観劇日記〜2006年05月〜
02日(火) 13:30 宝塚歌劇団雪組
「ベルサイユのばら〜オスカル編〜」
(アンドレ:安蘭けい)
東京宝塚劇場
02日(火) 18:50 映画「RENT」 東劇
03日(水) 18:00 東宝「エリザベート」初日 日生劇場
09日(火) 18:30 宝塚歌劇団雪組
「ベルサイユのばら〜オスカル編〜」
(アンドレ:水夏希)
東京宝塚劇場
11日(木) 11:00 東京藝術大学「2006年度 第1回 奏楽堂 モーニングコンサート」 東京藝術大学奏楽堂
18日(木) 11:00 東京藝術大学「2006年度 第2回 奏楽堂 モーニングコンサート」 東京藝術大学奏楽堂
18日(木) 14:00 「クラリモンド」 サンシャイン劇場
18日(木) 18:30 劇団四季「CATS」 キャッツ・シアター
19日(金) 19:00 新国立劇場バレエ団「こうもり」 新国立劇場オペラ劇場
23日(火) 11:30 古川展生&假屋崎省吾「Elegant Time Concert Vol.11」 ヤマハホール
25日(木) 11:00 東京藝術大学「2006年度 第3回 奏楽堂 モーニングコンサート」 東京藝術大学奏楽堂
26日(金) 14:00 新国立劇場「INTO THE WOODS」 新国立劇場中劇場
26日(金) 19:00 新国立劇場バレエ団「こうもり」 新国立劇場オペラ劇場
28日(日) 13:00 東宝「エリザベート」千秋楽 日生劇場


2006年05月02日(火)13:30-16:30
宝塚歌劇団雪組「ベルサイユのばら〜オスカル編〜」@東京宝塚劇場

 S席 8000円 1階-10列-3番 (パンフレット:1000円)
 演出:植田紳爾、谷正純

 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(男装の王妃付きの近衛隊隊長):朝海ひかる
 ロザリー(ジャルジェ家の小間使い):舞風りら
 アンドレ・グランディエ(オスカルの幼馴染みで乳母の孫):安蘭けい(星組)
 ジェローデル(近衛隊仕官。オスカルの求婚者):貴城けい
 アラン・ド・ソワソン(衛兵隊士):水夏希
 ジャルジェ夫人:矢代鴻(専科)
 ジャルジェ将軍(オスカルの父):星原美沙緒(専科)
 ブイエ将軍(オスカルの上官):一樹千尋(専科)
 ダグー大佐(衛兵隊分隊長):飛鳥裕
 マロン・グラッセ(オスカルの乳母、アンドレの祖母):灯奈美
 ベルナール・シャトレ(革命派の新聞記者):未来優希
 メルキオール(衛兵隊士):壮一帆
 ルイーズ(メルキオールの妻):天勢いづる
 ジェロワール(衛兵隊士):音月桂

 何だかこのところ宝塚ばかり観ているような気がしますが、役替公演なんて組まれてしまうと、ついつい「全バージョンを観なくては」と劇場に通ってしまうんです。劇団思うツボ。そして、僕はネギ背負ったカモ(汗) 本日は星組公演ではオスカル役だった安蘭けいがアンドレ役として登場。登場した瞬間から「庶民」の空気を漂わせ、非常に男っぽいアンドレを形成していて、実に見事でした。ルルーに対して、貴城アンドレは「ルルーちゃん、ちょっとこっちへいらっしゃい」という口調が似合ったけれど、安蘭アンドレだと「こんちくちょう」とワルっぽく凄むのがお似合い。役者のニンってものなのでしょうね。彼女に関しては金髪のオスカルよりも、黒髪のアンドレの方が僕は好きです。そして、貴城けいは出番こそ少ないけれど、貴族のジェローデル役の方がかもし出す品の良さからもピッタリ(あまりにピッタリすぎて、一部意識を失ってしまいましたけれど・汗) まもなく三人目のアンドレとして登場予定の水夏希はアラン役(アランさんはアンドレ役なので設定がややこしい……)で貴族でありながらアウトローという実に微妙なポジションをきっちり表現。安蘭〜貴城〜水のラインがスターとしてのポジションはともかくとして、キレイに配置されていました。もちろん、朝海ひかるは文句なしのオスカルぶり。各役者がそれぞれのニンに合った役を担うという、宝塚ではありそうでいて滅多にない状況。役替わりによって、壮一帆や音月桂がほとんどアンサンブル扱いということも相まって、なんとも豪華な公演を観ている気分でした。
 一応「オスカル編」と名乗っていますが、91年の涼風版とも違う台本で、2001年の稔版のエピソードも加わっていたりして、もはやジグゾーパズル状態。登場人物もやたらと人数はいれども、見せ場も台詞も少ない娘役が多くてちょっと気の毒。そして、吉田優子が書き下ろしのナンバーはスタイルが違いすぎて悪目立ち。かといって、耳に残るナンバーというわけでもなく、非常に居心地が悪かったです。歌詞も「俺たちゃ」だったり「我々は」だったりするので、観る側も、前後の繋がりは一切無視して、その場その場を楽しむという技量を要求されます。でも、一つ一つの場面は植田紳爾ならではのハッタリきかせまくりの演出で、好きではないけれど、この無理やり盛り上げようとする技術や意識はすごいな、と感銘を受けてしまいます。若手演出家には若手ならではの良さがありますが、植田作品のスケール感は宝塚の「技」として引き継いでいって欲しいなと思います。
 話が飛びますが、未来優希を観ていると榛名由梨を思い出します。踊りも芝居も体型も!


2006年05月02日(火)18:50-21:20
映画「RENT」@東劇

 全席自由 一般前売 1500円 M列-2番 (パンフレット:700円)
 監督クリス・コロンバス

 ミミ:ロザリオ・ドーソン
 ベニー:テイ・ディグス
 エンジェル:ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア
 コリンズ:ジェシー・L.マーティン
 モーリーン:イディナ・メンゼル
 ロジャー:アダム・パスカル
 マーク:アンソニー・ラップ
 ジョアンヌ:トレイシー・トムス

