こういうのって「あぁ、ミュージカル♪」と嬉しくなるのですが、劇場慣れしていない人にとってはいきなりの高速モードは付いていけないみたい。確かに、観客も瞬時にして、状況を把握したり見るべきポイントを見つけなくてはならないのですから。大劇場でこの台本だとメインストーリーが弱いけれど、中劇場公演としてはなかなかではないでしょうか。ハッキリ言って、メインストーリーはどうでも良いんです。さんざん勿体つけていた癖に、二幕に入ったらあれよあれよという間に何もかもがあっけなく完結。「えっ、それで良いんかい!?」と突っ込む場所が多々ですもの。でも、春野寿美礼が貫禄と押し出しの良さを発揮して「私が主役!」というエネルギーを発散していたので、力技で作品をねじ上げていました。好き嫌いはともかくとして、さすがトップです。台詞の通りも群を抜いてクッキリ&ハッキリ。三人目の相手役となる桜乃彩音のエスコートぶりも頼もしく、なかなかの人気ぶりでした。でも、春野寿美礼は華やかなタイプのトップではなく、二番手の彩吹真央、三番手の真飛聖も揃って地味なので、この作品、数年後には忘却の彼方に去ってしまうかも(汗) そもそも、春野寿美礼はスーツ物の作品ばかりで偏りがひどくないですか!? いつもスーツ姿で苦悩している人というイメージ。今回は一幕で陽気な春野寿美礼を見る事が出来ましたが、後半はいつものパターン。ツマラン。
 さて、稲葉太地と並んで、今回注目していたのが桜乃彩音。数年前に「二都物語」が再演された時、黒木瞳が演じたルーシー役に抜擢されたにもかかわらず、ほとんど記憶から消えていたのですが、高ピーなワガママぶりがとっても素敵でした。新人トップ娘役にありがちなオドオドした様子がなく、ポンポン台詞を投げるのが気持ち良いです。前任トップとは正反対の個性なので、なかなか新鮮。歌は……噂には聞いていましたが、よくぞ音楽学校に入れた!というレベル。70年代のアイドル歌手みないな歌唱法で、今回は「アイドル女優」役なのでちょうど良かったけれど、今後の役はかなり限定されるだろうなと心配してしまいました。あ、次の大劇場公演では「オペラ歌手」なんですよね。おぉ、怖いよぉ。


2006年04月08日(土)12:30-15:05
フジテレビ「ビューティフル・ゲーム」@青山劇場

 A席 9500円 2階-E列-36番 (パンフレット:2000円)
 演出:ジョーイ・マクニーリー

 ジョン・ケリー:櫻井翔
 メアリー・マガイア:安良城紅
 トーマス・マロイ:山崎裕太
 ダニエル・ギレン:黒田勇樹
 ジンジャー・オショーネシー:脇知弘
 デル・コープランド:安倍康律
 バーナデット:遠藤麻綸
 クリスティーン・ワーナー:華原朋美
 オドネル神父:浜畑賢吉

 北アイルランド紛争を扱った政治色の強いミュージカルです。2000年9月にロンドンのケンブリッジ劇場で初演されたものの、2000年の年末に僕が観劇旅行に訪れた時には既にガラガラ。ロイドウェバーブランド崩壊のきっかけともなった作品で、この作品以降は大ヒット作もないでしょ!? もちろん、ブロードウェイにも上陸しておりませぬ。サッカーを通じて結ばれた友情が宗教の争いによってバラバラにされてしまう、という悲劇のお話なので、まだサッカーブームが今ほどではなかった当時は「日本では受けないだろうな」と思いましたし、ロイドウェバー作品日本上演支社のような劇団四季も上演しないこともあって、幻の作品になるかと思っていましたが、このたびフジテレビが主催、ジャニーズの面々の出演により日本版プロダクションの上演が実現(パチパチ)。宗教を原因とする争いの場合、結局は気持ちの問題の部分が大きいので解決をみるなんてことはそうそうないことですし(善悪がハッキリできませんし)、よくぞまあ舞台化を思いついたもんです。結局、この作品も北アイルランド紛争に関しては中途半端に終わってしまっています。何でも2005年にようやく和平も結ばれているそうなのですが、それならばエピローグでそのことを説明して欲しかった! だって、それによって余韻が全然異なりますもの。とにかく話が暗くて救いがないので、僕好みの作品ではありませぬ。
 出演者はミュージカル界ではほとんど無名のアイドルたち。音楽の訓練を受けていないので、覚悟していた通り、かなり技術点は低いです。ロイドウェバー特有の半音階を上下に行ったり来たりするフレーズの処理に苦戦しているのがアリアリ。一部キャストはもうボロボロ。普段「歌手」として鳴らしているらしい(すみません、活躍を知らないんです)キャストもキーだとか歌いまわしがまだ自分のものになっておらず、耳に心地よい域には達していませんでした。歌い上げるべき部分で声がなくなり、さらりと歌って欲しい部分は大声という、素人臭い芸や、一部の歌手はやる気がないのかささやき声での歌唱。おまけに「役者歌」として語る技術も持ち合わせいないので、まったくもって、9500円の価値はありませぬ。メインキャストの中には台詞もまともに発音できない子もいて、唖然。唯一プロの歌を聴かせたのはミュージカル畑の遠藤麻綸。声の通りからして別格でした。
 とはいえ、この舞台、結構楽しめたんです。というのも、ティーンエイジャーたちの話なので(その割にお酒飲んだり、SEXしたり、窃盗や殺人を行ったりと問題児だらけですけど)、役者の技術の上手下手よりも、勢いがあるかどうかがカギだからなんです。その時々の状況をちゃんと考えずに、一時の感情で暴走してしまう少年たちの未熟さと、出演者が未熟な芸ではあるけれど強行突破で勢いだけはある芝居を披露しているのがリンクして、非常に効果的でした。今の実力をすべて出し切って、誠実に舞台に立つ姿は倒れても倒れても立ち上がるボクサーみたいでちょっと感動的でしたよ。でも、素人芸は僕は苦手。観ててイライラするので。。。入場料分は働けっ!!


2006年04月08日(土)17:00-20:10
東宝「レ・ミゼラブル」@日生劇場

 A席 9000円 2階-I列-12番 (パンフレット:2000円)
 演出:トレヴァー・ナン、ジョン・ネピア

 ジャン・バルジャン:山口祐一郎
 ジャベール:鈴木綜馬
 エポニーヌ:笹本玲奈
 ファンテーヌ:井料留美
 コゼット:剱持たまき
 マリウス:岡田浩暉
 テナルディエ:コング桑田
 テナルディエの妻:田中利花
 アンジョルラス:岸祐二
 ガブローシュ:桝井賢斗

 帝国劇場の一時閉館にともない一回り小さな日生劇場での、それもたったの三週間の公演。東京公演としてはもっとも規模が小さな興行となりました。小さなといえば、舞台の奥行きが日生劇場は16mしかないので、回り舞台もかなり小型のものになり、装置が微妙に左右に動いたり、立ち位置が変更になったりと、リピーターにとってはあれこれ違い探しが楽しい公演でした。そして、回り舞台の直径が小さいので、結局、全場面が舞台前方数mの部分で芝居されるので、役者が近いこと近いこと。まずは視覚の違いが大きかったです。帝劇公演の時はほとんど横移動だったのが急カーブの移動になっていたり、移動距離が極端に短くなったり、何よりも回り舞台の大きさもスピードも違っていたりで、役者さんは慣れるまで大変だったのではないでしょうか。でも、帝劇の広い舞台よりも、日生のコンパクトな舞台の方が「レミゼ」には合っているのかもしれません。求心力がありましたし、何よりも音響が素晴らしいもの! 今まで、弦楽器や打楽器は帝劇のデッドな空間だと間の抜けた音しかしませんでしたが、日生劇場だと適度に残響があるので、潤いと表情のある良い音がしていました。地下鉄が走る度に轟音が響くこともなく、舞台に集中できるのも、とってもありがたかったです。出演者のささやき声も適度に客席に聞こえてくるので、アンサンブル芝居がより一層楽しめました。今後も日生劇場で公演して欲しい位です。
 出演者では山口バルジャンが大変貌。今までは「声は素晴らしいけれど無表情の人」というイメージだったのですが、今回は非常に感情豊かなバルジャンでした。声を荒げたりメロディがいつの間にかどなり台詞に変わっていたりする「役者歌」を披露する祐さんを始めて観ました。さらに、台詞の間合いの取り方が抜群に上手くなっていて、観客を思いのままに操っていたのではないでしょうか。もうこうなると他の追随を許さない圧巻の主役ぶり。「生まれ変わるぞ〜」という歌い上げからいきなりフルエンジン。ファンティーヌ、コゼット、マリウスに向けるまなざしには暖かい愛情が溢れていましたし、宿敵のジャベールに対してさえ、怒りや憎しみではなく慈愛を持って接しているので、何十回と観ている作品にもかかわらず、涙腺が緩みっぱなし。まさか、祐さんに泣かされる日が来ようとは思いもしませんでした(失礼!)。死ぬ間際に「コゼットのことは頼んだよ」とマリウスの肩をポンッと叩いて身を隠す場面なんて「自分の事は二の次で、ひたすら他人の幸せを願う」崇高な精神に感動して、喉が痛くなってしまいました。
 ジャベールのタマさんは、悪役というよりは任務に忠実な誠実な警部といった面持ちで(声が暖かいので悪役になりきれないんですよね、この人)今回の祐さんバルジャンとは素敵なバランス。追いつ追われつの関係でありながら、お互いの事を理解し、信頼している関係が垣間見られます。バルジャンとジャベールの精神が一致した時点でジャベールが命を絶つなんて「風と共に去りぬ」におけるスカーレット1とスカーレット2の関係を思出だしました(演出は「風共」の方が古いです、念のため)。バルジャンとジャベールは裏表、光と影だったんですねぇ。
 エポニーヌの笹本玲奈は公演の度に上達しているのがわかって実に頼もしい存在。まだ若いので、今後はより大きなスター性が身に付くとさらに芯が似合うようになると思います。東宝のお姫様として大切に扱われているますが、そろそろ優等生的な舞台からの脱皮を果たしても良い時期かも。まだチンマリとしてます。井料留美はどうしちゃったの?の不調状態。音はちゃんと当たらず、ヴィブラートは無駄に大きく、不安定かつ下品な歌と芝居でした。かつて劇団四季のヒロインとして活躍していた人ですが、何があったんやろか? 剱持たまきと岡田浩暉はソフトな声同士バランスが良かったです。岡田浩暉はいつのまにかスッキリと痩せていました。この二人は個々の歌よりもアンサンブルとしての歌の方が素敵です。テナルディエのコング桑田(なんちゅう芸名やねんっ!)は劇場の大きさと芸の大きさがミスマッチ。自分だけで満足してしまっている芸で、コメディリリーフとしての役割が果たせていませんでした。芝居が下手というよりも、スケールが小さすぎて「目線を飛ばすならば端から端まで飛ばせっ!」って思っちゃいました。役に溶け込んでないのも原因? アナタに欲求不満なのでテナルディエ夫人だけではありませんぜ、ダンナ。田中マダムは今まで演じていなかったのが信じられないハマリぶり。声が強靭なので、登場していきなりコゼットをどなりつける場面は怖かった〜。そして、本日のヒットといえば岸アンジョルラス。テノール系アンジョルラスだと真っ先に興奮していそうですが、声質がバリトンなので冷静な感じ。それでいて高音もしっかり出るので、重厚でいかにもリーダー然としたアンジョルラスでした。華やかさには欠けるけれど、こういう役作りもありですね。僕はかなり好きです。面白かったのは、今回はアンジョルラスのマリウスへの恋心がちゃんと表現されていたこと。ロンドン版だとハッキリとアンジョルラス=ゲイというのを表現していたりするのですが、東宝版はあまりそういうのなかったでしょ。アンジョルラスがコゼットへの恋に落ちてしまったマリウスを叱り付ける場面、戦場でマリウスをいたわる場面、マリウスが銃弾に倒れた際、我を忘れて敵陣に突っ込む場面、それぞれかなりドキドキもんの芝居を披露していました。そんなアンジョルラスへの片思いなのがグランテール。結構細かくアンジョルラスへの愛情(時には裏返しでの反抗)が表現されているし、その愛が報われないことへの切なさも無言で(お背中寂しい〜)演じられていて、ついつい目が行ってしまいました。アンサンブルの役ですが、ひっそり細かな芝居をしているカンパニーって好きですねぇ。結局グランテール→アンジョルラスの愛も、アンジョルラス→マリウスへの愛も一方通行なままなんですよねぇ。切ない。はっ、ベルばらとちょっと似てないですか!? ガブローシュは今回もアタリ。キビキビした動きと、威張りたいけれどまだ子犬みたいという立場を表現する芝居、力強い歌声、どれもこれも水準以上。
 「レミゼ」は「惨めな人々」と訳されますが、このミュージカルに登場し命を落とす人たちは、確かに惨めではあるけれど、その中で「誰かのために何かを成し遂げてこの世を去っていく人」なんですよね。達成感と信念に感動を覚えるのが素晴らしいところです。そして、それらに対して音楽の力によって、救いと昇華が与えられるのがミュージカルならではの魅力。今回は残念ながら本日限りの観劇でしたが、その中で色々考えたり心を揺さぶられたりすることができて「あぁ、幸せ」という涙が流せました。


2006年04月11日(火)18:30-21:35
劇団四季「クレイジー・フォー・ユー」@四季劇場[秋]

 C席 3150円 2階-9列-24番 (パンフレット:1500円)
 演出:スーザン・ストローマン

 ボビー・チャイルド:加藤敬二
 ポリー・ベーカー:樋口麻美
 ランク・ホーキンス:牧野公昭
 アイリーン・ロス:八重沢真美
 ベラ・ザングラー:栗原英雄
 エベレット・ベーカー:喜納兼徳
 ボビーの母:斉藤昭子
 テス:有永美奈子
 ユージーン・フォーダー:田中廣臣
 パトリシア・フォーダー:加藤聖恵

 初演からず〜っとボビー・チャイルドを演じ続けている加藤敬二。その間にポリーは保坂千寿から樋口麻美へ若返り。親子だけあって(「MANMA MIA!」で保坂千寿と樋口麻美は母娘として登場)樋口ポリーは歌い方といい、感情表現といい、保坂ポリーにソックリの芸風でした。もちろん、保坂ポリーに匹敵するとは言いませんけど。そして、加藤敬二と樋口麻美が並ぶと恋人同士というよりも親子って感じになってしまうのは致し方ないですね。肌の張りが段違い。加藤ボビーは今回が見納めになるんじゃないでしょうか。さすがにお年を感じる事が多く、力技の芝居(ポリーがボビーを持ち上げて振り回す場面など)で体が動ききれてなったり、ダンス直後のナンバーで声が出なくなったりなど、疲れが見られました。結構あちこちで省エネモードで調整しているのがわかるので、観ていてツライです。でも、ダンスは、相変わらず見ていて気持ち良いですね。細かな動きとキレの良さが健在。力の出し入れが抜群に上手いんです。振付師としてよりもダンサーとしての加藤敬二が観たかったので、久しぶりに踊り狂う加藤敬二が見られて満足満足。
 ランクの牧野公昭は僕は初めて。大柄な体躯と、硬質な声がこの役にピッタリ。お笑い度は低め。加藤ボビーとのバランスを考えたのか、アイリーンは八重沢真美が登場。ボビーもアイリーンも30前の役だと思うのですが、あらら!?高齢コンビ。八重沢真美は相変わらず台詞と歌がヘンな女優さんですが、高飛車なところと変わり身の早さが鮮やかでした。そしてダンサーなので当然なのですが、動きが綺麗なので実に華やか。でもって、今回の観劇では全然関係ないけれど、昔、加藤〜八重沢コンビで「ハンス」のバレエシークエンスがあったなぁ、なんぞを思い出してしまいました。思い出すといえば、「レミゼ」のパロディの場面では「日生劇場でCFYが初演された時は帝劇でレミゼ上演されてたから、お客さん大喜びだったよなぁ」なんてことも。ロングラン作品となると、ミュージカルに詳しいお客さんばかりではなくなるし、客席の一体感もなくなってしまうので、笑いの渦で劇場が沸きかえるなんてことはなくなるのが残念。客席もところどころで笑いは起きるものの、結構冷静。ことに僕が座った二階席は客の入りも悪く、席種の関係でお客が離れて座るので拍手もパラパラ。みんなそれぞれ作品を楽しんでいるのですが、拍手や歓声の音圧がないのです(泣)
 えっと、僕が劇団四季嫌いになった原因というのが、公演のクオリティが非常に落ちてしまったのが大きいのです。四季劇場になってからは、劇場機構の関係で装置がツアー用レベルのものになってしまったこと、オケが縮小されて響きが痩せてしまったこと、さらに一定水準以上の役者が揃えられず、ことにCFYのようなコメディ作品で棒読み芝居をされたりすると非常に白けます。今回だと男性アンサンブルがひどく、彼らは台詞だけではなく三重唱などもハーモニーが貧弱でした。ん〜〜〜、作品としては楽しいけれど、プロダクションの出来としてはもしかしたら今までのCFYと比べてもかなりレベルが落ちてます。「感動」の思い出を壊したくないがゆえに四季離れしていたのを忘れてた〜〜。
 と、冷静になると文句はあるのですが、公演中はそれでも見どころの多い作品とあって、アレコレ楽しんでました。ラスベガス大好き人間として、台詞のちょっとした部分で「あ、あのエピソードのことだ」とクスリと笑う部分も多く、結構楽しんでました。邪道の観かたといえば邪道なのですが、CFYを観ながら同じ時期を扱った他の作品(「カステル・ミラージュ」や「バグジー」の)舞台をリンクさせてみたりするのって好きなんですよ。四季ネタだと「南十字星」を観ながら「ジャワの踊り子」を、「李香蘭」を観ながら「国境のない地図」をリンクさせちゃうとか。それと、劇場が小さくなって(オケピもセットも可愛らしい)、大作をどうやって縮小するのか、というのも密かな楽しみの一つ。今回なんてほとんどブラバンの編成なので響きが段違い。あ、嫌な客だなぁ>自分
 最後になりますが、斉藤昭子が演じるボビーママですが、息子を怒鳴りつけながらも「可愛くて仕方がないわ♪」というのが台詞の端々からあふれ出ていて、すっかりファンになってしまいました。実はガミガミ屋のアイリーンや、恋に溺れず仕事は仕事できっちりこなすテスも好きな役。あ、強いオンナばかりだ(汗)