 1996年オープンのミュージカルの映画化。次期を同じく映画化された「プロデューサーズ」と同じように初演キャストをそのまま移行していて、ロジャー、マーク、コリンズ、エンジェル、ベニー、モーリーンの6人が参加。さすがに10年の時間でかなりトウが立っている人もいましたが、ロングランの続いているブロードウェイの舞台とは一味違う力強さがあり「RENTってこう演じるんだよ」という輝きが圧巻でした。
 「舞台中継!?」と揶揄されることすらある「プロデューサーズ」とは対照的に「RENT」は、ナンバーの位置を変えたり、カットを入れたり、かなり映画用に手が加えられています。一番の特徴はカメラを外へ外へと出すこと。舞台版だと椅子とテーブル位しか登場しないので、全てがリアルに具体的に映像として現れるのは新鮮な驚きがありました。ただ、もともと具体的な映像を出さなくても成り立つように出来ている作品なので、ちょっとシツコイと感じてしまう場面もありました。何よりも、日本とは住宅事情が異なるのに、貧乏なLOFT暮らしといいながら、かなり広くて窓も大きいペントハウス暮らし。リアルに表現されているだけに「結構良さそうじゃん」と思ってしまうので逆効果。もちろん、すさんでゴミが舞う危険極まりないNYの寒々とした町並みはかなり衝撃的でしたが(今はもっとキレイ)。コロンバス監督はやたらとカメラを動かす気味があり、せっかくのダンスがミンチ状態になっていたり、頭痛が起きそうなほど画面が大きくぶれたりという部分は僕の好みではありませんでしたが、登場人物の心境を芝居としてじっくり見せてくれることには好感を持ちました。もっとも、一人一人を丁寧に扱うあまり、ちょっとだれてしまった感がありますが。
 舞台作品は限定された空間で成り立つような形で完成しているので、改めて映画の手法を加えても成功するというのは難しいものかもしれません。実際、たくさんのミュージカル作品が映画化されていますが、成功作となると意外と少ないものです。そんな中、今回の「RENT」はおそらく初めて映画版で観た人は「これを舞台だとどんな風に上演するの?」と思うに違いないほど映画ならではの武器を駆使していましたが、それが作品にとって効果的だったかどうかは疑問です。「プロデューサーズ」のように舞台に忠実に映像化するか、「RENT」のように映画用にアレコレ手を加えるか、どちらが望ましいのか、より自分の好みなのか、今だにわからない状態です。
 とはいえ、日本人版、ツアーヴァージョンではありえない「登場して居並ぶだけでバックボーンがわかる」というのはオリジナルキャスト、そして映画版での強みです。人種だとか、その人の生活のクラス(日本はクラスの差がさほどないので、階級差をあらわせる役者もほとんどいないんですよね)が一発でわかるというのはナカナカの快感です。そして、舞台版の人数ではありえない、圧力のあるコーラスは聞き応えがあります。もちろん、主要キャスト一人一人の歌唱力もハイレベルでしたし。


2006年05月03日(水・祝)18:00-21:10
東宝「エリザベート」初日@日生劇場

 S席 13000円 1階-H列-19番 (パンフレット:2000円)
 演出:小池修一郎

 エリザベート:一路真輝
 トート:武田真治
 フランツ:石川禅
 ルキーニ:高嶋政宏
 マックス:村井国夫
 ゾフィー:寿ひずる
 ルドルフ:浦井健治
 ルドヴィカ:春風ひとみ
 マダム・ヴォルフ:伊東弘美
 エルマー:縄田晋
 リヒテンシュタイン:小笠原みち子
 少年ルドルフ:川綱納加来

 初めての日生劇場ヴァージョン。そして、武田トートがデビューということで客席は「どんな風になるんだろう?」とワクワク感でいっぱい。武田トート以外では縄田エルマーが初役。続投役者は概ねレベルアップしているのですが、新役の方々はガッチガチでかなり余裕差がありました。場数がそのまま余裕の差として出ているみたいです。
 そんなわけで、武田トートはかなり緊張の極み。お腹に力が入らないのか、声が上ずっちゃってて、全然歌えてなくてヒヤヒヤもんでした。きっと、芝居も段取りを追うだけで精一杯だったのではないでしょうか。彼のトートは、ダンサーと役者の中間のような位置づけで、今までのトートに比べて、やたらと激しく動き回ります。感情の変化も大きくて、表情がクルクル変わって、かなり面白い役作りです。小池さんのことですから、役者に合わせてかなりあれこれ手を入れたんでしょうね。ただし、今日の公演では武田君が周りに合わせるなんて余裕はなく、せっかくの決めのポーズも周りとの調和は考えてないのがアリアリ。よって、目線を飛ばしてみても途中で力尽きてしまうし、せっかくの激しい動きもダンサーの中に埋もれてしまうことも。力の配分が全編100%なのに、芝居も歌もチマチマしていてスケール感に欠けるのです。今回は舞台稽古の際に演出家が陣取るあたりの席からの観劇でしたが、この位置でパワー不足なのですから、二階席からだとどう見えているのか心配に。とにもかくにも、トート「閣下」として舞台に君臨する感じがないのです。誰かに命じる前に、自分で動いちゃってそうな「閣下」です。しかし、これは共演者が百戦錬磨の面々が揃っていることが原因の一つ。ベテラン勢に拮抗する迫力や、武田ワールドをかもし出せるようになるまでまだしばらく時間がかかりそうです。でも、新しいメンバーを受け入れましょう、育てましょうという空気が舞台にも客席にもあって、暖かい雰囲気でしたよ。一路さんなんて、芝居でもカーテンコールでもフォローしまくりでした。演出家やカンパニーに恵まれて幸せなミュージカル・デビューだったのではないでしょうか。
 タイトルロールの一路さんは相変わらず子供時代は無理して若ぶっている感じでしたが、「私だけに」を歌い終わる頃から独特の世界を展開。うつろな眼差しで、人間との交流を遮断し、孤独へ孤独へと向かっていく壮絶さは彼女の真骨頂。強い喉を駆使しての絶唱の数々がより一層痛々しさを醸し出していました。どんどん冷たい表情になるのに、皇后としての位取りを極めていく……この手の役は本当に上手いです。武田トートのコンディションも相まって、第一幕では「決してトートの死の誘いに屈しないエリザベート」というのがクッキリ。芝居の上では武田トートと互角に渡りあうというバランス、面白くて好きです。ただ、一路さんの絶唱型歌唱と、武田君の上ずった歌唱(本調子だとどんな歌の人なんでしょう?)は、声質も声量も落ち着きが悪かったです。ミュージカルにありがちですが、全く異なるメソードでの歌唱がぶつかり合う時は、客席でとっても困ってしまいます。とりあえず、舞台でのことなので、スケールの大きな芸の人が僕は好きです。ちんまりはテレビだけで結構です。
 大きくなったな、立派になったなと思ったのがゾフィーとルドルフ。寿ゾフィーは初登場の頃はまだ舞台復帰まもなくで、固い芝居と歌唱でしたが、今回はかなり余裕をもって歌いこんでました。元々歌が売りの男役なだけに、低音の迫力はナカナカです。そういえば、一路さんって新人公演で寿ひずるの役を演じてたんですよね。ちょっと懐かしい並びだ〜。そして、浦井ルドルフは歌唱力は抜群にUPしているし、ダンスも大きく伸びやかになりました。舞台に対してかなり自信をつけたのが伺えて頼もしい限り。彼は元々貴公子タイプの役者さんですが、革命メンバーの一員としての力強さを感じさせられるようになり、非常に見ごたえがありました。でも、トートがちっこく(ものすごい上げ底ブーツを履いていました)、ルドルフが長身なので「死の舞踏」でトートがルドルフをもて遊んでからKISSするという動きはかなり無理あり。この部分は振付を変更するなり、フォローが欲しかったなぁ。
 石川フランツは暖かみのある芝居と歌が相変わらず魅力的でしたし、村井マックスのボヘミアンぶり、小笠原リヒテンシュタインのリーダーぶりはいつ観ても安定していて大好き。そして、いつ観ても拒絶反応を起こしてしまうのが高嶋ルキーニ。今日も無理やり押し出す歌唱に聴いているこちらの喉が締め付けられるようで参りました。彼のやたらと変化する歌唱や台詞が好きという人が多いのは存じていますが、僕にとっては拷問の人。テクニックのある人が多彩な芸を繰り広げるのではなく、テクニックがないにもかかわらず、形ばかり変化させようとする彼の芸は、かなり聞き苦しいです。今後もミュージカルに関わるのであれば、本格的に歌の勉強をしていただきたいです。そもそも、イタリア人の役なのに、スコーンと抜ける発声ではなく、ドイツ人のようにくぐもった歌い方という時点で違和感タップリ。客いじりもかなり下品なんですよね。役の上での下品さでなく、役者の下品さが出てしまうので……あぁっ(泣) 縄田エルマーはトートダンサー→アンサンブルを経ての出世コース。彼はとっても庶民的な方なので、ハンガリー一古い家柄の貴族という雰囲気にはまだまだ距離があります。立っているだけで醸し出す位取りって、どのようにして役者の皆さんが身に付けていくものなのか、興味のあるところです。そして、まだ役が体に馴染んでいないのか、芸風なのかわかりませんが「エルマー役が小さくなったな」という印象を受けました。台本は今までの公演と一緒だと思うのですが、革命のリーダーとしてかなり小粒になってしまっていました。
 と、玉石混合の公演ですが、カンパニー全体に活気があり、観終わった時に幸せ気分になれたのが何よりも嬉しかったです。アンサンブルも力強く「ミルク」でのグレープバインなんて大したことない動きなのに、非常に迫力があって惚れ惚れとしました。今回は一ヶ月弱という短期公演ですが、どこまで進化するのか、とくと見比べたいと思っています。