2006年04月12日(水)18:30-21:10
劇団四季「オペラ座の怪人」@電通四季劇場[海]

 B席 6300円 2階-11列-29番 (パンフレット:1500円)
 演出:ハロルド・プリンス

 オペラ座の怪人:高井治
 クリスティーヌ・ダーエ:苫田亜沙子
 ラウル・シャニュイ子爵:柳瀬大輔
 カルロッタ・ジュディチェルリ:岩本潤子
 メグ・ジリー:宮内麻衣
 マダム・ジリー:秋山知子
 ムッシュー・アンドレ:寺田真実
 ムッシュー・フィルマン:小林克人
 ウバルド・ピアンジ:半場俊一郎
 ジョセフ・ブケー:岡智

 久しぶりに海劇場に行ってきました。何度聴いても良い曲、良い作品ですねー。クリスティーヌ:苫田亜沙子、カルロッタ:岩本潤子、マダム・ジリー:秋山知子は全員知らない人だったけれど、なかなかレベルが高くて聴き応えがありました。クリスティーヌは「音を追うだけ」ではなくフレーズごとに感情がこもった歌唱でしたし、カルロッタは歌だけでなく芝居もできる人で、気位の高いプリマドンナらしさが出ていて笑いを取っていましたし、マダム・ジリーは宝塚の男役も真っ青な低音が響き渡って貫禄タップリ。まさに適材適所のトリオです。「来て良かった〜」と劇場を後にできることの喜びよ! 三人とも音大出身で、クラシックの基礎がしっかりしているのですが、声のタイプもテクニックもマッタク異なるので「人間の声ってここまで歌いわけることができるんだ」と違いを楽しむことができました。ここまで魅力的な女性像をイキイキと演じられると、舞台に厚みがあります。やはり、オンナはおとなしいお人形(ってエリザやねぇ)じゃダメです。残念組というか貧乏クジをひいたのがメグ・ジリー:宮内麻衣。一人だけ非音大卒で、アイドルのような歌唱というのもあいまって「プリマドンナ」の七重唱では悪目立ち。PA使って補強はしてあるとはいうものの、オペラの訓練をつんだ人と、バレリーナが一緒にハーモニーを作るのは難しいものです(今までのメグ・ジリー役者は凄いことしてたんですね)。
 野郎どもは「アンタいつからやってるの?」な常連メンバーだからこれまた安心。ファントム:高井治は映画版での欲求不満を払拭してくれる、堂々たる歌唱で、劇場中にバリトンの美声が響き渡って気持ち良いのなんのって。やはり、ミュージカルスターは歌唱力があってナンボのものですわ。マントさばきもだいぶ上達し、素敵なファントム様でした。どことなく「学校の先生が出演している」みたいな空気があって華がないのはあきらめてます。。。スターバリトンが誰かオペラ界から客演してくれないものかしらん。(ハンブルクで「ファントム」を観た時はヘルデンテノールのペーター・ホフマンが主演でした。CDも出ています!) ラウル:柳瀬大輔はようやく声が出来上がりつつありますが、この役に与えられたフレーズはまだ重過ぎるようで、音楽面では苦戦していました。レジェロのソプラノが「椿姫」のヴィオレッタを歌うと、第二幕で声が力尽きてしまうことって良くあるでしょ、あんな感じ。フレーズを支えきれないんです。でも、もしかしたら彼の声だけではなく訓練(芸暦)の問題もあるのかも。というのも、この作品は「ファントム専科」とでも言ってよいような、音大出身のキャストがズラリと出演していてオペラチックに歌っているのですが(パンフのプロフィール欄は二期会のものかと思ってしまう程で、芸大に国立に武蔵野etcの名前が……)、柳瀬大輔はファントム以外にもクラシックぽくない歌唱を求められる作品にも結構出演しているので、そういうことも影響しているのかも。とはいえ、さすが芸大出身のお坊ちゃんだけあって、ボンボン貴族の雰囲気を出すのは板についてます。ということで、結局のところは「ニンに合った役」なんでしょうね。あと数年したらもっと声が落ち着くかなぁ。ウバルド:半場俊一郎は、もしや、ファントム初演から出演していませんでしたっけ!? ムッシュー・アンドレ:寺田真実とムッシュー・フィルマン:小林克人も初めての役者さんたちですが(何しろファントムは一年以上観てなかったので。。。)ボケと突っ込みのような小芝居を随所で行っていて、これはmyツボ。楽しかったです。
 海劇場はタッパも舞台の奥行きもあるので、シャンデリアの昇降も迫力がありますし、舞台前面と後方とで同時に二つの芝居が行われる時も、バランス良くみえます。チケット購入時に「学生団体が入っていますがよろしいでしょうか?」と確認されたのですが、僕は初見の方々の反応を見るのも好きなのでwelcome(ただし、自分が何度も観ている作費に限る←どーせワガママですよ>自分)。僕のすぐ隣りの席からは中学生の団体だったのですが、結構お行儀が良かったし、何よりも最後の場面で感動たみたいで、女の子は結構、泣いてました。それにしても、学校行事として「ファントム」に連れてきてくれるだなんてうらやましい! 僕の高校では体育館で劇団八起座「スカパンの悪巧み」でした(あ、意外と劇団名やタイトル覚えてるもんですね。頭の中にケシゴムがある僕としては自分に感動中・笑) 最後になりますが、墓場の場面でのヴァイオリン・ソロ(パガニーニもどきのやつ)が実に素晴らしかったです。拍手したくなっちゃった。


2006年04月13日(木)18:30-20:55
東京バレエ団「ベジャール・プロ」@東京文化会館

 F席 3000円 5階-L1列-1番 (パンフレット:1500円)

 「ペトルーシュカ」
   青年:後藤晴雄
   若い娘:吉岡美佳
   友人:木村和夫
   魔術師:高岸直樹
   三つの影:高橋竜太、平野玲、中島周
   四人の男:氷室友、辰巳一政、長瀬直義、小笠原亮
   四人の若い娘:小出領子、高村順子、門西雅美、長谷川智佳子
 「ギリシャの踊り」
   大嶋正樹、古川和則
   小出領子、中島周
   井脇幸江、木村和夫
   首藤康之
 「ボレロ」
   上野水香
   大嶋正樹、古川和則、平野玲、中島周

 個人的な趣味を言わせていただくと、モダンバレエは苦手なんです。観てて「ウットリ」とならないのですもの。恐らく摩訶不思議な動きが視覚では捕らえても、脳内で拒絶反応を起こしているのではないかと。。。そのうち慣れるのかな!? 東京バレエ団は日本を代表するバレエ団として世界的な活躍を行っているのは存じておりますが、ことに無機質な作品への適応力は群を抜いていますね。個々ではなく、塊としてのまとまりが凄いです。そして、何よりも禁欲的! よって、ロマンティックなクラシカルバレエよりも、シャープなモダンバレエの方が向いているのかな。甘さ皆無で独特の雰囲気があります。ただし、ソリストの個性が弱いので「私を見てっ」タイプの人が好きな僕としては今ひとつ乗り切れないものがあります。バレエ界の劇団四季といったところでしょうか。生オケではなく、録音が好きなのも似ている。。。
 そんなわけで「ペトルーシュカ」も「ギリシャの踊り」もアンサンブル能力の高さ、ソリストの技術の安定度には感心しつつも、ソリスト=スターではないので不完全燃焼。録音演奏で音楽がしょぼかったのも影響しているかも。東京文化会館は音が素晴らしいから左右ブロックでも文句言わずに観ている部分があるんだけどなぁ。。。そんな中、登場するや否や「私とその他大勢」ぶりを発揮したのが上野水香。2月の「眠れる森の美女」では脇役でありながら主役を食ってしまったと漏れ聞いておりますが、さすが、元・牧阿佐美バレヱ団のお姫様。牧さんのところでは、現代的すぎてちょっと浮いていましたが、東京バレエは、個性といいレパートリーといい、水香ちゃんにピッタリ。水香ちゃんで「ボレロ」上演と聞いただけで期待に胸震えちゃいましたもの。実際、素晴らしい「ボレロ」でした。観客を引き付けたかと思うといきなり突き放すのは猫のようで、40人近くの男性ダンサーはべらす姿が何ともいえず格好良いんです。水香ちゃんの存在感・貫禄があまりに圧巻だったため、すみません「ペトルーシュカ」と「ギリシャの踊り」のことなんてぶっ飛んでしまいました。シャープなテクニック、小悪魔のような表情やしぐさ、スタイルの良さ。まさに「ボレロ」を踊るために生まれてきた人としか思えない。20分もの間、万華鏡のように移ろい続ける振り付けも相まって、目が釘付け。髪の毛を振り乱しながら、男たちは(そして観客も)官能の世界へと引きずり込まれたのでした。踊りが終わると同時に東京文化会館が歓声でどよめきましたヨ。まさに水香ちゃんはバレエのミューズ、日本の至宝です。今までこの作品を踊るダンサーを何人も観てきましたが、僕の中では水香ちゃんがベスト。彼女のためにオリジナル作品を作ってくれないかしらん?>ベジャールじいちゃん。


2006年04月14日(金)18:30-21:20
劇団四季「ライオンキング」@四季劇場[春]

 C席 3150円 2階-K列-10番 (パンフレット:1600円)
 演出:ジュリー・テイモア

 ラフィキ:原田真理
 ムファサ:金田俊秀
 ザズ:雲田隆弘
 スカー:野中万寿夫
 ヤングシンバ:畑翼
 ヤングナラ:林愛夏
 シェンジ:高島田薫
 バンザイ:遊佐真一
 エド:小原哲夫
 ティモン:小川善太郎
 プンバァ:川辺将大
 シンバ:李涛
 ナラ:熊本亜記
 サラビ:井田智子

 8年目のロングラン爆走中の「ライオンキング」です。最近はバスで乗り付けるような団体を劇場で見かけることがほとんどなくなりましたが、学生団体が多いせいか、四季劇場ではよく添乗員さんやバスガイドさんを見かけます。そして、スーツだけれど足元はスニーカーという先生方の不思議なスタイルは浜松町では目出ちます。ストーリーは単純だし、演出は独創的だし、ミュージカル入門にはもってこいの作品なのでしょうね。毎度のことながら、アジア各国の武術や舞踊の要素を取り入れたテイモアの演出には舌を巻きます。「百獣の王」と「武道のたたずまい」が見事にマッチして拡張高い雰囲気をかもし出すのも素晴らしい。ブロードウェイ・ミュージカルなのに、なぜか和の空気を感じる場面もあちこちに登場します。個人的には色とりどりの衣装や、力強いリズムが魅力のアフリカン・ミュージックがことにお気に入りです。そういえば、ナンバーのいくつかは昔、ポンキッキに登場していたものと同じなのですが、アフリカの民謡かなになのでしょうね。ただ、ロングランが続くうちに、すっかりジャパニーズな歌い方になってしまい、アフリカの空気を感じることはできませんでした。スタイリッシュな歌唱だとどうしても線が細くなってしまいますね。ただ、出演者の多くの声質が細く、音量もなかったというのも影響しているのかもしれません。男性も女性も声を無理して張り上げているのがアリアリなので、「ファントム」の直後というのもありますが、かなり聞き劣りしました。アフリカの地面を打ち鳴らすような声が聞きたかったなぁ。。。歌手に関しては「この人の歌をもっと聴きたい!」という方は残念ながら出会えませんでした。
 さて、シンバは子役から青年へ、そして大人へと成長の著しい役ですし、スカーは悪役の香りがプンプンとしていて見せ場もたっぷりあるのですが、僕が好きな役はムファサ。王としての貫禄タップリに登場しておきながら、権力をかさに着ることなく、シンバに対しても「可愛くて仕方がない」という表情を見せるのがカワイイ。そして、甘やかすばかりでなく、帝王学もきっちり伝える良きパパ。何と二幕にて、成人したシンバがトラウマに苦しんでいると、亡霊となって現れてそれを取り除いてやるだなんて、死んでもなお息子思い。最後のクライマックス場面で、スカーやサラビがプライドロックに戻ってきたシンバをムファサと見間違えるのですが、第一幕でムファサが素晴らしければ素晴らしいほど、シンバが「そんな素晴らしい人と間違えられるほど」立派に成長したことがわかるんですよね。ここでは、パパ用の音楽をそのまま転用しているし。演出と音楽が上手くリンクして効果を挙げている場面です。
 キャストだとか芸については傷の多い公演でしたけれど、音楽と演出の良さに支えられて、最後まで楽しい時間を過ごすことができました。終演後は余韻に浸りながら、新橋までテクテク。英国庭園や芝生の広場、垢抜けたホテルのロビーなど、派手ではないけれどお気に入りのスポットがいくつか♪


2006年04月15日(土)19:10-21:35
映画「プロデューサーズ」@TOHOシネマズ市川コルトンプラザ スクリーン4

 全席指定 一般前売 1300円 H列-4番 (パンフレット:600円)
 監督:スーザン・ストローマン

 マックス・ビアリストック:ネイサン・レイン
 レオ・ブルーム:マシュー・ブロデリック
 ウーラ:ユマ・サーマン
 フランツ・リープキン:ウィル・フェレル
 ロジャー・デ・ブリー:ゲイリー・ビーチ
 カルメン・ギア:ロジャー・バート