2006年05月09日(火)18:30-21:30
宝塚歌劇団雪組「ベルサイユのばら〜オスカル編〜」@東京宝塚劇場

 2階16列席 2500円 2階-16列-62番 (パンフレット:1000円)
 演出:植田紳爾、谷正純

 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(男装の王妃付きの近衛隊隊長):朝海ひかる
 ロザリー(ジャルジェ家の小間使い):舞風りら
 アンドレ・グランディエ(オスカルの幼馴染みで乳母の孫):水夏希
 ジェローデル(近衛隊仕官。オスカルの求婚者):貴城けい
 アラン・ド・ソワソン(衛兵隊士):音月桂
 ジャルジェ夫人:矢代鴻(専科)
 ジャルジェ将軍(オスカルの父):星原美沙緒(専科)
 ブイエ将軍(オスカルの上官):一樹千尋(専科)
 ダグー大佐(衛兵隊分隊長):飛鳥裕
 マロン・グラッセ(オスカルの乳母、アンドレの祖母):灯奈美
 ベルナール・シャトレ(革命派の新聞記者):未来優希
 メルキオール(衛兵隊士):壮一帆
 ルイーズ(メルキオールの妻):天勢いづる
 ジェロワール(衛兵隊士):水純花音

 雪組公演はアンドレがトリプルキャストなのですが、ようやく三人目の水アンドレの登場です。昨年の秋の星組地方公演からベルばら漬けだったので、ようやくゴールが見えてきてホッとしています(まだ雪組地方公演あり)。本日は水夏希がアンドレに、そして、彼女の代わりに音月桂がアランに配役。水アンドレは2001年の宙組公演でも登場していたので、実に5年ぶりの登場。さすがに役の大きさに戸惑うなんてこともなく、実に見事な演じっぷり。とはいえ、プロローグで迫りあがっての(ここまでは惚れ惚れするほど格好良い)歌唱は久しぶりに椅子から落ちそうになりました。も少し歌える人だと思っていたのですが。。。低音は不安定、高音はひっくり返る、あれれ、体調でも悪いのかしらん?と心配してしまったほど。逆に、アラン役に扮した音月桂は朗々たる美声を響き渡らせて、歌唱面では大健闘。とはいえ、役者にはニンというものがありまして、優男の音月桂のアランは豪快さが物足りなかったのが正直なところ。フランス衛兵隊一の腕前を持つ剣士には見えなかったなぁ。水アンドレは「オスカルの陰」という立場を見事に表現していたと思います。朝海ひかると水夏希は全然違うタイプのダンサーなので、二幕の最初の衛兵隊の訓練シーンでは、妙にぬるい振付がもったいなく思いました。もっと激しいor見栄えのある振付にすれば良かったのに。。。そして、朝海〜水の並びは恋人同士というよりも、兄弟みたいな感じでした。これは、いきなり今宵一夜に突入してしまう台本にも問題あり。「アンタ、いつの間にアンドレ・ラブになったの?」と突っ込みいれたくなりますもの。でも、オスカルとアンドレはラブラブであるよりも、サッパリしている方が設定上納得がいきます。衛兵隊の訓練の最中にイチャイチャされても困ってしまいますもの。本日で雪組東宝公演の見納めですが、ゴージャスな貴城アンドレ、情熱的な安蘭アンドレ、クールな水アンドレと、三者三様のアンドレを観ることが出来て楽しかったです。


2006年05月11日(木)11:00-12:00
東京藝術大学「2006年度 第1回 奏楽堂 モーニングコンサート」@東京藝術大学奏楽堂

 全席自由 無料 BL2列-28番 (パンフレット:無料)
 指揮:小野田宏之
 管弦楽:藝大フィルハーモニア

 フルート:沼田絵恋(4年)
 ピアノ:石井園子(4年)

 ライネッケ:フルート協奏曲 ニ長調 op.283
 モーツァルト:ピアノ協奏曲 第26番 ニ長調 「戴冠式」

 今年最初のモーニングコンサートはフルートとピアノが登場。今回から整理券を導入とのことでしたが、開演ギリギリに会場に到着したところ、ホール入り口で580番台の整理券を渡され、ほんの4m先でその整理券は没収されました(意味ないじゃん)。
 一曲目のフルートコンチェルトではピンクのドレスをまとった、大人っぽい雰囲気のお姉さんが登場。キリリとした風貌に期待が高まります。ライネッケのコンチェルトは初めて聴きますが、非常に柔らかな音楽。ソリストが登場した時にイメージしていたのとは反対の作風で、個人的には朝よりも、夜中にまったり聴きたい曲でした。ソリストの印象は……実はほとんどないんです。そこそこお上手だし華もあるソリストでしたが、僕のハートに訴えかけてくるモノがなかったのが残念。
 それに対し、モーツァルトのピアノコンチェルトは絶品。実は「戴冠式」はあまり好きなコンチェルトではなかったんです。決め手に欠ける気がして、ゴージャス好みの僕としては物足りなかった! が、本日はピアノのソロ最初の数小節でノックアウトされてしまいました。このピアニストすっごく上手い!! モーツァルトのピアノコンチェルトは派手な見せ場があるわけでなく、素人耳にもシンプルなのですが、一つ一つの音やフレーズをこれ以上なく丁寧に扱っていて、ポロポロと真珠の粒がこぼれ落ちてくるようなモーツァルトでした。レミファソラシドレの音階だけで音色といいタッチといいここまで歌えるピアニストってプロを含めてもそうそういますまい。丁寧なのに堅苦しくもなく、色気のあるフレージング(のだめだったら「ピンクのモーツァルトでした」と言うこと必至)が圧巻。「どう? 素敵でしょ!?」と話しかけてくる僕好みの素敵なピアノでした。相当弾きこんでいるでしょうに、新鮮な空気に満ちていました。初めて小山実稚恵さんのピアノに出会った時の伸びやかさを思い出しました。


2006年05月18日(木)11:00-12:10
東京藝術大学「2006年度 第2回 奏楽堂 モーニングコンサート」@東京藝術大学奏楽堂

 全席自由 無料 14列-3番 (パンフレット:無料)
 指揮:広上淳一
 管弦楽:藝大フィルハーモニア

 クラリネット:芳賀史徳(4年)
 ヴァイオリン:高梨真実(4年)

 シュポア:クラリネット協奏曲 第4番
 ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 op.99

 芸大とはいえども、僕の印象としては花形学科とそうでもない学科というものがありまして、花形はやはりヴァイオリンとピアノ。ソリストの学生さんは、登場した時点から自身に満ち溢れていて、ステージに登場しただけで観客を圧倒するものがあります。既に「ソリスト」としての自覚があるのか、全体的に大人びていて、堂々としているのが特徴。反対に管楽器のソリストはステージマナーからして習った方が良さそうな人が多く、たいてい開場の雰囲気に呑まれてオドオドしていることが多いのです。いかにも「学生」といった感じ。舞台袖から舞台中央までしっかり歩けない人は大抵演奏もちょっと舞い上がっていることが多いような印象を受けるのは偏見ってものでしょうか!? 同じ四年生なのに、演奏後にソリストが二人揃って舞台に登場した時は「お嬢様とお供の者」といった風情。頑張れ〜>管楽器
 ということで、今回「も」ヴァイオリンが圧巻でした。ショスタコのコンチェルトは僕好みのロマンティックなものではなく、ちょっと気違いじみたものを感じるのですが、音色のパレットが豊富な演奏家のようで、実に魅力的な演奏でした。暴言してしまうと、コンチェルトの曲はどうでも良いけれど、演奏が素晴らしかったです。前述の舞台上での自信のみならず、若者ならではの恐い物知らずな演奏で、弱気な部分は一切みせずに「私のショスタコはこうよっ」という切れ味の良さが爽快でした。プロのコンサートにはない、熱さを感じます。ただし、僕の座った席の音響ゆえか、ショスタコのスコアゆえか、はたまた彼女の楽器や演奏技術ゆえかわかりませんが、音の弱さを感じたのも事実。彼女の演奏っぷりも、奏でる音楽もスケールが大きいのに、客席に「音の」エネルギーがいま一つ届ききれないもどかしさがありました。あ、のぼぉちゃんの演奏で感じるものと同じだぁ〜。
 順番が逆になってしまいましたが、クラリネットは萎縮しているような気がしました。雨降りの朝ということもあってか、オケの鳴りも悪かったけれど、クラリネットのソロも音色が単調なのと、技術的な問題(変声期の男の子みたいに、ピュッと音がひっくり返るんです)なのとで、ちと退屈。もちろん、学生にソリストとしての経験を積ませるためのコンサートでしょうから、未熟は未熟でも良いのですが、もっと自信に溢れた音楽の方が僕は好きですね。そして、ステージマナーも、授業で教えるべきではないかと、今日はかなり思いました。完全にホールの雰囲気と演奏者の雰囲気が噛み合っていなかったもの。ソリストが今風の格好良い若者だっただけに、かなり勿体無かったです。


2006年05月18日(木)14:00-15:35
ダンス・ミュージカル「クラリモンド」@サンシャイン劇場

 A席 6300円 2階-1列-28番 (パンフレット:1500円)
 構成・演出:栗田芳宏、演出・振付:大島早紀子

 クラリモンド:安寿ミラ
 ロミュオー:清水博之
 悪魔1:舘形比呂一
 悪魔2:森山開次
 悪魔3:熊谷和徳
 僧侶:谷田歩
 堕天使1:高塚恵理子
 堕天使2:横山道子
 堕天使3:横山愛
 老司教:栗田芳宏

 ピアノ:宮川彬良

 かなりハードな舞台で、90分休憩ナシの一幕モノ。確かに登場人物は踊りっぱなしです。ただ、ゴーチェの原作を予習せず、かつ神様関係(蛇足ながら政治関係も)は苦手な僕には、かなりとっつきにくい作品でした。大島早紀子の振り付けがいつものように抽象的なのと、登場人物の独白や歌われる歌詞が難しいということもあって、途中からストーリーを追うのは放棄。ひたすらダンスを堪能という困った客になってしまいました。台本も音楽も振り付けもオリジナルなので、制作はかなり難航したことが想像されますが、観客としてはそんなことは知ったこっちゃないんです。チケット代に値するクオリティの舞台だったかどうか、ただそれだけ。
 して、今回の舞台は、まだ完成品には程遠い、というのが僕の感想。なるほど、舘形比呂一も、森山開次も、熊谷和徳も良く踊っていました。でも、単に体が良く動いていただけで、その踊りから何かメッセージを伝えるまでは振りが消化されていなかったんです。あくまで、舘形の、森山の、熊谷のダンスであって、悪魔1〜3のダンスではなかったんです。したがって、ソロでの場面はともかく、複数で絡んで踊る場面なんて、単なる技術合戦。多分、これは出演者間のスタイルの違いがありすぎた&それを演出家が交通整理しなかったというのが原因ではないかと。好き嫌いは別として、悪魔の三人組(エリザのトートダンサーみたいでした)に実力派かつタイプの違うダンサーを配したことによって、ソロ場面かなり見ごたえがありました。でも、一流の素材を集めれば美味しい料理ができるかというとそんなことはなく、本日の味付けや調理方法はイマイチ。脇役であるべき悪魔たちばかりが「役」ではなく「役者」として踊りまくり、主役コンビはほとんど踊ってないのも気になりました。かといって、安寿ミラや清水博之の歌は歌手というレベルではないので、何だかもったいない使われ方でした。台詞役の二人も台詞回しのスタイルが違うので、語り部が変わるたびに、僕の耳も(音圧だとか音質を聞き手も受け入れ態勢の調整をするでしょ!?)とまどいまくり。抽象的なストーリーなので、抽象的な演出、抽象的な振り付けはアリだと思いますが、それ以前に作品としての出来の悪さが気になった〜〜〜。お芝居の幹がどこかへ忘れ去られていて、枝葉ばかり眺めている、そんな公演でした。
 もちろん、悪魔トリオの個々のダンスの迫力と鮮やかさは若手ならではのものでしたし、安寿ミラの「座って扇子パタパタしているだけ」で様になる位取りは素敵でしたョ。でも、個々のファンでない限り、かなりツライ公演じゃないでしょうか。。。