 ひたすら公開を心待ちにしていた映画です。トニー賞受賞のチームがそのまま映画に乗り込んできたんですもの。ハリウッドにブロードウェイの空気を吹き込んだというのがこの映画の最大の特徴と言えましょう。実は、トニー賞12部門「史上最多」受賞はしているものの、トニー賞=演劇人が選ぶ賞だけあって、かなりマニアックな作品です。多々のミュージカルの名作のパロディがたくさん、劇場ならではの習慣や人間関係もバッサリ切ってしまうという思い切りの良さが身の上ゆえ、シアターゴーアーが喜びそうな要素だらけ。逆にアカデミー賞ではほとんど無視されてしまったというのは、あまりにも「ブロードウェイ色」が強かったからに他なりません。実際、昨年の来日公演では、僕はひたすら笑いまくりでお腹がよじれたのに対し、同行者は「どこがおかしいのかわからない」なんてほざいておりましたもの。もちろん、作品全体の賑々しさで初見の人でも楽しく観れちゃうハズですが。
 さて、舞台ミュージカルが映画となると「舞台に忠実に映画化する」作品と「映画用にあれこれ手を入れる」作品とに二分されますが、今回は前者。舞台版の演出&振り付けのスーザン・ストローマンが監督なので、余計なカメラワークなんぞいたしませぬ。基本的に舞台装置もそのまま踏襲してます。ダンスシーンはフルショットで振り付けやダンサーの実力がわかるように撮られていますし、細かな表情が観たい場面ではちゃんとアップになるので、まるでオペラグラス片手に劇場で観ているかのようなフィット感。観たい時に観たいように見せてくれるという、基本でありながら意外とありえない状況を実現してくれたので、それだけでこの映画化の意義があったかと思います。素晴らしかった舞台の再現・保管に関してはこれ以上の作りはありえません。出演者も映画用というよりも、舞台で歌い演じるかのようにパワー全開で熱演。主演の二人は歌や踊りの技術的には決して上手い人たちではないけれど、芝居の上手さでそれをカバー。何よりも「スターでございます」という余裕とオーラが圧巻。技術を忘れさせてしまう人=スターというのかもしれませんね。
 映画化によってネイサンの妙技「Betrayed」がいつでも好きなだけ見聞きできるようになるというのは滅茶苦茶嬉しいです。この作品の2時間分を2分位にまとめて歌い踊っちゃうのですが、歌手ではなく、俳優でもなく、ミュージカルスターだからこそ表現できるウルトラCを披露していて圧巻なのです。残念なのは、ナンバーが終わった後でショーストップにできないこと! ネイサン以外では、マシューが歌に踊りにショースターぶりを発揮していますし、気弱そうなサラリーマン役がピッタンコ(マシューっていつも同じ髪型ですよね。童顔のままだし)。ゲイリーとロジャーの演出家&振付家コンビも突っ込みを入れる余裕すらない「二人の世界」(おすぎ&ピーコを10倍強力化した感じ)。どこまで演技なのか、もしや地でいっているのかすらわからなくなってきます。みなさんスクリーンからはみ出してしまいそうな勢いで役になりきってます!!
 それにしても、馬鹿馬鹿しいことをこれほどまで「本気」で「ゴージャス」に仕上げてしまおうというアメリカ演劇界(映画界も)の豊かさと懐の大きさにはあらためて舌を巻いてしまいます。ストーリーだけだと他愛もない御伽噺なのですが、まじめになって娯楽作品に仕立て上げてしまうのですから大したものです。アメリカ人の遊びにかける情熱ってタダモノじゃないと脱帽。万人受けする作品ではないけれど、僕はかなり好きです♪ 史上最低のミュージカルを作るために、ゲイテイスト満載の作品を作ったら大ヒットしちゃった(演劇関係者はゲイが多いんです)のも大笑い。日本もアメリカも状況は一緒なのですねぇ。


2006年04月16日(土)19:20-20:40
六世中村歌右衛門五年祭 四月大歌舞伎
「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」
@歌舞伎座

 一幕見席 900円 4階-2列-13番 (パンフレット:1200円)

 福岡貢:仁左衛門 ←汐風幸のお父様
 お紺:時蔵
 仲居万野:福助
 お岸:勘太郎
 今田万次郎:玉太郎改め松江
 藍玉屋北六 実は岩次:團蔵
 徳島岩次 実は北六:芦燕
 お鹿:東蔵
 料理人喜助:梅玉

 僕の観劇は西洋かぶれのものが多いので、ちょいと思い立って歌舞伎座に遊びに行ってきました。銀座という立地ゆえか、日曜日の夜公演はチケットが取りやすいような気がします。今回もラッキーなことに通路際の席を確保。足を伸ばしての観劇(←コレ重要!)
 歌舞伎のほとんどの作品は、歴史的背景や複雑な人間関係を観客がわかっているものと見なしています。よって、日本史に疎い僕としてはチラシ裏のあらすじを一回読んだだけでは「???」なのです。しかし、今回は結構エンターテイメントした作品なので、細かな部分がわからないというのに、あっという間にお芝居に引き込まれてしまいました。ちょっとコミカルなやり取りあり。お座敷に居並ぶ豪華な衣装の面々は大奥さながらの人間模様を見せてくれます。そして、舞台が回転すればズラリと並んだお姐さんたちの群舞が展開。いじめもあれば逆ギレやヒステリーを起こしちゃう者あり、さらには派手な立ち回りまで登場するとあって、僕が歌舞伎に期待するものがギューっと凝縮されていて、退屈する暇なく終演。とはいえ、予習なし、イヤホンガイド未使用、オペラグラス忘れなので、こうして配役を書き出しつつも「誰が誰だったのか」が思い出せなかったりします。でも、あれこれ独断と偏見で勝手なこと考えながら観るのも楽しいもんですよ。実は……いまだにストーリー良く理解しておりません。ハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのかすらも不明(ぎゃぼー)
 本日のヒットは福助。彼が演じる万野は性格が悪い上にキツーイお方で、その威張り具合がとっても魅力的。舞台の上では中途半端なキャラクターよりも、クッキリハッキリしている役の方が面白いですね。本来であれば、いじめを受けている主人公と一緒に「悔しい〜」とイライラすべきなのでしょうが、ついつい「もっといじめちゃえ」と万野を応援してしまいました。独特の声色がいかにも悪役という感じで面白かった〜。相手に口を挟ませないほどの口撃の嵐や、貢がキレレれば逆ギレしちゃって啖呵を切ってしまう変わり身の早さも爽快。終始押されっぱなしの貢ですが、温厚そうでいながら挑発が続くとヒステリックに人が変わっちゃうというキャラがどこかの誰かさんと同じなので、非常に共感できます。こういう性格って舞台の上だとオモロイですね。実生活だと困りますが(汗) 仁左衛門は決めのポーズの一つ一つが実に綺麗に決まり、ツイツイ目が行く充実ぶり。いかにもお人よしな青年が「切り裂きジャック」へと変貌していくさまを計算された演技で描いていて、思わず大拍手。


2006年04月15日(土)19:00-20:50
東京都交響楽団「第625回定期演奏会Aシリーズ」@東京文化会館

 A席 6500円 1階-2列-16番 (パンフレット:200円)
 指揮:ジェイムズ・デプリースト

 ベルク:管弦楽のための3つの小品
(休憩)
 ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調(ハース版)

 昨夜、帰宅後テレビをつけたら、ベルリン・フィルのコンサートを中継していたんです。「ボレロ」と「ダフクロ」だったのですが、むしょうにオーケストラの生の音、それもダイナミックな音が希望だったので、サントリーではなく東京文化へ立ち寄り。都響の当日券を購入することに。関係者駐車場を通り抜けてホールに向かうのですが、ついついのぼぉちゃんの車を探してしまうのが僕の習性。ちなみに、本日は車停まっていませんでした。
 都響の弦セクション=サッパリした爽やかで軽い音というイメージを勝手に抱いていたのですが、今日は熱い音でした。意外だけれどちょっと嬉しい。指揮者のすぐ後ろの席だったので、何だかオケの一員になったかのような気分でしたョ。各トップは矢部ちゃん〜正哉さん〜田中さん〜鈴木さんでした。トラも多かったようで、知らない顔もチラホラ。都響らしいなと思ったのは、熱演なんだけれど、相変わらず丁寧なところ。ひたすら、弦のハーモニーに魅せられたひと時でした。中音〜低音にかけてのうねり具合が快感! ファンとしてはのぼぉちゃんが登板していないのは残念でしたが、この手の演奏にかけてはのぼぉちゃんよりも田中さんの音の方がフィットしているような気がします。そうそう、いつの間にやら管楽器も安定していて、音がひっくり返ることもなく、安心して快楽に身をゆだねてきました。
 マエストロ・デプリースト(「のだめカンタービレ」のおかげですっかり有名指揮者!?)の音楽は決して奇をてらうことなく、がっちり音を構築していく感じ。それでいて、各ソロ奏者の色気あるフレージングはそのまま生かしてくれるんです。来て欲しい場所でバシッと期待通りの音が鳴ってくれて気持ちよかったです。統率されているのに自由な空気もあり。彼が指揮をすることによって都響の音が変わった!? 両親の愛情を一杯にうけた子供が伸び伸びと遊んでいる感じ。


2006年04月18日(火)18:30-20:15
宝塚歌劇団雪組「ベルサイユのばら〜オスカル編〜」新人公演@東京宝塚劇場

 S席 4000円 1階-12列-29番 (パンフレット:無料)
 演出:植田紳爾、谷正純 新人公演担当:鈴木圭

 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ:沙央くらま(本公演:朝海ひかる)
 ロザリー:晴華みどり(舞風りら)
 アンドレ・グランディエ:鳳稀かなめ(安蘭けい/貴城けい/水夏希)
 ジェローデル:谷みずせ(貴城けい/壮一帆)
 アラン・ド・ソワソン:緒月遠麻(水夏希/音月桂)
 ジャルジェ夫人:涼花リサ(矢代鴻)
 ジャルジェ将軍:真波そら(星原美沙緒)
 ブイエ将軍:白帆凛(一樹千尋)
 ダグー大佐:衣咲真音(飛鳥裕)
 マロン・グラッセ:麻倉ももこ(灯奈美)
 ベルナール・シャトレ:宙輝れいか(未来優希)
 メルキオール:大胡せしる(壮一帆/麻愛めぐる)
 ルイーズ:愛原実花(天勢いづる)
 ジェロワール:蓮城まこと(音月桂/水純花音)