2006年05月18日(木)18:30-21:05
劇団四季「CATS」@キャッツ・シアター

 B席 6300円 2階-5列-87番
 演出:浅利慶太

 グリザベラ:金志賢
 ジェリーロラム=グリドルボーン:秋夢子
 ジェニエニドッツ:鈴木由佳乃
 ランペルティーザ:磯谷美穂
 ディミータ:飛田万里
 ボンバルリーナ:南千繪
 シラバブ:小粥真由美
 タントミール:高倉恵美
 ジェミマ:王クン
 ヴィクトリア:金井紗智子
 カッサンドラ:増嶋あゆみ
 オールドデュトロノミー:石井健三
 アスパラガス=グロールタイガー/バストファージョーンズ:キム スンラ
 マンカストラップ:田村雄一
 ラム・タム・タガー:阿久津陽一郎
 ミストフェリーズ:蔡 暁強
 マンゴジェリー:百々義則
 スキンブルシャンクス:ユ チャンミン
 コリコパット:塚下兼吾
 ランパスキャット:幸田亮一
 カーバケッティ:村瀬美音
 ギルバート:張 文瀟
 マキャヴィティ:キム グヨル
 タンブルブルータス:岩崎晋也

 中学生の修学旅行団体が入っていました。「CATS」初体験の子が多いようで、ナンバーごとの各種しかけや、ネコたちの生態描写のそれぞれにかなり反応がありました。こういうのって役者は演じていて嬉しいでしょうね。して、今回は「キャッツ」というよりも「パピーズ」という印象の舞台。自由気ままなネコたちではなく、ちょっとやんちゃな子犬たちのようなお行儀の良い「CATS」でした。出演者が一回りも二回りも小粒なのは、ロングラン公演としてはいたし方ないのでしょうか? そういえば劇団四季って「ベストキャストを組むために、出演者は当日発表」とうたっていたのですが、さすがにこのフレーズは今いずこ?になってますね。「CATS」は東京公演もカラオケなので、コーラスなどはかなり録音で補っていますが、歌えない役者の多さにビックリ。もしくは、声質と役の声が全然あっていない人も。プロの公演というと「演じるべき人が演じる」べきだと思うのですが、今回のカンパニーは「やりたい人が演じている」というような、アマチュア的なものを感じてしまいました。
 でも、個々の役者にはあれこれ言いたいことがありますが、作品の良さに救われて、結局楽しく劇場を後にしているのも事実。劇団四季版の「CATS」はブロードウェイともウェストエンドとも違った演出なのですが、両プロダクションの美味しいところ取りをしているので、ナンバーごとに変化が大きくて、観ていて飽きないんですよね。役者の没個性については、ロイド=ウェバーの変化に富んだ音楽がフォローしているし。でも、金グリザが歌う「メモリー(ニ幕の方ね)」の「TOUCH ME, IT'S SO EASY TO LEAVE ME」のくだりの迫力は歴代グリザベラの中でもダントツ。グリザベラがジェリクル・キャットに選ばれるためのポイントとなる一節なので、たった四小節ではありますが、この部分を際立たせた歌唱によって「あぁ、グリザベラが主役なんだな」と納得させられる勢いがありました。ほんの数秒ではありますが「これが聞けて良かった」と思える公演に出会えて幸せです。


2006年05月19日(金)19:00-20:55
新国立劇場バレエ団「ローラン・プティの こうもり」@新国立劇場オペラ劇場

 F席 3150円 4階-3列-48番 (パンフレット:800円)
 振付:ローラン・プティ
 指揮:デヴィッド・ガルフォース
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
 テノール:樋口達哉

 ベラ:アレッサンドラ・フェリ
 ヨハン:ロバート・テューズリー
 ウルリック:小嶋直也(ルイジ・ボニーノの代役)
 メイド:楠元郁子
 グランカフェのギャルソン:マイレン・トレウバエフ、奥田慎也(グリゴリー・バリノフの代役)、江本拓
 フレンチカンカン:厚木三杏、寺島ひろみ、西川貴子
 チャルダッシュ:マイレン・トレイバエフ
 警察署長:ゲンナーディ・イリイン