 まだ本公演を観ていないのにいきなり新人公演を観てきました。「ベルばら」は一本立て作品なので、プロローグとフィナーレはバッサリ省略。劇中もアンドレやジェローデルの場面などがカットされ、本公演では二番手が務めるアンドレやジェローデルもほとんど出番なしという大胆な構成で、文字通り「オスカル編」でした。
 沙央くらまは今まで印象に残ったことがない生徒なので、実は名前も顔も今回はじめて注目(汗) オスカル役にふさわしい中性的な男役でした。台本の作りもあるのでしょうが、終始女の子としての登場。よって、アンドレとのラブシーンは違和感がないのですが、ロザリーの愛の告白場面、いきなりレズビアンな空気になってしまい参りました。宝塚の舞台は女性しか登場しないのですから、レズビアンな空気が出てくると笑い事じゃなくなるので、何だか見てはいけないものを見ている気分に。どうせカットだらけで上演するのであれば、まっさきにこの場面をカットして欲しかったです。鳳稀かなめは登場した瞬間はあまりのスタイルの良さ、颯爽とした貴公子ぶりにノックアウトされてしまいました。いやぁ、宝塚の男役のために生まれてきたような方ですね。でも、歌いだした途端に椅子からずり落ち。一瞬ファンになりかけたけれど、急に冷静に戻ってしまいました。今回の主演コンビは沙央くらまといい、鳳稀かなめといい、声がまだ安定しておらず、今にもひっくり返ってしまいそうなフラフラしたもの。まだ男役の声ができてないんですね。って、この学年でこんな状態で良いんか!? とはいえ、鳳稀かなめは技術点を磨けば結構良いスターに育ちそうな印象を受けました。ロザリーの晴華みどりは終始泣き台詞で、フランス女性には見えなかったです。あんなにミィミィ泣くフランス人っていないんじゃない? 大学生からして日本の三十路女に見える人が多いお国柄、おまけに革命の中を力強く生き抜く女性なんだから、日本の中学生みたいなケッタイな女の子として作っちゃ変でしょ。オスカルへの告白もベタベタと行うのではなく、もっと大人の女性として迫らないと説得力がありませんわ。
 と、主演トリオは受け付けませんでしたが(新人公演だから技術的な未完成は仕方ないのかな。。。)脇役は頑張っていました。だグー大佐の衣咲真音は、新人公演ならではのお遊びを一手に引き受けて、下品なネタではなく、台詞回しの工夫によって結構な笑いを取っていましたし、本公演では専科生が担当するおじ様、おば様たち担当の生徒も、落ち着いた大人の様子を作り上げていて、安心して見入ることができました。ただ、今回の公演はイントネーションが関西風の生徒が結構多かったのですが、田舎からパリに出てきて兵隊になったのを表現したかったのか、それとも標準語の台詞がまだできないのかは判別できず、笑う場面なのか真面目な場面なのか見ていて困る部分も結構ありました。でも、新人たちの作品にかける意気込みを感じる、力強い公演ではありました。
 そんな中、本日の説教部屋行きはトランペット吹き。これぞという場面でことごとく音を外してくれました。アンドレが死にそうになりながらも必死で立ち上がる場面でヒョホ〜っと間抜けな音を出すもんだから、芝居そっちのけで思わずプププと笑ってしまいました。お笑い場面用の音を出さんといて! バステューユでもフランス国家の部分でひっくり返るし。専属で毎日吹いている(おまけに星組公演から同じフレーズ)んだから、いい加減ちゃんとして欲しいものです。プロとして恥ずかしい限りですよ。途中から、舞台上よりもオケが気になって気になって仕方ありませんでした。裏方なのに舞台より目だってどうする!!!


2006年04月20日(木)18:30-21:30
宝塚歌劇団雪組「ベルサイユのばら〜オスカル編〜」@東京宝塚劇場

 S席 8000円 1階-14列-31番 (パンフレット:1000円)
 演出:植田紳爾、谷正純

 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(男装の王妃付きの近衛隊隊長):朝海ひかる
 ロザリー(ジャルジェ家の小間使い):舞風りら
 アンドレ・グランディエ(オスカルの幼馴染みで乳母の孫):貴城けい
 ジェローデル(近衛隊仕官。オスカルの求婚者):壮一帆
 アラン・ド・ソワソン(衛兵隊士):水夏希
 ジャルジェ夫人:矢代鴻(専科)
 ジャルジェ将軍(オスカルの父):星原美沙緒(専科)
 ブイエ将軍(オスカルの上官):一樹千尋(専科)
 ダグー大佐(衛兵隊分隊長):飛鳥裕
 マロン・グラッセ(オスカルの乳母、アンドレの祖母):灯奈美
 ベルナール・シャトレ(革命派の新聞記者):未来優希
 メルキオール(衛兵隊士):麻愛めぐる
 ルイーズ(メルキオールの妻):天勢いづる
 ジェロワール(衛兵隊士):音月桂

 オスカル役の朝海ひかるが素晴らしい公演でした。それに尽きます。台本も音楽も衣装も何もかもがチグハグで椅子からずり落ちまくりでしたが、真ん中に立つ朝海オスカルがそれはもうキラキラ輝いていて、座長芝居の極みでした。話題のクレーンで動くペガサスちゃんも、舞台上にクレーンがドンッと乗っているので、帝劇などのジャニーズ公演のフライングに比べると、実に安っぽくチンケなのですが、ペガサスに乗っている朝海ひかるの表情をオペラグラスで追う分には問題なし。逆に、オペラグラスで彼女のアップを見てないとちとわびしい気分になる演出ともいえます。トップさんの力に頼りきってましたもの。多分、芝居の細やかさでは、星組版の安蘭けいの方が技術があるのでしょうが、存在がオスカルという意味では朝海ひかるが抜群の適役。バスティーユの場面だって「エイエイオー」という間の抜けた振り付けにも関わらず、力の入れ抜きが抜群で実に見ごたえがありましたし、銃弾に倒れる時のフォルムの美しさは歴代オスカルの中でも屈指のものだったかと思います。さすがダンサーだけあります。フィナーレだって、全編しょぼい振り付けで見栄えのしない中、彼女のダンスシーンだけは空気が変わるのです。トップお披露目公演の時はどうなることかと心配しまくりでしたが、実に素敵なトップさんに成長したもんです。文句ナシのオスカルさまでした。
 ということで、朝海ひかるの魅力で何となく観終わることができましたが、作品としては最悪。[ベルばら」は再演の度に新しいスタッフが加わるので、スタイルが統一されてないのです。ことに音楽なんて統一感皆無。ドリフターズが登場しそうな曲あり、酔っ払いの手拍子が似合う曲あり、こぶしのまわっちゃう演歌あり、はたまたフュージョンがあるかと思えば、お次はクラシックが登場という無節操さ。編曲だって、その曲が加わった当時のものを踏襲しているので、てんでバラバラ。フランス革命を扱った作品ではあるものの、今にもベランメェ台詞が登場しそうな音楽と台本なのです。話の流れも今すぐに江戸物にスイッチできるシロモノで、フランスの香りがしないのが致命傷。人情と泣き台詞の応酬に、思わず笑い転げてしまいました。そもそも、オスカルやアンドレが初登場したシーンは子役といえども15〜16歳。フランスのティーンエイジャーってもっと大人なんだけどなぁ。いきなり6〜7歳の役作りでの登場はとっても変! アンドレなんてヒゲ面でちょうど良い位の年齢。もっとキリリと大人っぽくしなくては。おまけに、大人になってからというのは35歳前後なわけでしょ。全体に幼すぎてます。ロザリーなんて、日本の中学生みたいな設定になってて、実に気持ち悪い。僕の身近にあんな三十路女がいたらぶっ飛ばしてます。いい年して何なんでしょアイツラ……拒絶反応。原作の池田理代子は「ベルばら」を世界に向けて発信したいというコメントをどこかで発表していた記憶がありますが、宝塚版では無理でしょう。振り付けも古めかしいし、そろそろ音楽も振り付けもリニューアルが必要かと思います。次の宙組公演「NEVER SAY GOODBYE」のように、一人の作曲家、それもできれば日本人じゃない人に全編書き直しをお願いした方がふさわしい題材だと思うのですがいかがなものでしょうね!? 題材としてはとても面白い作品なのに勿体ない。
 そんなヒドイ本にもかかわらず、生徒達は頑張っていました。数日前に新人公演を観たばかりなので、余計に上級生の芸の深さを感じましたし。上級生は男役の声と動きが出来上がっているので、オスカル×ロザリーも、オスカル×アンドレもレズビアンショーにならないのが何より。ちゃんと男と女の関係になっているので、安心して舞台を眺めることができます。中途半端な男役というのは何と気持ち悪かったことか!(普段の公演ならいざ知らず「ベルばら」は下手するとレズビアン、もしくはホモセクショナルの世界になってしまいますから)。 朝海ひかるは中世的な男役ではあるものの、ちゃんと「男役」なんだなと再認識。アンドレの貴城けいは、舞台化粧しても女性度の高い別嬪さんですが、芸はちゃんと男役。低音がしっかり出ていて、バスティーユで銃弾に倒れる場面は、前髪の逆立ち方が実に綺麗で、角度だとか仕込みの計算の確かさを感じました。ま、アンドレに相応しい庶民感や力感はおいといて(汗)いかにも二枚目な美丈夫でした。そして何より、アランの水夏希が野郎野郎していて圧巻。美味しい役を美味しく務めていました。強力な二番手が二人もいて、雪組は実に充実しています。出番は少ないのに印象の残し方はさすがです。脇役ではベルナールの未来優希が庶民感と力強さを見事に表現。フランス下層階級の空気を漂わせていました。歌やダンスも貴族たち、そして兵士たちとは別の立場というのが表現されていて、舌を巻きました。
 逆によろしくなかったのが娘役。得にロザリー。今回のオスカル編に関しては、彼女の場面は全てカットしても問題ない程なのにも関わらず、嫌というほど出てくるんです。主人たちは着たきりすずめなのに、小間使いのロザリーはやたらと衣装変えて登場するし。何よりも、ストーカー度が高くてビックリ。だって、オスカルに洗濯を頼まれれば「オスカルさまの臭いがする〜」とクンクンして喜ぶわ(臭いフェチ? 洗濯頼んだ人にこんなことされたら嫌だ〜)、いきなりオスカルとのラブシーンを妄想して何と五人ものオスカルと夢の中で踊っちゃうわ、嫁に行ったはずなのにいつの間にかオスカルの部屋に勝手に忍び込んで物陰に隠れて中の様子をうかがっているわ、あげくの果てに人妻にもかかわらずオスカルに「愛してます」と告白っ! おまけに全ての台詞が泣き口調でささやき声。舞風りらはもっとキリリとした芝居が似合うのになぁ。三十路女の役とはとうてい思えない! あの役作りはせいぜい10歳位じゃないかしらん? 役作りのおかしさを、演出家も上級生も突っ込まなかったのが不思議。オスカルのお姉さんたちも、40代位の設定のはずですが、この時代のフランス女性はもっと落ち着いていたのではないかと思うのです(って、映画などからの知識ですけどね)。35歳のおばちゃまに向かって「オスカルおねぇちゃま〜」とよびかけるルルーはいくつの役なんだろう? 日本だと幼稚園位!?!?


2006年04月26日(水)19:30-21:05
古川展生「チェロリサイタルシリーズT:プレイズ・バッハ」@大田区民ホールアプリコ小ホール

 全席指定 4000円 8列-10番 (パンフレット:無料)

 バッハ:無伴奏チェロ組曲 第4番 変ホ長調 BWV1010
 バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
(休憩)
 バッハ:無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012
(アンコール)
 デュポール:エチュード 第7番
 カザルス:鳥の歌

 ロストロおじさんにマッサン、チョン姐さんなど、著名チェリストは数いれども、僕のお気に入りはやっぱりのぼぉちゃんだ、と再認識してきました。正直なところ、音域によって立ち上がりが良かったり、全然響かなかったりという格差が激しいのと(楽器のせい?)、重厚で大きなフレーズになるとまだ力不足を感じてしまうのは相変わらず。でも、細かなフレーズの処理だとか、品良くまとめる構成についてはスゴイ才能を持っていて、何よりも「楽しかった〜」と幸せな気分にさせてくれる演奏を繰り広げてくれる点では、音「楽」家としてスゴイことだと思います。余計なトークもなかったし(あ、書いちゃった・笑)
 アプリコは初めてなのですが、一歩客席に入って嫌な予感。だって、クラシックのコンサートなのに、ホール内が絨毯敷なんですもの。ただでさえ、雑音の多い楽器なのにこれはヤバイでしょ。リハーサルはしているでしょうが、お客が入ったら(満員御礼!やったー)ますます響かなくなるでしょうし。ということで、ハラハラしながらのぼぉちゃんの登場を待っていたのですが、さっすが連戦練磨だけあって、低音部分はちょっと長めに処理してました。上手いねぇ。でも、ロマン派の曲ならいざ知らず、一泊目だけ長いバッハというのは不思議な感覚。ないものねだりですが、ヨーロッパの石造りの教会の中で、残響をじっくり味わいながら、も一度聴きなおしてみたいなぁ。あ、今回はのぼぉちゃんの腕だけに頼るのではなく、PAで補強していたようです。でも、エコーを加えることはできても、元の音が響いてないので、弓が弦をこするカチャカチャした音や、ところどころ(天海祐希の歌みたいに)ひっくり返ってしまう音、そして、のぼぉちゃんの鼻息と息継ぎがやたらとはっきり聞こえてきて、ちょっと耳障り。そんな会場や音響のデメリットを考慮してか、非常に丁寧な演奏でした。これが良かった! 今までだと、テクニカルな部分は勢いで弾いちゃうことがあったのですが、実に丁寧にフレーズの一つ一つを扱っていて、ちょっと固かったけれど、プロの技。ppで早いパッセージを処理する部分では、のぼぉちゃんのテクニックがより強調される効果が出て、聞きほれました〜。音の粒がポロポロ零れ落ちてきて気持ち良いんです。ファン冥利につきます。
 やや手探り状態の第4番の演奏に続いての第1番になると、のぼぉちゃんも会場に慣れたのか、もしくはお馴染みの曲ということもあってか、のびやか度がUP。時折微笑みなんて浮かべちゃったりして、音と戯れるのぼぉちゃんでした。半トランス状態。でも、ここでポカしちゃうのが彼らしいところで、ふと気を抜いちゃったのか、ミスがポロリ。おじちゃん冷や汗タラリ。あらら。この曲あたりから、PAの音が大きくなり、小さな会場なのにとんでもない方向から音が降ってきたりしてやや戸惑いました。
 しか〜し、休憩後の第6番では、数々の悪条件をも吹き飛ばす好演。「ねぇねぇ、ボクの音楽聴いてよ〜」って感じで、のぼぉちゃんノリノリです。チェロを実に嬉しそうに弾いてるし、聴いているこちらも「もっと、もっと♪」と思わず乗り出す面白さ。恐らくバッハの無伴奏チェロ組曲の中ではもっとも弾きにくい曲だと思うのですが、ものすご〜くさらっている様子が伺えて、どのフレーズも自信に満ちていて、音色といい音圧といい、素晴らしくコントロールされたものでした。のぼぉちゃんという存在が消えて、音が勝手に楽器から鳴り出しているみたい。ミュージカルだったらハイライトシーンとして、音の精なんぞが現れて、幻想的なダンスシーンとなるであろう高揚感がありました。演奏直後にのぼぉちゃんが「やった〜」という顔をしたが印象的!!
 恐らく、もっと地方のホールだと「メジャーなプログラムを」となったでしょう。でも、都心のホールから中途半端に離れた蒲田のホールということから、今回のようなやりたい放題のリサイタルシリーズが組まれたのかと推測しています。この後も、ソナタ特集あり、コンチェルトありと、楽しみなコンサートが続きます。ホールの企画担当者に拍手です。ここ数年、のぼぉちゃんに関しては、クラシックとポップスを一夜に演奏するのではなく、一つ一つじっくり聴かせてくれるバリバリのクラシックコンサートを待ってたのです。個人的には、もう一夜追加してでも、バッハの無伴奏チェロ組曲を全曲制覇して欲しかったところです。そして、もしも可能ならば音響の良いホールでの再演希望!!