 ウルリック役は当初ルイジ・ボニーノと吉本泰久のダブルキャストでしたが、吉本泰久が怪我で休演となり、全公演ルイジ・ボニーノが演じることになっていました。が、初日直前にしてこんどはルイジ・ボニーノが怪我で休演。今回の公演を支えたのは「こうもり」新国バレエ団初演の際にウルリック役を演じた小嶋直也でした。小嶋直也が新国バレエ公演に登場するのは三年ぶり!? 確か怪我で休演されて、それっきりご縁がなかったので、てっきり引退されたとばかり思っていたのです。それが、幕が開いてみれば最初から今回の公演にキャスティングされていたかのような踊りっぷり。実はウルリック役はルイジ・ボニーノと吉本泰久でしか観た事がなかったので、初演の際に「小嶋直也が良かったよ」というのを聞くたびに「幻の小嶋ウルリック」と夢見ていたんです(ってオーバーな)。
 ルイジ・ボニーノのウルリックは雰囲気重視といいますか、舞台に立っているだけで面白いオジサンなのですが、小嶋直也のウルリックは高度な技術によって支えられた面白さでした。個人的に彼の踊る二枚目役はあまり好きじゃなかったのですが(例:王子様系列)、今回のようなコミカルな役は、いたずらっ子のような目つきや、ニヤッとした笑い方など、結構役にはまっていてかなりポイント高! ついついオペラグラスで追っかけてしまいました。派手すぎず、地味すぎず、それでいて主役の二人のことは立てちゃうし、子役の面倒もみちゃってるし、本日の功労賞です。今後はこのポジション(別格二番手といったところでしょうか)を極めていただけると、日本のバレエ界にとっても大きな戦力になると思うのですが。。。
 でもって主演コンビですが、圧巻です。フェリもテューズリーも手足が長いので、ほんの少し動くだけで実にダイナミック。イナバウアーも真っ青な程に反り返るなどの、派手な動きや表情が実に似合うんです。日本人がここまでやると嫌らしくなってしまうけれど、これが垢抜けて見えてしまうのですから、西洋人マジック恐るべし。ポーズを決めるだけで輝いちゃうんだからズルイ〜。テューズリーはこれ以上もなく「エロ親父」の顔をするのですが、それを受けて立つのがフェリも、楚々とした奥様じゃなく「私は今、ケ・ン・タ・イ・期なのよ〜」と叫んじゃうような押し出しのよさなので、二人のバランスはなかなかよろしゅうございます。フェリのベラは夫の愛を疑って、一瞬、ウルリックにヨヨヨと泣きつくものの、立ち直りは早い早い、さっさと謎の美女に変身して舞踏会に繰り出してしまうのですから、こっちも一緒に泣いている暇などありゃしません。フランス人のバイタリティを感じる場面です。
 今日は観劇中、ずーっと微笑んでたらしく、終演後は笑顔が張り付いてこわばってました! さすがに今日の席だとどんな顔しようとも舞台からはわからないから良いけれど(笑) 新国ダンサーもなかなか張り切っていて、一人一人の表情が実に豊か。ミュージカルを見ているかのような楽しい舞台でした。


2006年05月23日(火)11:30-13:15
古川展生&假屋崎省吾「Elegant Time Concert 〜上質な時間を貴方に〜 Vol.11」@ヤマハホール

 全席指定 3500円 1階-B列-20番 (パンフレット:無料)
 チェロ:古川展生
 ピアノ:坂野伊都子
 華道家:假屋崎省吾

 ベートーヴェン:「ユダス・マカベウス」の主題による12の変奏曲
 ドヴォルザーク:4つのロマンティックな小品より
 ラフマニノフ:プレリュード
 ラフマニノフ:ヴォカリーズ
 グリーグ:叙情小曲集より 青春の日々から(ピアノ・ソロ)
 クライスラー:愛の哀しみ
 クライスラー:シチリアーノとリゴードン
(休憩)
 バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番より(假屋崎省吾によるライヴ・パフォーマンス)
 ピアフ:ばら色の人生
 マシアス:恋心
 ピアソラ:ミロンガ
 ピアソラ:オブリビオン
 ピアソラ:リベルタンゴ
(アンコール)
 バッハ=グノー:アヴェ・マリア

 平日の午前中だというのになかなか盛況なコンサートでした。ヤマハ本店のエレベーター前は大混雑。ちょっと快適からは遠のきますが、のぼぉちゃんファンとしては嬉しい限り。さすがにおば様占有率が高かったようです。假屋崎省吾さんも共演ということもあって、舞台の上は牡丹などで花の園。六本木の
後藤花店でのリサイタルを思い出しました。かなり大掛かりな生け花で、頭上から降り注ぐような花々でかなり幻想的な雰囲気が醸し出されていました。僕好み。
 一曲目は今の季節に合わせてチョイスしてみたという「表彰式の音楽」による12の演奏曲。(ソーミーファソードーレミファソファミレーってやつ)。実はかつて団体で奈良のリサイタルに駆けつけ、最前列に陣取ったものの、旅疲れから集団で眠りこけてしまった苦い思い出の曲。前回はのぼぉママがピアノ、今回は伊都子さんがピアノ。今日の席は2列目とはいえ、上手端のため、ピアノの鍵盤がまったく見えず、おのずとピアニストの足に注目となったのですが、伊都子さんは、ロングスカートにかくされていて今まで気付きませんでしたが、のぼぉちゃんに負けず劣らず、足癖悪いです(笑) 演奏中にモゾモゾどころかキックまでしているのにはのけぞりました〜。たまには上手からの鑑賞も新たな発見があるものですね。そして、MXテレビの中継の関係もあって、僕の目の前にはカメラさん&モニターが。肉眼だとわからない部分も別カメラの映像や、ズーム画面で映されて、なかなか興味深かったです。その後、トークは、カーリーの好リードもあって、笑いあり、突っ込みどころありの楽しいものでした(多分、このトークのおかげで終演が15分は延びたかと)。もちろん、僕はのぼぉちゃんのファンであって、彼の演奏が楽しみでコンサートに足を運ぶのですが、僕にとっての二大伴奏家の一人、伊都子さんによる(僕にとっての)初ソロが新鮮でした。彼女は「骨がないのではないか?」とすら思ってしまうほど、柔らかく指がクネクネしまくり、それに見合ったネットリした音が魅力なのですが(音に個性があるというのは演奏家にとってスゴイ武器だと思います)、時折、ガンッと硬い音も乱入してきたりして、新鮮な気分が味わえます。そして、のぼぉちゃんのとの相性が良く「合わせてる!!合わせてる!?」ということもなく、お互いに勝手に弾いているように見えながら、音楽はばっちり絡み合っているので、心安らかに音楽に集中できるのが嬉しいところ。終演後に確認したところ、今回のコンサートはほとんど音合わせをしていないとのことですが、まるで1年もこのプログラムでツアーしています、みたいな安定感がありました。のぼぉちゃん&伊都子さんのコンビ、かなり好きです。お互いに緊張も手加減もなしで、のびのびと、ノリノリに自分の音楽を弾くことによって、より良い結果になるのですから、のぼぉちゃんは幸せ者です。
 10分という、女性トイレの数からすると短すぎる休憩時間を挟んでの後半はのぼぉちゃんがバッハの無伴奏チェロ組曲の中から、暗〜い曲をピックアップして、厳かに演奏する中、カーリーさんは生け花。とはいうものの、いきなり竹ざおのようなものを何本も持って登場し、舞台上の花瓶に突っ込みはじめるので「何やってんの!?!?」状態でしたが、そんな骨組みの合間に次から次へと生花(これが見るからに上質!といったもの)を無造作にいけるだけで見事なオブジェが完成。3分クッキングのような鮮やかさと、作業中からは想像できない、完成品の色っぽさに「さすがプロっ」と感嘆。バッハに続いて、塩入俊哉編曲によるシャンソンや、ピアソラによるタンゴといった、幕の内弁当プログラムが演奏されましたが、小品弾かせたら日本一!ののぼぉちゃんですら、ヤマハホールは弾きにくいホールのようでして(全然響かないんです)、いつもほどの色っぽさは感じられませんでしたが、何だかノリノリに楽しそうにチェロと戯れるのぼぉちゃんの姿に「ま、良いか」と楽〜な気持ちでコンサートを堪能。モーニングコンサートとしては良く考えられたプログラムではないでしょうか。


2006年05月25日(木)11:00-途中退場
東京藝術大学「2006年度 第3回 奏楽堂 モーニングコンサート」@東京藝術大学奏楽堂

 全席自由 無料 30列-7番 (パンフレット:無料)
 指揮:三河正典
 管弦楽:藝大フィルハーモニア

 ヴァイオリン:泉沙織(4年)
 ピアノ:森永康夫(4年)

 プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 op.63
 スクリャービン:ピアノ協奏曲 嬰へ単調 op.20

 プログラムを確認せずに芸大入り。本日は近代音楽の日だった〜。実は同行者が近代音楽が苦手で、即座に「帰りたい」と言い出したのです。僕はリズムの面白い近代音楽は好きなのですが、母はダメなんです。普段のピアノの練習を観察していても思うのですが、リズム感というのは大人になってからは矯正がきかないのでは?と思っている今日このごろです。付点があったり、前小節に引っかかってのものがあったりすると、途端にパニックになってしまうようでして、いくら数学的に説明しても、CDなどで実際の演奏を聞かせてみても、体にすんなり入り込まないみたい。あまりしつこく説明しようとすると逆切れされてしまうので、最近は放っております。僕も滅茶苦茶リズム感が良いとは思っていませんが、入るタイミングが合わないと気持ち悪いし、タイミングが合えば気持ち良いし、言葉で説明するのは難しいけれど、体で感じるものがあるのですが。。。
 とりあえず、入場してしまったので、一曲目だけは聴きましょうということになり「ピアノを聴かないならば」といつもとは違う席に座ってみることに。最後列のサブセンター。列数こそあるものの、芸大の奏楽堂は中ホールなので、そんなに遠いという感覚なし。そして、直接音ではなく、ホール内でブレンドされた音が届くので、いかに音響の良い空間なのかを再認識。ヴァイオリンの音が実に綺麗でした。今日のヴァイオリニストは、激しい音が実に魅力的でした。ま、僕が合唱背後で歌わせながらの声楽ソロだとか、オケを突き抜けて響き渡るソロ演奏、群舞を率いてのソロダンスが好きというのもありますけど。でも、プロコのリズミカルさは、ソロが入ると瞬間的にオケがppになってしまうヴァイオリン協奏曲よりも、ピアノ協奏曲の方が際立つような気がします。あくまで好みの問題ですけどね。


2006年05月26日(金)14:00-17:15
新国立劇場「INTO THE WOODS」@新国立劇場中劇場

 Z席 1500円 2階-3列-76番 (パンフレット:800円)
 演出・振付:宮本亜門

 ナレーター・謎の男:鈴木慎平
 シンデレラ:シルビア・グラブ
 ジャック:矢崎広(上山竜司)
 パン屋:小堺一機
 パン屋の妻:高畑淳子
 シンデレラの継母:藤田淑子
 フロリンダ:花山佳子(仁科有理)
 ルシンダ:鈴木純子(山崎ちか)
 ジャックの母:天地総子(藤田弓子)
 赤ずきんちゃん:宮本せいら(SAYAKA)
 魔女:諏訪マリー
 シンデレラの父:二瓶鮫一
 シンデレラの母・巨人・おばあちゃん:荒井洸子
 シンデレラの王子・狼:藤本隆宏
 ラプンツェル:早川久美子(吉岡小鼓音)
 ラプンツェルの王子・御者:広田勇ニ
 執事:大森博史
 白雪姫・牛:山田麻由
 眠れる森の美女・ミルキーホワイト:飯野めぐみ(飯野愛←多分、同一人物)
  ■( )内は2004年6月初演時の配役

 先週の初日は「プティのこうもり」の誘惑に負けて、すでに購入していた初日チケットを母に回してしまったのですが、役替わりもあるので、やはり観ておきましょうと、本日あらためてZ席を購入。開演直前なのに余裕で購入。そりゃ、ソンドハイム作品なので、一般受けする芝居やミュージカルナンバーは期待できませんが。。。そういえば、ソンドハイム作品が満員御礼って聞いたことないかも。寂しいなぁ。
 でもって、ただでさえ難しい曲なのに、今回のプロダクションは(も!?)キャストの歌唱力にか〜な〜り〜問題あり。プロとしてのレベルに達していない人たちなので、余計に「何じゃこの作品は!?」となってしまいました。今回、心地良いい歌唱を聞かせたのって、ラプンツェルの早川久美子位ではないでしょうか? ミュージカルは歌えてナンボ、なので(もちろん芝居が上手いにこしたことはありませんが)、音程が取れなかったり、発声がチンチクリンなものを聴かされては、魅力半減。ますます客離れして当然ってものです。初演から続投のキャストたちが、再演に向けて歌のレッスンを受けていてくれてたらなぁ。。。主演級なのに、初演時からレベルが変わらない人ってプロとしての自覚を疑ってしまいます! 余裕があってこそプロなんだけどなぁ。(1500円で入場の癖に辛口〜>自分)
 とはいえ、ベテラン俳優が揃った公演なので、歌唱力をフォローする武器を何かしら持ち合わせている人が多かったのはサスガ。本日の一階席は高校生の団体が入っていたのですが、適度な客いじりも含めて「楽しんで帰ってね」という空気が流れていたのは嬉しい限り。とんでもない仕上がりではあっても、上演すると決まったからには、あの手この手でお客を満足させるのがプロのプライドですね。最初は小堺さんが目の前に登場するだけで歓声を上げていた高校生たちが、少しずつ芝居に入り込んでいくさまを目の当たりにして、関係者でもないくせに、なんだか僕まで「してやったり」という気持ちになりました。でも、結局は、高校生たちのノリの良さが劇場の空気を動かし、駄作(作品が、ではなくプロダクションが)を輝かしていた印象を受けました。結局、観劇なんて観客のコンディションによって感動の受け方が違いますものね。舞台の皆さんも客席から舞台がエネルギーを貰っていたみたい。「自分も楽しみ、まわりも楽しませる」と高校生が意識していたかどうかはわかりませんが、素敵な観劇方法だな、と感激しました。
 亜門さんの演出は相変わらず、小芝居で見せるアイデアが豊富で、思わずクスクス笑う場面が随所にありました。客へのサービス精神や、役者への愛情が感じられて、心地良いです。ただ、全体としての主軸(っていうのがこの作品にあるかは別問題として)を見失ってしまうことも多く、作品の大きさはあまり感じられませんでした。実は最近の彼の演出作品で感激したこともないんですよね。真央さんのように、強引に輝いてしまうような主役を据えるならばともかく、アンサンブル系の役者のみ出演の作品だとダラダラした印象を受けてしまうのも事実。やはりミュージカルには「聞かせどころで聞かせられる歌唱力」もしくは「立っているだけでアンタが主役というオーラ」を備えた役者が必要なのかな。(誰とは言いませんけど)。