2006年04月28日(金)12:00-14:35
宝塚歌劇団星組「湖月わたる ダンシング・リサイタル ACROS」@サンシャイン劇場

 全席指定 7000円 2階-5列-5番 (パンフレット:1000円)
 演出:上島雪夫(第1部)、荻田浩一(第2部)

 湖月わたる
 高央りお、琴まりえ、祐穂さとる、大真みらん、綺華れい、南海まり
 陽月華、彩海早矢、初瀬有花、一輝慎、鶴美舞夕、夢乃聖夏

 宝塚としては珍しいサンシャイン劇場公演。博品館劇場と大差ない大きさの舞台で宝塚が上演できるのか?と心配していたのですが、オケピをつぶして張り出し舞台にしていました。もちろん、それでもかなり舞台が狭いことには違いないのですが。今回はトップさんのサヨナライベントなのだから、もっと大きな会場を押さえることはできなかったのでしょうかね? ちなみに、サンシャイン劇場は舞台だけではなく客席もかなり狭く、二階席なんて建替前の東宝劇場もビックリのせせこましさ。まともに座ることは不可能。大また開きになるしかありませぬ。幸い、僕の席は通路に面していたので、ナナメ座りになって足を投げ出しての鑑賞。わたさんも良かったし、作品の作りも良かったけれど、疲れた〜。
 第1部は「わたるちゃん」のダンスでした。トップになってからも、これほどまでに若者役がすんなりはまる人というのも珍しいと思います。ダボダボの服だとかジーンズが気持ちよく決まる方です。そして、いかにも「トップです!」という派手派手な衣装を着なくても存在感があります。通常、高学年になればなるほど、決めのポーズ重視で、省エネモードの踊りを極めていくスターが多い中、ここまで踊るか!?というほど、力いっぱい踊りまくっていました。足が長いので、ほんの数歩移動するだけで舞台の端に到着してしまい、文字通り、舞台からはみ出しそうな状態。あぁ、大劇場のスターなんだな、と再認識。音楽は、わたさんの「青春の歌」としてJ-POPが使用されているのですが、ほとんど彼女と同い年の僕としては、元アーティストのイメージが強く、若手スターが歌い継ぐ部分ではかなり違和感を覚えてしまいました。もちろん、宝塚用にアレンジされているのですが、女性のみというパワーのなさを感じてしまうのはいたし方ないところ。じゃ、外国の曲ならば良いのか、となると困ってしまうのですが、少なくとも、ある特定のアーティストのイメージが強く浸透している曲を宝塚で利用するのはかなり危険なことではないかと思いました。聖子ちゃんなどのコンサートはもっとお金かかっていて豪華だし、何だかショボイ舞台に見えてしまうのです。そして、上島雪夫は振付師としての力はともかくとして、演出が平板で、山や谷がないため、生徒の頑張りの割に盛り上がりに欠けた気がします。やはり、演出は演出、振付は振付と役割分担を行った方が良いかと。。。
、第2部は「わたるさん」のダンス。こちらは座付演出家の荻田浩一が担当。第一部と同じ装置を利用しているにもかかわらず、その配置だとか、入退場での処理など、急にゴージャス度がUP。たった13名の出演にもかかわらず、いつもの荻田ショーの雰囲気を再現してしまったという力量に感服、上手いです。こちらではやや大人っぽい雰囲気の「わたるさん」が登場。歌にダンスに今までの男役の集大成を見せます、といった趣で、マタドールに軍服に、スーツにと、男役の定番の衣装をとっかえひっかえ着用して登場。おまけに、今回は若手中心の出演で、白羽ゆりが出演していないので、トップコンビという枠にとらわれることなく、場面ごとにナンバーにあったダンスの相手役をチョイス。中でも陽月華との場面では、ダイナミックなリフトで陽月華をブンブン振り回して圧巻でした。僕の観たいわたさんがみんな登場して、幸せな時間でした。やっぱり宝塚はレビューや!!
 今回は非常にサヨナラ色が強く「今、ここまでやっちゃって、本公演は、そしてサヨナラショーはどうなっちゃうんだ?」と次の担当の岡田敬二氏のことを心配してしまうほどでしたが、良い物を見せていただいて感謝感激。きっとベテランならではのあの手この手を考えているはず、と気持ち良く寂しさに浸ってきました。それにしても、わたさんとっても元気です。このところ、故障を抱えているトップさんが多い宝塚ですが、そんなことは全然気にする必要のないのがこんなに嬉しいものな! やっぱり舞台人は元気でなくっちゃ。豪快でダイナミックなダンス、舞台にかける情熱に溢れた、素晴らしい公演でした。組子へ見せる気配り、そして組子から返される尊敬の念が客席へも影響を及ぼし、暖かい気持ちになっての帰路となりました。改めて惚れた〜。


2006年04月28日(金)18:30-20:30
東京藝術大学学内演奏会(オーケストラ)@東京藝術大学奏楽堂

 全席自由 無料 1階-16列-2番 (パンフレット:無料)
 指揮:小林研一郎(ベルリオーズ/ベートーヴェン)、三河正典(モーツァルト)
 ピアノ:鈴木慎崇

 ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」Op.9
 モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
(休憩)
 ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 Op.92
(アンコール)
 ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 Op.92 第4楽章最後の30秒

 本年度の芸大学生オケの顔見世興行。演奏後は各パートごとに紹介と拍手という、丁寧な扱いでした。プロのオーケストラでは味わえない「選抜されたんだ〜」という自信と「やったるで〜」という勢いのある楽しい公演。8-16型という大きな編成のオケでしたが、一瞬(ソリストだらけの)サイトウキネンオーケストラかと思ってしまうような派手な弾きっぷり(特にヴァイオリン)。ベートーヴェンのクライマックスでは、ホールいっぱいにド迫力のtuttiが響き渡って、演奏が終わるやいなや「ブッラボーーー」の大歓声があがってました。オペラグラスで全体をチェックした限りでは、男性メンバーはかなりおとなしそうな子が多く、華のある人は見受けられませんでした。。もしも、のぼぉちゃんがいたらスターですよ、スター。女性メンバーは、お嬢様風でありながら、気の強さが顔に出ているお姉さんが多かったけど、キレイだったから許します(キレイなお姉さん大好き)。弦楽器群はさすが芸大。プロのオケにも負けない魅力があります。実に気持ちの良い演奏。反面、管楽器に関してはプロとの格差をかなり感じました。勝手なたわごとですが、演奏か顔のどちらかで良いので磨いてほしい。。。同行者の「この人たち(パート名は出すまい)が都響に入っちゃうとああなるのね」という発言に激しく納得(わからない方は都響のコンサートに行ってね)。管楽器は難しいんですね。
 さて、本来は全曲指揮予定だったコバケンさんですが、ヘルニアの関係でコンチェルトの指揮はお弟子さんにお任せ。ベルリオーズとベートーヴェンだけの指揮になりました。が、病み上がりだというのに相変わらず激しい指揮っぷりで、スクワットを繰り返してみたり、大きく客席に向かって反り返ってみたり、「そんなに暴れなくても」と心配になってしまう程。きっと、音楽が始まると抑えきれなくなってしまうのでしょうね。終演後はミルヒー・ホルスタインも真っ青なエロオヤジと化し、各パートのトップの人にムギューと抱きついてました。きっと若者のエキスを吸い取っていたのでしょうが、浮浪者のような風貌かつ汗だくのじいちゃんに抱きつかれる人たちに思わず同情。女性はノースリーブの人が多かったので、余計に……ね。
 ピアノの鈴木慎崇氏についてはプロフ紹介なし。結構年齢がいってそうでしたが、大学院生か何かかなぁ? 登場した瞬間、モーツァルトを弾くような繊細なピアニストではなく、大食い選手権に登場しそうな風貌の方だったので「えぇ!?」と驚いてしまいましたが、コロコロと指が良く回る素敵なピアニストでした。でも、手足も指も短く、かつブットイので、鍵盤に指が挟まったりしないのかとハラハラしちゃいました(汗) この手はピアニストとしてはどうなんでしょう? 大きさからしてかなりレパートリーが限られてしまう気もするんですけど。ミルひー小林の弟子ということだったので、三河正典氏についてはつい千秋真一を期待してしまいましたが、全然違いました。でも、ピアニストにばかり注目してしまって、全然顔も覚えてないんです。すみません。