2006年05月26日(金)19:00-21:00
新国立劇場バレエ団「ローラン・プティの こうもり」@新国立劇場オペラ劇場

 Z席 1500円 4階-R8列-4番 (パンフレット:800円)
 振付:ローラン・プティ
 指揮:デヴィッド・ガルフォース
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 ベラ:草刈民代
 ヨハン:山本隆之
 ウルリック:小嶋直也(吉本泰久の代役のルイジ・ボニーノのさらに代役)
 メイド:楠元郁子
 グランカフェのギャルソン:マイレン・トレウバエフ、奥田慎也(グリゴリー・バリノフの代役)、江本拓
 フレンチカンカン:厚木三杏、寺島ひろみ、西川貴子
 チャルダッシュ:マイレン・トレイバエフ
 警察署長:ゲンナーディ・イリイン

 先週「バレエが観たかったのにミュージカルの方を押し付けられた」とごねた母のために、僕が押さえていた本日の「こうもり」のチケットを横流し。自分用にはZ席を購入。今日は一日新国に入り浸っていたのに必要経費は税込み3000円。かなりお買い得。
 恐らく、主役の草刈民代は今回のカンパニーの最年長でしょう。登場するだけで「マダーム♪」という空気を醸し出していて「何だか宙組の花總まりみたい」と思ってしまいました。技術点に問題があるところと、位取りの見事さも共通。このプロダクションはヒロインといえども、ほとんど裸のレオタード姿だったり、マントを羽織っているだけだったりにもかかわらず、華やかさといい、動きの美しさといい圧巻でした。さすが、人気者だけのことはあります。日本のバレエダンサーて大人の女の魅力やリッチ感を表現できる数少ない一人だと思います。素敵です。自分の特性と魅せ方を心得ているのでしょうね。華やかなステージが好きな人にはオススメです。
 いつの間にやら新国の顔となっている山本隆之はヒロインを立てての好サポート。もう少し、自己アピールをしても良いのでは?という部分はこれまた宙組の和央ようかみたい(笑) 端整な顔立ちや、安定した技術を持ち合わせているのに「婿殿」なダンサーです。そこそこ技術はあると思うけれど、見栄えがしないのは何故でしょう?
 ということで、主演コンビのバランスは良かったけれど、先週のフェリ&テューズリー組に比べて、一回りスケールが小さくなっていました。そりゃ、数歩歩くだけでサマになったり、大柄ゆえにターンが鋭くスピーディーだったりというのは、努力だけではいかんともしがたい事ですが、同じ入場料にして、この差の大きさは気になるところ。通常、主役コンビの踊りはその日の公演のハイライトになるのですが、今回は「雰囲気重視」の主役コンビゆえ、小嶋直也やトレイバエフの鮮やかな踊りにお株を奪われてしまいました。とりあえず、草刈民代の位取りがあるからこそ成り立った公演ともいえましょう。僕個人としては「華も実もあるダンサー」が好きなので、草刈民代主演公演は今後「機会があれば」で良いかな。もちろん、魅せ方だとか、スター性は若手にとってとても勉強になると思いますし、何よりも華やかな公演になることは約束されますけどね。
 ……と、ここ数日分の観劇日記をまとめ書きしながら思うのですが、僕は「私を見て〜」のスターには若干甘くなりますが、基本的に技術点の低いキャストへの評価はかなり辛いですね。もちろん、技術点だけで面白味のない役者には用はないけれど。でも、ピアニストが基礎テクニックを取得するように、役者もまずは基本テクニックだけは磨いていただきたいものです。小嶋直也は故障を抱えているとはいえ、まだまだ主役を踊れるでしょうが、今後は別格二番手(って宝塚用語?)のポジションで、若手の公演を支えていっていただければと思います。彼もちょっと地味なダンサーですが、技術といい、舞台上での安定感といい、若手に伝授していただきたいことが沢山ありますもの。そして、元気に踊っている姿は何と魅力的なことか! 新国バレエ団が出来たころは「新人公演主演」という風情でしたが、いつの間にやら「専科生特別出演」という貫禄になっていて、ダンス界の時間の流れの早さを感じました。


2006年05月28日(日)13:00-17:00
東宝「エリザベート」千秋楽@日生劇場

 S席 13000円 1階-I列-22番 (パンフレット:2000円)
 演出:小池修一郎

 エリザベート:一路真輝
 トート:山口祐一郎
 フランツ:鈴木綜馬
 ルキーニ:高嶋政宏
 マックス:村井国夫
 ゾフィー:初風諄
 ルドルフ:パク・トンハ
 ルドヴィカ:春風ひとみ
 マダム・ヴォルフ:伊東弘美
 エルマー:縄田晋
 リヒテンシュタイン:小笠原みち子
 少年ルドルフ:塩野魁土

 東宝版「エリザベート」も本日で606回の上演になるそうです。そして、20名ものキャストが全公演に出演。スゴイことです。不調だったり、怪我したりもありましたが、エリザ役の一路真輝と、ルキーニ役の高嶋政宏なんて、よくもまぁこんなに出番の多い役をシングルで乗り切ったもんだと尊敬してしまいます。もちろん、Wやトリプルでキャスティングされている人たちもスゴイことをしているのには違いありませんけど。だって、ほら、舞台って一回一回が勝負でしょ。606回の間に病気休演があり、今回久しぶりに復活したゾフィー役の初風諄には客席どころか舞台袖からも大きな拍手が浴びせられていました。多分、今日一番の拍手だったのではないかな。劇場中の魂が一つになったかのような、素晴らしい瞬間を味わうことができました。こういうのってライブならではの感動ですね。
 本編終演後は、治田氏の司会により、一時間近くに渡る「特別カーテンコール」という名のトークショー。50人一人一人の紹介とお話がありました。一路真輝の結婚話ばかりになるかと思いきや、結構みなさん言いたい放題で、笑って泣いて、あっという間に時間が経ってしまいました。祐さんは、初めての人はひいてしまうかもしれませんが、変人キャラでのお遊び、ゲラゲラ笑ってしまいました。それにしても、フルヴォイスでのロングトーン。一分近く伸ばしてたんじゃないかな。肺活量と声量に感動しました。本編でも思いましたが、身長と声量のある役者って得ですよね。登場した瞬間の押し出しの良さといい、見栄えといい、それだけで得点が加算されますもの。個人的には彼の芸風はとりたてて好きなわけではないけれど「アンタが主役」と思わず納得させられるものがあります。客席での見栄え聞き栄えは圧巻です。あぁ、祐さんのジーザスかファントムがまた観たいなぁ。今の東宝で版権買い取ってくれないかしらん?